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新リレー小説 第2部

38ノートン:2021/09/25(土) 21:48:51
血に染まるリコイルを、エンドは眺めていた。
「…儂に人としての感情は無い。この小僧が死のうが、儂は動じない」

そんな言葉を漏らす最中、リコイルはエンドに手を伸ばす。
「助けて…助けて…くれ…」
「…」

少し間を置いた後、エンドはリコイルの手を掴む。細かな粒子がリコイルを包み、傷口を修復していく。その奇跡の光景を目の当たりにするワールドと沖田。

「すげぇ…これが破壊と構築の力かよ、バァさん」
「そうじゃ沖田よ。ワシはこの力を手に入れ、いずれこの惑星タラテクトを支配する。じゃがまずは…」
ワールドは空に浮かぶ1つの星を指さす。

「あの惑星”地球”で力を付ける。今のワシじゃあ、タラテクトを掌握するのは無理じゃ」
「その為にはエンドの力がいるって事かい。こいつら、俺らに協力する気あんのか?」

リコイルは起き上がり、ワールドと沖田に剣を向ける。
「よくもやったな…クソ野郎」

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40キャプテン:2021/09/29(水) 17:32:13
「(もっとだ…もっと速く!!)」
リコイルの剣から黒い光がおびただしく漏れる。
「さってっと…」ズブッ?!
立ち上がろうとした老婆が転けた。胸からは黒光りの剣が刺さり、おびただしく血が滴る。
「見たか、貴様も終わり…「終わったか。」
老婆が力なく言った途端…老婆の体が崩れだし…次に刺さる剣が崩れだし…更にリコイルの体が崩れだし…最後にエンドの天狗姿が崩れていく…

…山頂に着いたマッキーがその光景に膝を崩す。
「能力も言ってしまえば宿星の一部だ。ワールドに刺さったリコイルの能力を帯びた剣…リコイルの体を再構築したエンドの能力…そしてエンド。全てが繋がった訳だ。」
現れたマッキーに沖田が懇切丁寧に説明した。

「…さらばだ、こんな世界。」

41ノートン:2021/10/02(土) 11:25:09
リコイルとエンドを体内に取り込んだワールド。老婆だった肉体は徐々に若返り、全盛期の魔女の姿を取り戻した。
「フハハハ!!見ろ沖田、この姿を!!私は蘇ったのだ!!!」

間髪入れず、マッキーが爪を伸ばし襲いかかる。
「お前は…この世にいてはいけない存在だ!!消えろ!!!」

ワールドは手をかざす。マッキーの全身がグニャグニャと曲がり始める。
「私の失われた能力”グッドナイト”も復活しておる!!」
「うわあぁぁぁあああ!!??」

マッキーの体は次第に細くなっていき、その場から消滅した。
「何が起きた!?」
「なぁに、空間ごと消し飛ばしただけよ」
「(…化け物め)」

ワールドは再び手をかざす。
「見ておれ沖田よ。エンドの能力を手に入れた私は、空間を圧縮・拡大するだけの能力ではない。そこに分解と構築が加わる。つまり、歴史の改変が可能となるのだ!!」

ワールドはそこら中の空間を歪み始めた。次第に惑星タラテクト全体が歪み始め、周りの木々は消滅したり、突然鳥が生まれたりし始めた。
「歴史が…変わっていってるのか!?」

しかし、ここでトラブルが起こる。能力が突然停止。ワールドは強大すぎる能力を制御出来ていなかった。

42キャプテン:2021/10/11(月) 00:43:34
…雨が降り止まぬ森の中、空間の歪みからワールドと沖田の姿が戻る。
「どうしてだ?!どうしていつもうまくいかないんだ?!いつだって私は?!ワタシは…。」…

二人の傍らにはリコイルの姿が…しかし、粒子化し始めている。ワールドがリコイルに問いかける。
「全てを元に戻したくはないか?私が与えよう、お前が罪を起かす前の世界を…。ただし、私の所有物となるのだ。お前は、エンドの器となるのだ」「この身を…貴女に捧げます」

その言葉を最後に、リコイルの姿は崩壊した…身体も…記憶さえも。ワールドがその粒子を『空間』に閉じ籠める。沖田がため息混じりに言った。
「さぁ…どうします?ワールド?」

そして…その歪な世界は始まった。

43ノートン:2021/10/14(木) 21:09:20
リコルの回想は終わり、時は現代。暗闇の森へー。

「こっちの世界に来たワールドは、ブラックボックスを作ったんだ。俺を通してエンドを支配する為に…」
リコルは語り終えた。騒然と立ち尽くすジェノ達。そしてノートンが口を開く。

「リコル。お前はあの月…じゃなかった、惑星タラテクトからこの地球にタイムワープして来たってのか!?」
「そう言う事かな」

ジェノがリコルに近づく。
「リコル…お前、変わったな」
「ペプシマンのおかげさ。それに…」
リコルはホリデーを見る。
「何よ?」
「いや、なんでもねぇよ」

その時、何者かが暗闇の森を猛スピードで駆け抜けた。人数は2人。リコル達の目の前に一瞬姿を見せると、そのままリコルを攫って行った。

「何が起きたのよ!?」
「リコルが攫われた!!この暗闇で何でスピードだ!?」

2人の男は森を駆け抜けた。
「俺のスピードに付いて来れるとは、さすが伝説の殺し屋だな、ファクトリーファミリーの武蔵」
「…」

リコルは状況を理解し、暴れ始める。
「離せっ!!この…野郎!!」
しかし、男はとてつもない力でリコルを押さえ付ける。森の木漏れ日が、男の顔を照らした。

「そんな…スー…隊長!?」
「久しぶりだな、裏切り者のリコル」

44キャプテン:2021/10/19(火) 21:41:46
リコルが周辺を見渡す。
「無駄だ、此処には貴様のブルームスター…粒子加速に必要な、頑丈な媒介物が無い。それに例え逃れたとしても…」
スーがリコルを掴む腕に力がこもる。
「この速度…地面に衝突して死ぬぞ。」
リコルの体が力無く垂れる。
「(また俺は…ちくしょう…ちくしょう!!)」

「スー?!」
武蔵の声でスーが振り返る。
背後から青い光が猛スピードで追ってきていた。
「ドーヂ…奴の協力は予想外だった。そして…」
それは青光の信号機を頭に被っている。だが、中身はドーヂでは無かった。
「…世話のやける元後輩だ。」
「ジェノ?!」
武蔵が叫んだ。

45ノートン:2021/10/24(日) 21:42:29
「(声だけで俺の正体を…。何者だ?こいつ…)」
ジェノが武蔵を警戒する。次の瞬間!ジェノは背後から何者かに斬りつけられる。

「しまった!?」
切先はジェノの顔面を切り裂いた。信号機のマスクは真っ二つに割れた。しかし、マスクのおかげでジェノは無傷で済んだ。背後にいた男は…。

「どうなってる!?何故同じ男が2人もいる!!?」
動揺するジェノ。前方にいた暗殺者の武蔵。その武蔵と全く姿形が同じ人物が、自分の背後にもいた。
「ジェノ・ライン、リコルの仲間だな。ドンの情報で理解している。何故我々のスピードに追いついて来れたのか知らないが、ここで死ね」

一方、ジェノが現れた事でスーに隙が生じた。その一瞬をリコルは見逃さなかった。
「ぐぉるぁぁ!!!」

無理矢理体を捻り、スーの捕縛から脱するリコル。
スーはリコルから目を逸らす事なく、ゆっくり剣を抜いた。

46キャプテン:2021/10/27(水) 21:32:26
「リコル!!」
ジェノが剣を投げ、リコルがそれを受け取った。
「剣術で…俺に敵うわけないだろ!!」
リコルが剣をスーに振り下ろす。スーが炎波刀で受け、鍔迫り合いになる。
スーが刀身を回し返す。リコルの手首が限界まで曲がり、剣が手から離れ…。

キンッ!!

空間に黒い光の軌跡を描いた剣が、ひとりでにスーの背後を狙う。だが構えられた刀に当たり、火花が散る。
「粒子加速…やはり記憶が戻っているか。」
リコルが苦い顔をする。
「(俺の能力『ブルームスター』は空間中の素粒子を粒子に変え、また素粒子に戻す。その間に発生するブーストで物体を加速、運動させる能力。)…予測されてたか。」
スーが体を捻り、浮遊する剣を交わした。

「リコイル、俺の世界を…滅ぼしておきながら!!!」
スーが怒りの形相を向けた。

47ノートン:2021/10/30(土) 21:39:03
スーは再びリコルに斬りかかる。リコルも剣を構え、お互いの切先が激しくぶつかる。
「スー隊長!」
リコルは、スーとの対話を望んでいた。

「俺はファクトリーファミリーの一員だ。隊長なんて呼ぶんじゃねぇ」
「そんな事はどうだっていい!俺の話を…聞いてくれ」
「お前の話を聞けば、ヒュペルは生き返るのか?」
「…!?」

スーが剣を思い切り振り下ろす。リコルは力負けし、後ろへ吹っ飛んだ。
「お前は疫病神だ。疫病神を青空隊に入れてしまった…全ては俺の判断ミスだ。だからせめて…お前を殺し、死んでいった仲間への弔いとする。それが俺に出来る償いだ」

リコルは立ち上がる。
「違う!俺と協力し、世界を改変させる。全員生き返らせる事があんたの成すべき事だ!」
「改変…?そうか…はっはっは!!」

スーは突然笑い出した。
「今まで出会った悪人は、あの手この手で甘い言葉を囁き、俺を惑わして来た。今回は世界の改変かよ!!立派な嘘だ…お前も悪人だな、リコル」

48キャプテン:2021/11/06(土) 23:09:01
「リコル…クソッ?!」
ジェノが武蔵に掴みかかる。
「(このまま切り刻む!!)…セットスラッシュ!!」
短剣がジェノの袖を通り現れ、それを握る。周囲から空を切る音が現れる。
「『亜空間からの斬撃』か…フッ。」
武蔵の口から灰色の粉が吹きかけられる。
「ゴホッ?!(灰…目潰しか?!)」
バシュッ!!武蔵の袖から矢尻が飛び出し、ジェノがとっさに離れる。矢尻が頬を掠め、血が滴る。亜空間の斬撃が辺りの木に傷を残す。
「袖のバネ仕込みの矢尻…袖箭(ちゅうせん)か。さっきの目潰しといい、暗器使い。」

ジェノが短剣を構える。武蔵が笑みを浮かべる。
「能力に自信があるようだな、ジェノ・ライン。」

49ノートン:2021/11/07(日) 21:53:39
「当たり前だ…自慢の能力なんでね」
ジェノの回答に、武蔵はため息を吐く。ジェノの背後にいた『もう1人の武蔵』は突然バシュっと音を立て、煙となり消えていった。

「…やはり分身を作り出す能力だったか!?何故分身を消した!!」
「能力に溺れ、己を磨かない雑魚に、能力は使うまでもないと判断しただけだ」
「何だと!?」

ジェノが反論の言葉を発したと同時に、武蔵はありえないスピードでジェノの両足を蹴っ飛ばす。
ジェノは地面に倒れ込むと、武蔵は片手でジェノの両腕を締め上げ、残りの片手でナイフを取り出す。

「雑魚に用は無い…死ね」
ナイフをジェノの心臓目掛けて振り下ろす。

その時、スーの炎波刀が武蔵のナイフを弾き、ナイフは森の中へ飛んでいった

「何のつもりだ?邪魔をするな」
「お前、この青年を殺すつもりだったろ」
「俺は殺し屋だ」
「…こいつも疫病神の被害者なんだ。良い様に利用されてる。命まで取る事はねーよ」
「…」

50キャプテン:2021/11/13(土) 23:22:17
「…ハァッ。」
武蔵がため息をついた瞬間、袖から矢尻が飛び出し、ジェノの腕に刺さる。
「…痛っ…!?」
ジェノの手から短剣が落ち、スーの背後から現れかけた亜空間の斬撃が消失する…スーが冷や汗をかく。
「…すまない、助かった。」

その間、リコルは分身の武蔵に首を鎖で括られ意識を失った。…

…ホリデー、ドーヂ、キャプティ、ノートンが追いついてきた時には既にリコルの姿は無かった。ジェノの体がロープで拘束され、木に宙吊りにされ、下一面には逃げられない様に『串刺し罠』が仕掛けられていた。

51ノートン:2021/11/19(金) 21:09:19
慎重にジェノを助けるホリデー達。
「リコルは何処に連れて行かれた?相手は何者だ?」
ドーヂの問いに、ジェノはうつむき加減で答える。
「すみません…」
「手掛かり無しか…。手の打ちようがないな」
暗がりの森の中、ただ佇む事しか出来なかった。

場所は変わり、夜のとある街。路地裏の暗がりで、2人の男が話していた。
「お久しぶりです、ターグ博士」
「交渉人が何の用だね?アップルソルジャー」
「生物兵器課は壊滅。男爵も行方不明です。あなたに新たなポストを任せたい」
「帰りたまえ。私はブラックボックスには戻らんよ。今は殺したい奴の事で頭が一杯だ」

アップルソルジャーはリコルの写真を見せる。
「では、他社連携課として、あなたと取引がしたい。報酬は払います。捕らえて頂きたい」

ターグは写真を見るなりビリビリに破き始める。
「最後の警告だ、帰りたまえ。さもなくば喰うぞ…」
急に声色が変わり、ターグの顔面の半分が黒い化け物の姿となった。
「…!?」
アップルソルジャーはターグの背後に、衣服や大量の血痕、人間の臓器などが広がっているのが見えた。

「人間を…喰っているのか…!?」

52キャプテン:2021/11/22(月) 23:36:51
「…だったら?」
アップルソルジャーが笑みを浮かべる。
「人肉摂取が必要な体…大変だな。こちらに協力すれば調達してあげるんだが…どうかな?」
体が怒りで震える。ターグの全身が黒い筋肉質に覆われ、黒い牙を剥き出し威嚇する。
「それと…リコルとホリデーの居場所…知りたくないですか?」
少し間があり、ターグの体から黒い物質が引いた。
「知ってるのか?」…

…リコルが目を覚ます、鎖に縛られて。
目の前に、小柄で太った男が椅子に深々と座る。
「今日からお前は、俺のものだ。」
ドン・ファクトリー…その人だった。

53ノートン:2021/11/26(金) 00:41:34
ニヤつくドン。ドンの背後には、スーとオズマがいた。
スーは無言で刀を抜くき、リコルを殺そうとした。
「おい、待て待て待て!!」
慌ててドンとオズマが止める。

