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蝶が舞う時・・・。

487:2011/10/12(水) 21:34:55 HOST:zaq3dc00753.zaq.ne.jp
「髪飾りか…。」

誠は軽く笑って言った。

「…うん。でも何でそんな事…。」

私は誠の手を両手で強く握り締めて言った。

「何でもないよ。夜那が気にする事ない。」

誠はそう笑顔で言ってくれた。

でも、その奥に私の言えない事情があるかもしれない…。

今は誠を笑顔で送る事が先決だよね。

「戻るか。夜那。」

誠は笑顔で私に言ってくれた。

「うん。」

私は誠の隣で肩を並べて空港内に戻っていった。


私と誠は空港内に戻り、2人の元へ急いだ。

「父さん…。」

その声に誠のお父さんは振り向いた。

「お!もうこんな時間だったか。さ、行こうか誠。」

「……そうだね。父さん。」

誠はそう言うと私の握っていた手を離し、誠のお父さんの所に向かった。

「父さん。待って。忘れ物した。」

誠はそう言って私の方に戻り、軽く私を抱擁した。

「誠…。」

私は一瞬身体の力が抜けそうになったけど何とか保った。

「お前の為に俺は絶対帰って来る。お前の誕生日の前に…。
 だから…そんな顔すんな。」

誠は私の耳元で囁いた。

「…うん。私は貴方の為に待つよ。いつまでも…。」

そう言って私と誠はキスを交わした。

唇が離れると涙を誠は指先で拭いてくれた。

「じゃあね。誠。」

私は満面の笑顔で誠に手を振った。

「じゃあな。夜那。」

そう言って誠は行ってしまった。

私の瞳から一筋の涙が落ちていくのを感じた。

「夜那ちゃん。」

その声に私は振り返った。

「…はい。でも少し待っててもらえませんか?」

私はそう言い残して空港の屋上に向かった。

屋上は何も変わっていない。

さっきまで…今さっきまで居たのに…何も変わってない。

私は屋上の柵に掴まり、空を見上げた。

吸い込まれそうな青い空。

まさに碧天だった。

「綺麗…。」

その空をしばらく見ていると空から一つの影が見えた。

「…まさか…。」

それは除々に近づいてくる。

それは青い蝶だった。

「蝶さん…。戻ってきてくれたんだ。」

私の眼から嬉し涙が込み上げてきた。

青い蝶は私の隣に来て肩に止まった。

蝶は私の言葉を理解したかのように私の頭上で大きく回転した。

「とても嬉しい……。」

その時。

私の右側から飛行機が飛んでいった。

「誠…。頑張ってね。絶対帰って来てね。」

私はそう空を見上げて呟いた。

私は蝶を連れて屋上を出た。

いつか会える日まで…さよなら。


―――――END―――――


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