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羊の戸惑い

102 ◆uXwG1DBdXY:2011/09/12(月) 21:26:56 HOST:KD027082037068.ppp-bb.dion.ne.jp
「どしたの、朱里」

「さ、最近さ、よくあいつと一緒にいるよね」
「うん?ああ、来須君ね、なんで?」
「…あ、あいつ気味悪いじゃん。何時も寝てるし、訳わかんないし」
「そうかなあ、普通に読書家の男の子だと思うよ」

そういうと朱里はなんでしっているの、まるでそう訴えつけるような目で此方を見つめる。見つめるというよりも睨んでいるというほうが近いかもしれない。
なんでだろう。そんな言葉だけが頭をめぐる。

「あ、葵はあいつがすきなの?」

真剣な眼差し、少々あせりのようなものが見られる表情、口から出てきたその言葉は私を唖然とさせるものだった
なぜそんなことを聞くんだろう。最初にその言葉が浮かんだがそれを口にする前に私は大きく溜息をついた
それに反応してびくりと朱里の肩が揺れる



「そんな訳無いじゃん!私はイケメン好きなのー、芳也くんはどっちかって言うと可愛い系だし?」

私の口から出た言葉に次は朱里が唖然としていた
それが面白くて思わずぷっと笑ってしまうがすぐに授業のことを思い出してはっとして時計をみる。今ならぎりぎり間に合う!


「朱里朱里!音楽室行かないと!」
「へ、あ、うん!」


手を繋いで教室を出て、人気の少なくなった廊下を二つの荒々しい足音を響かせながら音楽室へと向かう
それから朱里は来須君の事は聞いてこなくなって、何時も通りはなしたり一緒にお弁当を食べたりしている。でも、あの時廊下を走っていたとき、私は微かに違和感を感じていた。なんだろう、今でも解らない。
×


夕暮れに染まった遊歩道をゆったりとした足取りで進む帰り道、もう秋を思わせるような冷たい風が頬を撫で、明日からは軽い上着が必要かななんて思いながらふと横に視線を流す
暖かな夕日のせいで暗闇に隠れた橋の下、ゆらりと何かが動いたのを私は目にした。猫かもしれない。

ゆっくりと近づいていくにつれその影が猫よりも大きく、人間であることがわかった
なるべく音を立てずに近づいてきたため、相手は気づいていないようだが足元の小枝に気づかずそれを踏んでしまう。ぱきりという小さな音に影は大きく動き、そして聞き覚えのある声を発した。


「…芳也、くん?」


暗闇に目が慣れてきたのかその姿が段々とはっきりと見えてきた。
黒い長めの前髪から覗く赤い目に白い肌、それは確かに来須芳也という少年のものであり、驚いた表情をしつつも彼はこくりと頷いた


「どうしたの?こんなところで…」
「え、えと」



『あーら、見られちゃったのね』


大人の女の人の声が来栖君の後ろから響いたと思えば暗闇の中から黒い猫が金色の瞳を煌かせながら現れた
声の主は後ろに居るのか、と思って暗闇に目を遣るが足に軽い痛みを感じて視線は直ぐに足元に向かった。足元には黒い猫が私の足に爪を立てたようで足首に端数本の赤い線が引かれていた。

「いった!」



『何処見てるのよ、どうせ声の正体探してるんでしょ?私よ私』

「…猫が…………しゃ、しゃべ、った!」
『当たり前…じゃなかったわね、この世界じゃ』
「ふへ?」

黒猫が喋った。
驚きを隠せない私だったけれど、それ以上の驚きを味わうだなんて思わなかった。というか思うはずがない。



『私は、いえ、私たちはこことは違う世界、魔界メル・グラウンドから遣ってきた異世界の住人』

-

(日常から非日常への、そんなのが書きたかったんですが正直前のの続編とはいえるのか、いやいえるけど、うん。普通に前のはあのまま終わるはずだったんだー…続くかわからぬけど取り合えず戦闘が書きたいので、もしかしたら続くかも。まあファンタジックに見せかけたグロかもね!←)


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