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羊の戸惑い

19 ◆uXwG1DBdXY:2011/06/04(土) 21:49:52 HOST:KD027082037068.ppp-bb.dion.ne.jp
ミス発見したので修正です!!

< 馬鹿 >


「よっ、れお君はどう?」

陽気に話しかけてくる部長を殴りたくなるほど、あたしの気持ちは複雑で憂鬱だった。
少し目つき悪めに睨んだ後、とある方向を指差した

其処には嬉しそうに笑顔を浮かべるれお君の姿がある


「…ん?」
「…れお君、何でも出来ちゃうんですよ。ええ。あたしなんかが教えなくてもね!!」


そう、彼はいわゆる天才肌という奴だった
一応ジャグリング以外にも基礎的なコインやカードなども教えてみたのだが…何ていうか、あたしより上手いよねって言うか、もうプロじゃね?っていうか。

だから何ていうのかな。
あたし用無しじゃねっ!?


「ど、どんまい」
「ううー…」

そりゃああたしだってまだまだ見習いだけどそれでも小等部から居るのに…さあ…
ていうかそういう何ていうの。まだあって間もないけどなんていうか。あたし必要ないんじゃね。見たいな。


れお君の、力にも成れない





「えと、花巻さん」
「ふえあっ!?」

少し空しくなって俯くと行き成り上から聞き覚えのある声がして。
行き成りって言うのもあったけどその声が誰のか分かったせいも有って、思わず大声を上げてしまう

恐る恐る顔を上げると其処には予想通り、れお君が驚いたような顔でこちらを見ていた

「ご、ごめん。何かな」
「あ、えと、最近元気ないような気がして」
「そんなこと…ないよ」

不自然すぎる言葉で否定するも、まだ心配そうな表情を浮かべているれお君
ああもう、優しい子だなあ


「だいじょぶだって、ほら、練習しなくていいの?」


無理やり笑顔を作ってそう肩をたたくと、れお君はハッとしたような顔で友達のほうへ振り返った
大声ですぐ行く、と伝えると再びこっちに体を向けた
え、なに、あたしになにかようですか先輩虐めですか!?

とか頭でわけの分からないことを考えていると行き成り手をつかまれ何かを握らされる


ゆっくりと手を開くと其処には可愛らしいピンクのブレスネット


「れお、君?」
「え、と、あの、日ごろのお礼と言うか、練習とか遅くまで付き合ってもらったし、えと」

ぽかんとしているあたしにおろおろしつつも精一杯説明しようとしてくれている
なのにあたしは反応不可能、なぜって


嬉しすぎるからですよ


「でもあたし、何も教えられてないし」
「え、いや、でも―――感謝してるんです、先輩に」


そういって照れくさそうに笑う姿

また、顔が赤くなる


「じゃあ、有り難く貰う。ありがと」
「は、はい!じゃあ、俺戻ります」

照れくさかったのかそのまま早足で友達のほうまで走っていった
れお君の姿が見えなくなったところであたしの足は力を失い、ずるずると床に座り込んだ

だって、なにそれ、


「…一目ぼれ、か」
「!!?」






いやいやいやいやいやいやいやいやいやないですよ!
もうないですって一目ぼれとか痛すぎますって。もう部長ってばジョーダンキッツ「千佳」

キッツイ、わ


「…キッツイです」
「あははっは、いいじゃない、彼イケメンだし」
「恋は顔じゃ有りませんよーだ」


恋とか、もう、ね



”千佳、愛してるよ”

しないって決め付けてたけどやっぱり無理っぽい。でも思い出すと、やっぱキツイ。
優しく笑うれお君の顔が頭から離れないんだが。如何しよう。

すき、なんだな


「…いえたらいいますよ」
「お、前向きだね!」
「まあ」

逃げたくない
スキだもん

ただ、


昔のことも関係なく、ただ彼を純粋に好きなだけの気持ちで、あたしはちゃんと彼に思い告げることが出来るだろうか
うざいうざいと思い続けていた、恋に心躍らせる少女の気持ちとはこういうことか!違うか!

右腕できらりと光るブレスネット



あたしは今、馬鹿です


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