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羊の戸惑い

107 ◆uXwG1DBdXY:2011/09/16(金) 22:02:08 HOST:KD027082037068.ppp-bb.dion.ne.jp

< 君、スキ >


「ねえ!俺三浦翔太!ねね、一緒に歌わない?」

彼は微笑みながらそういって病弱な私の手を引いた。
お母さんの友達の子で、丁度同い年で彼と私は出会った。明るくて何時でも笑顔を絶やさない彼は遠くから見ていても飽きなくて、まるで太陽のような存在だと、同時に遠くの存在だと感じていた

でも、彼は優しく微笑んでそういってくれた
手に触れて、笑って


「…でも、私…病気があるから…」
「あ、そっか。んじゃあ、口ずさむだけでもいいから!」


「うん」


次第に惹かれていっていた。
その手を握り、一緒に並んで、歌を歌う。たったそれだけのことなのに胸に抱えた病気のことなんて忘れてしまえるほどに楽しくて。

遠い存在だと思っていたのに気がつけばこんなに近くに居て


「あ、そういえば名前は?」
「私は…張間、張間りん」
「りんか!可愛いな!」


近い存在となっていた彼――。
お母さんにまた遊びたいとねだって何度も一緒に遊んで歌を歌ったりした。私の大好きな歌、彼の大好きな歌、二人の大好きな歌、初めて知った歌、昔からきいたことのある歌、なんでもなんでも、彼と歌えばなんだって楽しくて、明るい彼の笑顔や仕草、言動全てに何時の間にか惹かれて。

気がつけば季節は何十回も巡り、気がつけば彼は私の背を抜いていた
ちっちゃい頃は私と殆ど変わらなかった体つきもたくましくなり、声も変わってしまった。それでも彼の歌が、彼と歌うことがすきなのは変わらなくていつまでも一緒に歌っていた。


けど、気がついてしまった

背のこと、声のこと、いろんなことに気がつき始めた高校生ぐらいの春。
彼が好きだと。彼の仕草も歌い方も声も、なんだって好きだった、気がつけば彼――三浦翔田という存在自体に恋慕という感情を抱いてしまっていた。


「翔太…私、私ね、!」

「貴方が、好きだよ」



「…あーあ、ずっと友達だと思ってたのにな…」


ずきり
胸が酷く痛んだのを確かに感じて、これ以上傷つきたくないという本能なのか、これ以上彼を困らせたくないという感情なのか、ごめんと一言告げて走り出そうとした時。


「ごめ、「ずっと友達だと思ってた。ずっと、恋人同士になんてなれないって思ってた」


「俺も好きだよ、りん」


それから彼は私の中で一番近い存在になっていた、近ければ近いほど愛しくて絶対に離したくなかった。
離したくなかったのに、今君はどこでしょうか。


冷たい画面の向こうの近かったはずの、貴方の笑顔
今は触れようとしても冷たくて、でも心のどこかで触れられなくて良かったなんて思って、こうやって泣いているのがばれなくて良かったなんて思ったりして


貴方が居ないことを実感して、また大粒の涙がこぼれる



「…翔太、私、ね」


「貴方が、好きだよ」



(近くが、いいよ)

-

(「離れ離れロマンス」「君だけにラブソング」のりん視点で色々。翔太は一応君だけにラブソングで翔太視点やってますが幼少期の頃のお話もしたいので。まあ離れ離れロマンスがりん視点なので丁度いいかもしれない)


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