「何故止める?捕らえる手助けはしたぞ。次は俺の要求に従ってもらう」
「バッカス!リコルの身柄はこのままブラックボックスに渡す。”生きたまま”だ。じゃなきゃ大金は手に入らねぇ!」
「リコルを売り飛ばすだと!?ふざけるな!!」
スーはドンの胸ぐらを掴んだ。
「俺はコイツを殺す為に、こんな下らない組織に入ったんだぞ…」
「殺すのは金を受け取った後にしろ!!お前もこの世界で生きていくには金が必要だろう?」
「…クソっ!!」
スーはドンを突き飛ばすと、ドカドカと部屋を出た。

「…あいつは諸刃の剣だ。敵にも味方にもなりうるぞ兄貴」
オズマはドンに話す。
「バッカス!厄介なのを組織に入れちまったかもな…」

54キャプテン:2021/11/29(月) 23:09:18
「…フェッフェッフェッ、良いじゃないかい。男前で…ねぇ、シィちゃん?」
「…ワタシハ…オナカガ…スキマシタ。」
白髪老婆と片言の女性が現れる。
「「…バッカスっ。」」
ドンとオズマが頭を抱え、合わせて言った。
「フェイクス・ノイズンにシィ・シシェイ…。ボスとして組織の将来が心配だよ。」
部屋の角にはリコルから取り上げた剣が立て掛けられていた。…

…ファクトリーファミリーアジト付近。
「見つけたよ。ジェノと戦った時にジェノの剣を能力の目印にしといてよかったよ。私の能力で『剣との距離』を縮めて追う事ができた。」
バルトが通信機に話しかける。

55ノートン:2021/11/30(火) 20:53:16
「能力者が何人かいる。私1人じゃリコルの奪取は厳しいぞ」
無線機の相手が答える。
「御安心下さい。既に戦力確保済みです。ファクトリーファミリーの中に1人、裏切り者がいます」
「なるほどな…その人物が私の協力者という事か」

一方、アジト内部。リコルはドンにある提案を持ち掛ける。
「なぁ。俺をブラックボックスに売るんだろ?」
「その通りだ。お前は高く売れるぞ」
「…あんたと取引したい。倍の金を払う。だから俺を…見逃してくれ」

ドンは腹を抱えて笑い始める。
「ブワッハッハッ!!馬鹿も休み休み言えバッカス!!」
「金を作る策はある!!」
「いいだろう、聞いてやる。話してみろ」

リコルは真剣な眼差しでドンを見る。
「俺は…ずっと追われてきた。仲間を傷付けられてきた。全部…全部ブラックボックスのせいだ。だから俺は決めたんだ。もう逃げない」
「何が言いたいか分からねぇ。簡潔に話せ」
「俺がブラックボックスを乗っ取る」

56キャプテン:2021/12/06(月) 21:37:41
「素晴らしい考えだ!!気に入らんがな。」
ドンがそう言う。…既にリコルはドンによって殴られ血まみれで床に寝そべっていた。
「閉じ込めとけ。」

ドンとオズマが二人きりになる。
「兄さん…ボス。奴らが取引に素直に従うとも思えない。何よりリコルを渡す事自体、危険だ。そうだろ?」
オズマが詰め寄る。
「何か考えがあるのか?」
「…考え中だ。」…

…密閉された部屋にリコルは閉じ込められた。
「ハァッ、また檻の中か。さて…ドンは話に乗ってくるかな?」

57ノートン:2021/12/12(日) 08:42:10
ドン、オズマの2人がリコルの監禁部屋に入る。
口内出血をぺッと床に吐きながら、リコルが問う。
「答えは出たか?」

「考えるまでもねぇバッカス!却下だ。いくら強い仲間がいようが、ブラックボックス乗っ取りなんて不可能だ」
「仲間?何言ってんだ…もう仲間は巻き込まない。俺1人でやる」
ギロリとドンを睨む。オットセイでの死闘、蘇る負の記憶…。様々な出来事は、リコルの精神を追い詰めていた。
「何て顔してやがる…イカれてるぜ、このガキ」

その頃別室では、シィとフェイクスが雑談をしていた。
シィの背後に、武蔵が立つ。
「どうしたのヨ、武蔵」
「!!??」

この後武蔵は、信じられない行動に出る。
武蔵は刀を抜き、シィの背後から心臓を貫いていた。
「何でヨ…ムサ…シ…」
「俺は暗殺者だ。より高い報酬の主に付く。ファクトリーファミリーに所属した覚えは無い」

58キャプテン:2021/12/19(日) 15:04:58
「おやまぁ〜、死んじゃったかいシィちゃん。」
武蔵が刀を引き抜く。倒れたシィの死体を見て、フェイクスが眉をひそめニンマリと笑う。
「…武蔵ちゃん、本気でやる気かい?私と。」…

…ビビビジジジガガガ。
電子音が響きわたる。一人、武蔵があちこちを駆けずり回る。その手足に突如、『切り傷』が現れ血が飛び散る。
「クソッ!!フェイクスの『電子音と共に来る斬撃』。相変わらず正体不明だ。仲間にも能力を明かしていない用心深さ。さすが諜報員の端くれだ。」
武蔵が辺りを探る。
「何にせよ、隠れている本体を倒せばしまいだ。標的は…リコルただ一人。」

59ノートン:2021/12/22(水) 21:06:49
謎の能力で武蔵を追い詰めるフェイクス。しかし彼女は、武蔵の切り傷から、血と一緒に煙が上がっている事に気付いていなかった。
「(俺を攻撃した所で無駄。何故なら俺は分身だからな。足止めできれば十分なんだよ、フェイクス)」

一方、監禁部屋では、出入り口の扉が突然開く。現れたのは、何とバルトだった。
「バルト!?何故てめぇがここにいる!?」
「お前がドンか。リコルの存在に早々に気付き、迅速な動きで我々を出し抜こうとした。随分知恵が働くじゃないか」

オズマがドンの前に立つ。
「失せな、バルト」
「久しいなオズマ。早川組では世話になった。お前の猛獣を出す能力…この狭い部屋じゃ使えない。兄を守れなくて残念だな」

不敵な笑みをこぼすバルト。ドンの背後には、闇に隠れていた武蔵が現れた。
「兄貴!?危ねぇ!!」

武蔵の刃がドンを襲おうとしていた。

60キャプテン:2021/12/24(金) 21:47:35
「…左に三十度修正、撃て。」
ズドンッ?!
ドンの言葉とともに武蔵の体が撃たれ倒れる。建物外ではフェイクスがライフルを構えていた。
「囮囮作戦。どうやら上手く…?!」
ドンの前の武蔵の姿が煙となって消えた。
「何だい?!じゃあ本体は?!」
フェイクスの頭上から武蔵が刀を突き立てる。咄嗟にライフルで妨ぐ…が蹴り飛ばされてしまう。…焼け焦げた煙を服から放つ武蔵、血が染みている。
「囮囮囮作戦ってかい。火薬で服から煙を出して、最初から分身のフリをしてたのかい?」
「まぁ…な。」

「アポロ!!」
フェイクスの声、草むらから電子音が鳴り響き、武蔵の体に切り傷が増える。
「(何だ今の電子音…草むらから響いた。それにアポロって…まさか?!)」

61ノートン:2021/12/26(日) 18:18:03
「このままでは出血多量となる…最優先でお前を殺す、フェイクス」
武蔵は分身を出し、フェイクスを前後で挟み打ちの状態にした。

「フェッフェッ!!私の能力が分からないから、迂闊に近付けないんだろう武蔵!!いいかい?情報は最大の武器なのさ!私はお前の能力を知ってる。お前は知らない。このアドバンテージが最大の武器なのさ!」

武蔵がマスクの裏でニヤリと笑う。武蔵の能力”ダークサイド・ドッペル”は分身を作り出す能力。ファミリーにはそう教えてあった。

「…(ベラベラ喋りやがってババァが。お前も知らないんだよ、俺のダークサイド・ドッペルは分身を”3人”まで作り出す。つまり、もう1人分身を作れる)」

フェイクスの背後、草むらに3人目の武蔵が現れた。

「情報に踊らされてるのはどちらか、教えてやるよ」

62キャプテン:2022/01/02(日) 22:43:27
…「しくっ…じっちまったね〜。」
武蔵が倒れるフェイクスの体から刀を引き抜く。ガサガサッ。草むらから気配がして神経を尖らせる。
「(奴が呼んだアポロ…やはり仲間が…?!)」
ニャ〜ッ。
猫が現れ、自身の体を舐め出す。武蔵の体から力が抜けた。
「何だ、アポロって猫の名前か。」
二体の分身が消え、武蔵はそのままアジトの方へと戻って行った。…

…「ブリッジウェイ。」
オズマのバルトに進む方向が右に逸れる…が、ドンもバルトに突進しており壁に押し潰した。
「2人…同時だと?!」

63ノートン:2022/01/09(日) 20:58:58
ファミリーのアジトは1階建の平家。その屋根の上から、スーは中庭を監視ていた。
「武蔵…フェイクスを殺しやがったのか。何が起きてる!?」
続けてスーは屋上に空いた小さな隙間から、拷問部屋を覗いた。
「こっちはデカい男が侵入してるな…揉めてんのか?」

スーは屋根に座り込む。
「誰が敵か味方か分からない…でも俺がやる事は、リコルを殺す事。今は静かに機を待つんだ」

一方、拷問部屋。能力が出せないオズマと無能力のドン。そんな2人が立ち向かうには、あまりにバルトは強大過ぎた。

そんな最中、リコルが叫ぶ。
「ドン!オズマ!俺がそいつを倒してやる。だから俺を解放しろ!」

リコルの言葉を聞き、バルトが笑い始める。
「私を倒すだと?天狗エンドを失い、能力も無い貴様がか?」
「(能力が無い?コイツ…俺自身の能力、ブルームスターの事をまだ知らないのか!?)」

64キャプテン:2022/01/17(月) 22:08:49
ドンとオズマが顔を見合わせる。
「ああわかったよ。命あっての物種だ!!」
ドンが檻を開け放ち、オズマが立て掛けられていた剣をリコルに投げてよこす。

「貴方と戦うなんて思いませんでしたよ総監。」
「奇遇だな、私もだ。」
リコルが掴む剣から黒い光がジェット噴射の様に放たれる。
「加速しろ…ブルームスター!!」
まるで黒い流星の様に剣は投げ放たれ、加速し、バルトをとられた…が…。
「(ダメだ、その距離では奴の能力が?!)」
「ブリッジウェイ。」
バルトと剣の距離がみるみる離れていき、遂には黒い光が消え、剣が床に落ちる。
「自分と対象のルート、距離や角度を変化させる。それが奴の能力、ブリッジウェイだ。」
ドンが助言した。

65ノートン:2022/01/22(土) 21:35:21
「リコル、自分の能力に目覚めていたのか!どんな能力だ?私に教えなさい」
驚き、拍手をするバルト。
「教える訳ないだろ、バーカ」

するとオズマはリコルの耳元に近付き、何やらコソコソと話した。
「…分かった」
リコルは両手を出す。黒い粒子が手のひらを行ったり来たりしながら、どんどん加速していく。
「ブルームスター!!」
リコルが放った粒子は、何とバルトの反対側。部屋の壁目掛けて技を放った。

ドカァァンと爆音と共に、部屋に風穴が開く。穴の先は、庭に繋がっていた。
「トチ狂ったか!?何を考えてる!!」

驚くバルトをよそに、オズマは穴から外に出た。
「ありがとよリコル。これで能力が使える…フラッシュ・レオパルド!!」

現れる3首の猛獣。その内、炎を操る首が巨大な火の玉を作り出し、野球ボール程の大きさに圧縮した。
「死ね、バルト!!」

オズマはバルト目掛けて、圧縮した火の玉を打ち込んだ。

66キャプテン:2022/01/31(月) 22:04:11
「ブリッジウェイ」
バルトの目の前で火の玉が逸れる。突如、3首の猛獣が3頭に分裂し多方向から攻める。
「…3体同時には道を変えれないだろう。」
オズマにバルトが唸る。
「縮まれ!」
オズマとバルトの間が急激に縮まり、勢いに乗ってオズマを蹴り飛ばした。それを見て、リコルが密かに3頭の猛獣に触れる。3頭の体に黒い粒子が覆い、ジェット噴射の様に噴き出す。
「アンタのペット達、少し借りるよオズマ。」

黒い粒子と共に3頭の猛獣がありえない速さと動きでバルトを捕え、噛みついた。

67ノートン:2022/02/04(金) 12:34:22
リコル&オズマとバルトが激闘を繰り広げる、丁度その頃…。ブラックボックス最上階では、ある密会が行われていた。

アップルソルジャーは社長室の扉を叩く。
「失礼します。祖様」

祖(そ)と呼ばれた男が振り向く。容姿は若く10代後半、スーツにメガネ、まるで就活生のような見た目だが…。

「ターグ、武蔵への交渉。バルト課長の派遣・情報伝達…指示通り完了しました。今バルト課長が戦闘中との事です」
「ご苦労。これでバルトがリコルを回収出来なければ、奴も使えないグズという訳だ」
「バルト課長をグズ呼ばわり…ですか」
「文句があるのか?」

祖から放たれる、針が突き刺さるような威圧感。
「(動悸が…息苦しい…押し潰されそうだ)」
アップルソルジャーは恐怖していた。

社長室の片隅で、1人の少年がTVゲームをしていた。
彼の名は寿限無(じゅげむ)。
「ねぇパパ。やめてあげなよ。怖がってるよその人」
「そうだな、すまないアップル。下がりなさい」

「(一体何者なんだ…この2人は…!?)」

68キャプテン:2022/02/07(月) 19:17:10
「それと寿限無、ゲームは一日一時間だぞ。」
「ぐぬぬ。」
祖と寿限無に更にアップルは困惑した。
「(本当に何者なんだ、この2人は。)」…

