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新リレー小説 第2部

1キャプテン:2021/05/17(月) 12:23:09
此処は…いったいどこだろうか?
夜、一つの流星が光の筋を尾に村外れの丘に落ちる。旅人姿の三人組がそこへと駆けていた。
「あの光の筋、見たかアンピー?」
先頭の若い男性が若い女性に話しかける。
「宿星、これでスーを救えるわJ・J!!」
続く若い女性が最後尾の若い男性に話し掛ける。
「不可解だぞマッキー。何で一つだけ?流星群の時期でも無い。」

先行していたマッキーが丘の上で立ち止まる。追いついたアンピー、J・Jもその場で下を見下ろす。そしてその光景に言葉を失った。巨大なクレーターのど真ん中、無傷の1人の和服姿の黒髪の少年が横たわっていた。三人が少年に駆け寄る。
「無事だわ。この服、さっきの村の子どもね。丘に居る時に偶然、さっき降ってきた宿星が宿ったんだわ。スーさんは残念だけど…仕方ないわ。先輩たちに頼んで青空隊に来てもらいましょう。」
アンピーがそう言うと意識の無い少年を背負う。

マッキーが夜空を見上げ、目を手で覆った。
「そうだな、仕方無いさ。(…ゴメンなスーさん、またダメだったよ。)」

2ノートン:2021/05/23(日) 22:00:09
村まで少年を連れて行くマッキー一行。暫くすると、少年は目を覚ます。
「うっ…何だ…体がダルい…」
「起きたか」

少年は隣にいたマッキー達を見て驚く。
「誰だ!?」
「驚かしてすまない…俺は青空隊のマッキー。今は夜中だ。君の家族が村のどこにいるかも分からないし…。とりあえず空き家に寝かせといたんだ」

少年は自身の体がぼんやり光っているのに気付いた。
「!!!???」
「驚くのも無理ない。君の体には宿星が宿ったんだ。落ち着いて聞いて欲しい」

マッキーは宿星の事、青空隊の事を説明した。そして、とある紙を少年に渡した。
「能力の事で困った事があれば、この住所に来てくれ。君の力になるよ。君、名前は?」
「…リコイル」

そして村を後にする3人。
「良かったの?青空隊に引き入れなくて」
アンピーがマッキーに問う。
「自分の進みたい道に進むのが一番だしさ。それに、青空隊は命懸けの仕事だ。正直オススメ出来ないね」

マッキーはクリーナー、灰色の王、そして自身の兄ミッキーとの激闘の過去を振り返り、ボソッと呟いた。

3キャプテン:2021/05/26(水) 19:43:33
…数日後、その村で事件が起きた。

ガサッ?!
「…何だウサギか、ビックリさせんなよ。」
青空隊より派遣された2人の男性が捜査にあたっていた。1人は制服をきちんと着こなし、もう1人はダルダルの長袖姿だった。
村の家々は瓦礫の山となり、あちこちに”異様な黒く光る粒子“が浮遊していた。突如2人が身構える。瓦礫の裏からボロボロの着物姿の少年がヨタヨタと歩いて来る。表情は虚ろで顔を涙が伝う。一人が急いで駆け寄る。
「大丈夫?私はヒュペル、彼はカロだ。君は?」
「…リコ…イル…リコイル…ブラッシ。」
そこで少年は意識を失った。もう一人が見渡す。
「他の村人達はどこへ…何より、誰がいったいこんな事をしたんだ?」

4ノートン:2021/05/29(土) 20:12:05
村を隅々まで調べたが、やはり人はいなかった。
「この粒子…これも原因か?何なんだこれは」
カロが不気味に見つめる謎の粒子。ヒュペルはボソッと呟いた。
「俺の”レッドアクセル”の粒子の粒に似てるな」
カロがヒュペルを見る。
「これ以上は俺たちじゃ分からない。とにかくリコイルを保護だ。青空隊へ戻ろう、ヒュペル」

一方、青空隊。

夜にも関わらず、隊はお祭り騒ぎとなっていた。

スーの余命も残り2週間を切ったこのギリギリの状況。誰もが諦めかけていたその時、水墨鳥が吉報を持ち帰っていた。幽が水墨鳥の元へ駆け寄る。

「本当なのよね!?水墨鳥!宿星を見付けたって…」
「本当よ」

水墨鳥は掌を広げて見せる。そこには、美しく青く光る宿星がフワフワと浮かんでいた。

5キャプテン:2021/06/01(火) 21:41:35
同時刻。
村を飛び出た白兎は放埒していた。そして偶然にも、悔しそうに地面に拳を叩きつけるマッキーただ一人の姿をみつける。
「スーさん、クソ!!宿星さえあれば!!」
唸るマッキー。まだスーの状況が伝わっていなかった。このすれ違いが最悪の結果を生む。ウサギはマッキーの目の前でコインを取り出し、宙へと弾いた。
「貴方はラッキー?アンラッキー?」
「…えっ?!」
コインが落ちるのが見えた…

