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新リレー小説 第2部

1キャプテン:2021/05/17(月) 12:23:09
此処は…いったいどこだろうか?
夜、一つの流星が光の筋を尾に村外れの丘に落ちる。旅人姿の三人組がそこへと駆けていた。
「あの光の筋、見たかアンピー?」
先頭の若い男性が若い女性に話しかける。
「宿星、これでスーを救えるわJ・J!!」
続く若い女性が最後尾の若い男性に話し掛ける。
「不可解だぞマッキー。何で一つだけ?流星群の時期でも無い。」

先行していたマッキーが丘の上で立ち止まる。追いついたアンピー、J・Jもその場で下を見下ろす。そしてその光景に言葉を失った。巨大なクレーターのど真ん中、無傷の1人の和服姿の黒髪の少年が横たわっていた。三人が少年に駆け寄る。
「無事だわ。この服、さっきの村の子どもね。丘に居る時に偶然、さっき降ってきた宿星が宿ったんだわ。スーさんは残念だけど…仕方ないわ。先輩たちに頼んで青空隊に来てもらいましょう。」
アンピーがそう言うと意識の無い少年を背負う。

マッキーが夜空を見上げ、目を手で覆った。
「そうだな、仕方無いさ。(…ゴメンなスーさん、またダメだったよ。)」

2ノートン:2021/05/23(日) 22:00:09
村まで少年を連れて行くマッキー一行。暫くすると、少年は目を覚ます。
「うっ…何だ…体がダルい…」
「起きたか」

少年は隣にいたマッキー達を見て驚く。
「誰だ!?」
「驚かしてすまない…俺は青空隊のマッキー。今は夜中だ。君の家族が村のどこにいるかも分からないし…。とりあえず空き家に寝かせといたんだ」

少年は自身の体がぼんやり光っているのに気付いた。
「!!!???」
「驚くのも無理ない。君の体には宿星が宿ったんだ。落ち着いて聞いて欲しい」

マッキーは宿星の事、青空隊の事を説明した。そして、とある紙を少年に渡した。
「能力の事で困った事があれば、この住所に来てくれ。君の力になるよ。君、名前は?」
「…リコイル」

そして村を後にする3人。
「良かったの?青空隊に引き入れなくて」
アンピーがマッキーに問う。
「自分の進みたい道に進むのが一番だしさ。それに、青空隊は命懸けの仕事だ。正直オススメ出来ないね」

マッキーはクリーナー、灰色の王、そして自身の兄ミッキーとの激闘の過去を振り返り、ボソッと呟いた。

3キャプテン:2021/05/26(水) 19:43:33
…数日後、その村で事件が起きた。

ガサッ?!
「…何だウサギか、ビックリさせんなよ。」
青空隊より派遣された2人の男性が捜査にあたっていた。1人は制服をきちんと着こなし、もう1人はダルダルの長袖姿だった。
村の家々は瓦礫の山となり、あちこちに”異様な黒く光る粒子“が浮遊していた。突如2人が身構える。瓦礫の裏からボロボロの着物姿の少年がヨタヨタと歩いて来る。表情は虚ろで顔を涙が伝う。一人が急いで駆け寄る。
「大丈夫?私はヒュペル、彼はカロだ。君は?」
「…リコ…イル…リコイル…ブラッシ。」
そこで少年は意識を失った。もう一人が見渡す。
「他の村人達はどこへ…何より、誰がいったいこんな事をしたんだ?」

4ノートン:2021/05/29(土) 20:12:05
村を隅々まで調べたが、やはり人はいなかった。
「この粒子…これも原因か?何なんだこれは」
カロが不気味に見つめる謎の粒子。ヒュペルはボソッと呟いた。
「俺の”レッドアクセル”の粒子の粒に似てるな」
カロがヒュペルを見る。
「これ以上は俺たちじゃ分からない。とにかくリコイルを保護だ。青空隊へ戻ろう、ヒュペル」

一方、青空隊。

夜にも関わらず、隊はお祭り騒ぎとなっていた。

スーの余命も残り2週間を切ったこのギリギリの状況。誰もが諦めかけていたその時、水墨鳥が吉報を持ち帰っていた。幽が水墨鳥の元へ駆け寄る。

「本当なのよね!?水墨鳥!宿星を見付けたって…」
「本当よ」

水墨鳥は掌を広げて見せる。そこには、美しく青く光る宿星がフワフワと浮かんでいた。

5キャプテン:2021/06/01(火) 21:41:35
同時刻。
村を飛び出た白兎は放埒していた。そして偶然にも、悔しそうに地面に拳を叩きつけるマッキーただ一人の姿をみつける。
「スーさん、クソ!!宿星さえあれば!!」
唸るマッキー。まだスーの状況が伝わっていなかった。このすれ違いが最悪の結果を生む。ウサギはマッキーの目の前でコインを取り出し、宙へと弾いた。
「貴方はラッキー?アンラッキー?」
「…えっ?!」
コインが落ちるのが見えた…

…真っ赤な流星が一筋伸び、それがあり得ない角度に曲がると地上へとぶつかり大地を強烈に揺らす。

6ノートン:2021/06/05(土) 21:45:07
「今の赤い流星は…まさか宿星か!?」

赤い流星はすぐ近くに落ちた。アンピーとJJを置き去りにし、一目散に走るマッキー。
現場に着くと、そこには巨大なクレーターがあった。モクモクと上がる黒煙。その中心には…。

「何だあれは…赤い…天狗?」
天狗がマッキーを見る。マッキーは、まるでマーベル映画”ウルヴァリン”のように、拳から鋭い爪を生やした。
「新しく俺の命となった再生星。まだこの能力に慣れないな…」

マッキーは爪の切先を天狗へ向ける。
「何者だお前!人間じゃないな!?宿星か!!??」
「我が名はエンド。破壊と構築を司る神だ」

神と言うワードを聞き、様々な感情が過ぎる。過去にいた神々…ゴッドパーキンソン、無有、デヌス、オリジナル…どの神も世界を滅亡の危機へ陥れた危険な存在だった。

7キャプテン:2021/06/09(水) 20:45:25
「(さっきのウサギ…宿星…願い…まさかオレがこの神を呼んだのか?!オレの願いせいで。またオレのせいで…皆んなが?!)」
マッキーの突き出す拳の爪が後悔と躊躇で震える。するとエンドの天狗姿が散り散りに欠け始める。
「ちょ、待っ…?!」
その姿が赤い粒子となり風に流された。マッキーの肩が震え、そして声にならない深い後悔の叫びをあげた。…

…「逃げねば、あの魔女から。」
エンドの身体がボヤける。
「隠れるしかない。今は誰かに…このエンドを封じ込めるしか。」
そして人気の無い山の中を彷徨った。

8ノートン:2021/06/12(土) 22:45:13
一方、青空隊。
青く輝く宿星を、スーは体内に入れる。心臓が、身体が、徐々に活気を取り戻すのをスーは感じた。

「やったな、スー!」
キャプテンエジプトが右手を差し出す。
「ありがとう、友よ!」
スーとエジプトは、熱い握手を交わした。

「正式にお願いするわ、スー。受け取って…くれるわよね?」
幽は”青空隊 隊長”のバッヂをスーに渡した。
「あぁ。隊長として青空隊をまとめる。それが俺の、青空隊メンバーへの恩返しだ」

バッヂを受け取るスー。ここに、新たな青空隊 隊長が誕生した!
「干潟さん…見てて下さい。俺の活躍を!」

エジプトは水墨鳥の元へ行く。
「しかし水墨鳥、一体この宿星をどこで?」

9キャプテン:2021/06/14(月) 21:06:08
「企業秘密よ!!あっちょっとトイレ。」
そう言うと水墨鳥はお祭り騒ぎから抜け出す。トイレの個室へ入ると一気に顔が苦痛に歪み、そして弱々しく光る胸を強く抑える。
「グハッ!…これで良かったんだ…コレで!!」…

…数日が経過した。
「リコイル・ブラッシか…どう思うヒュペル?」
「カロ。あの子、警戒してか何も話してくれないよ。宿星も能力も未だ不明だ。」
二人がグラウンドを走るリコイル少年を見守る。
「まっ、当たって砕けろかな?カロ。」
「ハァ〜、そうだなヒュペル。」…

…「マッキーが行方不明?」
スーが靴を履きながらエジプトに確認する。
「ああ、とりあえず外で打ち合わせよう。」
一人になったスー、靴の底から何か折り畳まれた紙を見つける。開いてみると…

『 スー・グラウンドへ

気をつけろ、俺たちの中に魔女が居る。

マッキー・ストレートより 』

…「何だ、コレ?」

10ノートン:2021/06/17(木) 21:42:26
「マッキー!?コレはお前なのか…何を伝えたい?魔女だと!?」
「おい、スー!」

スーはバッと後ろを振り向く。キャプテンエジプトがそこに居た。
「どうしたスー?そんなに焦って」
「キャップ!これを…」

エジプトに謎のメッセージを見せようとしたが、留まるスー。
「何だよ?」
「何でもない、すまん(何を考えてる俺は…青空隊のリーダーだろ!仲間を疑うなんて…間違ってる!)」
「変な奴だな…」

その頃、カロとヒュペルは自慢のフィギュアをリコイルに見せていた。
「これが主人公のハッピー。これがセバスチャン、これが…」
「知ってるよ、ボンボンでしょ?俺もこのアニメ好きだったんだ」
「そりゃ良い。気が合いそうだな俺たち」

ゆっくり、だが確実に…。カロ・ヒュペルとリコイルは打ち解けて行った。

11キャプテン:2021/06/20(日) 22:44:24
…とある雨の日だった。
「例のリコイルの居た、村の調査の結果だ…。」
カロが机に資料を広げ、ヒュペルが頭を抱える。
「青空隊には…秘密にするしか無い。とくにスーさんには…もしリコイルの正体を知ったら…。」
その話を扉越しに隠れて聞いていたリコイル、慌てて部屋へと戻り、窓から外へと飛び出した。

山の上、断崖絶壁の下をリコイルが雨に打たれながら呆然とのぞいていた。村での出来事を思い出す…
大人たちの声。
「リコイル、貴方は選ばれたのよ!」
「あの憎き青空隊を滅ぼすんだ!」
そしてリコイルの声。
「嫌だ…嫌だ…そんなの嫌だ!!!」
辺りを真っ黒い光が覆った。

…「もう、嫌なんだ。」
目を瞑ると地面の感触が消え、浮遊感とともに崖から落下する…しかし。
ガシッ?!…「えっ?!」
腕を誰かに掴まれる。崖にぶら下がる身体、リコイルがその掴む正体に訳が分からなくなる。…真っ赤な天狗?!

12ノートン:2021/06/25(金) 22:06:11
天狗はリコイルを引き上げる。邂逅する2人。
「あ…ありがとう」

天狗を見る。異形の姿だが、リコイルに恐怖心は無かった。

「名前は…?」
「エンド」
「人間じゃないな…何者だ?」
「それを知れば、お前は儂を畏怖し、遠ざけるじゃろう。知らぬ方がいい事もある。もう行け」
「そんな事ない!」

エンドは少し驚いた表情でリコイルを見た。
「命の恩人だ!正体が何だろうと、あんたには感謝の気持ちしかない」
「そうか…」

エンドは少し、嬉しそうな表情を浮かべる。そしてエンドの体は次第に粒子となり、バラバラに散って行った。

13キャプテン:2021/06/28(月) 18:50:01
結局、リコイルはヒュペル達の元へ戻る事にした。…帰り道の途中、雨の止み始めた頃、息を荒げるヒュペルに出くわした。
「ヒュペ…ル?」
呆然と立ち尽くすリコイルにヒュペルが駆け寄り…パチンッ。リコイルの頬を叩き、すぐさま体を抱き寄せた。
「人より自分を殺せる人は優しい奴だ。だがもうこんな事はしないでくれ…頼む!!」
リコイルの中で塞き止めていた感情が一気に溢れ出す。そして、ただただ泣きじゃくった…ただの子どものように。別れて探していたカロがその姿を見つけると、ため息混じりに笑みを浮かべた。

…数日後、スーの居る部屋にヒュペルとリコイルが入る。
「スー・グラウンド、この子がリコイル・ブラッシだ。よろしく頼む。」
「…そうか。まあ訳ありみたいだが、理由は聞かないよ。ようこそ青空隊へ。」
外でカロとヒュペルが話す。
「大丈夫なのか?本当に。」
「逃げていてもしようがない。当たって砕けろ…だろ?」

14ノートン:2021/06/29(火) 22:30:23
青空隊へ入隊が決まったリコイル。ヒュペル指揮の元で活動する事が決まった。
「宜しくお願いします、ヒュペルさん」
「改めて、宜しく」
ヒュペルはポンっとリコイルの肩を叩く。
「まずは能力の訓練を始めようか。青空隊にはどうしても”戦闘”が付いて回る。能力は自分の命を守る武器だ。最優先で身に付けなくちゃな」
「は…はい!」

その頃、高齢となり退職したリブタウンが青空隊に来ていた。
「また来たの?リブ。もう歳なんだし、いいのよ?毎日隊舎に顔出さなくても」
「いいんじゃよ。年寄りの日課みたいなもんじゃ」

