したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

羊の戸惑い

134 ◆uXwG1DBdXY:2011/10/10(月) 17:51:17 HOST:KD027082037068.ppp-bb.dion.ne.jp

< 謎の多い人 >


彼は謎の多い人だ。

地毛の赤い髪とか、カラコンだったり眼鏡だったり、気分次第でサボったり、


薬指の結婚指輪とか。

「高校生なのに結婚指輪なんてしておっかしい!」

そういって馬鹿にしたこともあった。
彼はそうだねと小さく呟いて笑ったけど、次の日も、次の次の日も、彼の指からその指輪が消えることはなかった。

シンプルなデザインのシルバーリング。


「ね、結婚したい人がいるの?」
「えーいないよー」

誤魔化すようにくすくすと笑うと彼は窓の外へ視線を流す。
冷たい風が吹き抜ける外側の世界。それでも彼は手袋もつけず、マフラーに顔を埋める。

「寒いなら手袋すれば」
「そーねー」

赤い指先をこすり合わせながらぼそりと呟く。

次の日も、次の次の日も、次の次の次の日も、一週間後、一ヵ月後、一年後も彼の指には同じ指輪。
高校生活を迎えた、今日さえも彼はその指輪を離さない。


「上條ー」
「あ、見上だ」

上條千里、私の名前の苗字だけを呼ぶのは彼の癖。一年の頃からずっと同じクラスで隣の席、それでも、一度も名前は呼ばなかった。
見上、見上日当。日当なんて不似合いな彼。彼の名前、そういえば私も一度も呼んでないな。


「卒業お疲れ様」
「上條もお疲れさん、三年間、楽しかった」


「ね、見上」
「何?」
「その指輪の理由、聞いていい?」

長年聞けなかったこと

口にするのは簡単なのに、出来なかった。
彼は優しくへにゃりと言う効果音が似青いそうな笑顔を浮かべた。手を軽く振って、


「俺が上條日当になれるようにおまじない」


さよならと笑った。

未だに私は、彼は謎の人だと思う。



(日当でひなた、です。みかみひなたとかみじょうちさと、です。ええと、うん、自分でも良くわかんないんですけどイメージ的には日当はずっと千里が好きで上條日当になれるように努力なんてできないし、ましてやスキとさえいない。だから何時かは千里と同じものをつけれるようにおまじない。平然としているように見せてずっと心の中ではもごもごしてるといいなあ、とか←)


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板