…真っ赤な流星が一筋伸び、それがあり得ない角度に曲がると地上へとぶつかり大地を強烈に揺らす。

6ノートン:2021/06/05(土) 21:45:07
「今の赤い流星は…まさか宿星か!?」

赤い流星はすぐ近くに落ちた。アンピーとJJを置き去りにし、一目散に走るマッキー。
現場に着くと、そこには巨大なクレーターがあった。モクモクと上がる黒煙。その中心には…。

「何だあれは…赤い…天狗?」
天狗がマッキーを見る。マッキーは、まるでマーベル映画”ウルヴァリン”のように、拳から鋭い爪を生やした。
「新しく俺の命となった再生星。まだこの能力に慣れないな…」

マッキーは爪の切先を天狗へ向ける。
「何者だお前!人間じゃないな!?宿星か!!??」
「我が名はエンド。破壊と構築を司る神だ」

神と言うワードを聞き、様々な感情が過ぎる。過去にいた神々…ゴッドパーキンソン、無有、デヌス、オリジナル…どの神も世界を滅亡の危機へ陥れた危険な存在だった。

7キャプテン:2021/06/09(水) 20:45:25
「(さっきのウサギ…宿星…願い…まさかオレがこの神を呼んだのか?!オレの願いせいで。またオレのせいで…皆んなが?!)」
マッキーの突き出す拳の爪が後悔と躊躇で震える。するとエンドの天狗姿が散り散りに欠け始める。
「ちょ、待っ…?!」
その姿が赤い粒子となり風に流された。マッキーの肩が震え、そして声にならない深い後悔の叫びをあげた。…

…「逃げねば、あの魔女から。」
エンドの身体がボヤける。
「隠れるしかない。今は誰かに…このエンドを封じ込めるしか。」
そして人気の無い山の中を彷徨った。

8ノートン:2021/06/12(土) 22:45:13
一方、青空隊。
青く輝く宿星を、スーは体内に入れる。心臓が、身体が、徐々に活気を取り戻すのをスーは感じた。

「やったな、スー!」
キャプテンエジプトが右手を差し出す。
「ありがとう、友よ!」
スーとエジプトは、熱い握手を交わした。

「正式にお願いするわ、スー。受け取って…くれるわよね?」
幽は”青空隊 隊長”のバッヂをスーに渡した。
「あぁ。隊長として青空隊をまとめる。それが俺の、青空隊メンバーへの恩返しだ」

バッヂを受け取るスー。ここに、新たな青空隊 隊長が誕生した!
「干潟さん…見てて下さい。俺の活躍を!」

エジプトは水墨鳥の元へ行く。
「しかし水墨鳥、一体この宿星をどこで?」

9キャプテン:2021/06/14(月) 21:06:08
「企業秘密よ!!あっちょっとトイレ。」
そう言うと水墨鳥はお祭り騒ぎから抜け出す。トイレの個室へ入ると一気に顔が苦痛に歪み、そして弱々しく光る胸を強く抑える。
「グハッ!…これで良かったんだ…コレで!!」…

…数日が経過した。
「リコイル・ブラッシか…どう思うヒュペル?」
「カロ。あの子、警戒してか何も話してくれないよ。宿星も能力も未だ不明だ。」
二人がグラウンドを走るリコイル少年を見守る。
「まっ、当たって砕けろかな?カロ。」
「ハァ〜、そうだなヒュペル。」…

…「マッキーが行方不明?」
スーが靴を履きながらエジプトに確認する。
「ああ、とりあえず外で打ち合わせよう。」
一人になったスー、靴の底から何か折り畳まれた紙を見つける。開いてみると…

『 スー・グラウンドへ

気をつけろ、俺たちの中に魔女が居る。

マッキー・ストレートより 』

…「何だ、コレ?」

10ノートン:2021/06/17(木) 21:42:26
「マッキー!?コレはお前なのか…何を伝えたい?魔女だと!?」
「おい、スー!」

スーはバッと後ろを振り向く。キャプテンエジプトがそこに居た。
「どうしたスー?そんなに焦って」
「キャップ!これを…」

エジプトに謎のメッセージを見せようとしたが、留まるスー。
「何だよ?」
「何でもない、すまん(何を考えてる俺は…青空隊のリーダーだろ!仲間を疑うなんて…間違ってる!)」
「変な奴だな…」