そう言うと、リブは幽に新聞を渡す。
「何よ?これ」
「3ページ目じゃ。見てみぃ」

言われたページを開く。そして、幽に衝撃が走る。
新聞には『元青空隊・隊長を名乗る沖田総司 脱獄』の文字が書かれていた。
「沖田…隊でこの男を知る古株はお前くらいじゃろう。危険度はどうじゃ?」

幽は昔を思い出す。干潟が隊長に就任する前の話。その時の隊長が沖田だった。そのあまりの残虐性に、当時副隊長だった干潟によって投獄された。
「干潟ぁ!!俺はお前と青空隊を許さねぇ!!必ず復讐してやるからなぁ!!」

その鬼のような殺意は、幽の心に大きく刻まれていた。
「大丈夫か?幽や」
「ええ、大丈夫よ。今頃あいつが復讐に来ようが、今の青空隊なら簡単に倒せるはずよ」

15キャプテン:2021/07/01(木) 17:51:19
「山狩りだ。」
スーが青空隊全員を総集し、呼びかける。
「村人からの情報だ。真っ赤な天狗の姿…あの山に神が現れたに違いない。俺たちで倒すぞ。世界を救うんだ!!」

リコイルの鼓動が早まる。その山は以前、リコイルが赤い天狗と遭遇し、助けられた山であった。
「(一体、どうすればいいんだ?)」…

…雨が降り始める。マッキーが1人、山を登る。
「青空隊には魔女が潜んでいる。神…エンドに接触される前に俺が見つけ出さなければ。俺のせいで、また誰かが…。」

16ノートン:2021/07/03(土) 21:55:07
「被害はでてるんですか?」
リコイルはスーに問う。
「数名、その天狗に会った者がバラバラに消滅したと被害報告が出てる」
「そんな…」

スーはリコイルを見る。
「リコイル。今回の任務、お前はここで待機だ」
「えっ!?」
「相手は”神”の可能性がある」

スー達青空隊が過去に討伐した神々。ゴッドパーキンソン、無有、デヌス、オリジナル…。全てこの世界に存在する神話『ジ・マイス』に登場する神である事が分かっていた。そいて、今回の赤い天狗…。

「信じられないかもしれないが、赤い天狗”エンド”はジ・マイスに登場する破壊と構築を司る神だ。この情報が本当なら、死を覚悟する程の任務になる。リコイル、君は入隊したての新人」
「足手まといって事ですか」

ヒュペルがリコイルの肩を叩く。
「従うんだ、リコイル」
「…分かりました」

話を割って、アンピーが加わる。
「マッキーの事はどうするんですか、隊長!もう消息を絶って1ヶ月になる。マッキーは…マッキーは生きてるんですか!?」

J Jも話し始める。
「俺も、正直マッキーの事が心配で、神討伐の任務に集中出来ません!!」

17キャプテン:2021/07/08(木) 08:37:47
…あっけらかんとした青空隊本部。その空間にたった1人取り残されたリコイル。

小さい頃。
宿星能力者たちの争いにより廃村となった聖地パキンソ村、そこに後から移り住んだゴッドパーキンソンを崇めるパーキンソン教の信徒たち…そこに僕は居た。
…だが神々は青空隊や宿星能力者たちにより抹殺された。宿星能力の無い信徒たちは彼らを『神殺し』として忌み嫌った。
そして…僕は神復活のための生贄に選ばれた。

「エンド…あの助けてくれた天狗がそんな残酷な事を?何かがおかしい。…『情報源の村人』ってまさか?!」
リコイルが立ち上がる。
「行かなきゃ!!」

18ノートン:2021/07/11(日) 10:59:21
青空隊メンバーは、恐山へ向かっていた。その道中…。アンピーと J・ Jがついにキレる。
「もう、やってらんないわ!!」
「俺もアンピーと同じだ!!」

アンピーと J・ Jは隊服を脱ぎ捨てる。
「ちょっと…2人とも落ち着きなさい!!」
「幽さん、俺たちはマッキー詮索に専念する。止めても無駄です。俺たちは青空隊を抜ける!!」

それを見たスーは…。
「俺が話す。先に行っててくれ、みんな」

スーとアンピー、J・Jが残された。
「私達を引き留めるつもり?無駄よ隊長、私達は青空隊の任務なんかより、友達の命の方が大事なのよ」

「この件は極秘に動いていたんだが…すまなかったな、お前たちを精神的に追い込んでいたに、何もしてやれなかった」
「何の話よ!!」

スーはあるメモを見せる。その筆跡は明らかに…。
「マッキー!?マッキーの字だ!!」
「魔女?何なのよコレ…」

スーは青空隊メンバーからある程度距離が取れた事を確認し、話し始める。
「誰にも話していない事だ。俺はマッキーと連絡を取り合っているんだ。あいつは今、別件で極秘任務にあたっている」
「極秘任務!?何なんですかそれ?」

19キャプテン:2021/07/19(月) 00:02:38
「魔女…その正体は長い間、謎に包まれていた。だが過去や現在の神騒動にも絡んでいるのは確からしい。そいつが今…青空隊に潜り込んでるらしいんだ。」
スーが小声でアンピーと、J・Jに耳打ちする。
「仲間を…疑わないとならない。」

…恐山、別の某所。
天狗エンドが息をきらし、木陰に隠れていた。
「どうして人間どもがこの場所に。魔女か、まさかあの少年が?…雨か…体を粒子化したら水に流され元に戻れなくなる。この星への落下時、一度、体が粒子崩壊し不安定な粒子結合になっている。逃れられぬ…か。」

…ガサッ。
突如、草葉の影から天狗の目の前に、その人物は現れた。

20ノートン:2021/07/22(木) 21:48:48
恐山の麓に到着した青空隊メンバー。
「3チームに分ける」
スーがすぐさま、チーム編成を始めた。

”スー、水墨鳥、アンピー、JJチーム”
”エジプト、幽チーム”
”フラン、カロ、ヒュペルチーム”

「3チームはそれぞれ北、南、東から潜入してくれ」
「この割り振り、偏ってる気がするが…意味はあるのか?」
キャップが尋ねる。
「実力を考慮したチーム編成だ。みんな!相手は”神”。ヤバそうならすぐ逃げろ。いいな、深追いはするなよ!」

スーはそのままキャップの胸に拳を当てる。
「絶対死ぬなよ、親友」
「分かってるさ」

それぞれが、神に向かって動き出す。スーのチームは山を登って暫くすると、立ち止まった。
「どうしたの?スー」
少し具合の悪そうな水墨鳥を、何故かスー、アンピー、JJが取り囲む。

「???何の真似よ?」
「魔女の正体。お前だろう…水墨鳥。いや、水墨鳥の中に眠る魔女よ!!」

21キャプテン:2021/07/24(土) 21:21:44
「何を言っているの?…痛っ?!」
水墨鳥が頭を抑え、ふらつく。3人が飛びかかる。

ガシッ。
「スー?!”仲間殺しは御法度“よ?!」
突如、幽という女性が現れスーを一喝する。全身包帯姿のエジプトがスー、アンピー、J・Jにスルスル伸びた包帯を巻き付け拘束する。スーが強く訴える。
「…後をつけてたのか。話を聞け幽?!水墨鳥は複数の宿星を持っている。その一つが魔女、今回の神復活に絡んでいる?!」
「ならスー、今の貴方の宿星は潔白なの?水墨鳥から受け取ってから、貴方が魔女に操られて…」
「違う?!ならフランや他の奴だって?!」
幽に対するスーの咄嗟の反論に場が凍りつく。

「…仲間をそんなふうに。…水墨鳥逃げて?!」
場が動き出す…包帯の拘束を破り、5人の能力がぶつかり合う。
水墨鳥はただ一人、頭痛に耐えながら走っていった。

22ノートン:2021/07/26(月) 23:52:29
フランとカロ、ヒュペルは、草木の生い茂る荒地を進んでいた。
「何か隠してるな、スーの奴」

フランが話す。
「フランさんも気付いていましたか…」
「お前もか、カロ」
「えぇ、バレバレですよ。何1人で背負ってるんだか…」

その瞬間、強烈な殺気が3人を襲う。
「その隊服…青空隊だな?」

少し遠く、その男は立っていた。普通の2倍はあろうか、非常に長い剣をゆっくり鞘から引き抜く。
「1人ずつだ…ゆっくりじわじわと殺す」
「何者だ!?」
「元青空隊隊長、沖田総司。お前らの先輩だぜ?」

有無を言わさず、フランが動く。
「ロックアウト」

沖田の手元に巨大な錠が出現。沖田の上半身は、剣ごと地面にめり込んだ。
「重いじゃねぇか…誰だお前」
「青空隊のフランだ」

23キャプテン:2021/07/31(土) 10:13:03
…ガサッ。
突如、草葉の影から天狗の目の前に、その人物?は現れた。
「…何じゃお主、その姿は?ずいぶんと小さく可愛らしいのう。さて…年寄りの戯言にでも付き合ってはくれまいか?」
その人物?が涼やかな笑顔を向ける。…

2人が何かを話し合う。

…サラッ…サラサラッ。
天狗が指をこすり合わせると真っ赤な砂がその人物?に降りかかる。その人物?が微笑みを浮かべると、また草葉の影へと姿を消した。
「ふぅっ…この世界の命運を賭けた行いにしては…いささかショボかったかのう。」
天狗…エンドはまた1人になった。

24ノートン:2021/08/05(木) 13:20:38
一方、山の麓ではー。

スー達とキャップ達の戦闘が繰り広げられていた。
「メカニカル・ボディ!」
J Jの腕が徐々に機械化し、巨大な兵器となる。するとキャップが間髪入れずに、腕を包帯でぐるぐる巻に縛る。

「うぇあっ!!」
包帯がJJの腕を握りつぶし、破壊する。続け様に、幽が歌を歌って眠らせようとする。

「させない!!」
アンピーが幽に飛びかかり、歌わせないように地面に押し潰した。

仲間同士で争うカオスな状況。その時スーは、炎波刀を地面に突き刺した。
「炎波の陣!!」

炎波の炎が5人を囲うように、円陣を描く。
キャップの包帯やJJの機械化した腕など、能力が次々と消滅していった。
「能力が使えない!?」
「キャップ、幽。文句があるなら俺にかかって来いよ。アンピーとJJは関係ない、巻き込むんじゃねぇよ」

キャップはスーの胸ぐらを掴み、顔を思い切りぶん殴った。
「痛っ…!!」
スーは口から血を流していた。

25キャプテン:2021/08/11(水) 23:15:25
幽が巨大音響機器を取り出す。そして幽の叫びの様な歌が大音量で響いた。
「お前…どっから取り出したんだそれ?!」
スーが耳を抑える…が、音の振動は全身から伝わる。J・J、アンピー、更にはキャップでさえ見境無く大音量の歌で気絶する様に眠った。
「(クソ…こうなりゃ焼けだ!!)」
スーが意識を失い倒れ込む。しかしジュ〜ッという音と共にスーが険しい顔で悶え叫ぶ。
「(スー、一体何を…?!)」
スーは炎波刀の刃を握り、そこから煙が登る。
「焼きの痛みで意識を…無茶苦茶よ?!」
そしてスーが立ち上がる。幽の方へと必死に歩みより…勢いよく頭突きをかます。幽が朦朧とし、姿勢が崩れる。
「寝てろ!!」

26ノートン:2021/08/13(金) 16:04:46
スーは炎波刀を鞘に収める。
「大事になっちまった。すまない」
倒れ込む4人を放置して、スーは水墨鳥を追った。

4人が気絶する少し前、フランは沖田と対峙していた。
フランの錠が沖田を捕らえ、こう着状態となっていた。
その時!遠くの方で爆破音や大音量の歌?の様なものが響き渡っていた。

「あっちの方角…スーさん達か!?何かあったのか!?」
カロがメンバーの身を案じていた。

「カロ・ヒュペル。スー達の所へ加勢に行ってやってくれ。賊の相手は俺一人でいい」
「フランさん!?」
「構わん。天狗に出くわしたのかもしれん…行け!!」

カロとヒュペルはその場を離れた。

「おいおいフランよ。お前一人で俺の相手をする気か?3人の中でお前が1番弱そうだったが」
「…俺を、舐めるなよ」

山を全速力で駆け抜けるカロとヒュペル。その時2人の目にとんでもない光景が映る。遠くの方、何とリコイルが山頂目掛けて走っていったのだ。

「リコイル!?おいヒュペル、今のリコイルだよな!?あいつ何でこんな所に…」
「あのガキ…。カロ、お前はスーさんの所へ行ってくれ!俺はリコイルを追う」

27キャプテン:2021/08/16(月) 22:42:23
「ウッ…ウウッ…。」
カロが山の中腹付近まで来て、虫の息で倒れるスーを見つけた。片腕が痛々しく火傷で覆われていた。
「スー!!酷い…しっかりしろ!!」
カロがスーに肩をかす…

…山の荒地付近。
沖田がフランの体を長刀で貫く。巨大な錠前がドスンッと落ちる。沖田は自身の体の血の跡を拭き取る…何故かそこに傷は無かった。
「どうやって…錠前を外した…?」
刀が体から抜かれ、フランが血みどろの腹部を抑え、倒れた。…

