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VaMPiRe
165
:
竜野翔太
◆sz6.BeWto2
:2012/07/14(土) 22:13:22 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp
第20話「CALL 声届かぬ場所で」
街外れにある大きな木ばかりがせり立っている山奥で、二人の人物が怒号を喚き散らしながら、炎を纏いぶつかり合っていた。
一人は茜空九羅々。
『ヴァンパイア』の一人であり、銀髪ツインテールに眼帯をした、低身長の少女である。
彼女は自分の背丈よりも大きいであろう金棒を、腕二本、状況に応じて一本だけで軽々と振り回しており、対峙している相手と互角の戦いを繰り広げていた。
もう一方はマモン。
魔界にいる悪魔の一人で、『七つの大罪』である『強欲』を司る強力な悪魔。
彼は武器を使わずに、手に深緑色の炎を纏わせ、茜空の金棒とぶつけ合っている。彼の表情には、余裕だと言っているような笑みが刻まれている。
二人はお互いの名前を知っているが、お互いの目的そのものは知らない。
茜空九羅々は幼い頃から彼に狙われ、今まで何とか生き延びてきた。その理由は、理由が分からないまま殺されるのに納得がいかないからだ。
彼女には嫌いな言葉がある。
それは『理不尽』と『不条理』と『不公平』だ。理由も分からず殺される『理不尽』に腹を立て、自分の事を何も知らない奴に狙われる『不条理』に憤り、こんな運命を背負わせた神の『不公平』に怒り狂う。
まるで、幼稚な意見そのものだが、彼女が怒る理由としてはそれが相応だろう。
マモンはある物を狙っている。
それは『金瞳(こがねのまなこ)』という代物だ。
なんでもそれは、これから先に起こる事全てを見通す、『出来事の千里眼』ともいわれる代物である。
悪魔に基本的に寿命は無い。
そのため、仲間の悪魔にその目を移植し、これからの出来事を予見させる。そうすれば、自分達が『ヴァンパイア』や『騎士団』の行動に恐れる事もないし、上手く活用すれば相手の行動を先読みし、攻め落とすのも容易なことにする事も可能だろう。
彼はその『金瞳』の所有者として睨んだのが、茜空九羅々である。
眼帯をしているのだ。狙われるのは納得できるし、それなりに怪しまれる事も考えられるだろう。
しかし、彼は最近になって茜空九羅々が突然逃走を中止し、闘争するようになった理由は分からない。
理由も分からず狙われることに嫌気が差し、『逃走』から『闘争』に変えた少女。
それのせいで、稀少な代物を手に入れるために、『闘争』から『逃走』に変わってしまった悪魔。
いつの間にか、悪魔(おに)が少女を追いかける『悪魔(おに)ごっこ』ではなく、少女(おに)が悪魔を追いかける『少女(おに)ごっこ』へと変わっている。
しかし、二人の瞳にはそんな楽しい遊びに興じる気配など無かった。
彼らが興じるのはもっともっと、狂気に満ちた遊戯だ。
そう、彼らは『愉しい殺し合い(あそび)』に興じているだけなのだ。
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