その頃、カロとヒュペルは自慢のフィギュアをリコイルに見せていた。
「これが主人公のハッピー。これがセバスチャン、これが…」
「知ってるよ、ボンボンでしょ?俺もこのアニメ好きだったんだ」
「そりゃ良い。気が合いそうだな俺たち」

ゆっくり、だが確実に…。カロ・ヒュペルとリコイルは打ち解けて行った。

11キャプテン:2021/06/20(日) 22:44:24
…とある雨の日だった。
「例のリコイルの居た、村の調査の結果だ…。」
カロが机に資料を広げ、ヒュペルが頭を抱える。
「青空隊には…秘密にするしか無い。とくにスーさんには…もしリコイルの正体を知ったら…。」
その話を扉越しに隠れて聞いていたリコイル、慌てて部屋へと戻り、窓から外へと飛び出した。

山の上、断崖絶壁の下をリコイルが雨に打たれながら呆然とのぞいていた。村での出来事を思い出す…
大人たちの声。
「リコイル、貴方は選ばれたのよ!」
「あの憎き青空隊を滅ぼすんだ!」
そしてリコイルの声。
「嫌だ…嫌だ…そんなの嫌だ!!!」
辺りを真っ黒い光が覆った。

…「もう、嫌なんだ。」
目を瞑ると地面の感触が消え、浮遊感とともに崖から落下する…しかし。
ガシッ?!…「えっ?!」
腕を誰かに掴まれる。崖にぶら下がる身体、リコイルがその掴む正体に訳が分からなくなる。…真っ赤な天狗?!

12ノートン:2021/06/25(金) 22:06:11
天狗はリコイルを引き上げる。邂逅する2人。
「あ…ありがとう」

天狗を見る。異形の姿だが、リコイルに恐怖心は無かった。

「名前は…?」
「エンド」
「人間じゃないな…何者だ?」
「それを知れば、お前は儂を畏怖し、遠ざけるじゃろう。知らぬ方がいい事もある。もう行け」
「そんな事ない!」

エンドは少し驚いた表情でリコイルを見た。
「命の恩人だ!正体が何だろうと、あんたには感謝の気持ちしかない」
「そうか…」

エンドは少し、嬉しそうな表情を浮かべる。そしてエンドの体は次第に粒子となり、バラバラに散って行った。

13キャプテン:2021/06/28(月) 18:50:01
結局、リコイルはヒュペル達の元へ戻る事にした。…帰り道の途中、雨の止み始めた頃、息を荒げるヒュペルに出くわした。
「ヒュペ…ル?」
呆然と立ち尽くすリコイルにヒュペルが駆け寄り…パチンッ。リコイルの頬を叩き、すぐさま体を抱き寄せた。
「人より自分を殺せる人は優しい奴だ。だがもうこんな事はしないでくれ…頼む!!」
リコイルの中で塞き止めていた感情が一気に溢れ出す。そして、ただただ泣きじゃくった…ただの子どものように。別れて探していたカロがその姿を見つけると、ため息混じりに笑みを浮かべた。

…数日後、スーの居る部屋にヒュペルとリコイルが入る。
「スー・グラウンド、この子がリコイル・ブラッシだ。よろしく頼む。」
「…そうか。まあ訳ありみたいだが、理由は聞かないよ。ようこそ青空隊へ。」
外でカロとヒュペルが話す。
「大丈夫なのか?本当に。」
「逃げていてもしようがない。当たって砕けろ…だろ?」

14ノートン:2021/06/29(火) 22:30:23
青空隊へ入隊が決まったリコイル。ヒュペル指揮の元で活動する事が決まった。
「宜しくお願いします、ヒュペルさん」
「改めて、宜しく」
ヒュペルはポンっとリコイルの肩を叩く。
「まずは能力の訓練を始めようか。青空隊にはどうしても”戦闘”が付いて回る。能力は自分の命を守る武器だ。最優先で身に付けなくちゃな」
「は…はい!」

その頃、高齢となり退職したリブタウンが青空隊に来ていた。
「また来たの?リブ。もう歳なんだし、いいのよ?毎日隊舎に顔出さなくても」
「いいんじゃよ。年寄りの日課みたいなもんじゃ」

そう言うと、リブは幽に新聞を渡す。
「何よ?これ」
「3ページ目じゃ。見てみぃ」

言われたページを開く。そして、幽に衝撃が走る。
新聞には『元青空隊・隊長を名乗る沖田総司 脱獄』の文字が書かれていた。
「沖田…隊でこの男を知る古株はお前くらいじゃろう。危険度はどうじゃ?」

