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鏡の国、偽りの唄。

107月峰 夜凪 ◆XkPVI3useA:2012/08/08(水) 18:58:27 HOST:p22207-ipngn100102matsue.shimane.ocn.ne.jp
 第八章 止まった時間

 六月半ば。GW明けの集中豪雨のせいか、空は少し曇ってこそはいるものの、今は太陽が顔を覗かせていた。
 
 「今年は例年より梅雨明けが早いかもしれませんね」
 珍しく研究室の外に出て喫茶店で昼食をとっている弘川は、空を見上げて眩しそうに目を細めた。
 王子様風のイケメン(しかし女性)がオープンテラスに白衣姿でコーヒー、という彼女はどこか浮いていて、道行く人の中に何人か振り返る者もいたが、本人は気にせずコーヒーを啜る。

 「そうね……まぁ、あのバカップル……いえ、晴間さん達に聞くのが確実なのでしょうけど」
 向かい側に座っていた、髪の長い少女、神樹 歌留多は紅茶入ったカップを置くと、そう答える。……先輩をあっさり『バカップル』呼ばわりするのも、彼女ならではだろう。それもそうですけどねぇ、と小さく笑みを浮かべる弘川に目をやると、ふと歌留多にある疑問が浮かんだ。

 「思ったのだけど、あなたその白衣暑くないのかしら?」
 唐突な質問に、きょとんとした顔をする弘川。しかし、すぐに得意気な笑みを浮かべ、「ちっちっち、甘いですよ歌留多さん」と人差し指を左右に振る。

 「なんとなんと、僕の手作りなんですよ、この白衣! 通気性にも優れていて、蒸し暑い梅雨でも、日差しが強い夏でも快適に過ごせるように加工を施した超高性能――」
 「暑い時は普通に脱げばいいじゃないの」
 バサリ、と。まさにそんな効果音が聞こえそうな勢いであっさり斬り捨てる歌留多。
 手間暇かけた力作だっただけに、かなりダメージが大きかったらしく弘川は涙目で「……そうか……最初からそうすればよかったのか……」などと呟きながら手をブルブル震わせていた。

 「なんということでしょう……そうだ、歌留多さん! 二度と同じ過ちを繰り返さないよう、これからもずっと僕のそばにいてください!」
 「なんということはないでしょうよ……というか、どうしてそうなるの」
 ぎゅっ、と歌留多の手を握って、愛の告白にも聞こえる事を言い放った弘川は、道行く人の視線を更に集めていた。流石に先ほどまで気にしていなかった彼女でも、今度は顔をトマトのように真っ赤にさせて、テーブルに勢いよく突っ伏した。しかし、それとは対照的に、歌留多は涼しい顔で紅茶を啜る。こういったクールなところもまた、彼女ならではだ。

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久々の更新です。長らく放置してしまい、申し訳ありませんでした。

本文が長すぎると出たので分割してあります(*´∀`)ノ


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