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168竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/07/20(金) 20:41:09 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 赤宮真冬の繰り出された脚を右腕で押さえながら、マモンは真冬の容姿をじっと睨みつけるように観察する。
 顔から下へ下がり、肩、胸、腹、最後にすらりと伸びている脚を見て、もう一度視線を上へと上げていく。
 そして十分に真冬を観察した彼は、納得したような表情を浮かべる。
「……刺すように長く綺麗な赤髪。貫くような強く冷たい赤き眼光。迸る情熱を表すような赤き炎。お前が、赤宮真冬で間違いないみてェだな」
 そう言われた真冬はフッと笑みを浮かべ、マモンの言葉に返事をする。
 楽しそうな声色で。面白がっているような調子で。
「短時間見ただけで、よく私の身体の特徴を隅から隅まで見つけれたものだな。逆に感心したくなるよ」
 そう言いながらも、真冬はマモンの右腕に押さえられている脚に力を加える。
 力が増したと感じたマモンは、相手の気を逸らすために、

「……パンツ見えてんぞ」

 ガッ!! と激しい衝突音が響く。
 しかし、その音は真冬がマモンに攻撃を与えた音でも、マモンが真冬に攻撃を与えた音でもない。
 お互いに隙を探りあい、隙が出来たと思った瞬間が偶然同じで、お互いの拳がぶつかり合った音だ。
 この拳のぶつかり合いにより、真冬とマモンはお互いに十数メートル程の距離を取った。当然、マモンの位置も茜空から遠ざかったわけだが。
「……意外と純粋じャないんだな。今のは見られて赤面するシーンだぜ?」
「お前に下着を見られた程度で動転するほど気を緩めてはいない。赤と白の横縞が好きか?」
 真冬はさらりと下着の柄を告白する。
 躊躇いも全く無いのか、彼女の頬も、耳も赤くなっておらず、恥など一切感じていないようだった。
 何故こうも堂々と出来るのか、マモンは戦いの最中でどうでもいい事を思ってしまった。
 そのどうでもいい事と同列に並ぶ、真冬の質問に答える。
「俺はどッちかッていうと、横縞より黒一色、赤一色とかッていう刺激的な方が好みでな」
「―――そうか」
 真冬はマモンの言葉に短く言葉を返す。
「それは残念だったな。だが、たまになら黒一色の下着を履かんこともない!」
 思い切り溜め込んだ力で地面を蹴り、マモンに突っ込んでいく。

「ハハッ! そうには見えねェなァ! 案外積極的じャねェか!」
「拝みたければ、それまで生き延びる事を目標にするんだな!!」

 赤宮真冬対マモンの戦いが始まった。
 近くの木に背中を預けながら、茜空はその戦いを虚ろな瞳で眺めていた。
(―――何故、僕は傍観者になっているんでしょう?)
 上手く回らない頭で考えても、答えは出ない。
 茜空は近くに捨てるように置かれている自身の武器である金棒に手を伸ばす。が、距離感が掴めないのか、いつまで経ってもこの手は金棒に届いてくれない。
(……おかしい、ですね……すぐそこに、ある……はずなのに……)
 すっと、金棒が自分とは違う誰かの手に取られる。
 かと思うと、その手は金棒を持ったまま自分へと近づいてきた。

「ほら、手に取りたいんならもっと動けよ」

 その手の持ち主は、茜空の目の前に現れた。
 霧澤夏樹だ。
「……彼女と、一緒に助けに来たつもりですか……」
「悪いかよ」
「そうじゃありません……貴方は……いや」
 茜空は言葉を区切った。
 彼女は『貴方は世話を焼くのが好きですね』。彼女はそう言うとしたのだが、ふと奏崎薫の事を頭がよぎった。二人の世話焼きの人間が出てきたため、『貴方も』と繋げたくなったのだろう。
「……貴方も、世話を焼くのが好きですね……」
「……まあな。俺の世話焼きはアイツが元だからな」
 そこでだ、と霧澤は茜空に提案をする。

「その、『もう一人の世話焼き』のために、お前の力を貸してくれ」

 しっかりとした瞳で見つめながら、霧澤はそう提案した。
 それぞれ違う色の瞳で、茜空も霧澤を見つめていた。


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