…武蔵が建物へと辿り着く。
「よし、急いでバルトの加勢に…(電子音?!)。」
武蔵の首筋に突如、切傷が現れ、煙となって姿が消えた。それを草むらから覗く本物の武蔵。
「分身を囮にしておいて良かった。だがフェイクスは死んだはずだ。」
武蔵が地面に何かを見つける。そして自身の体の切り傷を観察する。
「何かの動物の足跡か?それに俺の体の切り傷。コレも動物の引っ掻き傷みたいな…。」
武蔵がハッとする。
「まさか?!」

69ノートン:2022/02/16(水) 00:07:43
ー2年前、ファミリーのアジト。

集まったファミリーの前に、ドンが1人の男を連れてくる。

「紹介する。新しいファミリー、武蔵だ!」
「武蔵だと!?界隈では有名な殺し屋だ…信用出来るのか?兄貴」
「バッカス!俺とこいつには”金”という強い絆がある。安心しろ」

武蔵は1人1人の顔をジッと見つめる。その時、1匹の猫がすごい剣幕で武蔵を威嚇した。
「シャー!!」
「何だ?この小動物は」
「ヒッヒッ…気を付けな。この猫アポロは気に入らないものは何でも引っ掻くのさ。この鋭い爪でな」

それから数日、数ヶ月…時が経つにつれ、武蔵はファミリーに馴染んでいった。
が、ただ1匹。武蔵を敵と見なし、威嚇し続ける猫がいた。
「シャー!!」
「このクソ猫が…」

そして、現在ー。
武蔵は悟る。斬撃の能力はフェイクスのものではない。自分を苦しめた元凶は、アポロだった。
「お前の仕業だったか、アポロ。まんまと騙されたよ、お前とフェイクスにはな」

70キャプテン:2022/02/20(日) 21:11:18
武蔵が足を止める。電子音が辺りを駆け巡り…
「ハァッ…どうにかなりそうだ。」
痛っ?!…武蔵が首筋に痛みが走った刹那、猫の首を絞める『もう一つの武蔵の姿』が出現した。猫を離すと地べたに落ち、ニャ〜と弱々しく鳴き、動かなくなった。
「やはり、攻撃の際は実体化したか。それにしてもクソッ、動物ってのは人を殺すよりも気分が悪い。」…

…隙をつき、リコルが走る。
バルトへの道筋が歪んで曲がる…しかしリコルの服から黒い粒子がジェット噴射し軌道を変える。
「能力で無理矢理?!」
リコルが遂にバルトに近づいた。

71ノートン:2022/02/22(火) 15:03:46
バルトに噛み付く、フラッシュレオパルドの群れ。そして、バルトに急接近するリコル。
「フフ…私にここまで近付くとは。中々良い筋を持っているな、リコル」
「そいつはどうも」

この時リコルは、ある違和感を感じた。
「ちょっと待て…獰猛な獣が3匹…噛み付いているんだぞ!?何故そんな余裕で話せる!?痛みはないのか…?何故血が出ていない…!?」

屈強な顎で、腕や足などに噛み付いたレオパルドの群れ。そのままバキッ!!と嫌な音がする。
「何の音だ!?」

レオパルドが噛み付いた部分。リコルがよく見ると、バルトの皮膚の色が銀色に変色し、硬くなっていた。その硬度に負け、レオパルドの牙がバキバキに砕けていた。
「ギャオオオォォォアア!!!」
レオパルドが痛みで叫ぶ。

「驚いたかね?リコル」
「あの色…まるで…まるでペプシマンじゃないか!?」

72キャプテン:2022/02/27(日) 22:11:03
【距離】…ある2点間に対して測定した長さの量をいう。

「ブリッジウェイ」
バルトの姿が遠くなる。
踏み込み…体幹を捻り…白銀色の拳を振り放つ。すると一人が血を舞わせて倒された。

「リコル?!」
ドンが叫ぶ。もう一度、バルトが遠くで拳を振る。オズマが血を撒き散らして吹っ飛ばされ、リコルと並んで横たわる。ドンが愕然とする。
「距離を操って、遠くからの拳打をぶつけたのか。私達には見えない速さで!!」

バルトが空気を吐き出す。
「私にとって距離は、1も100も同じだ。」

73ノートン:2022/03/03(木) 00:44:05
「ブリッジウェイ…ここまで厄介な能力なのか。それにあの銀の体…化け物め」
オズマに焦りが見え始める。しかし、リコルは焦りとは違う感情を抱いていた。

「こんな強大な力で、ジェノを…。お前に聞きたい事がある。ラス消防署総監、バルト」
「…?」
「早川組組員…バルト。ブラックボックス幹部…バルト。本物のお前はどれだ?」
「何を言っている?どれも本物の私だ」
「なら、ジェノの敬愛するバルトもお前の中にいるのか!?」
「そんな物はジェノが作り上げた幻想。いるわけなかろう」

嘲笑うバルト。その姿を見て、リコルの怒りのボルテージは高まる。
「ふざけんな…ジェノを笑うなよ!!何なんだお前は!!一体何がしたいんだ!?」

リコルの激昂に、辺りが静まり返る。少し間を置いた後、バルトは語り始めた。
「対話をご所望か。良いだろう…私の話で、お前の気が変わる可能性もある。試してみる価値はあるな」

そしてバルトは自身の過去、そして野望を語り始めた。

74キャプテン:2022/03/07(月) 06:52:16
あの日は、嫌になる程の狂気じみた晴れだった。その強過ぎる太陽を憎たらしく睨み付ける。そのせいだろうか。悲しむ事よりもまず、怒りと殺意が湧いてきたのは。

「母さん、うちの子は?」
「あの子、友達をかばって木から落ちたって。」
転落死…木登り中の事故…事故?…事故!!!
「ふざけるな。事故なものか!!うちの子じゃない。その友達が死ぬはずだったんだ。そうだろう、母さん?!」
「…。」

私が、この現実を正してやる!!!

75ノートン:2022/03/10(木) 23:21:15
バルトは手を差し出す。
「さぁ、私の手を取れリコル。共にこの世を正そう。そして私の息子を…救ってくれ」

リコルは哀れみの表情を浮かべる。
「違う…違うよバルト。あんたの息子は甦えらせる。それは約束する。だけど立ち位置が違う!そっち(ワールド)側じゃない。俺の側に来るんだ」

リコルも手を差し出す。しかし、2人の手は交わる事は無かった。
「残念だよリコル。ブリッジウェイ」

まさに一瞬。2人の距離が一気に縮む。
突然の状況に理解が追い付かないリコル。間髪入れず、リコルの腹部にドゴッ!!と強烈なアッパーをかます。

「ぐぉぉ!?」
痛みに悶えながらも、リコルは“ある物”を見つけた。
「バルトの腕…何かキラキラ光ってないか?あれは…フラッシュレオパルドの牙か!!」

リコル能力発動。砕けた牙の破片から、勢いよく黒い粒子が噴射した。
「お前のその腕に刺さったキバ…ブーストをかける!」

メキメキッ!!と音がする。キバが徐々に、だが確実にバルトの体内へめり込んでいった。

76キャプテン:2022/03/14(月) 21:35:34
「私の体に食い込んでいく、牙が?!」
バルトの腕の傷部分が濃い白銀色に染まる。
「(クソ?!この程度のバイシ細胞では時間稼ぎにしかならない。私の能力は密着したモノは距離を離せない。一体…どうすれば?!)」

次第にリコルとオズマが回復する。
「ブリッジウェイ!!奴らと奴らの攻撃を近寄らせるな!!」
リコルが辺りの物を黒粒子の噴射で飛ばし、オズマが獅子を出現させ走らせる。しかし、バルトの位置が遠ざかったり近づいたり曲がったりズレたり…と攻撃が避けられる。
「(このまま援軍が来なければ、『あの手』を使うしかない。)」

77ノートン:2022/03/18(金) 23:30:09
バルト達の戦いを後方から観察するドン。

ドンはオズマの兄にして、ファミリーのボスを務める。能力も無く、非力…そんな彼が持っている優れた才能。それは『危機管理能力』。

起こりうるトラブルを回避または最小に抑える能力のことで、物事の攻め時、引き際の判断が的確。そんなドンが、ある決断を下す。

「もういい!引け、オズマ!」
ドンが叫ぶ。
「何だと!?」
「フェイクスからの通信が途絶えた。シィと連絡も取れねぇ!異常事態だ…これ以上、バルトに関わるな!!」

オズマはタバコをフーっとふかす。
「アジトを荒らされ、ここまでコケにされて逃げろだと?見損なったぞ兄貴!!腰抜けはこの場から消えな」
「…バッカス!!言う事を聞け!!」

この時のドンの判断は正しかった。
オズマと言い争いをしている最中。ドンの背後に突然、武蔵が現れる。刀からは血が滴り落ちていた。

「武蔵!?まさか…兄貴!!後ろだ!!逃げろぉぉぉーーーー!!!!!」

78キャプテン:2022/03/23(水) 21:46:05
「武蔵…裏切ったのか?!」
ドンの脇腹に刀が食い込む。素手で刀を掴み、無理矢理に防いでいた。血が武蔵の刀身を伝う。
「(オズマの声に反応されたか…だが)バルト!!リコルは何とかする。『落とせ!!』」
武蔵が声出し、ドンの巨体を空中へ放り上げる。

それと同時、空間から武蔵の分身が2体現れ、リコル、オズマにしがみ付き、ジャンプする。バルトが地面に手を着いた。
「ブリッジウェイ…下れ。」
建物内が縦に伸びた。

空中にいたリコル、オズマ、ドンの足場は一瞬にして無くなり…落下する。

79ノートン:2022/03/31(木) 12:28:28
「フラッシュレオパルド!!」
空中に3匹の猛獣が出現。3人を背に乗せると、辺りの木や壁を上手くジャンプしながら着地した。

「兄貴!大丈夫か!?」
脇腹からの出血が止まらないドン。一目散に駆けつけるオズマ。その隙を武蔵は逃さなかった。
「がっ…かはっ…!?」

ドスっと鈍い音がする。なんと、武蔵が刀でオズマの心臓を一突していた。
「オズマァァァァ!!!!」
「クソ…兄貴…すま…ね…ぇ…」
オズマ絶命。武蔵は刀を引き抜くと、ドンに近付いた。

ドンにとって唯一の家族の死。まともな一般人なら錯乱する状況。しかしドンは、思いもよらぬ提案をする。
「クズ野郎が…ゼェ…奴らに…いくらで雇われた?」
武蔵の動きが止まる。
「1億だ」
「2億出す…もう一度…俺の配下に加われ」
「お前にそんな金が無い事は知っている」
「バッカス!あるだろうが…ここに!」

ドンは自身の首を指差す。
「俺の首にかかった懸賞金2億!お前にやるよ、武蔵。バルトを殺せ。その後俺の首を刎ねればいい」
「…」

武蔵の終わりのない殺意は、ついにバルトに向けられた。

80キャプテン:2022/04/05(火) 22:07:29
「ここまでか…ブリッジウェイ?!!」
バルトの姿が急激に空へと伸び、消えた。…

宇宙空間…
文字通り宙に浮くバルトの体は白銀に覆われた。
「(この技。まさか、宇宙と自分の距離を縮める羽目になるとは。宇宙に適応する為のバイシ細胞だったが、この量では…早く別の地上に逃れねば。)」

地上…
「分身の射程範囲外…空の上…まさかな。」
武蔵がドンに近づき、首に刀を当てる。
「前払いで構わないよなドン。安心しろ、バルトは殺してやる。」

そこへ、燃える刀を持った男性が姿を現す。
「遅かったじゃないか…スー。」

81ノートン:2022/04/08(金) 11:45:29
「俺を邪魔しに来たのか?」
武蔵の問いに、スーは答える。
「お前が何しようと興味無いね。俺はただ、自分の目的を果たすだけだ」
リコルを殺す。その強い意志の元、炎波刀をリコルに向ける。そんなスーの言動を聞き、リコルは反論する。

「興味無いだと?人が死のうとしてるんだぞ!」
リコルはドンを指差す。
「あいつはマフィア…悪人だ。今までの行いに、死んで詫びればいい」
「悪人だろうが、同じ命だ!!生きて償うべきだ!!」

リコルが叫ぶ。
「スーさん、あんたずっと屋根にいたよな?何してたんだよ」
「お前を殺す機会を伺ってたんだが?」
「そんな事で…オズマや、他のファミリーを見殺しにしたのか」
「何だと?」
「見殺しにしたんだよ。救える命を救わなかった」

リコルはドンの元へ歩む。それを静止するスー。
「動くなリコル!」
「うるせぇな…どけよ。俺はドンを助ける」

復讐者として生きる事を決めたスー。
しかし、何故かリコルの言葉が胸にグサグサと突き刺さる。

(こんな奴の言葉に、何を俺は戸惑っている!?俺は一体…どうしたいんだ!?)