幽は昔を思い出す。干潟が隊長に就任する前の話。その時の隊長が沖田だった。そのあまりの残虐性に、当時副隊長だった干潟によって投獄された。
「干潟ぁ!!俺はお前と青空隊を許さねぇ!!必ず復讐してやるからなぁ!!」

その鬼のような殺意は、幽の心に大きく刻まれていた。
「大丈夫か?幽や」
「ええ、大丈夫よ。今頃あいつが復讐に来ようが、今の青空隊なら簡単に倒せるはずよ」

15キャプテン:2021/07/01(木) 17:51:19
「山狩りだ。」
スーが青空隊全員を総集し、呼びかける。
「村人からの情報だ。真っ赤な天狗の姿…あの山に神が現れたに違いない。俺たちで倒すぞ。世界を救うんだ!!」

リコイルの鼓動が早まる。その山は以前、リコイルが赤い天狗と遭遇し、助けられた山であった。
「(一体、どうすればいいんだ?)」…

…雨が降り始める。マッキーが1人、山を登る。
「青空隊には魔女が潜んでいる。神…エンドに接触される前に俺が見つけ出さなければ。俺のせいで、また誰かが…。」

16ノートン:2021/07/03(土) 21:55:07
「被害はでてるんですか?」
リコイルはスーに問う。
「数名、その天狗に会った者がバラバラに消滅したと被害報告が出てる」
「そんな…」

スーはリコイルを見る。
「リコイル。今回の任務、お前はここで待機だ」
「えっ!?」
「相手は”神”の可能性がある」

スー達青空隊が過去に討伐した神々。ゴッドパーキンソン、無有、デヌス、オリジナル…。全てこの世界に存在する神話『ジ・マイス』に登場する神である事が分かっていた。そいて、今回の赤い天狗…。

「信じられないかもしれないが、赤い天狗”エンド”はジ・マイスに登場する破壊と構築を司る神だ。この情報が本当なら、死を覚悟する程の任務になる。リコイル、君は入隊したての新人」
「足手まといって事ですか」

ヒュペルがリコイルの肩を叩く。
「従うんだ、リコイル」
「…分かりました」

話を割って、アンピーが加わる。
「マッキーの事はどうするんですか、隊長!もう消息を絶って1ヶ月になる。マッキーは…マッキーは生きてるんですか!?」

J Jも話し始める。
「俺も、正直マッキーの事が心配で、神討伐の任務に集中出来ません!!」

17キャプテン:2021/07/08(木) 08:37:47
…あっけらかんとした青空隊本部。その空間にたった1人取り残されたリコイル。

小さい頃。
宿星能力者たちの争いにより廃村となった聖地パキンソ村、そこに後から移り住んだゴッドパーキンソンを崇めるパーキンソン教の信徒たち…そこに僕は居た。
…だが神々は青空隊や宿星能力者たちにより抹殺された。宿星能力の無い信徒たちは彼らを『神殺し』として忌み嫌った。
そして…僕は神復活のための生贄に選ばれた。

「エンド…あの助けてくれた天狗がそんな残酷な事を?何かがおかしい。…『情報源の村人』ってまさか?!」
リコイルが立ち上がる。
「行かなきゃ!!」

18ノートン:2021/07/11(日) 10:59:21
青空隊メンバーは、恐山へ向かっていた。その道中…。アンピーと J・ Jがついにキレる。
「もう、やってらんないわ!!」
「俺もアンピーと同じだ!!」

アンピーと J・ Jは隊服を脱ぎ捨てる。
「ちょっと…2人とも落ち着きなさい!!」
「幽さん、俺たちはマッキー詮索に専念する。止めても無駄です。俺たちは青空隊を抜ける!!」

それを見たスーは…。
「俺が話す。先に行っててくれ、みんな」

スーとアンピー、J・Jが残された。
「私達を引き留めるつもり?無駄よ隊長、私達は青空隊の任務なんかより、友達の命の方が大事なのよ」

「この件は極秘に動いていたんだが…すまなかったな、お前たちを精神的に追い込んでいたに、何もしてやれなかった」
「何の話よ!!」

スーはあるメモを見せる。その筆跡は明らかに…。
「マッキー!?マッキーの字だ!!」
「魔女?何なのよコレ…」

スーは青空隊メンバーからある程度距離が取れた事を確認し、話し始める。
「誰にも話していない事だ。俺はマッキーと連絡を取り合っているんだ。あいつは今、別件で極秘任務にあたっている」
「極秘任務!?何なんですかそれ?」

19キャプテン:2021/07/19(月) 00:02:38
「魔女…その正体は長い間、謎に包まれていた。だが過去や現在の神騒動にも絡んでいるのは確からしい。そいつが今…青空隊に潜り込んでるらしいんだ。」
スーが小声でアンピーと、J・Jに耳打ちする。
「仲間を…疑わないとならない。」

