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鏡の国、偽りの唄。
98
:
月峰 夜凪
◆XkPVI3useA
:2012/04/30(月) 15:23:49 HOST:p13045-ipngn100102matsue.shimane.ocn.ne.jp
Epilogue. 虹
あれから数日後。
輝と潤の長きに渡った戦争が終結したのは、当然街の住人に物凄い衝撃を与えた。街の住人の誰もが『何かの前兆なのでは』と騒ぎ、それが原因でギャングが一つ潰れた、なんてとんでもない噂もあるほどだ。
「……どこに行ってもあの二人の話ばっかだな」
昼休みの屋上で、碧はぽつりと呟く。そんな彼の隣で、華魅はクスリと笑った。
「そりゃあもう、この学校が廃校になるくらいの大事だもん」
「どんな例えだよ――つーか、なったことないだろ」
「もちろんだよ、なったら大変じゃない」
どこか噛み合っていない日常会話ならぬ超常会話。――しかし、碧にとっては、恐らく話の噛み合っている、噛み合っていないよりも、『今、祀木 華魅と話している』という事実の方が大切なのだろう。とはいえ、華魅は勿論、本人もそれに気づいているのか定かではないが。
ふと、碧は空を見上げる。特に意味もなく、そして何気なく。
偶然目に映った、『それ』を呆然と眺めると、顔を華魅の方に向け、「祀木、」と彼女の名を呼んだ。
「?」
きょとんとした顔で首を傾げる華魅に、あえて何も言わず――ただ微笑んで空を指さした。
――同時刻、廃ビルの屋上にて。
そこでは、どこかクールな印象の水色の髪の少女と、楽しそうに笑みを浮かべているオレンジ色の髪の少年が背中を合わせて座っていた。
その光景は、一言で表すなら『奇妙』だ。
正反対の印象の二人は、あまりにも不釣り合いで、あまりにも不自然すぎて――むしろ、それらの概念を通り越して、『普通』、そして『自然』となっていた
まるで、初めからこうであったかのように。
まるで、初めからこうでなくてはいけなかったかのように。
そう取れるこの光景に、『奇妙』以外に――それ以上に当てはまる言葉は、果たして存在するのだろうか。
「――あんた、晴れの日は好きか?」
唐突に少年に向けて紡がれた少女の言葉。しかし、彼は驚くことなく、猫のように体を伸ばすと、振り返らず遠方を見据えたまま「もちろん、」と返す。
「何だか、空が笑ってるみたいで良いじゃない」
「……だから、あんたはいつも笑ってるのか」
「ハハ、逆だよ逆――僕が笑うから、空も笑うのさ」
サラリと紡がれた少年の言葉に、少女は「どんなブッ飛んだ理論だよ」と呆れるが、その金色の瞳は穏やかに笑っていた。
「じゃあ、雨の日は好きか?」
「好きだよ? 君の事思い出すからね」
「やめろ、気色悪い」
少女は少年の言葉をバッサリと斬り捨てる。――しかし、正反対の意味であるとはいえ、以前は自分も同じような事を思っていたのだ。彼女もそれ以上追い打ちをかけなかった。
でも、と少年は続けた。
「それ以上に僕が愛しているのは――――」
「――――わぁっ、綺麗!」
華魅は碧が指さした方向を――空を見上げるや否や、子供のように無邪気な声を上げた。
二人の見上げるその空には、見事なまでの美しい虹が架かっていた。
それはまるで、雨と晴れの『ナカナオリ』を象徴しているかのように。
――――たとえ、自分が元(オリジナル)の代わりに作られた偽りの存在でも、それでも彼らは、ただ愛を唄い続ける。それが生きている証であるように――――
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