復讐者としてのスー。そして、青空隊としてのスー。正しくあるべきスーの姿は、果たしてどちらなのか?
2つの心の狭間で、スーは葛藤していた。

82キャプテン:2022/04/17(日) 23:25:38
「…はぁ、もういい。勝手にしろ。」
スーが壁を焼き切る。まるで積み木のように崩れ、辺りを砂埃が覆う。そこからスーは頭を掻きながら出て行った。

砂埃が晴れ、困惑するリコルと武蔵が向き合う。
「…どうする?」
「まあ、戦う?」
「そうだな、ドンの首も…?!」
二人が辺りを見渡す。ドンがどこにも居ない。どうやら砂埃に乗じ、逃げたらしかった。更にリコルと武蔵が頭を傾げながら向き合った。
「「…どうしよう?」」

83ノートン:2022/04/24(日) 21:12:26
「…くだらん」
武蔵は刀をしまう。
「そもそも奴の依頼をクリアしていない以上、報酬を受け取る事は出来ないしな」
そのまま武蔵は闇へと消えた。

リコルは血の跡を辿り、数メートル先で倒れてるドンを発見した。
「…まだ生きてる。助けてやるよドン。あんたも生きて償え…俺のように」

武蔵は、暗闇の森を歩いていた。
「こんばんは。あなたが武蔵さん?」

武蔵が振り向くと、そこにいたのは子供だった。
「(子供…?こんな夜の森に!?)何者だ!?」
「僕の名前は寿限無。そんでね、こっちに居るのが…」

森の中からドスン!ドスン!と巨大な足音が近付いてくる。
「何だ…!?この化け物は…!!??」

現れたのは、ペプシマンと同じ銀色の体を持つ大男。体の大きさはペプシマンより一回り大きいが、体型はペプシマンと真逆。中年親父のように腹は出ており、全身太っていた。
「ペプシダディって言うんだー。僕のペットだよ。パパに逆らう奴は…死んじゃえ」

寿限無の言葉と共に、ペプシダディは戦闘体制に入る。

84キャプテン:2022/04/29(金) 21:58:05
「(あの見た目。バルトと同じ、バイシ細胞持ちか…それとも生まれつきか、だが…。)」
武蔵が寿限無と名乗った子供を睨む。
「(何故かあの怪物より、あの子の方が恐い。)」…

…ベッドに横たわる巨体が瞼を開き、体を起こす。白い部屋、身体中には包帯とチューブ。
「病室さ。ドン、アンタには生きてもらう。」
椅子に座り、何かの小説を読むリコルが言う。
「ふんっ。…何を読んでいる?」
「『宿星物語』。スーさんの事、いろいろ知っておこうと思って。」
「奴はお前を憎んでいる。」
「そう、殺されても文句は言えない。」
「それだけの事をお前はしたんだ。」
「…わかってる。」
リコルが顔を伏せ、部屋を出て一人になる。すると自分の頭を壁に叩きつける。涙が頬をつたう。
「言われなくたって…わかってる。」

85ノートン:2022/05/01(日) 19:23:09
「キャアアアア!!!」
突如廊下に響き渡る、叫び声。
「敵か!?」
リコルが構える。しかし、近付く男を見て安堵する。

「シュワァァァ。元気そう…では無いな」
「ペプシマン!?何で…まだペプシ缶になってから1ヶ月も経ってない!」
「分からない…私の同族から”助けて”と声を聞いたのさ。その後急に私の中のペプシ細胞が活性化し始めた」

ドンが病室からおぼつかない足取りで現れる。
「叫び声が聞こえたから何かと思えば。銀色のあんた、リコルの保護者か?」
「保護者って…俺はガキじゃ無い!」

ペプシマンは笑いながら答える。
「リコルは私の家族さ!」
「なら安心だ。その小僧、一人でブラックボックスに乗り込むとか抜かしてるぞ」
「シュワ!?何を馬鹿な事を!!」
「今その小僧には仲間が必要だ。決して1人にさせんじゃねぇぞ…いいな!」

ペプシマンは近付き、そっとリコルの頭に手を置く。
「兎に角頑張ったな、リコル。まずは休め。ペプシウーマンが手料理を作って待ってる」

86キャプテン:2022/05/05(木) 15:47:16
辺りにバラバラにされた武蔵の分身体から煙が揺らめく。その真ん中でペプシダディの巨体の手が本体の武蔵の頭を地面に押さえつけていた。…寿限無が隣でニンマリ笑う。

「お兄ちゃんはオモチャにするんだから、他のみたいに壊れないでよ?」
「最…悪…だ。」…

…「…話は以上、何か質問は?…ゲップッ。」
ペプシマンがコーラをグラスに6つ注ぐ。リコル、ジェノ、キャプティ、ノートン、ドーヂが山盛りのハンバーガーに夢中になって齧り付く…かぶりつく…かぶりつく。

互いに注がれたグラスを一気に飲み干し、言った。
「「「「「無いっ!!!」」」」」
「ヨシっ潰すぞっ…ブラックボックスを。」

87ノートン:2022/05/06(金) 20:55:09
ペプシマンが提案した策は、至ってシンプルだった。
「目的はブラックボックスの壊滅。その為には社長、幹部共を全員叩く必要がある。敵戦力が分散しているタイミングを見計らって、それぞれ個人単位で倒していこう」
「ペプシ、それには情報がいるぜ。敵は何人いるのか、誰がいつどこにいるのか…」

キャプティの問いに、ドーヂがハンバーガーを食べながら答える。
「情報に関しては1人目星を付けてる。そいつの名は”アップルソルジャー”。ブラックボックスの交渉人と呼ばれてる男だ」
「情報屋…そんな奴がいるのか」
「アップルソルジャーを捕らえ、情報を吐かせる。これは刑事である俺とコイツに任せてくれ」
ドーヂはジェノを指差す。

「これは俺自身の戦いでもあります。必ずバルトと決着を付ける…その為に今は最善を尽くします」
ジェノの魂のこもった発言に、ペプシマンは力強いガッツポーズを送った。

88キャプテン:2022/05/16(月) 21:53:01
ラス消防署、訓練場。
何も変わらない…汗の臭いも…訓練の日々も…。
「逃げも隠れもしない…か。消防署総監バルトゥース・グーナゥベック。」
ジェノが呼ぶ。バルトが錆び付いた鉄アレイやダンベル、ボロのサンドバックに順に触れていく。
「何度、何度、世界が壊れても、この訓練場だけは変わらないような気がする。…懲りないな。」
バルトの問いに、ジェノが頷いた。背後にはドーヂが隠れる。…

…「灯台下暗し…か。」
元ハヤカワ組本部。
古く威厳のあるたたずまいの屋敷。リコルが門を両手で勢いよく開く。何十にも連なるふすまを開いた先、その男はあぐらをかいていた。
「早川組の敷居を跨ぐとはな…沖田総司。」
「池田屋じゃなくて残念だよ。久しいねリコイル・ブラッシ…いや、今はリコルか。」

89ノートン:2022/05/18(水) 10:08:33
数日前ー。

「邪魔するぜ」
ペプシマンの経営するモーテルの扉がバンッと開く。現れたのは、ジェノとドーヂ、そしてアップルソルジャーだった。
「シュワッ!?こんなに早く捕らえたのか!?」

続々と集結するメンバーの前で、ドーヂが話す。
「アップルソルジャー、話してくれ」
「ああ。まず一言、君たちに協力しよう」
「!?」
アップルソルジャーは、自らの意思でここにいる事を語った。
「私は今の社長、祖という男がどうしようもなく怖いんだ。今のブラックボックスは危険だ…止めてくれ」

アップルソルジャーの話で、討つべき標的が明確となる。

①《ブラックボックス社長》 祖
②《祖の側近》       寿限無+銀色の怪物
③《他社連携課 課長》   バルト
④《武力行使課 課長》   沖田
⑤《元生物兵器研究員》   ターグ博士

「この5名を倒せば、今のブラックボックスは無力化する」
「ターグ!?あのクソ野郎、生きてたのか!?」
同様するリコルとホリデー。

「銀色の…怪物?」
首を傾げるペプシマン。

「さぁ、必要な情報は揃ってきたな。どう動く?」

90キャプテン:2022/05/22(日) 22:49:06
「…まあ、単純な作戦さ。」…

「リコル」
話が終わり皆が互いに別れる際、ジェノに呼び止められる。何か『布に包まれた長物』を渡される。
「コレは?」
「今のお前の能力にあっていると思ってな。」

座るキャプティが自身の掌を眺める。ノートンが傍に立つ。
「使うの?『あの能力』を…今回は抜けても構わないんだよ?一度『あの能力』を使ったら…
「言わないでくれ!!」
キャプティが苦虫を噛む。
「足手まといは…ゴメンなんだよ。」…

…現在。
「でっけ〜会社だなぁ?!」
ノートンが巨大なビルを見上げながら言う。ペプシマンとキャプティもそれに続いて見上げた。

『ブラックボックス本社』

91ノートン:2022/05/23(月) 13:48:54
ー決戦前夜の事だった。

リコルはペプシウーマンの所にいた。
「あらリコルちゃん。どうしたの?」
「俺は明日、沖田と戦うんだ。元青空隊の隊長をやってた男。緊張…してるのかな。何かリラックス出来る飲み物とか無い…かな?」

ウーマンはリコルの側に近づく。何と、次元ワープを創り出した。
「緊張を和らげたいなら、うってつけの人物がいるわよ。100年前にね」

リコルは頷くと、ワープを通過。久しぶりに100年前の大地を踏む。
「ヴィヴィ!!」
「リコルか?オットセイ以来だな!無事だったか?」

再会の喜びも束の間、衝撃の事態が発生していた。
「よう」
「久しぶりでアール、リコル」
「セオドア!?ハレン!?何で…」
「分からない…ワールドに飛ばされた先がここだったんだ」

リコルは安堵の表情を見せる。
「まぁ、いいじゃないか!無事だったんだ!早く俺たちの時代へ帰ろう」
「無理でアール。ウーマンの能力は100年前の過去へタイムスリップする能力。未来へは行けないのだ」

ハレンはため息を吐く。
「…つまり、俺と男爵はこの100年前の世界に閉じ込められてるんだ」

92キャプテン:2022/05/30(月) 17:48:22
未来…
「何をボーッとしてんだホリデー?」
褐色の肌、黒髪の後頭部を叩かれ、座りうつ伏せる女の子が頭を上げる。
「キャプティ?」
「どうしたんだ?」
ホリデーが星空を見上げる。
「故郷の夜空は、もっと星が多かった。」
「モニュメントバレーか。」
「ああ、ほんっとうに綺麗だった。」
「そうか、帰りたいのか?」
ホリデーがキャプティや他の皆を見やる。
「いつか…かな。」

オットセイ跡地…
瓦礫だらけの施設の足場に気をつけながら、ホリデーは歩く。
「ほんっとうに人がいるのか?」

93ノートン:2022/05/31(火) 22:23:09
「ターグはオットセイ跡地のどこかに潜んでいる」

アップルソルジャーの情報だった。打倒ブラックボックスの為、ターグを倒す事は必須。情報を掴む為、オットセイへと向かったホリデーだったが…。

瓦礫の山を見つめ、オットセイの惨劇を思い出す。研究員ターグが犯した禁忌。それは、彼女の村人を使った人体実験…。
「ウッ…オエェェ…!!」
嘔吐するホリデー。彼女にとって、この地はトラウマとなっていた。
「ごめんなさいキャプティ…もう帰りたい。ここの調査なんて…私には無理よ!」

泣きながらペプシマンのモーテルへと帰るホリデー。出入り口の扉を開けると、リコルが突っ込んでくる。
「ホリデー!大事件だ!」

過去に囚われたセオドアとハレン。この話を聞いたホリデーの反応は以外なものだった。
「何よそれ!?私達を手伝うんじゃなかったの?あのクソ男爵、何の役にも立たないじゃない!!」
「どうしたよ?」
「私、そんなに強くないよ?私を守ってよ…セオドア…」
「…ペプシマンに会いに行こうぜ。気が晴れるかも」

2人はペプシマンを訪ねる。月がよく見える、静かな夜だった。ペプシマンは野原に寝そべり、月を眺めていた。
「ペプシマン…?何してんだ?」
「シュワ、月を見ていたのさ。見てみなさい、綺麗な満月だ」

感傷に浸っていたペプシマン。両隣りに、リコルとホリデーは静かに寝転んだ。
「リコル、質問させてくれ。私が故郷だと思っていた月の名前は惑星タラテクト。そして今いる星地球は、魔女ワールドが創り出したタラテクトのコピー。私はタラテクトから、魔女の暴走によって地球に飛ばされた…この認識で合っているか?」

94キャプテン:2022/06/05(日) 21:55:34
「そうらしい。『何かとてつもない現象』により『世界の改変』は何度も起きた。結果、この星もそうなり、ペプシマンも巻き込まれた。」
リコルが思い出しながら言う。
「…そうか。だが人は…。」
ペプシマンがうな垂れる。
「だけど『世界の改変』…思い通りにいっていないみたいね。そんなに繰り返して起こしたのに、目的を達成できていないなんて。」
ホリデーが呆れた声で言った。
「もしかしたら…サイコロを振ってるのかもな。」
「「サイコロ?」」
ペプシマンの突飛な言葉に2人の頭が『?』になる。
「ああ、1が出るまで…自分の欲する世界になるまで繰り返しサイコロを振り続けている。」
「自分の目的の世界ができるまで。」
ペプシマンの意見にリコルが考え込む。
「ああ…意外と運任せの計画なのかもしれないな、ワールドの奴は。」

95ノートン:2022/06/07(火) 12:31:55
「ま、私自身の目的は変わらんさ」
ペプシマンはタラテクト星を指差す。
「故郷へ帰る。それが私の夢なのさ。ところで、私に何か用か?」

ペプシマンの問いかけに、ホリデーは…。
「な…何でもないわ。ただ話したかっただけ」
「おい、ホリデー…」
「黙ってリコル!行きましょう」
「…シュワ??」

2人は夜道を散歩する。ペプシマンに何も言えなかったホリデー。リコルはそんな彼女を気遣っていた
「なぁホリデー。お前は無理して戦わなくていいんだぞ?怖いなら逃げちまえよ。誰もお前を責めないさ」

リコルの優しい問いかけに、ホリデーは静かに答える。
「オットセイの戦いの最後で…私、ワールドに言われたの」
「何を!?」
「リコルを差し出せば、村人全員救ってやるって」

ホリデーの目に涙が浮かぶ。
「私、ワールドに反論出来なかった。本当は黙れ!って言い返す所だったのに…」
「仕方ねぇよ。ワールドが怖くて言い返せなかったんだろ?」

少し間を置いて、ホリデーが重い口を開く。
「それもあるけど、私…村人の皆が蘇るなら、協力してもいいって少し思っちゃったの。最低だわ…私の願望の為に、あなたを売ろうとした」
「ホリデー…」

ホリデーは泣きながら、リコルに謝罪する。
「ごめんなさい…私、自分が許せなくて…。リコルはもう家族みないなものなのに。ペプシマンも、ほかの皆も…ここは私の第二の故郷なの。だから戦う。もう私の大切なものを失わない為に!」

強いホリデーの言葉。リコルはホリデーの肩をポンッと叩く。
「俺正直ビビってたんだ…沖田が強い事知ってたから。でも、お前と話せて再確認出来た…俺も家族を守りたい。だから、ブラックボックスと戦う。敵をぶっ倒して、この家に必ず帰ろう!」
「当たり前よ!死ぬんじゃないわよ、リコル!」

2人の迷いは消えた。リコルとホリデーは力強く握手する。

96キャプテン:2022/06/13(月) 20:49:08
ホリデーの後ろ姿が小さくなる。それを見つめるリコルが拳を開き、掌を見つめる。

…100年前。
「改変された世界を元に戻せば、セオドアとハレンは過去から解放される。」
リコルが言った。
「影響が大きすぎマース。何が起きるかわかったもんじゃないぞデアール?!」
セオドアが反論した。
「そうだ。やめておけリコル、俺達はただ無事に生きてることを伝えたかっただけだ。」
ハレンが補足した。
「…。」
リコルが黙る。