…恐山、別の某所。
天狗エンドが息をきらし、木陰に隠れていた。
「どうして人間どもがこの場所に。魔女か、まさかあの少年が?…雨か…体を粒子化したら水に流され元に戻れなくなる。この星への落下時、一度、体が粒子崩壊し不安定な粒子結合になっている。逃れられぬ…か。」

…ガサッ。
突如、草葉の影から天狗の目の前に、その人物は現れた。

20ノートン:2021/07/22(木) 21:48:48
恐山の麓に到着した青空隊メンバー。
「3チームに分ける」
スーがすぐさま、チーム編成を始めた。

”スー、水墨鳥、アンピー、JJチーム”
”エジプト、幽チーム”
”フラン、カロ、ヒュペルチーム”

「3チームはそれぞれ北、南、東から潜入してくれ」
「この割り振り、偏ってる気がするが…意味はあるのか?」
キャップが尋ねる。
「実力を考慮したチーム編成だ。みんな!相手は”神”。ヤバそうならすぐ逃げろ。いいな、深追いはするなよ!」

スーはそのままキャップの胸に拳を当てる。
「絶対死ぬなよ、親友」
「分かってるさ」

それぞれが、神に向かって動き出す。スーのチームは山を登って暫くすると、立ち止まった。
「どうしたの?スー」
少し具合の悪そうな水墨鳥を、何故かスー、アンピー、JJが取り囲む。

「???何の真似よ?」
「魔女の正体。お前だろう…水墨鳥。いや、水墨鳥の中に眠る魔女よ!!」

21キャプテン:2021/07/24(土) 21:21:44
「何を言っているの?…痛っ?!」
水墨鳥が頭を抑え、ふらつく。3人が飛びかかる。

ガシッ。
「スー?!”仲間殺しは御法度“よ?!」
突如、幽という女性が現れスーを一喝する。全身包帯姿のエジプトがスー、アンピー、J・Jにスルスル伸びた包帯を巻き付け拘束する。スーが強く訴える。
「…後をつけてたのか。話を聞け幽?!水墨鳥は複数の宿星を持っている。その一つが魔女、今回の神復活に絡んでいる?!」
「ならスー、今の貴方の宿星は潔白なの?水墨鳥から受け取ってから、貴方が魔女に操られて…」
「違う?!ならフランや他の奴だって?!」
幽に対するスーの咄嗟の反論に場が凍りつく。

「…仲間をそんなふうに。…水墨鳥逃げて?!」
場が動き出す…包帯の拘束を破り、5人の能力がぶつかり合う。
水墨鳥はただ一人、頭痛に耐えながら走っていった。

22ノートン:2021/07/26(月) 23:52:29
フランとカロ、ヒュペルは、草木の生い茂る荒地を進んでいた。
「何か隠してるな、スーの奴」

フランが話す。
「フランさんも気付いていましたか…」
「お前もか、カロ」
「えぇ、バレバレですよ。何1人で背負ってるんだか…」

その瞬間、強烈な殺気が3人を襲う。
「その隊服…青空隊だな?」

少し遠く、その男は立っていた。普通の2倍はあろうか、非常に長い剣をゆっくり鞘から引き抜く。
「1人ずつだ…ゆっくりじわじわと殺す」
「何者だ!?」
「元青空隊隊長、沖田総司。お前らの先輩だぜ?」

有無を言わさず、フランが動く。
「ロックアウト」

沖田の手元に巨大な錠が出現。沖田の上半身は、剣ごと地面にめり込んだ。
「重いじゃねぇか…誰だお前」
「青空隊のフランだ」

23キャプテン:2021/07/31(土) 10:13:03
…ガサッ。
突如、草葉の影から天狗の目の前に、その人物?は現れた。
「…何じゃお主、その姿は?ずいぶんと小さく可愛らしいのう。さて…年寄りの戯言にでも付き合ってはくれまいか?」
その人物?が涼やかな笑顔を向ける。…

2人が何かを話し合う。

…サラッ…サラサラッ。
天狗が指をこすり合わせると真っ赤な砂がその人物?に降りかかる。その人物?が微笑みを浮かべると、また草葉の影へと姿を消した。
「ふぅっ…この世界の命運を賭けた行いにしては…いささかショボかったかのう。」
天狗…エンドはまた1人になった。

24ノートン:2021/08/05(木) 13:20:38
一方、山の麓ではー。

スー達とキャップ達の戦闘が繰り広げられていた。
「メカニカル・ボディ!」
J Jの腕が徐々に機械化し、巨大な兵器となる。するとキャップが間髪入れずに、腕を包帯でぐるぐる巻に縛る。