…山頂付近、断崖絶壁。
エンドが一本の木にもたれ掛かり座る。
「ハァッハアッ。やっぱり前と同じ場所だ。エンド…この場所はバレてる。多分、パーキンソン教徒が情報を流したんだ、逃げて!!」
再び向かい合うリコルとエンド。

28ノートン:2021/08/22(日) 17:56:19
エンドはリコイルを見る。向けられる眼差しに、敵意が無いことは明らかだった。
「あの時助けた坊か。何故ここにいる?」
「助けに来たんだ、あんたを!パーキンソン教徒も、青空隊も、あんたの命を狙ってる!!」

パーキンソン教徒とは、ゴッドパーキンソンの復活を目論む危険な宗教団体である。
そして、リコイルが何故パーキンソン教徒の動向を知っているのか?その理由は…。

「俺もパーキンソン教徒なんだ」
「ほう?」
「ゴッドパーキンソンの復活には、依代(生贄)が必要。俺は生まれた瞬間、生贄として選ばれた人間なんだ」

エンドの脳裏には次々と疑問が浮かぶ。
「お前がその教徒の一員なら、何故儂を助ける?」
「あんたが俺の命の恩人だからさ!それに、パーキンソン教徒とは縁を切ってる。俺は神の復活には興味無いし、生贄になる位なら…俺は生きたい」
「なるほどのぅ…」
「パーキンソン教徒からしたら、神は1人で十分だ。だから”余計な神”であるあんたを消したがってる」

初めはリコイルの言動を罠と疑っていたエンド。だが次第に、それはリコイルの純粋な、エンドを助けたいという気持ちだと理解した。

「ゴッドパーキンソンか。儂も神の端くれ。あんな化け物を復活させてどうするのだ?」

29キャプテン:2021/08/26(木) 19:05:30
「それは…人が弱い生き物だからだよ。」

スー達、宿星宿主が神を殺した事で、人々は、すがる神を失い、次第に神を信じなくなり、結果として人間が宿星能力で争い、支配する世界となった。

「パーキンソン教徒はまた神が支配する世界を望んだんだ。人々が宿星能力に固執し争う世界よりマシだと考えた…そこに『あの魔女』が現れて…。」
…パキッ。
リコイルが背後を振り返る。ヒュペルがそこに立っていた。
「リコイル…そこを退け!!!」

30ノートン:2021/08/29(日) 21:54:58
ヒュペルは剣を抜き、今にもエンドに飛びかかろうとしていた。

「ヒュペルさん、待って下さい!エンドは…敵じゃ無い!」
「人類にとって脅威となる存在だ。芽は今のうちに摘んでおく」
「そんなのただの傲慢だ!あんたら青空隊のエゴだ!!」
リコイルはエンドの前で両手を広げ、エンドを守る動作を見せた。

「殺させない…エンド、逃げろ!」

その時、四方八方から不気味な文言が聞こえる。
「神よ何故現れぬ
 神よ何故現れぬ
 神よ何故現れぬ
…」

リコイル達3人は、不気味な白装束を身にまとった集団に取り囲まれた。
「何だこいつら!?」
「下がって下さいヒュペルさん。パーキンソン教徒の連中だ」

31キャプテン:2021/08/31(火) 21:07:15
「リコイル…貴方の両親は自決したわ。貴方を立派な信徒にできなかった責任を感じてね。」
信徒の1人が言った。
「貴方の同級の信徒の友達は、生け贄に選ばれず流星に衝突し死んでいったと言うのに…。」
別の信徒が言った。
「リコイル、耳を貸すな。奴らは狂ってる!!」
ヒュペルが必死になる。顔を伏せるリコイル、その周りに黒い粒子が立ち込める。
「みんな貴方を愛して「うるせぇええええええ!!!」
信徒のセリフをリコイルが阻んだ。雨粒が黒い光の軌跡を描き、辺りに弾け飛び、ふっ飛ばした。…

…頂上付近から瞬く黒い光の光景。それをスーとカロ、水墨鳥、マッキー、沖田がそれぞれ別々の場所で目撃する。
「「「「「あそこか?!」」」」」

32ノートン:2021/09/02(木) 00:13:40
リコイルは”生贄の子”としてこの世に生を受けた。15歳の成人の儀にて、生贄として死ぬ運命。
村の住人も、両親でさえも…。リコイルには神への生贄として接し、1人の人間として扱う者などいなかった。そこにあったのは、ひどく歪んだ愛情。

リコイルも、生贄こそが、死ぬ事こそが自分の存在意義だと信じていた。

そんなある日、リコイルは一冊の本を目にする。「世界の神々」と銘打たれたその本には、パーキンソンの事柄がズラズラと書かれており、他の神のページは破り捨てられていた。

そんな中、偶然にも1ページだけ、破られずに残っている部分があった。
「破壊と構築の神…エンド?こんな神もいるのか」

全てを無に返す”破壊”、新たな世界を作り出す”構築”。二つの神々しい力は、当時のリコイルを魅了した。

「エンドがいれば、俺の運命を変えてくれるのかな…。会ってみたいな…エンドに…」
その時から、リコイルの中に”生きたい”という希望が生まれた。

33キャプテン:2021/09/06(月) 23:28:03
…グサッ。
鈍い音と共に過去の光景が消えていく。

「そうやって見つけた、たった一つの望み、それが…『世界の改変』。」
…ビチャッ。
『駆けつけた誰か』が散らばる教徒達の死屍累々に足を取られる。
ヒュペルの顔は凍りつき、見る見る青ざめていく。リコイルがヒュペルの胸から剣を抜く。
「パーキンソン教徒や青空隊を利用して探した…けどダメだった。でも、最後の最後で見つけた…エンドを。」

…自身(リコイル)の手で握った剣からは、血が滴り落ちる。見知らぬ男(スー)がリコル(リコイル)の胸ぐら掴み、叫ぶ。「何故殺した!!仲間殺しは大罪だ…自分が何をしたのか分かっているのか!!」男の胸には″青空隊 隊長″のバッヂが付いていた。…

リコイル・ブラッシは優しく囁く。
「大丈夫ですよ、世界を改変すれば…。」

34ノートン:2021/09/09(木) 21:32:57
叫ぶスーの後ろで、カロは怒りと悲しみで震えていた。
「ヒュペルは俺の大切な…よくも…よくも殺しやがったなリコイル!!」
カロの怒りが地面を伝う。大地がビキビキと音を立てて割れ始める。その時だった。

「うしろの正面だぁれだ」
ドスっと鈍い音がする。異常に長い刀がカロの心臓を正確に貫いていた。
「そんな…ヒュ…ペル…」
カロはそのまま倒れ込み、即死。後ろには沖田がいた。
「弱っちいなぁ青空隊。もっと俺を楽しませろよ」

そう言いながら、フランの生首をスーの目の前に放り投げる。
「フラン…カロ…そんな…なにやってんだテメェらぁぁぁぁあああ!!!!!!」

一方、山の頂上付近では。水墨鳥が必死に先を目指していた。
「ゼェ、ゼェ…。何よこれ…体が重い」

そんな水墨鳥の目の前に、突然マッキーが現れた。
「見付けたぞ!!」

35キャプテン:2021/09/13(月) 21:03:14
「過去の水墨鳥復活。それ自体がとある宿星を水墨鳥に隠すための偽装。そうなんだろ水墨鳥…いや、魔女!!!」
マッキーの両手の指間から獣の爪のような刃が6本突き出し、歯をむき出しにする。
「その爪に強い闘争本能、ベルヴァリンの宿星の影響か…。」
水墨鳥が顔を伏せ両手を挙げる。
「この雨では私の浸透能力は自身を液状化してしまう。降参だ、殺れマッキー。」

マッキーが呆気に取られ、爪が元に戻る。
「(魔女の意識が…無い?)水墨鳥、俺を信じて山を降りてくれ…頼む。」
水墨鳥が溜息混じりに頷いた瞬間…突然苦しみ出し、背中から『燃える鎖』が山頂へと突き出す…

…山頂のスーが突如苦しみ出し、背中から『燃える鎖』が山下へと伸びる。
「クッ?!…この『鎖』…まさか?!」

36ノートン:2021/09/18(土) 22:09:38
スーと水墨鳥の体から出た鎖は繋がっていた。
「しまった…クソっ!!」
マッキーは鎖を切断しようとするが、逆に自身の爪が折れる。
「硬いとかの次元じゃない!何なんだこの鎖は!?」

その頃、山頂ではー。
「何だこれは!?」
突然の事に驚くリコイルの側に、沖田が寄ってくる。
「慌てるなガキ。お前も”こっち側”の人間なんだろ?」
沖田は剣を鞘に収める。
「あのお方の登場だ」

水墨鳥の体内にあった4つの宿星と、スーの体内にあった1つの宿星が鎖を通じて融合し、1つの宿星となる。

輝く光は徐々に姿を変え、人間の姿に…。そしてリコイルの前に現れた。

「老婆!?だが何だ、この威圧感は…」
その昔、キャップの師であるフレッシュ・ナタデココが激闘を繰り広げた。彼が命を賭して討伐した怪物『鎌を持った老婆』。その老婆が目の前にいた。そしてー。

スー・グラウンド、水墨鳥の両名は、宿星を抜き取られ、死亡した。

37キャプテン:2021/09/23(木) 21:35:33
「どういう事?水墨鳥さん…『魔女さん』が来るんじゃなかったの?なぁ?!」
リコイルが沖田に縋る。しかし突き飛ばされる。
「水墨鳥?さっき死んだよ。なんだ?お前が言った事だろ?『世界を改変すればいい』って。」
リコイルが突然、泣叫ぶ。
「ブルームスタアアアアアアアア!!!」
リコイルが沖田に剣を投げ放つ。剣が黒い軌跡とともに加速し…だが剣は空中で先端から『見えない何か』に潰れた。

「…反吐が出る目覚めだね。」
「お見事です。入雲竜…いや、昔の呼び方が良いですか?ワールド。」
リコイルが体を『見えない何か』に押し潰され…胸から…刀身が突き出て血が溢れる。沖田が刀を引き抜く。

「どうしますエンド?この子、死にますよ?」

38ノートン:2021/09/25(土) 21:48:51
血に染まるリコイルを、エンドは眺めていた。
「…儂に人としての感情は無い。この小僧が死のうが、儂は動じない」

そんな言葉を漏らす最中、リコイルはエンドに手を伸ばす。
「助けて…助けて…くれ…」
「…」

少し間を置いた後、エンドはリコイルの手を掴む。細かな粒子がリコイルを包み、傷口を修復していく。その奇跡の光景を目の当たりにするワールドと沖田。

「すげぇ…これが破壊と構築の力かよ、バァさん」
「そうじゃ沖田よ。ワシはこの力を手に入れ、いずれこの惑星タラテクトを支配する。じゃがまずは…」
ワールドは空に浮かぶ1つの星を指さす。

「あの惑星”地球”で力を付ける。今のワシじゃあ、タラテクトを掌握するのは無理じゃ」
「その為にはエンドの力がいるって事かい。こいつら、俺らに協力する気あんのか?」

リコイルは起き上がり、ワールドと沖田に剣を向ける。
「よくもやったな…クソ野郎」

39<削除>:<削除>
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40キャプテン:2021/09/29(水) 17:32:13
「(もっとだ…もっと速く!!)」
リコイルの剣から黒い光がおびただしく漏れる。
「さってっと…」ズブッ?!
立ち上がろうとした老婆が転けた。胸からは黒光りの剣が刺さり、おびただしく血が滴る。
「見たか、貴様も終わり…「終わったか。」
老婆が力なく言った途端…老婆の体が崩れだし…次に刺さる剣が崩れだし…更にリコイルの体が崩れだし…最後にエンドの天狗姿が崩れていく…

…山頂に着いたマッキーがその光景に膝を崩す。
「能力も言ってしまえば宿星の一部だ。ワールドに刺さったリコイルの能力を帯びた剣…リコイルの体を再構築したエンドの能力…そしてエンド。全てが繋がった訳だ。」
現れたマッキーに沖田が懇切丁寧に説明した。

「…さらばだ、こんな世界。」

41ノートン:2021/10/02(土) 11:25:09
リコイルとエンドを体内に取り込んだワールド。老婆だった肉体は徐々に若返り、全盛期の魔女の姿を取り戻した。
「フハハハ!!見ろ沖田、この姿を!!私は蘇ったのだ!!!」

間髪入れず、マッキーが爪を伸ばし襲いかかる。
「お前は…この世にいてはいけない存在だ!!消えろ!!!」

ワールドは手をかざす。マッキーの全身がグニャグニャと曲がり始める。
「私の失われた能力”グッドナイト”も復活しておる!!」
「うわあぁぁぁあああ!!??」

マッキーの体は次第に細くなっていき、その場から消滅した。
「何が起きた!?」
「なぁに、空間ごと消し飛ばしただけよ」
「(…化け物め)」

ワールドは再び手をかざす。
「見ておれ沖田よ。エンドの能力を手に入れた私は、空間を圧縮・拡大するだけの能力ではない。そこに分解と構築が加わる。つまり、歴史の改変が可能となるのだ!!」

ワールドはそこら中の空間を歪み始めた。次第に惑星タラテクト全体が歪み始め、周りの木々は消滅したり、突然鳥が生まれたりし始めた。
「歴史が…変わっていってるのか!?」

