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54侑子 ◆jZgVcLWus2:2010/09/11(土) 19:41:38 HOST:i114-183-128-120.s04.a011.ap.plala.or.jp
  ――第7章 語れない過去――




 相手の言葉が発せられてから数分間の沈黙があった




 『あたしの、過去…?』
 『そう、柊澤さんの過去』




 また沈黙、でも今度のは少し短かった




 『言っとくけど、あたしの過去なんてくだらないからね』
 『そんなことない、世の中の全員の人が過去を持っていてそれがくだらない事だったなんてそんなことない』
 『どうして言い切れるの?』
 『それは…その人が今まで生きた証だから』





 『じゃあ、あたしの過去 話してあげる




  あたしの両親は私が生まれて間もない頃死んだ
  あたしは生まれながら悪魔の力を持っていたから
  小さい頃って制御がきかないんだよね、自分でも
  あたしが泣く度に両親は弱っていった




  ちょうどあたしが生後2カ月になる時だった
  両親は死んだの、あたしのせいで




  もちろんあたしだけがいけないんじゃないってことくらいは分かってる
  今までそうやって言われてきたから 









  でも同情や憐れみなんて聞きたくなかった





  でもみんなそれしか言わない







  そしてあたしが小学2年生の頃かな
  見知らぬ人に連れられて知らないところに行った
  そこは明るい子たちがいっぱい居て孤児院て言うんだって




  あたしみたいに両親の居ない子たちが居てみんな仲良く元気に暮らしてた
  あたしもそこで暮らす事になった 
  どんどん明るくなったよ いっつも笑って辛くても笑って
  




  小学3年生の時からは記憶がない
  唯、いつも笑っていたはずなのにいつの間にか
  自分が笑わなくなってたって事だけしか分からない




  それで小学6年生になった年の春、ついこの間の事だね
  あたしは暗い部屋に閉じこもってた
  孤児院とかそういうとこじゃなく唯真っ暗な部屋に…
  明かりなんて一つもない所




  で、今の自分があるの だからあんたの言った期間の記憶はないの』






  『そうなんだ… じゃあ、柊澤さんてきっと癒來だったんだよ
   オレに光をくれたね だから契約しよう?』




 『それは無理だよ、あたしその契約知ってるの
  1度やった契約は2度は無理、貰った光をひとにあげるなんてね
  だから今度あたしがその契約をするんだとしたらあんたは死ぬよ』




 『でもさ、もし柊澤さんが癒來だったら同じ2度目だよね
  あげた光をもらうって事になるんだから』

 『だからあたしはその人じゃないから、名前違うし』
 『記憶がないのになぜそう言いきれる? 名前が違うのだって記憶操作すれば簡単なことだよ』



 『良いよ、そんなに契約したいならしてあげる
  でも、後で後悔しても知らないからね』




  ――8章へ続く――


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