「うぇあっ!!」
包帯がJJの腕を握りつぶし、破壊する。続け様に、幽が歌を歌って眠らせようとする。

「させない!!」
アンピーが幽に飛びかかり、歌わせないように地面に押し潰した。

仲間同士で争うカオスな状況。その時スーは、炎波刀を地面に突き刺した。
「炎波の陣!!」

炎波の炎が5人を囲うように、円陣を描く。
キャップの包帯やJJの機械化した腕など、能力が次々と消滅していった。
「能力が使えない!?」
「キャップ、幽。文句があるなら俺にかかって来いよ。アンピーとJJは関係ない、巻き込むんじゃねぇよ」

キャップはスーの胸ぐらを掴み、顔を思い切りぶん殴った。
「痛っ…!!」
スーは口から血を流していた。

25キャプテン:2021/08/11(水) 23:15:25
幽が巨大音響機器を取り出す。そして幽の叫びの様な歌が大音量で響いた。
「お前…どっから取り出したんだそれ?!」
スーが耳を抑える…が、音の振動は全身から伝わる。J・J、アンピー、更にはキャップでさえ見境無く大音量の歌で気絶する様に眠った。
「(クソ…こうなりゃ焼けだ!!)」
スーが意識を失い倒れ込む。しかしジュ〜ッという音と共にスーが険しい顔で悶え叫ぶ。
「(スー、一体何を…?!)」
スーは炎波刀の刃を握り、そこから煙が登る。
「焼きの痛みで意識を…無茶苦茶よ?!」
そしてスーが立ち上がる。幽の方へと必死に歩みより…勢いよく頭突きをかます。幽が朦朧とし、姿勢が崩れる。
「寝てろ!!」

26ノートン:2021/08/13(金) 16:04:46
スーは炎波刀を鞘に収める。
「大事になっちまった。すまない」
倒れ込む4人を放置して、スーは水墨鳥を追った。

4人が気絶する少し前、フランは沖田と対峙していた。
フランの錠が沖田を捕らえ、こう着状態となっていた。
その時!遠くの方で爆破音や大音量の歌?の様なものが響き渡っていた。

「あっちの方角…スーさん達か!?何かあったのか!?」
カロがメンバーの身を案じていた。

「カロ・ヒュペル。スー達の所へ加勢に行ってやってくれ。賊の相手は俺一人でいい」
「フランさん!?」
「構わん。天狗に出くわしたのかもしれん…行け!!」

カロとヒュペルはその場を離れた。

「おいおいフランよ。お前一人で俺の相手をする気か?3人の中でお前が1番弱そうだったが」
「…俺を、舐めるなよ」

山を全速力で駆け抜けるカロとヒュペル。その時2人の目にとんでもない光景が映る。遠くの方、何とリコイルが山頂目掛けて走っていったのだ。

「リコイル!?おいヒュペル、今のリコイルだよな!?あいつ何でこんな所に…」
「あのガキ…。カロ、お前はスーさんの所へ行ってくれ!俺はリコイルを追う」

27キャプテン:2021/08/16(月) 22:42:23
「ウッ…ウウッ…。」
カロが山の中腹付近まで来て、虫の息で倒れるスーを見つけた。片腕が痛々しく火傷で覆われていた。
「スー!!酷い…しっかりしろ!!」
カロがスーに肩をかす…

…山の荒地付近。
沖田がフランの体を長刀で貫く。巨大な錠前がドスンッと落ちる。沖田は自身の体の血の跡を拭き取る…何故かそこに傷は無かった。
「どうやって…錠前を外した…?」
刀が体から抜かれ、フランが血みどろの腹部を抑え、倒れた。…

…山頂付近、断崖絶壁。
エンドが一本の木にもたれ掛かり座る。
「ハァッハアッ。やっぱり前と同じ場所だ。エンド…この場所はバレてる。多分、パーキンソン教徒が情報を流したんだ、逃げて!!」
再び向かい合うリコルとエンド。

28ノートン:2021/08/22(日) 17:56:19
エンドはリコイルを見る。向けられる眼差しに、敵意が無いことは明らかだった。
「あの時助けた坊か。何故ここにいる?」
「助けに来たんだ、あんたを!パーキンソン教徒も、青空隊も、あんたの命を狙ってる!!」