しかし、ここでトラブルが起こる。能力が突然停止。ワールドは強大すぎる能力を制御出来ていなかった。

42キャプテン:2021/10/11(月) 00:43:34
…雨が降り止まぬ森の中、空間の歪みからワールドと沖田の姿が戻る。
「どうしてだ?!どうしていつもうまくいかないんだ?!いつだって私は?!ワタシは…。」…

二人の傍らにはリコイルの姿が…しかし、粒子化し始めている。ワールドがリコイルに問いかける。
「全てを元に戻したくはないか?私が与えよう、お前が罪を起かす前の世界を…。ただし、私の所有物となるのだ。お前は、エンドの器となるのだ」「この身を…貴女に捧げます」

その言葉を最後に、リコイルの姿は崩壊した…身体も…記憶さえも。ワールドがその粒子を『空間』に閉じ籠める。沖田がため息混じりに言った。
「さぁ…どうします?ワールド?」

そして…その歪な世界は始まった。

43ノートン:2021/10/14(木) 21:09:20
リコルの回想は終わり、時は現代。暗闇の森へー。

「こっちの世界に来たワールドは、ブラックボックスを作ったんだ。俺を通してエンドを支配する為に…」
リコルは語り終えた。騒然と立ち尽くすジェノ達。そしてノートンが口を開く。

「リコル。お前はあの月…じゃなかった、惑星タラテクトからこの地球にタイムワープして来たってのか!?」
「そう言う事かな」

ジェノがリコルに近づく。
「リコル…お前、変わったな」
「ペプシマンのおかげさ。それに…」
リコルはホリデーを見る。
「何よ?」
「いや、なんでもねぇよ」

その時、何者かが暗闇の森を猛スピードで駆け抜けた。人数は2人。リコル達の目の前に一瞬姿を見せると、そのままリコルを攫って行った。

「何が起きたのよ!?」
「リコルが攫われた!!この暗闇で何でスピードだ!?」

2人の男は森を駆け抜けた。
「俺のスピードに付いて来れるとは、さすが伝説の殺し屋だな、ファクトリーファミリーの武蔵」
「…」

リコルは状況を理解し、暴れ始める。
「離せっ!!この…野郎!!」
しかし、男はとてつもない力でリコルを押さえ付ける。森の木漏れ日が、男の顔を照らした。

「そんな…スー…隊長!?」
「久しぶりだな、裏切り者のリコル」

44キャプテン:2021/10/19(火) 21:41:46
リコルが周辺を見渡す。
「無駄だ、此処には貴様のブルームスター…粒子加速に必要な、頑丈な媒介物が無い。それに例え逃れたとしても…」
スーがリコルを掴む腕に力がこもる。
「この速度…地面に衝突して死ぬぞ。」
リコルの体が力無く垂れる。
「(また俺は…ちくしょう…ちくしょう!!)」

「スー?!」
武蔵の声でスーが振り返る。
背後から青い光が猛スピードで追ってきていた。
「ドーヂ…奴の協力は予想外だった。そして…」
それは青光の信号機を頭に被っている。だが、中身はドーヂでは無かった。
「…世話のやける元後輩だ。」
「ジェノ?!」
武蔵が叫んだ。

45ノートン:2021/10/24(日) 21:42:29
「(声だけで俺の正体を…。何者だ?こいつ…)」
ジェノが武蔵を警戒する。次の瞬間!ジェノは背後から何者かに斬りつけられる。

「しまった!?」
切先はジェノの顔面を切り裂いた。信号機のマスクは真っ二つに割れた。しかし、マスクのおかげでジェノは無傷で済んだ。背後にいた男は…。

「どうなってる!?何故同じ男が2人もいる!!?」
動揺するジェノ。前方にいた暗殺者の武蔵。その武蔵と全く姿形が同じ人物が、自分の背後にもいた。
「ジェノ・ライン、リコルの仲間だな。ドンの情報で理解している。何故我々のスピードに追いついて来れたのか知らないが、ここで死ね」

一方、ジェノが現れた事でスーに隙が生じた。その一瞬をリコルは見逃さなかった。
「ぐぉるぁぁ!!!」

無理矢理体を捻り、スーの捕縛から脱するリコル。
スーはリコルから目を逸らす事なく、ゆっくり剣を抜いた。

46キャプテン:2021/10/27(水) 21:32:26
「リコル!!」
ジェノが剣を投げ、リコルがそれを受け取った。
「剣術で…俺に敵うわけないだろ!!」
リコルが剣をスーに振り下ろす。スーが炎波刀で受け、鍔迫り合いになる。
スーが刀身を回し返す。リコルの手首が限界まで曲がり、剣が手から離れ…。

キンッ!!

空間に黒い光の軌跡を描いた剣が、ひとりでにスーの背後を狙う。だが構えられた刀に当たり、火花が散る。
「粒子加速…やはり記憶が戻っているか。」
リコルが苦い顔をする。
「(俺の能力『ブルームスター』は空間中の素粒子を粒子に変え、また素粒子に戻す。その間に発生するブーストで物体を加速、運動させる能力。)…予測されてたか。」
スーが体を捻り、浮遊する剣を交わした。

「リコイル、俺の世界を…滅ぼしておきながら!!!」
スーが怒りの形相を向けた。

47ノートン:2021/10/30(土) 21:39:03
スーは再びリコルに斬りかかる。リコルも剣を構え、お互いの切先が激しくぶつかる。
「スー隊長!」
リコルは、スーとの対話を望んでいた。

「俺はファクトリーファミリーの一員だ。隊長なんて呼ぶんじゃねぇ」
「そんな事はどうだっていい!俺の話を…聞いてくれ」
「お前の話を聞けば、ヒュペルは生き返るのか?」
「…!?」

スーが剣を思い切り振り下ろす。リコルは力負けし、後ろへ吹っ飛んだ。
「お前は疫病神だ。疫病神を青空隊に入れてしまった…全ては俺の判断ミスだ。だからせめて…お前を殺し、死んでいった仲間への弔いとする。それが俺に出来る償いだ」

リコルは立ち上がる。
「違う!俺と協力し、世界を改変させる。全員生き返らせる事があんたの成すべき事だ!」
「改変…?そうか…はっはっは!!」

スーは突然笑い出した。
「今まで出会った悪人は、あの手この手で甘い言葉を囁き、俺を惑わして来た。今回は世界の改変かよ!!立派な嘘だ…お前も悪人だな、リコル」

48キャプテン:2021/11/06(土) 23:09:01
「リコル…クソッ?!」
ジェノが武蔵に掴みかかる。
「(このまま切り刻む!!)…セットスラッシュ!!」
短剣がジェノの袖を通り現れ、それを握る。周囲から空を切る音が現れる。
「『亜空間からの斬撃』か…フッ。」
武蔵の口から灰色の粉が吹きかけられる。
「ゴホッ?!(灰…目潰しか?!)」
バシュッ!!武蔵の袖から矢尻が飛び出し、ジェノがとっさに離れる。矢尻が頬を掠め、血が滴る。亜空間の斬撃が辺りの木に傷を残す。
「袖のバネ仕込みの矢尻…袖箭(ちゅうせん)か。さっきの目潰しといい、暗器使い。」

ジェノが短剣を構える。武蔵が笑みを浮かべる。
「能力に自信があるようだな、ジェノ・ライン。」

49ノートン:2021/11/07(日) 21:53:39
「当たり前だ…自慢の能力なんでね」
ジェノの回答に、武蔵はため息を吐く。ジェノの背後にいた『もう1人の武蔵』は突然バシュっと音を立て、煙となり消えていった。

「…やはり分身を作り出す能力だったか!?何故分身を消した!!」
「能力に溺れ、己を磨かない雑魚に、能力は使うまでもないと判断しただけだ」
「何だと!?」

ジェノが反論の言葉を発したと同時に、武蔵はありえないスピードでジェノの両足を蹴っ飛ばす。
ジェノは地面に倒れ込むと、武蔵は片手でジェノの両腕を締め上げ、残りの片手でナイフを取り出す。

「雑魚に用は無い…死ね」
ナイフをジェノの心臓目掛けて振り下ろす。

その時、スーの炎波刀が武蔵のナイフを弾き、ナイフは森の中へ飛んでいった

「何のつもりだ?邪魔をするな」
「お前、この青年を殺すつもりだったろ」
「俺は殺し屋だ」
「…こいつも疫病神の被害者なんだ。良い様に利用されてる。命まで取る事はねーよ」
「…」

50キャプテン:2021/11/13(土) 23:22:17
「…ハァッ。」
武蔵がため息をついた瞬間、袖から矢尻が飛び出し、ジェノの腕に刺さる。
「…痛っ…!?」
ジェノの手から短剣が落ち、スーの背後から現れかけた亜空間の斬撃が消失する…スーが冷や汗をかく。
「…すまない、助かった。」

その間、リコルは分身の武蔵に首を鎖で括られ意識を失った。…

…ホリデー、ドーヂ、キャプティ、ノートンが追いついてきた時には既にリコルの姿は無かった。ジェノの体がロープで拘束され、木に宙吊りにされ、下一面には逃げられない様に『串刺し罠』が仕掛けられていた。

51ノートン:2021/11/19(金) 21:09:19
慎重にジェノを助けるホリデー達。
「リコルは何処に連れて行かれた?相手は何者だ?」
ドーヂの問いに、ジェノはうつむき加減で答える。
「すみません…」
「手掛かり無しか…。手の打ちようがないな」
暗がりの森の中、ただ佇む事しか出来なかった。

場所は変わり、夜のとある街。路地裏の暗がりで、2人の男が話していた。
「お久しぶりです、ターグ博士」
「交渉人が何の用だね?アップルソルジャー」
「生物兵器課は壊滅。男爵も行方不明です。あなたに新たなポストを任せたい」
「帰りたまえ。私はブラックボックスには戻らんよ。今は殺したい奴の事で頭が一杯だ」

アップルソルジャーはリコルの写真を見せる。
「では、他社連携課として、あなたと取引がしたい。報酬は払います。捕らえて頂きたい」

ターグは写真を見るなりビリビリに破き始める。
「最後の警告だ、帰りたまえ。さもなくば喰うぞ…」
急に声色が変わり、ターグの顔面の半分が黒い化け物の姿となった。
「…!?」
アップルソルジャーはターグの背後に、衣服や大量の血痕、人間の臓器などが広がっているのが見えた。

「人間を…喰っているのか…!?」

52キャプテン:2021/11/22(月) 23:36:51
「…だったら?」
アップルソルジャーが笑みを浮かべる。
「人肉摂取が必要な体…大変だな。こちらに協力すれば調達してあげるんだが…どうかな?」
体が怒りで震える。ターグの全身が黒い筋肉質に覆われ、黒い牙を剥き出し威嚇する。
「それと…リコルとホリデーの居場所…知りたくないですか?」
少し間があり、ターグの体から黒い物質が引いた。
「知ってるのか?」…

…リコルが目を覚ます、鎖に縛られて。
目の前に、小柄で太った男が椅子に深々と座る。
「今日からお前は、俺のものだ。」
ドン・ファクトリー…その人だった。

53ノートン:2021/11/26(金) 00:41:34
ニヤつくドン。ドンの背後には、スーとオズマがいた。
スーは無言で刀を抜くき、リコルを殺そうとした。
「おい、待て待て待て!!」
慌ててドンとオズマが止める。

「何故止める?捕らえる手助けはしたぞ。次は俺の要求に従ってもらう」
「バッカス!リコルの身柄はこのままブラックボックスに渡す。”生きたまま”だ。じゃなきゃ大金は手に入らねぇ!」
「リコルを売り飛ばすだと!?ふざけるな!!」
スーはドンの胸ぐらを掴んだ。
「俺はコイツを殺す為に、こんな下らない組織に入ったんだぞ…」
「殺すのは金を受け取った後にしろ!!お前もこの世界で生きていくには金が必要だろう?」
「…クソっ!!」
スーはドンを突き飛ばすと、ドカドカと部屋を出た。

「…あいつは諸刃の剣だ。敵にも味方にもなりうるぞ兄貴」
オズマはドンに話す。
「バッカス!厄介なのを組織に入れちまったかもな…」

54キャプテン:2021/11/29(月) 23:09:18
「…フェッフェッフェッ、良いじゃないかい。男前で…ねぇ、シィちゃん?」
「…ワタシハ…オナカガ…スキマシタ。」
白髪老婆と片言の女性が現れる。
「「…バッカスっ。」」
ドンとオズマが頭を抱え、合わせて言った。
「フェイクス・ノイズンにシィ・シシェイ…。ボスとして組織の将来が心配だよ。」
部屋の角にはリコルから取り上げた剣が立て掛けられていた。…

…ファクトリーファミリーアジト付近。
「見つけたよ。ジェノと戦った時にジェノの剣を能力の目印にしといてよかったよ。私の能力で『剣との距離』を縮めて追う事ができた。」
バルトが通信機に話しかける。

55ノートン:2021/11/30(火) 20:53:16
「能力者が何人かいる。私1人じゃリコルの奪取は厳しいぞ」
無線機の相手が答える。
「御安心下さい。既に戦力確保済みです。ファクトリーファミリーの中に1人、裏切り者がいます」
「なるほどな…その人物が私の協力者という事か」

