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164竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/07/13(金) 22:02:04 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 奏崎薫は非常に落ち着かない状態で、一時間目の授業を受けていた。
 その理由はいたって簡単である。
 今朝、自分が霧澤と真冬に解読出来るか訊ねた茜空九羅々の残した英文。それを見た瞬間に、より正確には英文の最後に書かれた筆者の名前を見た途端に、霧澤と真冬の表情が変わった。一大事ではないような、一刻を争うような、どこか切羽詰ったような。
 そして英文にも記されていた『マモン』という、自分には理解が出来ない名前。物なのか者なのか分からない。だが、霧澤と真冬はそれが何か知っているようだった。
(……何だか、ここまで来ると怪しいなぁ……。私は好きな人と親友を疑いたくないんだけど……)

 ここまで来ると、疑わざるを得ない。

 いつも一緒にいる二人。同じ行動をする二人。妙に通じ合っている二人。
 奏崎が疑うには、いや誰からも『疑われるべき材料』は充分以上に揃っている。
(……聞いてみるか、いや。聞かないべきか……)
 そこへ、ふと窓を見た奏崎の目に、赤く長い髪を靡かせながら飛んで行く少女が映った。

(……は?)
 誰だって同じような反応をする事だろう。
 窓を見てたらいきなり赤い髪の女の子が飛んでいるのだ。これを『あー、また飛んでるわ』と見過ごせる人はいないような気がする。二次元に生きる奏崎薫も例外ではない。
 しかし、そこで奏崎は見た。
 少女が抱えている人物が、霧澤夏樹に似ている事を。もしくは、霧澤夏樹であることを。
(……夏樹、かな……? でも、似てる人かも……いや! 私が好きな人を見間違うはずが無い!)
 この時、奏崎薫は人生において重要な決心をした。

 霧澤夏樹に、赤宮真冬との関係を問いただす。

「で、夏樹。朧月は何と言っていた?」
 飛んで茜空の場所へ向かう中、真冬は抱えている霧澤にそう問いかける。
「あー、白波は今『騎士団』って連中と電話してるから、後でこっちに来るそうだ」
「……『騎士団』か……。面倒な相手だな」
 真冬は溜息混じりにそう呟いた。
 そう呟く真冬に、霧澤は授業で分からないところを質問するように、真冬に問いかけた。
「……お前は『騎士団』ってのを知ってるのか?」
「まあな。というか、魔界に住んでいて知らない者はいない。彼らの存在は、悪魔でさえも危惧する程だ。まあ、説明が欲しいならしてやらんでもないが、説明に入ると長くなりそうで―――」
 真冬の言葉は最後まで続かなかった。

 高いところならよく見える、街のはずれに位置する山からドォン!! という轟音と、それが爆発だったと示すように上がる爆煙。

「赤宮!」
「あそこか!」
 真冬は炎の翼を羽ばたかせ、山へと一直線に駆けていく。
 山では今でも緑色の炎と、茜色の炎が火花のように瞬いている。
 マモンの炎と茜空九羅々の炎の色だ。
「……くっ、無事でいろよ茜空!」
「……夏樹、飛ばすぞ! しっかり掴まれ! 必ず助けるから待っていろ、茜空九羅々……!」

「そろそろぶっ殺されてくださいよ、マモン!!」
「ほざけ。テメェが堕ちろ、茜空九羅々!!」
 二人は強力な炎を纏いながら、ぶつかり合っていた。


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