パーキンソン教徒とは、ゴッドパーキンソンの復活を目論む危険な宗教団体である。
そして、リコイルが何故パーキンソン教徒の動向を知っているのか?その理由は…。

「俺もパーキンソン教徒なんだ」
「ほう?」
「ゴッドパーキンソンの復活には、依代(生贄)が必要。俺は生まれた瞬間、生贄として選ばれた人間なんだ」

エンドの脳裏には次々と疑問が浮かぶ。
「お前がその教徒の一員なら、何故儂を助ける?」
「あんたが俺の命の恩人だからさ!それに、パーキンソン教徒とは縁を切ってる。俺は神の復活には興味無いし、生贄になる位なら…俺は生きたい」
「なるほどのぅ…」
「パーキンソン教徒からしたら、神は1人で十分だ。だから”余計な神”であるあんたを消したがってる」

初めはリコイルの言動を罠と疑っていたエンド。だが次第に、それはリコイルの純粋な、エンドを助けたいという気持ちだと理解した。

「ゴッドパーキンソンか。儂も神の端くれ。あんな化け物を復活させてどうするのだ?」

29キャプテン:2021/08/26(木) 19:05:30
「それは…人が弱い生き物だからだよ。」

スー達、宿星宿主が神を殺した事で、人々は、すがる神を失い、次第に神を信じなくなり、結果として人間が宿星能力で争い、支配する世界となった。

「パーキンソン教徒はまた神が支配する世界を望んだんだ。人々が宿星能力に固執し争う世界よりマシだと考えた…そこに『あの魔女』が現れて…。」
…パキッ。
リコイルが背後を振り返る。ヒュペルがそこに立っていた。
「リコイル…そこを退け!!!」

30ノートン:2021/08/29(日) 21:54:58
ヒュペルは剣を抜き、今にもエンドに飛びかかろうとしていた。

「ヒュペルさん、待って下さい!エンドは…敵じゃ無い!」
「人類にとって脅威となる存在だ。芽は今のうちに摘んでおく」
「そんなのただの傲慢だ!あんたら青空隊のエゴだ!!」
リコイルはエンドの前で両手を広げ、エンドを守る動作を見せた。

「殺させない…エンド、逃げろ!」

その時、四方八方から不気味な文言が聞こえる。
「神よ何故現れぬ
 神よ何故現れぬ
 神よ何故現れぬ
…」

リコイル達3人は、不気味な白装束を身にまとった集団に取り囲まれた。
「何だこいつら!?」
「下がって下さいヒュペルさん。パーキンソン教徒の連中だ」

31キャプテン:2021/08/31(火) 21:07:15
「リコイル…貴方の両親は自決したわ。貴方を立派な信徒にできなかった責任を感じてね。」
信徒の1人が言った。
「貴方の同級の信徒の友達は、生け贄に選ばれず流星に衝突し死んでいったと言うのに…。」
別の信徒が言った。
「リコイル、耳を貸すな。奴らは狂ってる!!」
ヒュペルが必死になる。顔を伏せるリコイル、その周りに黒い粒子が立ち込める。
「みんな貴方を愛して「うるせぇええええええ!!!」
信徒のセリフをリコイルが阻んだ。雨粒が黒い光の軌跡を描き、辺りに弾け飛び、ふっ飛ばした。…

…頂上付近から瞬く黒い光の光景。それをスーとカロ、水墨鳥、マッキー、沖田がそれぞれ別々の場所で目撃する。
「「「「「あそこか?!」」」」」

32ノートン:2021/09/02(木) 00:13:40
リコイルは”生贄の子”としてこの世に生を受けた。15歳の成人の儀にて、生贄として死ぬ運命。
村の住人も、両親でさえも…。リコイルには神への生贄として接し、1人の人間として扱う者などいなかった。そこにあったのは、ひどく歪んだ愛情。

リコイルも、生贄こそが、死ぬ事こそが自分の存在意義だと信じていた。

そんなある日、リコイルは一冊の本を目にする。「世界の神々」と銘打たれたその本には、パーキンソンの事柄がズラズラと書かれており、他の神のページは破り捨てられていた。

そんな中、偶然にも1ページだけ、破られずに残っている部分があった。
「破壊と構築の神…エンド?こんな神もいるのか」

全てを無に返す”破壊”、新たな世界を作り出す”構築”。二つの神々しい力は、当時のリコイルを魅了した。

「エンドがいれば、俺の運命を変えてくれるのかな…。会ってみたいな…エンドに…」
その時から、リコイルの中に”生きたい”という希望が生まれた。

33キャプテン:2021/09/06(月) 23:28:03
…グサッ。
鈍い音と共に過去の光景が消えていく。

「そうやって見つけた、たった一つの望み、それが…『世界の改変』。」
…ビチャッ。
『駆けつけた誰か』が散らばる教徒達の死屍累々に足を取られる。
ヒュペルの顔は凍りつき、見る見る青ざめていく。リコイルがヒュペルの胸から剣を抜く。
「パーキンソン教徒や青空隊を利用して探した…けどダメだった。でも、最後の最後で見つけた…エンドを。」