一方、アジト内部。リコルはドンにある提案を持ち掛ける。
「なぁ。俺をブラックボックスに売るんだろ?」
「その通りだ。お前は高く売れるぞ」
「…あんたと取引したい。倍の金を払う。だから俺を…見逃してくれ」

ドンは腹を抱えて笑い始める。
「ブワッハッハッ!!馬鹿も休み休み言えバッカス!!」
「金を作る策はある!!」
「いいだろう、聞いてやる。話してみろ」

リコルは真剣な眼差しでドンを見る。
「俺は…ずっと追われてきた。仲間を傷付けられてきた。全部…全部ブラックボックスのせいだ。だから俺は決めたんだ。もう逃げない」
「何が言いたいか分からねぇ。簡潔に話せ」
「俺がブラックボックスを乗っ取る」

56キャプテン:2021/12/06(月) 21:37:41
「素晴らしい考えだ!!気に入らんがな。」
ドンがそう言う。…既にリコルはドンによって殴られ血まみれで床に寝そべっていた。
「閉じ込めとけ。」

ドンとオズマが二人きりになる。
「兄さん…ボス。奴らが取引に素直に従うとも思えない。何よりリコルを渡す事自体、危険だ。そうだろ?」
オズマが詰め寄る。
「何か考えがあるのか?」
「…考え中だ。」…

…密閉された部屋にリコルは閉じ込められた。
「ハァッ、また檻の中か。さて…ドンは話に乗ってくるかな?」

57ノートン:2021/12/12(日) 08:42:10
ドン、オズマの2人がリコルの監禁部屋に入る。
口内出血をぺッと床に吐きながら、リコルが問う。
「答えは出たか?」

「考えるまでもねぇバッカス!却下だ。いくら強い仲間がいようが、ブラックボックス乗っ取りなんて不可能だ」
「仲間?何言ってんだ…もう仲間は巻き込まない。俺1人でやる」
ギロリとドンを睨む。オットセイでの死闘、蘇る負の記憶…。様々な出来事は、リコルの精神を追い詰めていた。
「何て顔してやがる…イカれてるぜ、このガキ」

その頃別室では、シィとフェイクスが雑談をしていた。
シィの背後に、武蔵が立つ。
「どうしたのヨ、武蔵」
「!!??」

この後武蔵は、信じられない行動に出る。
武蔵は刀を抜き、シィの背後から心臓を貫いていた。
「何でヨ…ムサ…シ…」
「俺は暗殺者だ。より高い報酬の主に付く。ファクトリーファミリーに所属した覚えは無い」

58キャプテン:2021/12/19(日) 15:04:58
「おやまぁ〜、死んじゃったかいシィちゃん。」
武蔵が刀を引き抜く。倒れたシィの死体を見て、フェイクスが眉をひそめニンマリと笑う。
「…武蔵ちゃん、本気でやる気かい?私と。」…

…ビビビジジジガガガ。
電子音が響きわたる。一人、武蔵があちこちを駆けずり回る。その手足に突如、『切り傷』が現れ血が飛び散る。
「クソッ!!フェイクスの『電子音と共に来る斬撃』。相変わらず正体不明だ。仲間にも能力を明かしていない用心深さ。さすが諜報員の端くれだ。」
武蔵が辺りを探る。
「何にせよ、隠れている本体を倒せばしまいだ。標的は…リコルただ一人。」

59ノートン:2021/12/22(水) 21:06:49
謎の能力で武蔵を追い詰めるフェイクス。しかし彼女は、武蔵の切り傷から、血と一緒に煙が上がっている事に気付いていなかった。
「(俺を攻撃した所で無駄。何故なら俺は分身だからな。足止めできれば十分なんだよ、フェイクス)」

一方、監禁部屋では、出入り口の扉が突然開く。現れたのは、何とバルトだった。
「バルト!?何故てめぇがここにいる!?」
「お前がドンか。リコルの存在に早々に気付き、迅速な動きで我々を出し抜こうとした。随分知恵が働くじゃないか」

オズマがドンの前に立つ。
「失せな、バルト」
「久しいなオズマ。早川組では世話になった。お前の猛獣を出す能力…この狭い部屋じゃ使えない。兄を守れなくて残念だな」

不敵な笑みをこぼすバルト。ドンの背後には、闇に隠れていた武蔵が現れた。
「兄貴!?危ねぇ!!」

武蔵の刃がドンを襲おうとしていた。

60キャプテン:2021/12/24(金) 21:47:35
「…左に三十度修正、撃て。」
ズドンッ?!
ドンの言葉とともに武蔵の体が撃たれ倒れる。建物外ではフェイクスがライフルを構えていた。
「囮囮作戦。どうやら上手く…?!」
ドンの前の武蔵の姿が煙となって消えた。
「何だい?!じゃあ本体は?!」
フェイクスの頭上から武蔵が刀を突き立てる。咄嗟にライフルで妨ぐ…が蹴り飛ばされてしまう。…焼け焦げた煙を服から放つ武蔵、血が染みている。
「囮囮囮作戦ってかい。火薬で服から煙を出して、最初から分身のフリをしてたのかい?」
「まぁ…な。」

「アポロ!!」
フェイクスの声、草むらから電子音が鳴り響き、武蔵の体に切り傷が増える。
「(何だ今の電子音…草むらから響いた。それにアポロって…まさか?!)」

61ノートン:2021/12/26(日) 18:18:03
「このままでは出血多量となる…最優先でお前を殺す、フェイクス」
武蔵は分身を出し、フェイクスを前後で挟み打ちの状態にした。

「フェッフェッ!!私の能力が分からないから、迂闊に近付けないんだろう武蔵!!いいかい?情報は最大の武器なのさ!私はお前の能力を知ってる。お前は知らない。このアドバンテージが最大の武器なのさ!」

武蔵がマスクの裏でニヤリと笑う。武蔵の能力”ダークサイド・ドッペル”は分身を作り出す能力。ファミリーにはそう教えてあった。

「…(ベラベラ喋りやがってババァが。お前も知らないんだよ、俺のダークサイド・ドッペルは分身を”3人”まで作り出す。つまり、もう1人分身を作れる)」

フェイクスの背後、草むらに3人目の武蔵が現れた。

「情報に踊らされてるのはどちらか、教えてやるよ」

62キャプテン:2022/01/02(日) 22:43:27
…「しくっ…じっちまったね〜。」
武蔵が倒れるフェイクスの体から刀を引き抜く。ガサガサッ。草むらから気配がして神経を尖らせる。
「(奴が呼んだアポロ…やはり仲間が…?!)」
ニャ〜ッ。
猫が現れ、自身の体を舐め出す。武蔵の体から力が抜けた。
「何だ、アポロって猫の名前か。」
二体の分身が消え、武蔵はそのままアジトの方へと戻って行った。…

…「ブリッジウェイ。」
オズマのバルトに進む方向が右に逸れる…が、ドンもバルトに突進しており壁に押し潰した。
「2人…同時だと?!」

63ノートン:2022/01/09(日) 20:58:58
ファミリーのアジトは1階建の平家。その屋根の上から、スーは中庭を監視ていた。
「武蔵…フェイクスを殺しやがったのか。何が起きてる!?」
続けてスーは屋上に空いた小さな隙間から、拷問部屋を覗いた。
「こっちはデカい男が侵入してるな…揉めてんのか?」

スーは屋根に座り込む。
「誰が敵か味方か分からない…でも俺がやる事は、リコルを殺す事。今は静かに機を待つんだ」

一方、拷問部屋。能力が出せないオズマと無能力のドン。そんな2人が立ち向かうには、あまりにバルトは強大過ぎた。

そんな最中、リコルが叫ぶ。
「ドン!オズマ!俺がそいつを倒してやる。だから俺を解放しろ!」

リコルの言葉を聞き、バルトが笑い始める。
「私を倒すだと?天狗エンドを失い、能力も無い貴様がか?」
「(能力が無い?コイツ…俺自身の能力、ブルームスターの事をまだ知らないのか!?)」

64キャプテン:2022/01/17(月) 22:08:49
ドンとオズマが顔を見合わせる。
「ああわかったよ。命あっての物種だ!!」
ドンが檻を開け放ち、オズマが立て掛けられていた剣をリコルに投げてよこす。

「貴方と戦うなんて思いませんでしたよ総監。」
「奇遇だな、私もだ。」
リコルが掴む剣から黒い光がジェット噴射の様に放たれる。
「加速しろ…ブルームスター!!」
まるで黒い流星の様に剣は投げ放たれ、加速し、バルトをとられた…が…。
「(ダメだ、その距離では奴の能力が?!)」
「ブリッジウェイ。」
バルトと剣の距離がみるみる離れていき、遂には黒い光が消え、剣が床に落ちる。
「自分と対象のルート、距離や角度を変化させる。それが奴の能力、ブリッジウェイだ。」
ドンが助言した。

65ノートン:2022/01/22(土) 21:35:21
「リコル、自分の能力に目覚めていたのか!どんな能力だ?私に教えなさい」
驚き、拍手をするバルト。
「教える訳ないだろ、バーカ」

するとオズマはリコルの耳元に近付き、何やらコソコソと話した。
「…分かった」
リコルは両手を出す。黒い粒子が手のひらを行ったり来たりしながら、どんどん加速していく。
「ブルームスター!!」
リコルが放った粒子は、何とバルトの反対側。部屋の壁目掛けて技を放った。

ドカァァンと爆音と共に、部屋に風穴が開く。穴の先は、庭に繋がっていた。
「トチ狂ったか!?何を考えてる!!」

驚くバルトをよそに、オズマは穴から外に出た。
「ありがとよリコル。これで能力が使える…フラッシュ・レオパルド!!」

現れる3首の猛獣。その内、炎を操る首が巨大な火の玉を作り出し、野球ボール程の大きさに圧縮した。
「死ね、バルト!!」

オズマはバルト目掛けて、圧縮した火の玉を打ち込んだ。

66キャプテン:2022/01/31(月) 22:04:11
「ブリッジウェイ」
バルトの目の前で火の玉が逸れる。突如、3首の猛獣が3頭に分裂し多方向から攻める。
「…3体同時には道を変えれないだろう。」
オズマにバルトが唸る。
「縮まれ!」
オズマとバルトの間が急激に縮まり、勢いに乗ってオズマを蹴り飛ばした。それを見て、リコルが密かに3頭の猛獣に触れる。3頭の体に黒い粒子が覆い、ジェット噴射の様に噴き出す。
「アンタのペット達、少し借りるよオズマ。」

黒い粒子と共に3頭の猛獣がありえない速さと動きでバルトを捕え、噛みついた。

67ノートン:2022/02/04(金) 12:34:22
リコル&オズマとバルトが激闘を繰り広げる、丁度その頃…。ブラックボックス最上階では、ある密会が行われていた。

アップルソルジャーは社長室の扉を叩く。
「失礼します。祖様」

祖(そ)と呼ばれた男が振り向く。容姿は若く10代後半、スーツにメガネ、まるで就活生のような見た目だが…。

「ターグ、武蔵への交渉。バルト課長の派遣・情報伝達…指示通り完了しました。今バルト課長が戦闘中との事です」
「ご苦労。これでバルトがリコルを回収出来なければ、奴も使えないグズという訳だ」
「バルト課長をグズ呼ばわり…ですか」
「文句があるのか?」

祖から放たれる、針が突き刺さるような威圧感。
「(動悸が…息苦しい…押し潰されそうだ)」
アップルソルジャーは恐怖していた。

社長室の片隅で、1人の少年がTVゲームをしていた。
彼の名は寿限無(じゅげむ)。
「ねぇパパ。やめてあげなよ。怖がってるよその人」
「そうだな、すまないアップル。下がりなさい」

「(一体何者なんだ…この2人は…!?)」

68キャプテン:2022/02/07(月) 19:17:10
「それと寿限無、ゲームは一日一時間だぞ。」
「ぐぬぬ。」
祖と寿限無に更にアップルは困惑した。
「(本当に何者なんだ、この2人は。)」…

…武蔵が建物へと辿り着く。
「よし、急いでバルトの加勢に…(電子音?!)。」
武蔵の首筋に突如、切傷が現れ、煙となって姿が消えた。それを草むらから覗く本物の武蔵。
「分身を囮にしておいて良かった。だがフェイクスは死んだはずだ。」
武蔵が地面に何かを見つける。そして自身の体の切り傷を観察する。
「何かの動物の足跡か?それに俺の体の切り傷。コレも動物の引っ掻き傷みたいな…。」
武蔵がハッとする。
「まさか?!」

69ノートン:2022/02/16(水) 00:07:43
ー2年前、ファミリーのアジト。

集まったファミリーの前に、ドンが1人の男を連れてくる。

「紹介する。新しいファミリー、武蔵だ!」
「武蔵だと!?界隈では有名な殺し屋だ…信用出来るのか?兄貴」
「バッカス!俺とこいつには”金”という強い絆がある。安心しろ」

武蔵は1人1人の顔をジッと見つめる。その時、1匹の猫がすごい剣幕で武蔵を威嚇した。
「シャー!!」
「何だ?この小動物は」
「ヒッヒッ…気を付けな。この猫アポロは気に入らないものは何でも引っ掻くのさ。この鋭い爪でな」

