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ストレンジ

2ドウミ・モンド:2011/01/13(木) 18:00:48 HOST:nttkyo382215.tkyo.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
しばらくするして、やっと木についた。日は少し傾き、影が少し長くなっている。あの老人は随分後ろを、体のほとんどを棒にもたれさせ、必死についてきていた。
少年は木陰に腰を下ろすと、空気を胸いっぱいに吸い込んでから足を投げ出し、手を頭の後ろに組んでごつごつとした幹に体を預けた。木陰は、時折涼しい風を送り、少年の髪をくゆらせる。
そのまま少しばかりうたたねをしていると、やっと先程の老人が追いついてきた。
少年のすぐ横にどかっと腰を下ろし、荒い息を必死に整える老人。少年は煙たげな視線をそちらに向けると、すくっと立ち上がった。もう汗も引いたし、休憩も十分にとった。それほどこの老人の歩は遅かったのだ。
老人は立ち上がった少年を何か言いたげに見た後、懐から砂埃にまみれた小さな銀の水筒を取り出すと、そのふたをくるくるとはずし、一息に傾けてその中身を飲んだ。
日は大分傾き、あたりは少し赤くなりだしていた。また風が吹く。今度は涼しいを少し通り過ぎた、冷たい風だ。少年の髪が風に乗って揺れる。
「・・・ぼうや、君は今すぐここから出るべきだ。ふぅ・・・彼女・・・いや、彼女達は怒っているぞ」
段々と遠ざかる少年の背中に、老人は弱弱しく言葉を投げかけた。無視して更に歩き続ける少年。
ざぁっと、背中を震わせるような冷たい風が吹き、一面の草がゆらゆらと揺れた。まるで何かから逃げ出そうとしているかのようだ。
そのとき、少年は眼の端に見た。
まるで針のような細い首。それと同じくらいに長くて細い、手と足。体も同じくらいほっそりとしてくびれていた。体にぴったりな真っ黒いワンピースを着た彼女は、仮面のような笑顔を顔に浮かべた。手には濃い紫の日傘を持っている。まだかなり遠くにいるが、その表情は手に通るように分かる。
少年は微笑気味に足を止め、そちらを見た。
女は大股でこちらに近づいてきた。かなりの早さだ。少年が気づいたときには、女の、細く長い影に包まれていた。
にっこり笑うと、女は少年の鼻をつまんで思いっきり引っ張った。
「いてててててて」
女は眉間にしわを寄せ、少年に顔を近づけ、言った。
「よくも私達の『ガーデン』を汚してくれたね、この悪ガキ」


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