…自身(リコイル)の手で握った剣からは、血が滴り落ちる。見知らぬ男(スー)がリコル(リコイル)の胸ぐら掴み、叫ぶ。「何故殺した!!仲間殺しは大罪だ…自分が何をしたのか分かっているのか!!」男の胸には″青空隊 隊長″のバッヂが付いていた。…

リコイル・ブラッシは優しく囁く。
「大丈夫ですよ、世界を改変すれば…。」

34ノートン:2021/09/09(木) 21:32:57
叫ぶスーの後ろで、カロは怒りと悲しみで震えていた。
「ヒュペルは俺の大切な…よくも…よくも殺しやがったなリコイル!!」
カロの怒りが地面を伝う。大地がビキビキと音を立てて割れ始める。その時だった。

「うしろの正面だぁれだ」
ドスっと鈍い音がする。異常に長い刀がカロの心臓を正確に貫いていた。
「そんな…ヒュ…ペル…」
カロはそのまま倒れ込み、即死。後ろには沖田がいた。
「弱っちいなぁ青空隊。もっと俺を楽しませろよ」

そう言いながら、フランの生首をスーの目の前に放り投げる。
「フラン…カロ…そんな…なにやってんだテメェらぁぁぁぁあああ!!!!!!」

一方、山の頂上付近では。水墨鳥が必死に先を目指していた。
「ゼェ、ゼェ…。何よこれ…体が重い」

そんな水墨鳥の目の前に、突然マッキーが現れた。
「見付けたぞ!!」

35キャプテン:2021/09/13(月) 21:03:14
「過去の水墨鳥復活。それ自体がとある宿星を水墨鳥に隠すための偽装。そうなんだろ水墨鳥…いや、魔女!!!」
マッキーの両手の指間から獣の爪のような刃が6本突き出し、歯をむき出しにする。
「その爪に強い闘争本能、ベルヴァリンの宿星の影響か…。」
水墨鳥が顔を伏せ両手を挙げる。
「この雨では私の浸透能力は自身を液状化してしまう。降参だ、殺れマッキー。」

マッキーが呆気に取られ、爪が元に戻る。
「(魔女の意識が…無い?)水墨鳥、俺を信じて山を降りてくれ…頼む。」
水墨鳥が溜息混じりに頷いた瞬間…突然苦しみ出し、背中から『燃える鎖』が山頂へと突き出す…

…山頂のスーが突如苦しみ出し、背中から『燃える鎖』が山下へと伸びる。
「クッ?!…この『鎖』…まさか?!」

36ノートン:2021/09/18(土) 22:09:38
スーと水墨鳥の体から出た鎖は繋がっていた。
「しまった…クソっ!!」
マッキーは鎖を切断しようとするが、逆に自身の爪が折れる。
「硬いとかの次元じゃない!何なんだこの鎖は!?」

その頃、山頂ではー。
「何だこれは!?」
突然の事に驚くリコイルの側に、沖田が寄ってくる。
「慌てるなガキ。お前も”こっち側”の人間なんだろ?」
沖田は剣を鞘に収める。
「あのお方の登場だ」

水墨鳥の体内にあった4つの宿星と、スーの体内にあった1つの宿星が鎖を通じて融合し、1つの宿星となる。

輝く光は徐々に姿を変え、人間の姿に…。そしてリコイルの前に現れた。

「老婆!?だが何だ、この威圧感は…」
その昔、キャップの師であるフレッシュ・ナタデココが激闘を繰り広げた。彼が命を賭して討伐した怪物『鎌を持った老婆』。その老婆が目の前にいた。そしてー。

スー・グラウンド、水墨鳥の両名は、宿星を抜き取られ、死亡した。

37キャプテン:2021/09/23(木) 21:35:33
「どういう事?水墨鳥さん…『魔女さん』が来るんじゃなかったの?なぁ?!」
リコイルが沖田に縋る。しかし突き飛ばされる。
「水墨鳥?さっき死んだよ。なんだ?お前が言った事だろ?『世界を改変すればいい』って。」
リコイルが突然、泣叫ぶ。
「ブルームスタアアアアアアアア!!!」
リコイルが沖田に剣を投げ放つ。剣が黒い軌跡とともに加速し…だが剣は空中で先端から『見えない何か』に潰れた。

「…反吐が出る目覚めだね。」
「お見事です。入雲竜…いや、昔の呼び方が良いですか?ワールド。」
リコイルが体を『見えない何か』に押し潰され…胸から…刀身が突き出て血が溢れる。沖田が刀を引き抜く。

「どうしますエンド?この子、死にますよ?」


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