それから数日、数ヶ月…時が経つにつれ、武蔵はファミリーに馴染んでいった。
が、ただ1匹。武蔵を敵と見なし、威嚇し続ける猫がいた。
「シャー!!」
「このクソ猫が…」

そして、現在ー。
武蔵は悟る。斬撃の能力はフェイクスのものではない。自分を苦しめた元凶は、アポロだった。
「お前の仕業だったか、アポロ。まんまと騙されたよ、お前とフェイクスにはな」

70キャプテン:2022/02/20(日) 21:11:18
武蔵が足を止める。電子音が辺りを駆け巡り…
「ハァッ…どうにかなりそうだ。」
痛っ?!…武蔵が首筋に痛みが走った刹那、猫の首を絞める『もう一つの武蔵の姿』が出現した。猫を離すと地べたに落ち、ニャ〜と弱々しく鳴き、動かなくなった。
「やはり、攻撃の際は実体化したか。それにしてもクソッ、動物ってのは人を殺すよりも気分が悪い。」…

…隙をつき、リコルが走る。
バルトへの道筋が歪んで曲がる…しかしリコルの服から黒い粒子がジェット噴射し軌道を変える。
「能力で無理矢理?!」
リコルが遂にバルトに近づいた。

71ノートン:2022/02/22(火) 15:03:46
バルトに噛み付く、フラッシュレオパルドの群れ。そして、バルトに急接近するリコル。
「フフ…私にここまで近付くとは。中々良い筋を持っているな、リコル」
「そいつはどうも」

この時リコルは、ある違和感を感じた。
「ちょっと待て…獰猛な獣が3匹…噛み付いているんだぞ!?何故そんな余裕で話せる!?痛みはないのか…?何故血が出ていない…!?」

屈強な顎で、腕や足などに噛み付いたレオパルドの群れ。そのままバキッ!!と嫌な音がする。
「何の音だ!?」

レオパルドが噛み付いた部分。リコルがよく見ると、バルトの皮膚の色が銀色に変色し、硬くなっていた。その硬度に負け、レオパルドの牙がバキバキに砕けていた。
「ギャオオオォォォアア!!!」
レオパルドが痛みで叫ぶ。

「驚いたかね?リコル」
「あの色…まるで…まるでペプシマンじゃないか!?」

72キャプテン:2022/02/27(日) 22:11:03
【距離】…ある2点間に対して測定した長さの量をいう。

「ブリッジウェイ」
バルトの姿が遠くなる。
踏み込み…体幹を捻り…白銀色の拳を振り放つ。すると一人が血を舞わせて倒された。

「リコル?!」
ドンが叫ぶ。もう一度、バルトが遠くで拳を振る。オズマが血を撒き散らして吹っ飛ばされ、リコルと並んで横たわる。ドンが愕然とする。
「距離を操って、遠くからの拳打をぶつけたのか。私達には見えない速さで!!」

バルトが空気を吐き出す。
「私にとって距離は、1も100も同じだ。」

73ノートン:2022/03/03(木) 00:44:05
「ブリッジウェイ…ここまで厄介な能力なのか。それにあの銀の体…化け物め」
オズマに焦りが見え始める。しかし、リコルは焦りとは違う感情を抱いていた。

「こんな強大な力で、ジェノを…。お前に聞きたい事がある。ラス消防署総監、バルト」
「…?」
「早川組組員…バルト。ブラックボックス幹部…バルト。本物のお前はどれだ?」
「何を言っている?どれも本物の私だ」
「なら、ジェノの敬愛するバルトもお前の中にいるのか!?」
「そんな物はジェノが作り上げた幻想。いるわけなかろう」

嘲笑うバルト。その姿を見て、リコルの怒りのボルテージは高まる。
「ふざけんな…ジェノを笑うなよ!!何なんだお前は!!一体何がしたいんだ!?」

リコルの激昂に、辺りが静まり返る。少し間を置いた後、バルトは語り始めた。
「対話をご所望か。良いだろう…私の話で、お前の気が変わる可能性もある。試してみる価値はあるな」

そしてバルトは自身の過去、そして野望を語り始めた。

74キャプテン:2022/03/07(月) 06:52:16
あの日は、嫌になる程の狂気じみた晴れだった。その強過ぎる太陽を憎たらしく睨み付ける。そのせいだろうか。悲しむ事よりもまず、怒りと殺意が湧いてきたのは。

「母さん、うちの子は?」
「あの子、友達をかばって木から落ちたって。」
転落死…木登り中の事故…事故?…事故!!!
「ふざけるな。事故なものか!!うちの子じゃない。その友達が死ぬはずだったんだ。そうだろう、母さん?!」
「…。」

私が、この現実を正してやる!!!

75ノートン:2022/03/10(木) 23:21:15
バルトは手を差し出す。
「さぁ、私の手を取れリコル。共にこの世を正そう。そして私の息子を…救ってくれ」

リコルは哀れみの表情を浮かべる。
「違う…違うよバルト。あんたの息子は甦えらせる。それは約束する。だけど立ち位置が違う!そっち(ワールド)側じゃない。俺の側に来るんだ」

リコルも手を差し出す。しかし、2人の手は交わる事は無かった。
「残念だよリコル。ブリッジウェイ」

まさに一瞬。2人の距離が一気に縮む。
突然の状況に理解が追い付かないリコル。間髪入れず、リコルの腹部にドゴッ!!と強烈なアッパーをかます。

「ぐぉぉ!?」
痛みに悶えながらも、リコルは“ある物”を見つけた。
「バルトの腕…何かキラキラ光ってないか?あれは…フラッシュレオパルドの牙か!!」

リコル能力発動。砕けた牙の破片から、勢いよく黒い粒子が噴射した。
「お前のその腕に刺さったキバ…ブーストをかける!」

メキメキッ!!と音がする。キバが徐々に、だが確実にバルトの体内へめり込んでいった。

76キャプテン:2022/03/14(月) 21:35:34
「私の体に食い込んでいく、牙が?!」
バルトの腕の傷部分が濃い白銀色に染まる。
「(クソ?!この程度のバイシ細胞では時間稼ぎにしかならない。私の能力は密着したモノは距離を離せない。一体…どうすれば?!)」

次第にリコルとオズマが回復する。
「ブリッジウェイ!!奴らと奴らの攻撃を近寄らせるな!!」
リコルが辺りの物を黒粒子の噴射で飛ばし、オズマが獅子を出現させ走らせる。しかし、バルトの位置が遠ざかったり近づいたり曲がったりズレたり…と攻撃が避けられる。
「(このまま援軍が来なければ、『あの手』を使うしかない。)」

77ノートン:2022/03/18(金) 23:30:09
バルト達の戦いを後方から観察するドン。

ドンはオズマの兄にして、ファミリーのボスを務める。能力も無く、非力…そんな彼が持っている優れた才能。それは『危機管理能力』。

起こりうるトラブルを回避または最小に抑える能力のことで、物事の攻め時、引き際の判断が的確。そんなドンが、ある決断を下す。

「もういい!引け、オズマ!」
ドンが叫ぶ。
「何だと!?」
「フェイクスからの通信が途絶えた。シィと連絡も取れねぇ!異常事態だ…これ以上、バルトに関わるな!!」

オズマはタバコをフーっとふかす。
「アジトを荒らされ、ここまでコケにされて逃げろだと?見損なったぞ兄貴!!腰抜けはこの場から消えな」
「…バッカス!!言う事を聞け!!」

この時のドンの判断は正しかった。
オズマと言い争いをしている最中。ドンの背後に突然、武蔵が現れる。刀からは血が滴り落ちていた。

「武蔵!?まさか…兄貴!!後ろだ!!逃げろぉぉぉーーーー!!!!!」

78キャプテン:2022/03/23(水) 21:46:05
「武蔵…裏切ったのか?!」
ドンの脇腹に刀が食い込む。素手で刀を掴み、無理矢理に防いでいた。血が武蔵の刀身を伝う。
「(オズマの声に反応されたか…だが)バルト!!リコルは何とかする。『落とせ!!』」
武蔵が声出し、ドンの巨体を空中へ放り上げる。

それと同時、空間から武蔵の分身が2体現れ、リコル、オズマにしがみ付き、ジャンプする。バルトが地面に手を着いた。
「ブリッジウェイ…下れ。」
建物内が縦に伸びた。

空中にいたリコル、オズマ、ドンの足場は一瞬にして無くなり…落下する。

79ノートン:2022/03/31(木) 12:28:28
「フラッシュレオパルド!!」
空中に3匹の猛獣が出現。3人を背に乗せると、辺りの木や壁を上手くジャンプしながら着地した。

「兄貴!大丈夫か!?」
脇腹からの出血が止まらないドン。一目散に駆けつけるオズマ。その隙を武蔵は逃さなかった。
「がっ…かはっ…!?」

ドスっと鈍い音がする。なんと、武蔵が刀でオズマの心臓を一突していた。
「オズマァァァァ!!!!」
「クソ…兄貴…すま…ね…ぇ…」
オズマ絶命。武蔵は刀を引き抜くと、ドンに近付いた。

ドンにとって唯一の家族の死。まともな一般人なら錯乱する状況。しかしドンは、思いもよらぬ提案をする。
「クズ野郎が…ゼェ…奴らに…いくらで雇われた?」
武蔵の動きが止まる。
「1億だ」
「2億出す…もう一度…俺の配下に加われ」
「お前にそんな金が無い事は知っている」
「バッカス!あるだろうが…ここに!」

ドンは自身の首を指差す。
「俺の首にかかった懸賞金2億!お前にやるよ、武蔵。バルトを殺せ。その後俺の首を刎ねればいい」
「…」

武蔵の終わりのない殺意は、ついにバルトに向けられた。

80キャプテン:2022/04/05(火) 22:07:29
「ここまでか…ブリッジウェイ?!!」
バルトの姿が急激に空へと伸び、消えた。…

宇宙空間…
文字通り宙に浮くバルトの体は白銀に覆われた。
「(この技。まさか、宇宙と自分の距離を縮める羽目になるとは。宇宙に適応する為のバイシ細胞だったが、この量では…早く別の地上に逃れねば。)」

地上…
「分身の射程範囲外…空の上…まさかな。」
武蔵がドンに近づき、首に刀を当てる。
「前払いで構わないよなドン。安心しろ、バルトは殺してやる。」

そこへ、燃える刀を持った男性が姿を現す。
「遅かったじゃないか…スー。」

81ノートン:2022/04/08(金) 11:45:29
「俺を邪魔しに来たのか?」
武蔵の問いに、スーは答える。
「お前が何しようと興味無いね。俺はただ、自分の目的を果たすだけだ」
リコルを殺す。その強い意志の元、炎波刀をリコルに向ける。そんなスーの言動を聞き、リコルは反論する。

「興味無いだと?人が死のうとしてるんだぞ!」
リコルはドンを指差す。
「あいつはマフィア…悪人だ。今までの行いに、死んで詫びればいい」
「悪人だろうが、同じ命だ!!生きて償うべきだ!!」

リコルが叫ぶ。
「スーさん、あんたずっと屋根にいたよな?何してたんだよ」
「お前を殺す機会を伺ってたんだが?」
「そんな事で…オズマや、他のファミリーを見殺しにしたのか」
「何だと?」
「見殺しにしたんだよ。救える命を救わなかった」

リコルはドンの元へ歩む。それを静止するスー。
「動くなリコル!」
「うるせぇな…どけよ。俺はドンを助ける」

復讐者として生きる事を決めたスー。
しかし、何故かリコルの言葉が胸にグサグサと突き刺さる。

(こんな奴の言葉に、何を俺は戸惑っている!?俺は一体…どうしたいんだ!?)