…そして現在、元早川組本部。
「…やってやる!!」

97ノートン:2022/06/14(火) 20:01:20
リコルは沖田と対峙していた。

組長ハレンは現在の時間軸にはおらず、名古・花園の両名は入院中。今現在、本部に残っているのは末端の構成員のみだった。その隙を突き、沖田が早川組に入り浸っている事は、アップルソルジャーからの情報で分かっていた。

「久しぶりじゃねーか、リコル。あっちの世界で青空隊を皆殺しにして以来か。1人か?」
「…そうだ」
「何の用だ?」

リコルは抜刀すると同時に膝を少し落とし、前傾姿勢になった。切先を沖田に向ける。
「あんたを倒す。悪いけど、理由は教えねぇよ」
「…そうかい」

部屋のふすまがバッと開き、末端のヤクザが入ってくる。その数、30人。
「リコルよ、お前状況分かってんのか?敵の本拠地に1人で乗り込んで来てんだぜ?馬鹿かテメェ」

ヤクザの集団はリコルを囲む。銃やナイフ、鈍器などをリコルに向ける。
「そいつらは早川組の末端構成員だ。勿論能力者はいねぇ。だがチャカ、ドスは持ってる」

末端員とはいえヤクザ。全員がリコルに殺意を向けていた。
「やんのかコラァ!!」
「来いや餓鬼がぁ!!」
「舐めてんじゃねぇぞコラァ!!」

怒号が飛び交う。今にも発砲しそうな輩もいた。
リコルはこの状況を冷静に分析し、沖田に問う。
「いいのかよ。俺を殺したらブラックボックスの目的がお陀仏になるんじゃないか?」
「あぁ?誰も殺すとは言ってねぇ。半殺しで勘弁してやるよ。テメェら!!殺さない程度にやっちまえ!!」

ヤクザの集団は、リコルに襲い掛かった。

98キャプテン:2022/06/20(月) 20:08:38
「撃てや!!」
沖田の合図。リコルの体から黒い粒子が噴き出す。そこへ銃弾が飛んでいく。
バタンッ…バタンッ…バタンッ…。
突然、ヤクザの男達が半分ほど倒れる。血が辺りに染み出す。黒粒子の煙幕から銃弾が飛び出し、ヤクザ達に向かって飛んでいく。
「ブルームスター…銃弾を加速させ軌道を変えたのか。お前ら…銃はダメだ、得物を刃物に変えろ!!」
「ヘイッ(ヤクザ達)」
ヤクザ達が刃物を構える。リコルの持つ剣に黒粒子が集まり、黒く光る。リコルが剣を異常な加速と軌道で振り回す。
「さあ、来いやああああ!!」

99ノートン:2022/06/22(水) 12:25:50
ブルームスターにより、リコルの剣は重力を無視した。鉄の重さを感じず、まるでうちわを振り回しているかのようだった。

軽やかな身のこなしで、ヤクザの刃物を弾く。弾く。弾く。次々と襲いかかる敵を、冷静に、そして大胆に捌いていった。そんなリコルを、沖田は一歩下がった場所からじっくり観察していた。

ヤクザを倒し続け、ついに最後の1人となる。
「もういいだろ?降参しろよ」
「だ…黙れ!!死ねコラァァ!!」

リコルに飛びかかり、なたを頭上から振り下ろす。リコルは自身の剣を頭上に構え、それを受け切った。その隙を沖田は見逃さなかった。
「好機っ!!!!」

沖田はヤクザの体を貫き、そのままリコルの右肩を串刺しにした。
「沖田さん…何故…ぐはっ」

リコルは半歩下がり、右肩から剣を引き抜く。血がプシャっと吹き出す。
「ぐあぁぁぁ…痛え!仲間ごと刺しやがって!沖田…テメェ…イカれてんのか!?」
「仲間?俺にそんなもん居ねーよ!!」

痛みに悶絶するリコルに向かって、沖田は容赦なく切り掛かった。

100キャプテン:2022/06/26(日) 22:31:35
リコルが咄嗟に剣を投げ飛ばす。剣から黒い粒子が噴射され、飛行し、沖田の体を切り付ける。
「やらなきゃ…やられる。」
剣が空中を飛び回り、沖田をズタボロに切り裂き、遂に沖田が倒れる。
「ハァ…ハァ…やった…倒した。」

リコルが剣を構え、倒れる沖田にとどめを刺す…刺そうとした。…リコルの右足に刀が刺さる。
「…え?!」
「はぁ〜…痛かった。」
沖田の体の切り傷が…塞がっていく。そして刀を引き抜いた。リコルが尻餅をついた。
「どう…してだ?」

101ノートン:2022/06/27(月) 12:34:43
不可解な現象。沖田の切り傷は、綺麗さっぱり元に戻っていた。
「奴の能力…超再生の類か!?」

すると、沖田は剣を野球バットのように構えた。
「おらよっ!!」
リコルの顔面をボールに見立て、ホームランを打つかのようなフルスイング。この時、沖田は”岩の破片”をリコルの胸ポケットへ気付かれないようなか入れた。

リコルは咄嗟に剣でガードするも、反動で後ろに吹き飛んだ。ここから有り得ない事態が起こる。部屋から部屋へ、障子の扉を次々と突き破り、リコルは吹き飛び続けた。
「グッッ…止まらない…まるで磁石みたいに何かに吸い寄せられてる!」

そのまま庭へ弾き飛ばされ、巨大な岩にビタっ!と張り付いた。リコルの胸辺りから、岩の破片が飛び出し、そのまま岩と同化した。
「!!??」

リコルは辺りを見渡す。身の丈程の巨大な岩がゴロゴロ転がっていた。中には、不自然なほど綺麗に切断された岩もあった。

「ようこそ、早川組の庭へ。ここは俺のテリトリーだ。この庭に来ちまったら、お前もう詰みだぜ」
沖田が現れる。その表情は、すでに勝利を確信していた。

102キャプテン:2022/07/03(日) 20:26:18
「散れ…ブルームスター!!」
リコルが黒粒子をばら撒き、目眩しにし、姿をくらます。破れた庭岩の影に隠れ、怪我した膝を布でキツく結んだ。
「(かなり傷むが…まだ動ける。)」
掌が岩に触れ、何かの傷が手に触れる。
「コレは?」

バシュンッ!!

リコルの掌から血が飛び散る。
「攻撃?!どこからだ?!手に傷が…何が何だかわからないが…何かがヤバイッ?!」
その場を離れようとする。走っているうちに辺りの岩で音がする。
「一体、沖田の能力は何なんだ?」

103ノートン:2022/07/10(日) 15:15:42
リコルと沖田の戦闘が激化する、その前日の夜の事だった。山奥で1人、焚き火をしながら物思いにふけるスー。

『「見殺しにしたんだよ。救える命を救わなかった」』
リコルの言葉が、何度も頭をよぎっていた。

「俺は…何を迷ってるんだ。リコルを殺す事が俺の…」
焚き火の向かい側、スーの対面に、干潟の幻想が現れる。
「またあんたか…干潟さん」
「なぁスー。お前は何で青空隊になった」
「何でって…別に、行くあてがなかったからだよ」
「そうか。素直で良いなお前は」
「干潟さんみたいに、人々の笑顔を守る為とか立派な考えは持てないよ。今は…復讐の事ばかり考えてる」
「そうか」

幻想の干潟は立ち上がる。
「それは裏を返せば、仲間の為に戦ってるって事だろ」
「えっ…?」
「お前の心根はいつだって同じだ。優しいんだお前は。仲間の為に今何をすべきか…じっくり考えてみろ」
「干潟さん!?何を言って…!?」
干潟の幻影は、フワっと消えていった。

「…確かめる必要がある」
スーはそう言うと、ゆっくり立ち上がった。
「居場所は知ってる…リコイル・ブラッシ。いや、リコル。ケリを付けよう」

104キャプテン:2022/07/17(日) 22:14:27
…そして現在。
リコルが庭園のど真ん中に突っ立って両手を広げた。それを見て沖田がニヤつく。
「(成る程、それで見極める気か。)」
「(バレバレか…だが、こうするしかない。)」
「まぁいい、乗ってやる。耐えれればな!!」
辺りの瓦礫が動き出す。
「無明剣(むみょうけん)!!」
周囲の瓦礫達がリコルを取り囲み、いっきにぶつかりに来る。
「ブルームスター!!」
周囲の瓦礫達が黒粒子を浴び、リコルの後方まで瓦礫達をズラす事に成功する。だがリコルの剣も瓦礫に飲み込まれ、くっ付き、大きな一つの瓦礫となり、落ちた。
「俺の剣が…クソッ?!『元に戻す』…それがアンタの能力か。切り傷もそうやって治したのか。」
「…その黒い砂粒、ホント厄介だな。」

105ノートン:2022/07/24(日) 21:07:47
沖田の能力のカラクリが判明。本来であれば、対策を練り反撃に転じる事が戦いの基本。
だがリコルは足の出血、貫かれた肩…ボロボロの体。更には武器も奪われる痛恨のミス。
「何とか…短期決着をつけないと!どうすれば…?」

しかし、沖田は考える時間すら与えなかった。
リコルの両隣にある岩が急スピードで動き出し、リコルを押し潰そうとする。痛みに耐えながらも間一髪で避けるが、今度はリコルの前後の岩が猛スピードで向かってくる。

「クソっ!!」
避けても避けても、さらに別方向から次々と押し寄せる岩。完全に沖田のペースにハマっていた。

「はははっ!踊れ踊れ!!気ぃ抜くとペシャンコだぞ?」
「ど…どうにかして反撃しないと…このままじゃ死ぬ…!!」

まさに絶体絶命。その時だった。ザザザっと、目の前にノイズが走る。

沖田の服装が、今着ている服から青空隊の隊服へと変化。さらにリコルも青空隊の服装を着ていた。

「!!??」

一瞬の光景だった。だが確かに、一瞬過去に戻った。そんな錯覚を感じていた。

「ワールドの言っていた事は正しかったようだな」
沖田は攻撃の手を止め、リコルに話しかける。

「今の光景で分かっただろ?ブラックボックスが何故テメェを狙っているのか…。答えはエンドの残り火。簡単に言えば、テメェの中にまだ、エンドの能力の残りカスがあんだよ」

106キャプテン:2022/08/01(月) 21:33:59
リコルが必死に立ち上がる。
「ハァッハァッ、来い…『ヤノハハキ(矢乃波波木)』」
とてつもない噴射音が遠くから近づき、リコルの手におさまる。『箒?』…その刷毛部分がジェット機の噴射口の様になって黒粒子を噴射していた…それが一旦止まる。

「ジェノさん、使わせてもらいます。」
「(アレは…ヤバいな。)秘密兵器か。無駄だな、自決こそ俺の力だ、無明剣!!」
沖田が刀を…何度も…何度も…自身に突き刺す…血塗れになりながら。

「さぁ、やってみろ。」
「ああ、一撃でその体、ズタボロのバラバラにしてやる!!!」

107ノートン:2022/08/14(日) 12:57:00
「生捕り予定だったが気が変わった。青空隊は…皆殺しだ」
沖田は右手に剣を構え、左手で祈りのポーズをした。
「必殺技はお前だけの物じゃねぇ。奥義…”無明剣 無限妙獄”」

沖田の無明剣は切断した対象をくっ付ける能力。だが無限妙獄は、沖田がロックオンした対象を”強制的に”くっ付ける物の片割れにする。つまり…。
「お前をロックオンしたぜ、リコル。これから様々な物がお前と同化しようとする」

四方八方にある岩や木、鈍器…様々な物が空中に浮き上がる。次の瞬間、リコルに向かって猛スピードで動き始めた。
「俺に向かって色んな物が突っ込んでくる!?」
「終わらない地獄…妙獄界を味わいな。死ね!」

ドガガガガッ!!!と岩や鈍器が激しくぶつかり合う音がする。立ち上る土煙。数秒後、それが晴れた時リコルの姿は無かった。
「跡形も無しか。木っ端微塵だな」

リコルが死んだと思われた次の瞬間、空から声がする。
「沖田ぁぁぁあああ!!」
何とリコルは箒に跨り、空を飛んでいた。そのまま沖田に向かって急降下する。

「魔法使いにでもなったつもりかよ!?」
「これで最後だ、沖田!!!」

箒の先から、黒の粒子が噴き出す。リコルはそれを巧みに操り、沖田の右腕をぶった斬った。

108キャプテン:2022/08/21(日) 21:44:15
砂塵を箒が吸い上げ、刷毛の噴射口に収束する。
「掃き出せ、ヤノハハキ…加速し撃ち出せ、ブルームスター!!!」
黒い閃光が集中線となって砂塵を撃ち出す。沖田の体が散り散りになって消し飛んだ。
「…はぁ…はぁ…。」

撃ち出された砂塵が空中に漂う…そこから血や黒い塊が合わさり、沖田の体を作り上げる。
「無明剣…一度、切り傷を塞いでも、完全に塞ぐわけじゃない。今の俺の体には何万という自傷跡が残され、何回かは体を元に戻せる。」

リコルが力尽き、倒れ…横たわる。
「ここまでだな、リコル。」
「ああ、ここまでだな、沖田。」

109ノートン:2022/08/28(日) 19:46:03
薄れゆく意識の中、リコルはある出来事を思い出していた。
数日前、2人の男に会いに病院を訪れたリコル。男たちの全身は包帯に巻かれており、酷い傷だった。
「名古さん、花園さん。ありがとう、俺を助けに来てくれて」
「はぁ?勘違いすんなボケ!お前の為じゃねぇ、早川組の為だ!」
「そんな怒鳴らなくても…」
「リコルよ。もしオズマって男に会ったら伝えといてくれねぇか?『次こそはテメェをぶっ飛ばす。だから、さっさと早川組に戻って来い』ってな」
「分かった。大事なんだね、早川組が」
「当たり前よ!早川組は俺の居場所だ。あそこだけは、ぜってぇ裏切らねぇ」

そして現在。リコルはヨロヨロと立ち上がる。
「オズマは死んでしまった…。だが、この早川組は名古さんたちの大切な…だから死守する!お前なんかに好きにはさせない!」
「名古?あいつらもお前とグルかよ。安心しな、名古も花園も後で殺しておいてやるよ。皆殺しだ」

110キャプテン:2022/09/01(木) 21:01:25
…プチン。

沖田が刀を構え、リコルの首に当てる。
「言い残す事は…悪い、聞く気無いや。」
沖田が刀をリコルの首に振り下ろそうとする…

動きがピタリと止まった。

「(体が…動かない。)」
沖田の腕がバキバキッと音を立てて背中に回る。足もバキバキッと音を立てて背中に回る。沖田が悲痛に叫ぶ…叫ぶ…叫ぶ。
「沖田…俺の能力を効かせた塵をアンタの体の複数箇所に混ぜた。その体は俺の自由自在だ。」
「?!…さっき体をくっつけた時、まさかアンタが撃ち放った黒い塵が体に混ざって?!」
今度は沖田の首が無理矢理反り帰ろうとする。
「嫌だ…俺を切らせろ…切らせてくれ!!!」
「ねじり折る…流石にくっ付けれないかな?」
バキバキッ…首の折れる音。沖田の体が見るも無惨な姿となった。

「死なせてやったんだ…感謝しろ。」

111ノートン:2022/09/03(土) 11:27:00
沖田を倒し、気が抜けたリコル。その場にバタンと倒れ込んだ。
「勝ったぞ…うぉぉおおお!!!!」

身体中の傷が軋む中、勝利の咆哮を上げた、その時だった。殺気。後ろからだった。
「大したもんだ、あの沖田を倒すとは。だが本当は俺が殺したかった…フランの仇だ」
現れたのはスーだった。いつからそこに居たのか、見当も付かない。

「嘘だろ…このタイミングかよ」
この世界線での3度目の邂逅。リコルは箒を使い、ヨロヨロと立ち上がる。
「いい加減しつこいぜ…来いよスーさん。決着を付けてやる」

スーも剣を抜くが、突然ぶつぶつと独り言を呟いた。
「分かってる…分かってるよ干潟さん。これが俺のやり方だ」
スーの目的は、復讐か?それとも…?

