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Purincess*

16ねここ ◆WuiwlRRul.:2011/04/30(土) 15:53:15 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp

     * ゆり *


ガチャッ!

 急に、わたしが一人泣いていた部屋のドアが開く。こんなぐちゃぐちゃな顔、誰にも見せられないと思ってわたしは部屋にあったベットに顔を伏せる。

「ゆり………!」

 顔を見なくても分かる。この声は那月だ……! でも、何で? 羽月ちゃんと結ばれたんじゃないのかな。

「なあに……わたしにはなすことなんか、ないでしょ。」

 きっとわたし、とっても酷い顔してる。那月に見られてなくても、自分で見れなくても、分かっちゃう。まるで泥をぬられたみたいにぐちゃぐちゃな感じがするもん。もう、何も分かりたくない。

「ナニモワカリタクナイヨ………!」

 そんなとき、那月が冷たいわたしを暖めるように抱き締めてくれた。初めて会ったときからずうっと一緒の優しい手がわたしの身体に触れる。触れるところがどんどん暖かくなって、魔法がとけたみたい―――……もう、那月に隠すのはやめようって思った。

「………あのね、わたし……那月に話したいことがあるの。上手く伝わらないかもしれないけど、聞いてくれる?」

 顔を伏せて小さくなっていた身体を起こし、涙でぐちゃぐちゃな顔をちゃんと見せて聞く。那月はそっとわたしを離し、こくりと頷く。………身体を離されて、しゅっと勇気が消えていく感じがしたけど、もう那月に頼らないんだ。勇気は貰うんじゃなくて、自分で掴む。

「わたしね、その……初めて会ったとき、那月のことを感じ悪い人って思ってたの。だけど、話す度に見えてくる那月の優しさとか、強さとか、かっこよさにどんどん惹かれていって、いつのまにか恋をしてた。さっきも、羽月ちゃんといっぱい喧嘩した。それでね、羽月ちゃんの気持ちが分かったの。……………だからわたしは、二人が幸せになればいいなって思うよ。二人とも、大好きだから。だから………さよなら。」

 那月は、ずっと「うん、うん。」って、優しく頷いて聞いてくれてた。けれど、「さよなら。」って言われたときの顔は怖かったし、それにときどき「えっ?」って顔をしているときもあった。途中怖くなって黙っちゃったけど、ちゃんと話を続けたよ。那月に全てを知ってもらいたかったから。涙でぐちゃぐちゃな顔を、もっともっと溢れる涙でぐちゃぐちゃにすると、優しく、だけど強く、那月が抱き締めてくれた。

「ばか。俺が羽月を好きって気持ちなんか、ないよ。俺が好きなのはゆりだから。」

 わ、抱き締められてるけど分かる。那月、耳まで真っ赤だ……! それに、好きだなんて言われたら心臓もたないよ……!

「で、どーなの? 付き合ってくれんの?」

 悪戯っぽい笑みで、那月が聞く。わたしは顔を赤く染め、笑って言った。

「つ、付き合ってあげてもいいけどっ!」

「ツンデレかよ。」

 ぷぷって、最初は我慢した笑顔も一気に大声に変わる。那月がいるだけで、こんなに世界が変わるなんて思わなかったな。


     * 遊 、 次の日 *


 今日はいよいよ、ゆりに告白する日だ! 絶対付き合うんだっ、つーか付き合えるっしょ! なんて想像しながら顔がにやける俺の顔を見て、学校に来ている人がじとーっと見詰めてくるのが分かった。恥ずかしくないけれど。そんなとき、後ろを通り掛った女の子が話しかけてきた。ゆりだ………!

「おはよー、遊! 今日の朝はごめんねっ! ちょっと用事ができちゃってさー、一緒に学校行けなかったんだよー………。」

 あはは、と残念そうな苦笑で謝るゆり。ゆりが俺のことを好きと知ってから、そんな一つ一つの仕草まで可愛く感じる。

「あ、あのさっ! ちょっと、話があるから、来てくんない?」

「………? うん、いいよ?」


     * * *


「………ここって、校舎裏、だよね……?」

 ゆりが少しビクビクしてるみたい。だから俺はそっと抱き締めてやった、のに……。

「やめっ………!」

ドンッ!

 見事に突き飛ばされてしまった。だけど、照れてるのかなーぐらいにしか思えなかった。思わなかった。

「ごめん。あのね、俺………ゆりのことが好きなんだっ!」


     * つづく *


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