復讐者としてのスー。そして、青空隊としてのスー。正しくあるべきスーの姿は、果たしてどちらなのか?
2つの心の狭間で、スーは葛藤していた。

82キャプテン:2022/04/17(日) 23:25:38
「…はぁ、もういい。勝手にしろ。」
スーが壁を焼き切る。まるで積み木のように崩れ、辺りを砂埃が覆う。そこからスーは頭を掻きながら出て行った。

砂埃が晴れ、困惑するリコルと武蔵が向き合う。
「…どうする?」
「まあ、戦う?」
「そうだな、ドンの首も…?!」
二人が辺りを見渡す。ドンがどこにも居ない。どうやら砂埃に乗じ、逃げたらしかった。更にリコルと武蔵が頭を傾げながら向き合った。
「「…どうしよう?」」

83ノートン:2022/04/24(日) 21:12:26
「…くだらん」
武蔵は刀をしまう。
「そもそも奴の依頼をクリアしていない以上、報酬を受け取る事は出来ないしな」
そのまま武蔵は闇へと消えた。

リコルは血の跡を辿り、数メートル先で倒れてるドンを発見した。
「…まだ生きてる。助けてやるよドン。あんたも生きて償え…俺のように」

武蔵は、暗闇の森を歩いていた。
「こんばんは。あなたが武蔵さん?」

武蔵が振り向くと、そこにいたのは子供だった。
「(子供…?こんな夜の森に!?)何者だ!?」
「僕の名前は寿限無。そんでね、こっちに居るのが…」

森の中からドスン!ドスン!と巨大な足音が近付いてくる。
「何だ…!?この化け物は…!!??」

現れたのは、ペプシマンと同じ銀色の体を持つ大男。体の大きさはペプシマンより一回り大きいが、体型はペプシマンと真逆。中年親父のように腹は出ており、全身太っていた。
「ペプシダディって言うんだー。僕のペットだよ。パパに逆らう奴は…死んじゃえ」

寿限無の言葉と共に、ペプシダディは戦闘体制に入る。

84キャプテン:2022/04/29(金) 21:58:05
「(あの見た目。バルトと同じ、バイシ細胞持ちか…それとも生まれつきか、だが…。)」
武蔵が寿限無と名乗った子供を睨む。
「(何故かあの怪物より、あの子の方が恐い。)」…

…ベッドに横たわる巨体が瞼を開き、体を起こす。白い部屋、身体中には包帯とチューブ。
「病室さ。ドン、アンタには生きてもらう。」
椅子に座り、何かの小説を読むリコルが言う。
「ふんっ。…何を読んでいる?」
「『宿星物語』。スーさんの事、いろいろ知っておこうと思って。」
「奴はお前を憎んでいる。」
「そう、殺されても文句は言えない。」
「それだけの事をお前はしたんだ。」
「…わかってる。」
リコルが顔を伏せ、部屋を出て一人になる。すると自分の頭を壁に叩きつける。涙が頬をつたう。
「言われなくたって…わかってる。」

85ノートン:2022/05/01(日) 19:23:09
「キャアアアア!!!」
突如廊下に響き渡る、叫び声。
「敵か!?」
リコルが構える。しかし、近付く男を見て安堵する。

「シュワァァァ。元気そう…では無いな」
「ペプシマン!?何で…まだペプシ缶になってから1ヶ月も経ってない!」
「分からない…私の同族から”助けて”と声を聞いたのさ。その後急に私の中のペプシ細胞が活性化し始めた」

ドンが病室からおぼつかない足取りで現れる。
「叫び声が聞こえたから何かと思えば。銀色のあんた、リコルの保護者か?」
「保護者って…俺はガキじゃ無い!」

ペプシマンは笑いながら答える。
「リコルは私の家族さ!」
「なら安心だ。その小僧、一人でブラックボックスに乗り込むとか抜かしてるぞ」
「シュワ!?何を馬鹿な事を!!」
「今その小僧には仲間が必要だ。決して1人にさせんじゃねぇぞ…いいな!」

ペプシマンは近付き、そっとリコルの頭に手を置く。
「兎に角頑張ったな、リコル。まずは休め。ペプシウーマンが手料理を作って待ってる」

86キャプテン:2022/05/05(木) 15:47:16
辺りにバラバラにされた武蔵の分身体から煙が揺らめく。その真ん中でペプシダディの巨体の手が本体の武蔵の頭を地面に押さえつけていた。…寿限無が隣でニンマリ笑う。

「お兄ちゃんはオモチャにするんだから、他のみたいに壊れないでよ?」
「最…悪…だ。」…

…「…話は以上、何か質問は?…ゲップッ。」
ペプシマンがコーラをグラスに6つ注ぐ。リコル、ジェノ、キャプティ、ノートン、ドーヂが山盛りのハンバーガーに夢中になって齧り付く…かぶりつく…かぶりつく。

互いに注がれたグラスを一気に飲み干し、言った。
「「「「「無いっ!!!」」」」」
「ヨシっ潰すぞっ…ブラックボックスを。」

87ノートン:2022/05/06(金) 20:55:09
ペプシマンが提案した策は、至ってシンプルだった。
「目的はブラックボックスの壊滅。その為には社長、幹部共を全員叩く必要がある。敵戦力が分散しているタイミングを見計らって、それぞれ個人単位で倒していこう」
「ペプシ、それには情報がいるぜ。敵は何人いるのか、誰がいつどこにいるのか…」

キャプティの問いに、ドーヂがハンバーガーを食べながら答える。
「情報に関しては1人目星を付けてる。そいつの名は”アップルソルジャー”。ブラックボックスの交渉人と呼ばれてる男だ」
「情報屋…そんな奴がいるのか」
「アップルソルジャーを捕らえ、情報を吐かせる。これは刑事である俺とコイツに任せてくれ」
ドーヂはジェノを指差す。

「これは俺自身の戦いでもあります。必ずバルトと決着を付ける…その為に今は最善を尽くします」
ジェノの魂のこもった発言に、ペプシマンは力強いガッツポーズを送った。

88キャプテン:2022/05/16(月) 21:53:01
ラス消防署、訓練場。
何も変わらない…汗の臭いも…訓練の日々も…。
「逃げも隠れもしない…か。消防署総監バルトゥース・グーナゥベック。」
ジェノが呼ぶ。バルトが錆び付いた鉄アレイやダンベル、ボロのサンドバックに順に触れていく。
「何度、何度、世界が壊れても、この訓練場だけは変わらないような気がする。…懲りないな。」
バルトの問いに、ジェノが頷いた。背後にはドーヂが隠れる。…

…「灯台下暗し…か。」
元ハヤカワ組本部。
古く威厳のあるたたずまいの屋敷。リコルが門を両手で勢いよく開く。何十にも連なるふすまを開いた先、その男はあぐらをかいていた。
「早川組の敷居を跨ぐとはな…沖田総司。」
「池田屋じゃなくて残念だよ。久しいねリコイル・ブラッシ…いや、今はリコルか。」

89ノートン:2022/05/18(水) 10:08:33
数日前ー。

「邪魔するぜ」
ペプシマンの経営するモーテルの扉がバンッと開く。現れたのは、ジェノとドーヂ、そしてアップルソルジャーだった。
「シュワッ!?こんなに早く捕らえたのか!?」

続々と集結するメンバーの前で、ドーヂが話す。
「アップルソルジャー、話してくれ」
「ああ。まず一言、君たちに協力しよう」
「!?」
アップルソルジャーは、自らの意思でここにいる事を語った。
「私は今の社長、祖という男がどうしようもなく怖いんだ。今のブラックボックスは危険だ…止めてくれ」

アップルソルジャーの話で、討つべき標的が明確となる。

①《ブラックボックス社長》 祖
②《祖の側近》       寿限無+銀色の怪物
③《他社連携課 課長》   バルト
④《武力行使課 課長》   沖田
⑤《元生物兵器研究員》   ターグ博士

「この5名を倒せば、今のブラックボックスは無力化する」
「ターグ!?あのクソ野郎、生きてたのか!?」
同様するリコルとホリデー。

「銀色の…怪物?」
首を傾げるペプシマン。

「さぁ、必要な情報は揃ってきたな。どう動く?」

90キャプテン:2022/05/22(日) 22:49:06
「…まあ、単純な作戦さ。」…

「リコル」
話が終わり皆が互いに別れる際、ジェノに呼び止められる。何か『布に包まれた長物』を渡される。
「コレは?」
「今のお前の能力にあっていると思ってな。」

座るキャプティが自身の掌を眺める。ノートンが傍に立つ。
「使うの?『あの能力』を…今回は抜けても構わないんだよ?一度『あの能力』を使ったら…
「言わないでくれ!!」
キャプティが苦虫を噛む。
「足手まといは…ゴメンなんだよ。」…

…現在。
「でっけ〜会社だなぁ?!」
ノートンが巨大なビルを見上げながら言う。ペプシマンとキャプティもそれに続いて見上げた。

『ブラックボックス本社』

91ノートン:2022/05/23(月) 13:48:54
ー決戦前夜の事だった。

リコルはペプシウーマンの所にいた。
「あらリコルちゃん。どうしたの?」
「俺は明日、沖田と戦うんだ。元青空隊の隊長をやってた男。緊張…してるのかな。何かリラックス出来る飲み物とか無い…かな?」

ウーマンはリコルの側に近づく。何と、次元ワープを創り出した。
「緊張を和らげたいなら、うってつけの人物がいるわよ。100年前にね」

リコルは頷くと、ワープを通過。久しぶりに100年前の大地を踏む。
「ヴィヴィ!!」
「リコルか?オットセイ以来だな!無事だったか?」

再会の喜びも束の間、衝撃の事態が発生していた。
「よう」
「久しぶりでアール、リコル」
「セオドア!?ハレン!?何で…」
「分からない…ワールドに飛ばされた先がここだったんだ」

リコルは安堵の表情を見せる。
「まぁ、いいじゃないか!無事だったんだ!早く俺たちの時代へ帰ろう」
「無理でアール。ウーマンの能力は100年前の過去へタイムスリップする能力。未来へは行けないのだ」

ハレンはため息を吐く。
「…つまり、俺と男爵はこの100年前の世界に閉じ込められてるんだ」

92キャプテン:2022/05/30(月) 17:48:22
未来…
「何をボーッとしてんだホリデー?」
褐色の肌、黒髪の後頭部を叩かれ、座りうつ伏せる女の子が頭を上げる。
「キャプティ?」
「どうしたんだ?」
ホリデーが星空を見上げる。
「故郷の夜空は、もっと星が多かった。」
「モニュメントバレーか。」
「ああ、ほんっとうに綺麗だった。」
「そうか、帰りたいのか?」
ホリデーがキャプティや他の皆を見やる。
「いつか…かな。」

オットセイ跡地…
瓦礫だらけの施設の足場に気をつけながら、ホリデーは歩く。
「ほんっとうに人がいるのか?」

93ノートン:2022/05/31(火) 22:23:09
「ターグはオットセイ跡地のどこかに潜んでいる」

アップルソルジャーの情報だった。打倒ブラックボックスの為、ターグを倒す事は必須。情報を掴む為、オットセイへと向かったホリデーだったが…。

瓦礫の山を見つめ、オットセイの惨劇を思い出す。研究員ターグが犯した禁忌。それは、彼女の村人を使った人体実験…。
「ウッ…オエェェ…!!」
嘔吐するホリデー。彼女にとって、この地はトラウマとなっていた。
「ごめんなさいキャプティ…もう帰りたい。ここの調査なんて…私には無理よ!」

泣きながらペプシマンのモーテルへと帰るホリデー。出入り口の扉を開けると、リコルが突っ込んでくる。
「ホリデー!大事件だ!」

過去に囚われたセオドアとハレン。この話を聞いたホリデーの反応は以外なものだった。
「何よそれ!?私達を手伝うんじゃなかったの?あのクソ男爵、何の役にも立たないじゃない!!」
「どうしたよ?」
「私、そんなに強くないよ?私を守ってよ…セオドア…」
「…ペプシマンに会いに行こうぜ。気が晴れるかも」

2人はペプシマンを訪ねる。月がよく見える、静かな夜だった。ペプシマンは野原に寝そべり、月を眺めていた。
「ペプシマン…?何してんだ?」
「シュワ、月を見ていたのさ。見てみなさい、綺麗な満月だ」

感傷に浸っていたペプシマン。両隣りに、リコルとホリデーは静かに寝転んだ。
「リコル、質問させてくれ。私が故郷だと思っていた月の名前は惑星タラテクト。そして今いる星地球は、魔女ワールドが創り出したタラテクトのコピー。私はタラテクトから、魔女の暴走によって地球に飛ばされた…この認識で合っているか?」

94キャプテン:2022/06/05(日) 21:55:34
「そうらしい。『何かとてつもない現象』により『世界の改変』は何度も起きた。結果、この星もそうなり、ペプシマンも巻き込まれた。」
リコルが思い出しながら言う。
「…そうか。だが人は…。」
ペプシマンがうな垂れる。
「だけど『世界の改変』…思い通りにいっていないみたいね。そんなに繰り返して起こしたのに、目的を達成できていないなんて。」
ホリデーが呆れた声で言った。
「もしかしたら…サイコロを振ってるのかもな。」
「「サイコロ?」」
ペプシマンの突飛な言葉に2人の頭が『?』になる。
「ああ、1が出るまで…自分の欲する世界になるまで繰り返しサイコロを振り続けている。」
「自分の目的の世界ができるまで。」
ペプシマンの意見にリコルが考え込む。
「ああ…意外と運任せの計画なのかもしれないな、ワールドの奴は。」

95ノートン:2022/06/07(火) 12:31:55
「ま、私自身の目的は変わらんさ」
ペプシマンはタラテクト星を指差す。
「故郷へ帰る。それが私の夢なのさ。ところで、私に何か用か?」

ペプシマンの問いかけに、ホリデーは…。
「な…何でもないわ。ただ話したかっただけ」
「おい、ホリデー…」
「黙ってリコル!行きましょう」
「…シュワ??」

2人は夜道を散歩する。ペプシマンに何も言えなかったホリデー。リコルはそんな彼女を気遣っていた
「なぁホリデー。お前は無理して戦わなくていいんだぞ?怖いなら逃げちまえよ。誰もお前を責めないさ」

リコルの優しい問いかけに、ホリデーは静かに答える。
「オットセイの戦いの最後で…私、ワールドに言われたの」
「何を!?」
「リコルを差し出せば、村人全員救ってやるって」