112キャプテン:2022/09/11(日) 21:51:05
スーがリコルの足元の死体を険しい顔で見る。
「沖田を殺すのは仕方ない…だが、この殺し方は…人間性を疑うぞリコイル?!」
「その名で俺を呼ぶなスーさん!!!俺の名はリコルだ!!」
「昔の名を捨て、過去を…無かったことにする気か?青空隊を…ヒュペル達を!!」
「うるさい!!あんな過去、本当は思い出したく無かった?!今はココが俺の居場所だ!!」
スーが構える。
リコルも構える。
「わからせてやる、俺の世界の復讐を!!」
スーが叫んだ。
リコルが箒を振る。塵をジェット噴射させ加速する箒。それとスーの炎波刀がぶつかり合った。

113ノートン:2022/09/16(金) 20:47:56
炎波刀…五代秘宝の一つ。炎を操る事が出来る。さらに、炎の円を作り出し、中にいる能力を一時的に消す事が出来る。

炎波刀を自在に操り、容赦無く斬りかかってくる。斬撃を避けても、溢れる炎があり得ない角度から攻撃してくる。
「熱い!!」
避け切れない。炎はリコルの負傷した足を燃やした。

一方リコルは黒の粒子を高速で放つ。炎波刀の柄の近く、恐らく剣のデザインであろうくぼみの部分を執拗に、何度も攻撃した。
「どこ狙ってるリコル!まだ能力を使いこなせてないようだな!」

リコルは能力をコントロール出来ていないのか?否、リコルの脳裏には、ある1つの策が浮かんでいた。
(これしか無い…炎波刀を破壊する!炎波刀がなければスーさんは能力を使えない…!)

114キャプテン:2022/09/25(日) 21:16:36
「ブルームスター、加速振動…切断!!」
リコルが箒を振り放つ。先から砂塵が刃の形になり加速振動し、周囲の物体を切り刻んでスーに迫る。…ボッ…。スーの刀が放つ炎が砂塵を燃やし、ただの砂埃となる。

砂埃の中からリコルの姿が現れ、スーの刀に触れブルームスターを発動する。だが黒粒子は焼かれ、リコルの全身が炎に包まれる。
「熱い…アツい…!!」
地面に必死に転がり、炎を消す…体に火傷が残ってしまい、うまく体が動かない。
「その程度か。」
「(刀に触れられもしない…クソがッ)」

115ノートン:2022/10/05(水) 21:03:46
「最後の一撃だ」
スーが放つトドメの一撃。火がリコルを覆う。その時、リコルの周りを液体のようなものがグルグル回り始めた。
「また砂をまとったのか!?だが無駄だ、砂ごと焼いてやる」

しかし、ジューッと水分が蒸発する音がする。
「何だと!?」
「これは血さ。沖田の血、それに俺の血をかき集めて、ブーストをかけた。血のシールドだ」
なんとリコルは血でスーの炎を防いでいた。更にリコルは攻撃に転じる。

「見なよスーさん。あんたのその剣、俺が攻撃した所だ」
スーは炎波刀の柄近く、くぼみの部分を見る。ごく僅かな、小さなヒビ。そこから色が茶色に変色していた。

「俺の剣に何をした!?」
「知ってるか?血の成分は鉄分。血は剣の錆の原因になるんだ。そして俺の能力で錆にブーストをかけた」
剣に発生した錆が、とてつもない勢いで進行して行く。

「スーさんの炎波刀…錆を使って破壊する」
錆は止まらない。スーの炎波刀は次第にボロボロになって行き、柄の部分でボキッと折れた。

116キャプテン:2022/10/09(日) 21:18:33
「…く、この?!」
リコルが足払いをくらい、浮遊感に襲われる。胸ぐらを掴まれ、地面に叩きつけられる。スーがその辺にあった早川組員の刀を握り、リコルに突きつける。
「スーさん…わかってる。俺は酷い奴だ。アンタの世界を消しておいて、今の世界を守りたがってる。わがままでどうしようもないほどの大クズだ。」

…スーが溜息混じりに刀を手放す。
「ここでお前を殺せば…お前と同じになる。俺の世界のためにこの世界を消せば…それでも、お前と同じになる。」

スーがリコルに険しい顔を見せ、屋敷の外へ歩いて行く。
「そんなのは、『アイツら』が許してくれる訳がない。」

117ノートン:2022/10/13(木) 21:29:27
スーはある人物に電話をかける。
「バッカス!お前から連絡してくるとは珍しいな」
「ドン、早川組まで車を手配してくれ。クソガキが倒れてる」
「…リコルの事か?殺したのか?」
「殺してねーよ。だが虫の息だ。このままほっとけば死ぬ」
リコルは戦闘での疲労と出血多量で指一本動かせない状況だった。

「バッカス!このままリコルが死ねば、復讐が果たされるんじゃねーか?」
「決めたんだ。俺は…リコルと共に仲間を救う道を選ぶ」

電話を切るスー。復讐に取り憑かれていた頃の、暗い表情とは対照的に、今のスーはキリッと前を向いていた。
「待っててくれ。幽、キャップ、皆んな…。必ず助けるからよ!」

118キャプテン:2022/10/23(日) 22:23:30
バッカスが電話を切り、腕時計を見る。
「クソバッカスッ…スーの野郎、俺にリコルを押し付けやがって、いい性格してやがる!!」…

…ホリデー、都会のど真ん中。
ドン↑ドンドン↓ドン↑ドンドン↓ドン↑(太鼓の音)
「ヘ↑ア〜ア〜アへーへーへー↓へー↑ヤ↓ヘー↑ヤ↓へーへーへー↓…」
リズムに合わせた甲高い歌声。
ネイティブアメリカンの民族衣装に身を包み、褐色の顔に赤や白の色料で模様を描く。頭に鳥羽の被り物をすると高らかに叫んだ。
「『泣くことを恐れるな。
  心が解き放たれ、
  悲しみから自由になれる。』」
ホリデーの気持ちの整理はついた。…何故か観光客や通りすがりの人々が、パシャパシャ写真を撮り、時には握手を求めた。

119ノートン:2022/10/30(日) 23:50:17
オットセイ跡地ー。瓦礫の下にターグの研究室はあった。入り口は無い。ターグは自身を黒の液体に変化させ出入りしていた。

「ヘ↑ア〜ア〜アへーへーへー↓へー↑ヤ↓ヘー↑ヤ↓へーへーへー↓…」
昼間の眩しい太陽に照らされながら、オットセイで歌を歌うホリデー。バッグからある物を取り出す。その名も”C4-パンデミック”。乾電池程の小型サイズだが、ダイナマイトと同等の威力を誇る小型爆弾である。

「この爆弾は村に伝わる禁忌。祭事でインディアナの魔除けとして使われる危険な代物…。ターグ、あんたは村にとっての魔物よ。この爆弾がピッタリだわ」

オットセイの瓦礫に爆弾を無数にセットし、ホリデーはボタンを押した。ドゴドォン!ドゴドォン!と凄まじい爆破音が次々と鳴り響く。
瓦礫の部分がベコっ!!と凹んだ。地下研究所の天井が崩れ落ち、上にあった瓦礫が次々と雪崩れ込む。

爆音が鳴り止むと、土煙が辺り一面を覆った。その時ホリデーは、強烈な殺気に当てられ戦闘態勢を取る。

目の前に黒いドロドロとした液体が姿を現す。次第に人間の姿を形成し、ターグとなった。
「貴様…ホリデーか。よくも私の研究所を…研究所を…貴様ぁぁぁあああ!!!!!」
「爆弾で死ねばよかったのに…やっぱり人間じゃ無くなったのね、あんた」

120<削除>:<削除>
<削除>

121キャプテン:2022/11/13(日) 16:42:15
ホリデーの足が伸び、蹴りをかます。足はターグの液状化した体にのめり込む。
「オクト…吸引しろ!!」
足に無数の吸盤が現れ、キュウッキュウッうなる。…しかし、びちゃびちゃ液が飛び散るだけで、なにも起こらない。

「(液体相手じゃ吸盤で密閉できずに吸引できず、圧殺が効かない。)…なら。」
「(コイツ、皮膚が軟化するのか。打撃は効かんな。)…なら。」

覆い尽くして圧死させる!!!

122ノートン:2022/11/20(日) 13:36:56
数日前、戦闘前の会議にてー。
誰が誰と戦うのか?その配役で揉めていた。

「ふざけんな!!」
リコルはアップルソルジャーの胸ぐらを掴む。
「俺とホリデーは化け物と1対1で戦う。なのに祖と寿限無に対してペプシマン、キャプティ、ノートンの3人をぶつけるだと?明らかにバランスが悪いだろ!!」

アップルソルジャーはため息を吐く。
「離せリコル。俺は敵味方全員の能力を冷静に分析した結果、この配役を選んでいる」
「バランスが悪いって言ってんだ!せめてホリデーにもう1人付けろ!!」

ペプシマンがそっと、リコルの肩に手を置く。
「私たちに圧倒的に足りない物、それは情報だ。むやみに突っ込んでも巨大企業は倒せない。少数精鋭で敵の頭を叩く。それにはアップルソルジャーの知恵と情報力が必要なんだ」
「だからって…いきなりこんな奴信じるのかよ!?」

ドーヂがタバコをフーっと吹かす。
「ギャーギャー喚くな餓鬼。テメェはただ指示に従ってりゃいいんだよ」
「何だと!?このクソ野郎!!」

リコルが殴りかかろうとするが、ドーヂが一喝する。
「やかましい!!!!」
リコルの手が止まる。
「これがテメェの首突っ込んだ世界なんだよ。仲間の命保証出来るほど甘くはねぇ。嫌ならこんな作戦辞めちまえ!」

やり場の無い感情を押さえつけるのに必死なリコル。そんな彼に、ペプシマンはボソッと耳打ちする。
「安心しろリコル。ホリデーには、とっておきの奥の手を準備してある。あの子を死なせやしないさ」

123キャプテン:2022/11/27(日) 15:17:14
「(奥の手?)」
…現在。
ターグのドス黒い粘り気のベタベタな生物が、ホリデーの全身吸盤の体がグニャグニャな生物…お互い覆い合い、飲み込もうとする。

化物 対 化物

まるでモンスターパニック映画の様な、非現実的な、そんなイメージを連想させる光景だった。
「クラーケ!!ディーププール!!」
ホリデーが身体中の吸盤同士を合わせ、黒い真空空間を発生させ、ターグの体が真空に飲み込まれる。
だが形を変える程の真空の圧力も、ターグの液体の体にはさほど意味が無かった。

ビチャビチャ飛び散った液体が一つの人型になる。
「あまり、意味は無かったな。」
「ハァッハァ…(キツい戦いだ。)」

124ノートン:2022/11/30(水) 12:25:51
クラーケ…全身をタコ化させ、滑り・伸縮性・吸盤を兼ね備えた姿へと変態する、ホリデーの進化能力である。髪の毛すらもタコ化している彼女を見て、ターグが取った行動は…。

「お前、美味そうだな。喰わせろ…喰わせろぉぉおお!!!」
ターグは黒い巨体を液状化させる。まるでホースから勢いよく水を出すかのごとく勢いでホリデーの頭部目掛けて突っ込む。牙を剥き出しにして噛みつくが、間一髪の所で避ける。しかし…。

「ウゥ…」
ターグはムシャムシャと何かを食べていた。

「あいつ何してんのよ…痛っ。何この痛み!?」
ホリデーは頭を触る。手に血がドバッと付いた。
「まさか…私のタコ化した髪の毛を食っているの!?」

対峙したホリデーが感じた違和感。昔会ったターグは正気とは思えぬ言動を長々と、自慢話のように話すサイコパスな考えを持っていた。

しかし、黒い怪物と化したターグ。全身はまるでペプシマンのような巨体と筋肉に覆われながらも、身体はドロドロと自在に液状化する。剛と柔を併せ持つ食人鬼となり果てていた。

「食ってやる…クッテヤル!!」
「ターグの性格がまるで違う…。黒い化け物になって、自分を制御出来なくなってるの!?」

125キャプテン:2022/12/06(火) 20:48:20
「グチャッグチャッ…グギギャ。」
ターグが不敵に笑う。右上半身を黒く液化し、瓦礫の中に突っ込んだ。そして取り出される。
『大量の鋭い瓦礫の破片』
それがターグのドス黒い液体にへばり付く。

