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星が巡るこの世界で

2月峰 夜凪 ◆XkPVI3useA:2011/07/16(土) 08:59:43 HOST:softbank221085012006.bbtec.net

 空色、なんて言われる色は少しも見つからない、まるで画用紙いっぱいに灰色の絵の具を塗りつぶしたような、一面灰色の空。おまけに天気は雨。見ているだけで憂鬱になる者も少なからずいるだろう。
 ――実際一目見ただけで『憂鬱そうだ』と判る表情をした少女がここにいた。
 
 「――暗い。幾ら何でも暗すぎやしないか?」

 魔法系専門の用品店で雨宿りしている少女は思ったままの事を口にする。彼女の名前はスバル。彼女は人間界で生まれながら強力な魔力を持っており、また、最古の魔法使いと謳われるレオンの弟子だ。スバルという名も彼から授かった名であるらしく、本名はスバル自身も忘れたのだが、彼女はこれといって気にしていない。
 スバルは雨に濡れて重くなった自分の服――黒を基調とした服に白のレースが多数付いている、東洋の魔法使いが着ていそうな服を見る。実際彼女は魔法使いなのだが。絞るとデシリットル単位で水が出てくるのではないか、などと思いながら、これまた東洋の魔法使いが身に着けていそうな三角帽子を頭から取る。現れたのは、肩にかからない程度の長さをした赤茶色の髪。スバルは自分の髪が雨に濡れていない事に、ホッと安堵の息を吐く。
 ふと、灰色の空と降りしきる雨しか映っていなかった彼女の視界に、透明のビニール傘が入る。一瞬、彼女は驚いたように琥珀色の目を見開くと、すぐさま前方を見る。そこには、今は梅雨であるにもかかわらず、首にマフラー巻いた、中性的な顔立ちの少年が立っていた。

 「スバルさん、言われたものを買ってきましたよ」

 少年は右手に持っている、薬草やらリンゴやらが入った籠を掲げると、どこか冷めているような調子の声で言う。彼の名前は箱庭小町(ハコニワ コマチ)。スバルといつも共に行動している、いわば相方のような存在で、彼も彼女のように人間界で生まれ、レオンの弟子となった者だ。ちなみに彼は、以前はスバルほど高い魔力は持っていなかったものの、厳しい鍛練を積み、彼女を凌ぐ強力な魔法使いになった努力家だ。その辺りは彼女も一目置いているらしい。
 スバルは「おー、サンキュ。助かったぜ」と言うと、小町から籠を受け取る。その際に、彼女の手が一瞬彼の手に触れる。ひんやりとした、氷のような手――恐らく、小町の使用する『魔法』の影響だろう。

 「さて……そろそろ行きましょうか」
 「ん、そうだな」

 そう言って、二人は歩き出す。先ほどまで降っていた雨はいつの間にか止んでおり、雲から一筋の光が差しているのが見えた。
 
 
 「ここに――師匠がいるかもしれないからな」

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初っ端から長くなってしまった;流石に予想外((


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