「まさか…ヤバい!!」
ターグがドス黒い腕を鞭のように伸ばして打つ。ホリデーの軟らかい体がターグの液体の腕についた『瓦礫の破片』に当たり、切り傷を負う。
「痛ッタイ!!!(私の体は…軟体とはいえ所詮、固体…奴の液体の体と違って、斬撃への耐性は がない!!!)」

…そして何度も何度も破片に切られ、痛みに叫ぶ…ホリデーの体は切り傷で満身創痍になった。

「グフゥハァッ…弱ったな…こりゃ。」

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130ノートン:2023/03/14(火) 19:12:32
「ターグの能力…あれは弱体化させる事が可能かもしれない」
全てのプランが決まった“夜の会議“の数日前の事だった。アップルソルジャーが突如、ペプシマンに語り始める。

「シュワー…ターグか。散々実験されたからもう顔も見たくないが。何か手はあるのか?」
「俺が見た奴は、食人衝動に駆られ、自身を制御出来ていないように見えた。それだけじゃない。内なるペプシ細胞に飲まれないよう、必死に抵抗しているようにも見えた」
「つまり、ターグは完全に自分を制御出来ていない…?」
「そうだ。その隙こそ、奴の弱点でもある」

アップルソルジャーはある写真をペプシマンに見せる。
「これは何…ウッ!!??」

思わず写真から目を逸らすペプシマン。写っていたのは、人間の死体が大量に入った木箱だった。

「辞めてくれ!!何考えてる貴様!!」
ペプシマンはアップルソルジャーの胸ぐらを掴む。

「落ち着け!これは奴が食った人間の死体だ。そして、この死体を解剖した結果、ある法則がある事が判明した」
アップルソルジャーは紙を見せる。
「血液型A、男、年齢30前後、etc…何だこれは!?」
「奴が無意識に好む人間のタイプだ!この条件に当てはまると、高確率で餌食にされる」
「まさか、生きた人間を餌にして奴の動きを封じる気か!?」
「そうだ」

131キャプテン:2023/03/21(火) 21:49:52
…現在。
「オクト…クラーケ!!」
パンッ!!
ホリデーが両の掌同士をおもいっきり叩く。吸盤同士が打ち合い、空気を押し出し、砂埃が舞う。ターグの視界が塞がる。
「見え…ない。」
砂埃が晴れると…ホリデーの姿は無かった。ターグが辺りを見渡す。地面にポツッポツッと血の跡が外へと続いている。
「逃げたか小娘。だがあの傷ならそう遠くまでは逃げられまい…クックック。」
ターグが血の跡を追う。

…外ではホリデーが足を引きずり、傷を抑えながら必死に走る。
「奴は必ず追って来る…後は…。」

132ノートン:2023/05/06(土) 17:11:43
ホリデーを追跡するターグ。
しかし、ターグの体に起きている異変を、直に感じ始めていた。
「小娘を殺す!だが何だこの匂いは…無性に腹が減る…理性が…タモテナイ…」

ホリデーが逃げた先は工場の廃屋だった。奥に進むと古びた溶鉱炉があり、何とそこには、大量の血液が入っていた。

この作戦の提案者は、アップルソルジャーだった。作戦会議での会話にてー。
「奴の食人衝動、それを逆に利用する」
アップルソルジャーは胸ポケットから血液のサンプルを取り出した。
「本物の人間を餌として利用すれば簡単だが、お前たちの流儀に反するだろう。だから知り合いに頼んでこいつを作った」
「これはまさか…」
「そうだ。ターグが好む遺伝子の血液。奴がこいつを貪っている間の隙を狙え。単純だが、効果的なはずだ」

アップルソルジャーは、ホリデーの肩をポンと叩く。
「但し、その隙に奴を仕留められなければ、ゲームオーバーだ。同じ手は2度通用しない」

ホリデーはアップルソルジャーの腕を振り払う。
「舐めんじゃないわよ!やってやる!!」

133キャプテン:2023/05/10(水) 20:38:49
現在…
『餌ダ餌ダ餌ダ餌ダ餌ダ餌ダアアアア!!!』
黒く蠢く粘着質の液体がターグの体から飛び出し伸び…溶鉱炉に貯まる血液へと飛び込む。
「クソッ罠だ、言うことを聞け!!」

血液の中から『血液塗れの女』が現れる。
「閉じ込めろオクト…アクアリウム。」

ホリデーが吸盤同士を合わせ広げる。黒い液体生物が見えない球体に閉じ込められかける…ターグが必死に繋がっている残りの黒い粘液を掴み引っ張る。
「(吸盤の圧力による…真空の球体か)…まさか血液の中に隠れていたとは、恐れいったよ。」
「クソッ、さっさと剥がれやがれ!!」

ホリデーとターグが互いに黒粘液の生物を引っ張り合い、綱引き状態となる。

134ノートン:2023/05/13(土) 21:35:28
ホリデーの足は8本。4本の足で黒い生物を引っ張ると同時に、残りの4本で何かを作り始めた。
「こいつは渡さんぞホリデー…!?貴様、何をしている!!」

ホリデーは真空の球を作り、ターグの足場を次々と破壊し始める。体勢を崩したターグは転げ落ち、隙を着いたホリデーは黒の怪物を真空のボールに閉じ込めた。

「何なのこの黒いのは…宿主の体から抜けたのに、何で生きてるのよ」
黒の怪物は、スライムのように奇妙に動きながら、ターグの体に戻ろうとしていた。

「か…返せ!それは…私の物だ!!」
「黙れ!」
暴れるターグを抑え付けるホリデー。

「最後に質問があるわ。ワールドは今、どこにいる!」

135キャプテン:2023/05/20(土) 19:52:48
「…パキンソ村を知っているか?」
「確かリコルが前に居た世界にそんな村が。」
「今も存在している。行けるかどうかは…な?」
「どう言うこと?答えて!!」
「そこに天狗も居る。」
「何ですって?!」

突然、ホリデーが倒れる。皮膚が黒く変色する。
「ターグ貴様、私の体に化け物を…クッ。」
「時間稼ぎは終わりだ…私の勝ちだホリデー!!」

バシュンッ…ターグの体が一瞬で消滅した。
「こっちも時間がかかったよ。『アクアリウム』…真空壁を二つ広げ、押し潰し合い、距離をゼロにする事でお前の体を消した。」

真空に閉じ込めた怪物が消滅し、ホリデーの体からも怪物の黒い液体が流れ出て消滅した。
「…キモッ!」

136ノートン:2023/05/27(土) 14:13:46
時は少し遡る。ペプシマン達3人はブラックボックスの本社前に居た。そして彼らの前に、祖と寿限無が現れる。

「シュワ。まさか本当に出て来るとは…想像以上に素直じゃないか」
「会社で暴れられても困るだけだ。中には社員もいる」
ペプシマンはクイっと車を指差す。
「場所を移そう。私達も一般人を巻き込みたくはない」

1時間後、周りに人気の無い荒野に辿り着いた。キャプティが話し出す。
「俺たちに降伏し、ワールド討伐へ協力しろ。返答によっては暴力が必要になる。これ以上の譲歩は無い…答えろ」

祖がケタケタ笑い出す。
「馬鹿か貴様らは?横並びで考えるなよ…貴様らの立ち位置は、私の遥か下にある事を忘れるな。寿限無」
名を呼ばれた少年は前に出る。

「シュワ!?まさか、そんな子供に戦わせる気か!?」
ペプシマンの言葉に寿限無は呆れていた。
「ねぇパパ、あいつ僕の事バカにしてるの?」
「そうだ寿限無。見下してるのさ、お前の事を…分かるな?奴ら3人の首を取れ」

ドスン、ドスンと巨大な地響きが近づいてくる。同時にペプシマンがガタガタ震え始める。
「何だ、この音は!?」
「まさか…ダディ…なぜ…死んだ筈なのに!?」

そこに現れたのは、ペプシマンとペプシウーマンの父、ペプシダディ。
体の大きさはペプシマンより一回り大きいが、体型はペプシマンと真逆。中年親父のように腹は出ており、全身太っていた。

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138キャプテン:2023/06/07(水) 13:48:07
「(2人のどちらか…死者に関する能力…か?)」
「貴様らダディを…シュワー!!」
ノートンが思考する中、ペプシマンが怒りに任せ、祖に真っ向から突っ込む。

「悪いノートン…。」
「…キャプティ?」
「…この荒野にはガラスが無い…戦えない。」
「…ハァ?!戦闘中だよ?」
「いや、ビルで戦うと思ってたから。ビルの窓を利用しようと思っていたんだが…すまない。」
「どうするんだ?」
「…ちょっとそこら辺探してみるよ。」
「本気ですか?」
「本っ当にゴメン、しばらく任せた!!」

ガシッ。
キャプティの体がダディに掴まれる。
「助けてノートン!!」

139ノートン:2023/06/13(火) 20:54:58
ノートンは指先にエネルギーを凝縮した。
「山ビーム!!」
ビームでダディの腕を弾き飛ばし、急いでキャプティを引っ張った。

「何やってんだキャプティ!!会議で何度も話し合ったじゃないか!!一般人に危害が及ばないように荒野で戦う…聞いてなかったのか!?」
「ゴメン…勘違いしてた。でも確認を怠ったのはお互い様だろ!」

言い争う2人を見て、寿限無は笑っていた。
「ねぇ、よそ見してる暇なんてあるの?」

2人の背後にいたダディは、猛スピードで巨大な拳を振り下ろした。
「…しくじった!!」

バチッッッ!!!と凄まじい音がする。
「シュワ、すまない2人共。頭に血が上っていた」
何と、ペプシマンがダディのパンチを受け止めていた。メキメキと音がする。ペプシマンの足は地面にめり込んでいた。
「両手で受け止めてやっと互角だ。相変わらずな怪力だな…ダディ。もうやめてくれ!!私達は、唯一無二の家族じゃないか…」

無言のダディ。咆哮虚しく、ダディはペプシマンの顔面を殴る。
「ぐあっ!!??」
激しい勢いとスピードで、ペプシマンの顔面は、地面にめり込んだ。

140キャプテン:2023/06/28(水) 19:23:09
更にダディがノートンに拳を振り下ろす。
「ノートン!!」
キャプティが飛び出し、ノートンの体を押し出す。拳がキャプティの体にあたり、地面にめり込んだ。

「ガハッ…クソッ死ぬほど痛い。」
キャプティが横っ腹を庇いながら立ち上がる。ジュゲムが無邪気に驚く。
「へ〜やるね、おじさん。(…ダメージがアレだけ?あり得ない。あのキャプティって人…あのダディに体を掴まれた時だって握り潰す命令をした…それなのに…なんで生きていられるんだ?)」

キャプティが不敵に笑う。
「(まだだ…まだバレちゃいけない。)」

141ノートン:2023/07/09(日) 21:26:43
何十年、何百年前だろうか…。
「釣れたよダディ!」
「シュワッハッハッハ!でかい魚だな、ペプシマン!さすがワシの息子だ」
幸せなダディとの思い出がフラッシュバックし、目の前の死人と重なる。

「やめろ…やめてくれダディ!」

明らかに平常心を失っていたペプシマン。そんな彼を見て真っ先に動いたのはをノートンだった。今、この状況を覆す一言。ノートンが放った言葉は、意外なものだった。

「ペプシ、邪魔だ」

小さな山はめ波をペプシマンにぶつけ、吹き飛ばす。近くの岩山に、ドゴっ!!とぶつかった。
「うっ…何をする、ノートン!!」
「お前が今すべき事を考えろ!!」

ノートンは再びダディに向かって行く。
「死体を操る術者は祖か寿限無のどっちかだ!後は分かるだろ?ダディは俺たちに任せろ!」

一方、キャプティは能力が悟られないよう巧妙に動き、反撃のタイミングを伺っていた。
「この能力を使い過ぎると俺は死ぬ。上手くいってくれ…」

142キャプテン:2023/07/16(日) 14:36:36
「あと…30秒か。」
バンッバンバンッバンバンバンバンッ!!!
ダディが自身の掌に拳を何度も何度も打つける。
「キャプティ、ノートン。ダディの掌は…?!」
シュンッ…ガシャンッ?!…ズガガガガガ!!
ペプシマンの話をさえぎり、祖の掌からガトリングガンが透過し出現し、顔面に撃ちまくる。
「お喋りが過ぎるぜペプシマン。」

「ハンドシェイク。」
ダディの掌がキャプティを捉え、腹に当たると強烈な衝撃波とともに吹き飛ばした。
「キャプ…ティ?」

バキッボトッ…キャプティの腹だった部分からガラスが溶け落ちる。
「グラスワーカー…体をガラス化する進化能力。そして…。」
グニャリ…ドプンッ…キャプティの体の溶けたガラスがダディを覆い尽くした。

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144ノートン:2023/07/18(火) 12:29:02
キャプティの体は、グラスワーカーによって粘度の高いガラスとなり、ダディを閉じ込めた。
ダディがパンチを繰り出すも、グニャリとガラスがまとわりつき、破壊する事は出来なかった。

「(死人だから窒息死は無理か…どう料理してやろうかな)」

一方ペプシマンは、ガトリングガンをギリギリの所で避けつつ、祖との距離を詰める。
「そのガトリングガンはどこから出した!」
「教えるわけないだろ」
今度は祖の腕からロケットランチャーが透過し出現。ペプシマンに打ち込んだ。
「死ね!!」

ドカンッ!!と激しい爆発が起こる。と同時に、ノートンは走り出していた。キャプティがダディを、ペプシマンが祖を引き付けている間に、ノートンは戦況を見ていた。
「消去法でお前しかいない…分かってんだよ、ダディを操ってんのはお前だ寿限無!!」
「く…来るな!!」

ノートンは掌にエネルギーを溜め、寿限無に撃ち込む。
「やまはめ…波ぁぁぁあああーーー!!!」

145キャプテン:2023/07/27(木) 19:20:53
突如、別の位置からの爆風。
衝撃で砂煙が舞う…次第に視界が晴れていく。
「ダ…ディどうして?!」

数十秒前…
祖がロケットランチャーの狙いを変え、ダディに何発も撃ちまくる。だがキャプティの体のガラス液は衝撃で変形しては元に戻った。

「こいつ…不死身のスライムかよ?!」

だが、ガラス液内のダディの両掌内でロケットランチャーの『複数の爆発が収束』していく。そして一瞬でそれは…弾け飛んだ。

…現在。
強大な爆発の衝撃と熱で焼け溶け弾けたキャプティが、重傷を負い倒れる。寿限無の前に来てダディが、ノートンの放ったエネルギーを両掌で受け止める。

146ノートン:2023/08/10(木) 18:53:19
ペプシダディ、能力名『ハンドシェイク』。
あらゆる物を『つかむ』能力は、ノートンのやまはめ波も例外なく手中に収めていた。ダディはやまはめ波を投げ返す。しかし、標的はノートンではなく、何とペプシマンだった。

「…シュワ!!??」
ロケットランチャーのダメージが残る中、やまはめ波の追撃を受ける。激しい爆音と共に、ペプシマンはその場に倒れ込んだ。

「ねぇパパ、こいつら弱すぎだよ」
寿限無が呆れた顔でため息を付く。そんな寿限無を見てノートンが吠える。

「なぜ俺を狙わなかった!!」
「馬鹿なの?3人の中であんたが一番弱いからだよ。ハンドシェイクの前では、あんたの技は全て無力。初めから眼中にないよ、メガネくん」
「ほざけ…”スパーキング・メテオ”」
突如、ノートンの全身から金色のオーラが吹き出し、髪が金色に染まっていく。さらに、眼鏡がパリンと割れる。

147キャプテン:2023/08/17(木) 21:53:30
「シュワアアアアアア!!!」
全員がノートンに注目する隙に、ペプシマンは立ち上がり、拳を地面に叩きつけ、炭酸水の気泡が溢れ破裂する。衝撃で砂埃が舞い辺りを覆い…祖が視界を失う…。
「砂の煙幕…か。」
「ゼロ距離射程だ…シュワー。」
ペプシマンが姿を現し、祖に近距離で拳を振る。

「弾け…『遮光旗』。」
強烈な光と共にペプシマンの拳と炭酸が弾かれた。祖は自身を『旗』で覆い尽くしていた。

「(シュワ?!アレは…なんだ?!)」
「(遮光旗はあらゆる物質…汚れを弾く)…次だ。」

旗が消え、今度は『燃える刀』が現れる。

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149ノートン:2023/10/07(土) 10:21:22
スパーキングは、代々受け継がれる能力である。

かつてノートンには師がいた。名を山仙人。ノートンにスパーキングを継承した者である。
「教えて下さい師匠!スパーキングの極意を!」
山仙人はノートンを突き飛ばす。
「ダメじゃ!何度言ったら分かる?この技を使ってしまったら…」

そして現在ー。金のオーラを纏うノートンを見て、キャプティが動けない体で必死に叫ぶ。
「やめろノートン!忘れたのか!?なぜ山仙人が死んだのか!」

話を遮るように、ダディが殴りかかる。しかしノートンは、何と片手でダディのパンチを受け止めていた。
「話してる最中だ…邪魔するな!!」

ノートンは片足で全体重を一瞬溜め、そのまま左手で猛烈なパンチを放った。結果、ダディは凄まじい勢いで空の彼方まで吹っ飛んだ。

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151キャプテン:2023/10/24(火) 18:28:31
…メガネが破れる…癖っ毛のパーマが金色に染まり逆立つ…全身が金色のオーラで包まれる…。
「…ネクロマンサー、死体操作対象を変更。対象の生前の能力を復活。」

ノートンの寿限無への攻撃は、空から降りてきた『老人』に立ち塞がられ、蹴りを腕で受け止められ阻止される。

…『よく動き、よく学び、よく遊び、よく食べてよく休む。これが山仙流の修行じゃ』…
一瞬の思い出…理解している。戦わなければならない相手だと…だが動けない…だが涙が止まらない…これは。

「…師匠。」
その一瞬でノートンは老人の肘鉄をくらい、血反吐を吐いて地面に叩きつけられた。

152ノートン:2024/02/26(月) 21:19:21
ボシュウウゥ〜〜〜…。
体から煙が上がり、ノートンの姿は元に戻る。
スパーキングメテオの反動で、指一本動かせない。
山仙人は無慈悲にも、ノートンにとどめを刺そうとする。ノートンは全てを諦めようとしていた。
「師匠…」

その時だった。間一髪…ペプシマンが猛スピードで走り抜け、ノートンを助け出す。キャプティも担いでいた。
「一旦引くぞ、2人とも!」

ペプシマンは一時離脱に打って出た。現状を見れば、正しい判断なのは火を見るより明らかだった。しかし…。

「仕掛けてきたのはお前らだ。そう簡単に逃すと思うか?」
燃える剣を片手に、退路を塞ぐ祖。
「死ね…炎波刀!!」

炎波刀を振り下ろす。膨大な炎が、ペプシマン達を飲み込んだ。

153キャプテン:2024/03/03(日) 12:04:14
しばらくして火が消え、寿限無がため息を吐く。
「やっと帰れるか。もうすぐアニメの時間だったんだよね。」

…焼け溶けたキャプティ…心臓を山仙人の突き手に貫かれたノートン…。
しかし、そこにペプシマンの姿は無かった。
「ペプシマンめ、アニメ録画しとけばよかったよ。」

154ノートン:2024/03/15(金) 22:19:41
ペプシマンは荒野を猛スピードで走っていた。いや、違う。ペプシマンは逃げ出したのだ。

最愛の父ダディに殺されかけ、更に大切な2人の友人を一度に失ったペプシマン。屈強な精神を持つ彼でさえ、今の状況は耐えられなかった。

「私はなんと愚かな選択を…」

走り去るペプシマンを眺め、寿限無が話し始める。
「パパ、あいつ逃げたよ。どうする?」
「ほっとけ。もう時期ワールド様が戻られる。我々もブラックボックスに戻るぞ」

155キャプテン:2024/04/08(月) 19:04:42
数時間前…ラス消防署訓練所。
バルト 対 ジェノ&ドーヂ(隠れ中)

バルトが床に触れる。
「『ペプシ化』…そして縮め、『ブリッジウェイ』」
「飛び斬り刻め、『セットスラッシュ』」
バルトの体が『白銀』に染まる。そして能力で『空間ごと距離』を縮める。ジェノの飛ばした『斬撃』はバルトの『硬質の肌』をかするだけ。

ザッシュッ!!!

ジェノが取り出した消防斧が、バルトの体幹を傷つけた。金属部分が『青銀』と『銀』の色をなす。
「(あの斧は?クソッ…ペプシ化に頼りすぎた!)」
「(『ペプシマンの斧』…これならいける。)」

156ノートン:2024/04/14(日) 21:14:20
「対策はしてきたという事か!」
ブリッジウェイ発動。一気にバルトとジェノの距離が縮まる。バルトはペプシ化した腕でジェノを殴り飛ばす。

「ぐぉっ!?」
吹き飛ばされるジェノ。そのまま壁に激突する。
「この斧は没収だ」
殴ったと同時に、バルトはジェノから斧を取り上げていた。

「人様のモン勝手に取り上げるなよ、署長」
ドーヂがフーッとタバコをふかす。手に持っていたスイッチをポチッと押した。

「!!??」
ドン!!と激しい音と共に、斧の柄の部分がキラっと光り、爆発を起こす。
硬質化した斧は無傷なままバルトの手から離れ、ジェノが再びキャッチした。

「ぐっ…斧に小型爆弾を仕掛けていたのか…小癪な!!」

157キャプテン:2024/04/25(木) 22:44:24
バルトがジェノから距離をとる。
「その状態の斧なら恐るるに足らん。飛ぶ斬撃も。」
「この訓練所、汗臭くて嫌いだったんだよ。セットスラッシュ!!」
部屋の壁、床、天井に大量の切れ込みが入り、破れる。一階に落下し瓦礫に埋もれる3人。

瓦礫からバルトが起き上がる。
「2人とも、瓦礫に隠れたか…どこから来る?」
バルトの足場の瓦礫からジェノの斧が飛び出す。バルトが瓦礫ごと斧を持つジェノを蹴飛ばした。
「グハッ(今だドーヂ!!)」
バルトの背後の瓦礫からドーヂが飛び出し、信号機をバルトの頭上に構え…。
「今日から信号機に転職だな…被りやがれ!!」

158ノートン:2024/04/27(土) 21:19:04
バルトに注入されたペプシ細胞は、単純な筋力強化だけの代物ではない。細胞レベルで変化した肉体は、反射神経すらも常人以上に進化させていた。
「私が最も警戒していたもの、それがお前の信号機だ!!」
「馬鹿な!?この距離で反応出来るはずが!?」

驚異的な反応速度で、ブリッジウェイでドーヂとの距離を一気に離す。そのまま壁に激突するドーチ。
「もう一度こっちに来い、胡散臭い男め」
再びドーヂを引き寄せ、片手で首を掴んだ。
「ぐっ…!?」
「貴様、いつだったか…私に啖呵を切ったな?悪を倒せるのは悪だけだと。やってみせろ」

バルトの腕が銀に染まり、ドーヂの首を徐々に締める。メキメキと嫌な音がし始める。
「ぐおぁぁぁあああ!?」

159キャプテン:2024/04/30(火) 21:17:27
「すまないドーヂ、時間切れだ。」
腹を抱え、ジェノが歩み寄る。バルトがため息をついて言う。
「この状況から逃げる気か?」
「いいえ…ドーヂに謝ったのは命懸けで時間稼ぎをしてくれたから。そして時間切れは…あなただ。」

バルトの体が…銀と青銀に染まる。ドーヂの首から手が離れ、咳込み倒れる。
「ペプシ細胞が…体が…重い…この色、まさか?!」
「この斧、ペプシマン本人の細胞を移植している。アンタの体に斧で傷を付けた時点で…アンタの体のペプシ細胞を取り込んで、動かなくなるって訳さ。時間がかかったよ。体には害は無い。」

バルトの険しい顔が解け…。
「ジェノ…お前の勝ちだ。」
バルトの頬を涙が伝った。

160ノートン:2024/05/03(金) 21:24:38
ドーヂがバルトの前に座る。
「じきに警察が来る。逮捕される前に教えろ。バルト…お前どこまで知ってる?」
「尋問しても無駄だぞ。私は負けを認めはしたが、貴様らに情報をくれてやるつもりもない。私の主はあくまでワールド様だ」

ジェノがバルトに近付く。
「息子を救たいんだろ?だからワールドの言いなりになってるんだろ!?俺達が…あんたの息子を生き返らせる。だから真実を教えてくれ!」
「無駄だ。出来るわけがない」
「出来るさ。俺達にはリコルがいる。そして、リコルには神エンドがいる!」

リコルを信じるジェノの眼差しに、バルトは不思議な感情を抱いた。
「…確かに、ワールドに従い何度も世界を改変してきた。だが未だ息子は生き返らない。ここらでお前たちに鞍替えするのもアリかもな」
「何度も改変した…だと?改変とはなんだ!?あんた達は一体何をしている!?」

161キャプテン:2024/05/06(月) 20:58:39
「…この世界、歴史に矛盾があるだろ?ワールドが『星同士を融合』して、そのせいで互いの『星の歴史』に矛盾が生じ…それで『世界の修正力』が働いて『世界の改変』が起こる…わかったか?」

バルトの説明に、ジェノが頭をかく。
「凄いことを…あっさり言いましたね。」
「簡潔に話しただけだ。」
「『二つの星を混ぜた世界』…歴史が変わる訳だ。」
「実際には多くの星や人々を犠牲にしているがな。」
「…最悪な事をあっさり言いますね。」
「…簡潔に話しただけだ。」

162ノートン:2024/05/12(日) 20:56:11
そして後日ー。仲間たちが、ペプシマンのモーテルに集まっていた。

「さぁて、状況把握の会議と行きますか」
ドーヂが仕切り始める。
「敵戦力の残りはワールド、祖、寿限無の3人。こちらの戦力は俺(ドーヂ)、リコル、ジェノ、ホリデー、スーの5人…で合ってるか?」
リコルはペプシマンを見る。部屋の隅でどんよりと体操座りをして、明らかに戦意喪失していた。

「ごめんなさいね、帰ってきてからずっとああなのよ。ノートンとキャプティの死が、かなり精神的ダメージになってるみたい」
ペプシウーマンがリコルに語りかける。
「仕方ないよ。ペプシマンには少し休んでもらう。それに、2人は俺が必ず生き返らせる」

情報屋アップルソルジャーが口を挟む。
「圧倒的戦力不足だな。まともに戦っても勝ち目は無いだろう。だが、有力な情報は得られた」

バルトから聞き出した“星の融合”説。この説から、様々な憶測が飛び交った。

「この話が本当ならウーマン、お前達の故郷…月だったか?その星も融合で消えてしまったのでは?」
ドーヂの問いに、ウーマンが困惑する。
「そんなはず無いわ…だって、今も見えてるじゃない!」

ウーマンが窓を指差す。夜空に美しく光る月が、そこにはあった

163キャプテン:2024/05/19(日) 22:11:32
突如、月が欠け…消えた。ペプシマンが目を瞑る。
「星の光は数光年先から届いている。実際には何年も前に月は融合消滅していたんだな。」

…ドーヂが強く語る。
「早川家…ファクトリーファミリー…ブラックボックス…どの組織もワールドに協力し、『世界の改変』を経て成長したと考えるべきだ。つまりワールド側につけば…みんな生き返らせれる!!!」

ジェノが付け加える。
「別の星と…多くの人々を犠牲にしてか?」

その場の全員に嫌な感情が流れ込む。
ゴンッ…リコルが自分の頭を壁に叩きつけ、全員が注目し静まり返る。
「ワールドを叩きのめして、全員を生き返らせさせる。これは…ただの俺たちのわがままだ。」

164ノートン:2024/05/23(木) 00:35:43
「夢物語だ。どうやって皆を救うつもりだ?」
ドーヂの問いにリコルは…。
「友人に会う。昔、俺の中にいた天狗。あいつに会えば、活路はきっとあるさ」

…一方ここは、リコルが暮らす地球から遠く離れたとある惑星。粒子が一つとなり、赤き天狗が姿を現す。
「しつこいのぅ、まだ追ってくるか」

グニャリと空間が曲がり、1人の魔女が姿を現す。
「追いかけっこは終わりだ。さぁ、私の所へ来い!」
「くどいのぅ。断ると言ったはずじゃ」
「少々、痛い目を見ねば分からぬか…グッドナイト流星群」

天から大量の隕石が、エンドめがけて降り注いだ。


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