ホリデーの目に涙が浮かぶ。
「私、ワールドに反論出来なかった。本当は黙れ!って言い返す所だったのに…」
「仕方ねぇよ。ワールドが怖くて言い返せなかったんだろ?」

少し間を置いて、ホリデーが重い口を開く。
「それもあるけど、私…村人の皆が蘇るなら、協力してもいいって少し思っちゃったの。最低だわ…私の願望の為に、あなたを売ろうとした」
「ホリデー…」

ホリデーは泣きながら、リコルに謝罪する。
「ごめんなさい…私、自分が許せなくて…。リコルはもう家族みないなものなのに。ペプシマンも、ほかの皆も…ここは私の第二の故郷なの。だから戦う。もう私の大切なものを失わない為に!」

強いホリデーの言葉。リコルはホリデーの肩をポンッと叩く。
「俺正直ビビってたんだ…沖田が強い事知ってたから。でも、お前と話せて再確認出来た…俺も家族を守りたい。だから、ブラックボックスと戦う。敵をぶっ倒して、この家に必ず帰ろう!」
「当たり前よ!死ぬんじゃないわよ、リコル!」

2人の迷いは消えた。リコルとホリデーは力強く握手する。

96キャプテン:2022/06/13(月) 20:49:08
ホリデーの後ろ姿が小さくなる。それを見つめるリコルが拳を開き、掌を見つめる。

…100年前。
「改変された世界を元に戻せば、セオドアとハレンは過去から解放される。」
リコルが言った。
「影響が大きすぎマース。何が起きるかわかったもんじゃないぞデアール?!」
セオドアが反論した。
「そうだ。やめておけリコル、俺達はただ無事に生きてることを伝えたかっただけだ。」
ハレンが補足した。
「…。」
リコルが黙る。

…そして現在、元早川組本部。
「…やってやる!!」

97ノートン:2022/06/14(火) 20:01:20
リコルは沖田と対峙していた。

組長ハレンは現在の時間軸にはおらず、名古・花園の両名は入院中。今現在、本部に残っているのは末端の構成員のみだった。その隙を突き、沖田が早川組に入り浸っている事は、アップルソルジャーからの情報で分かっていた。

「久しぶりじゃねーか、リコル。あっちの世界で青空隊を皆殺しにして以来か。1人か?」
「…そうだ」
「何の用だ?」

リコルは抜刀すると同時に膝を少し落とし、前傾姿勢になった。切先を沖田に向ける。
「あんたを倒す。悪いけど、理由は教えねぇよ」
「…そうかい」

部屋のふすまがバッと開き、末端のヤクザが入ってくる。その数、30人。
「リコルよ、お前状況分かってんのか?敵の本拠地に1人で乗り込んで来てんだぜ?馬鹿かテメェ」

ヤクザの集団はリコルを囲む。銃やナイフ、鈍器などをリコルに向ける。
「そいつらは早川組の末端構成員だ。勿論能力者はいねぇ。だがチャカ、ドスは持ってる」

末端員とはいえヤクザ。全員がリコルに殺意を向けていた。
「やんのかコラァ!!」
「来いや餓鬼がぁ!!」
「舐めてんじゃねぇぞコラァ!!」

怒号が飛び交う。今にも発砲しそうな輩もいた。
リコルはこの状況を冷静に分析し、沖田に問う。
「いいのかよ。俺を殺したらブラックボックスの目的がお陀仏になるんじゃないか?」
「あぁ?誰も殺すとは言ってねぇ。半殺しで勘弁してやるよ。テメェら!!殺さない程度にやっちまえ!!」

ヤクザの集団は、リコルに襲い掛かった。

98キャプテン:2022/06/20(月) 20:08:38
「撃てや!!」
沖田の合図。リコルの体から黒い粒子が噴き出す。そこへ銃弾が飛んでいく。
バタンッ…バタンッ…バタンッ…。
突然、ヤクザの男達が半分ほど倒れる。血が辺りに染み出す。黒粒子の煙幕から銃弾が飛び出し、ヤクザ達に向かって飛んでいく。
「ブルームスター…銃弾を加速させ軌道を変えたのか。お前ら…銃はダメだ、得物を刃物に変えろ!!」
「ヘイッ(ヤクザ達)」
ヤクザ達が刃物を構える。リコルの持つ剣に黒粒子が集まり、黒く光る。リコルが剣を異常な加速と軌道で振り回す。
「さあ、来いやああああ!!」

99ノートン:2022/06/22(水) 12:25:50
ブルームスターにより、リコルの剣は重力を無視した。鉄の重さを感じず、まるでうちわを振り回しているかのようだった。

軽やかな身のこなしで、ヤクザの刃物を弾く。弾く。弾く。次々と襲いかかる敵を、冷静に、そして大胆に捌いていった。そんなリコルを、沖田は一歩下がった場所からじっくり観察していた。

ヤクザを倒し続け、ついに最後の1人となる。
「もういいだろ?降参しろよ」
「だ…黙れ!!死ねコラァァ!!」

リコルに飛びかかり、なたを頭上から振り下ろす。リコルは自身の剣を頭上に構え、それを受け切った。その隙を沖田は見逃さなかった。
「好機っ!!!!」

沖田はヤクザの体を貫き、そのままリコルの右肩を串刺しにした。
「沖田さん…何故…ぐはっ」

リコルは半歩下がり、右肩から剣を引き抜く。血がプシャっと吹き出す。
「ぐあぁぁぁ…痛え!仲間ごと刺しやがって!沖田…テメェ…イカれてんのか!?」
「仲間?俺にそんなもん居ねーよ!!」

痛みに悶絶するリコルに向かって、沖田は容赦なく切り掛かった。

100キャプテン:2022/06/26(日) 22:31:35
リコルが咄嗟に剣を投げ飛ばす。剣から黒い粒子が噴射され、飛行し、沖田の体を切り付ける。
「やらなきゃ…やられる。」
剣が空中を飛び回り、沖田をズタボロに切り裂き、遂に沖田が倒れる。
「ハァ…ハァ…やった…倒した。」

リコルが剣を構え、倒れる沖田にとどめを刺す…刺そうとした。…リコルの右足に刀が刺さる。
「…え?!」
「はぁ〜…痛かった。」
沖田の体の切り傷が…塞がっていく。そして刀を引き抜いた。リコルが尻餅をついた。
「どう…してだ?」

101ノートン:2022/06/27(月) 12:34:43
不可解な現象。沖田の切り傷は、綺麗さっぱり元に戻っていた。
「奴の能力…超再生の類か!?」

すると、沖田は剣を野球バットのように構えた。
「おらよっ!!」
リコルの顔面をボールに見立て、ホームランを打つかのようなフルスイング。この時、沖田は”岩の破片”をリコルの胸ポケットへ気付かれないようなか入れた。

リコルは咄嗟に剣でガードするも、反動で後ろに吹き飛んだ。ここから有り得ない事態が起こる。部屋から部屋へ、障子の扉を次々と突き破り、リコルは吹き飛び続けた。
「グッッ…止まらない…まるで磁石みたいに何かに吸い寄せられてる!」

そのまま庭へ弾き飛ばされ、巨大な岩にビタっ!と張り付いた。リコルの胸辺りから、岩の破片が飛び出し、そのまま岩と同化した。
「!!??」

リコルは辺りを見渡す。身の丈程の巨大な岩がゴロゴロ転がっていた。中には、不自然なほど綺麗に切断された岩もあった。

「ようこそ、早川組の庭へ。ここは俺のテリトリーだ。この庭に来ちまったら、お前もう詰みだぜ」
沖田が現れる。その表情は、すでに勝利を確信していた。

102キャプテン:2022/07/03(日) 20:26:18
「散れ…ブルームスター!!」
リコルが黒粒子をばら撒き、目眩しにし、姿をくらます。破れた庭岩の影に隠れ、怪我した膝を布でキツく結んだ。
「(かなり傷むが…まだ動ける。)」
掌が岩に触れ、何かの傷が手に触れる。
「コレは?」

バシュンッ!!

リコルの掌から血が飛び散る。
「攻撃?!どこからだ?!手に傷が…何が何だかわからないが…何かがヤバイッ?!」
その場を離れようとする。走っているうちに辺りの岩で音がする。
「一体、沖田の能力は何なんだ?」

103ノートン:2022/07/10(日) 15:15:42
リコルと沖田の戦闘が激化する、その前日の夜の事だった。山奥で1人、焚き火をしながら物思いにふけるスー。

『「見殺しにしたんだよ。救える命を救わなかった」』
リコルの言葉が、何度も頭をよぎっていた。

「俺は…何を迷ってるんだ。リコルを殺す事が俺の…」
焚き火の向かい側、スーの対面に、干潟の幻想が現れる。
「またあんたか…干潟さん」
「なぁスー。お前は何で青空隊になった」
「何でって…別に、行くあてがなかったからだよ」
「そうか。素直で良いなお前は」
「干潟さんみたいに、人々の笑顔を守る為とか立派な考えは持てないよ。今は…復讐の事ばかり考えてる」
「そうか」

幻想の干潟は立ち上がる。
「それは裏を返せば、仲間の為に戦ってるって事だろ」
「えっ…?」
「お前の心根はいつだって同じだ。優しいんだお前は。仲間の為に今何をすべきか…じっくり考えてみろ」
「干潟さん!?何を言って…!?」
干潟の幻影は、フワっと消えていった。

「…確かめる必要がある」
スーはそう言うと、ゆっくり立ち上がった。
「居場所は知ってる…リコイル・ブラッシ。いや、リコル。ケリを付けよう」

104キャプテン:2022/07/17(日) 22:14:27
…そして現在。
リコルが庭園のど真ん中に突っ立って両手を広げた。それを見て沖田がニヤつく。
「(成る程、それで見極める気か。)」
「(バレバレか…だが、こうするしかない。)」
「まぁいい、乗ってやる。耐えれればな!!」
辺りの瓦礫が動き出す。
「無明剣(むみょうけん)!!」
周囲の瓦礫達がリコルを取り囲み、いっきにぶつかりに来る。
「ブルームスター!!」
周囲の瓦礫達が黒粒子を浴び、リコルの後方まで瓦礫達をズラす事に成功する。だがリコルの剣も瓦礫に飲み込まれ、くっ付き、大きな一つの瓦礫となり、落ちた。
「俺の剣が…クソッ?!『元に戻す』…それがアンタの能力か。切り傷もそうやって治したのか。」
「…その黒い砂粒、ホント厄介だな。」

105ノートン:2022/07/24(日) 21:07:47
沖田の能力のカラクリが判明。本来であれば、対策を練り反撃に転じる事が戦いの基本。
だがリコルは足の出血、貫かれた肩…ボロボロの体。更には武器も奪われる痛恨のミス。
「何とか…短期決着をつけないと!どうすれば…?」

しかし、沖田は考える時間すら与えなかった。
リコルの両隣にある岩が急スピードで動き出し、リコルを押し潰そうとする。痛みに耐えながらも間一髪で避けるが、今度はリコルの前後の岩が猛スピードで向かってくる。

「クソっ!!」
避けても避けても、さらに別方向から次々と押し寄せる岩。完全に沖田のペースにハマっていた。

「はははっ!踊れ踊れ!!気ぃ抜くとペシャンコだぞ?」
「ど…どうにかして反撃しないと…このままじゃ死ぬ…!!」

まさに絶体絶命。その時だった。ザザザっと、目の前にノイズが走る。

沖田の服装が、今着ている服から青空隊の隊服へと変化。さらにリコルも青空隊の服装を着ていた。

「!!??」

一瞬の光景だった。だが確かに、一瞬過去に戻った。そんな錯覚を感じていた。

「ワールドの言っていた事は正しかったようだな」
沖田は攻撃の手を止め、リコルに話しかける。

「今の光景で分かっただろ?ブラックボックスが何故テメェを狙っているのか…。答えはエンドの残り火。簡単に言えば、テメェの中にまだ、エンドの能力の残りカスがあんだよ」

106キャプテン:2022/08/01(月) 21:33:59
リコルが必死に立ち上がる。
「ハァッハァッ、来い…『ヤノハハキ(矢乃波波木)』」
とてつもない噴射音が遠くから近づき、リコルの手におさまる。『箒?』…その刷毛部分がジェット機の噴射口の様になって黒粒子を噴射していた…それが一旦止まる。

「ジェノさん、使わせてもらいます。」
「(アレは…ヤバいな。)秘密兵器か。無駄だな、自決こそ俺の力だ、無明剣!!」
沖田が刀を…何度も…何度も…自身に突き刺す…血塗れになりながら。

「さぁ、やってみろ。」
「ああ、一撃でその体、ズタボロのバラバラにしてやる!!!」

107ノートン:2022/08/14(日) 12:57:00
「生捕り予定だったが気が変わった。青空隊は…皆殺しだ」
沖田は右手に剣を構え、左手で祈りのポーズをした。
「必殺技はお前だけの物じゃねぇ。奥義…”無明剣 無限妙獄”」

沖田の無明剣は切断した対象をくっ付ける能力。だが無限妙獄は、沖田がロックオンした対象を”強制的に”くっ付ける物の片割れにする。つまり…。
「お前をロックオンしたぜ、リコル。これから様々な物がお前と同化しようとする」

四方八方にある岩や木、鈍器…様々な物が空中に浮き上がる。次の瞬間、リコルに向かって猛スピードで動き始めた。
「俺に向かって色んな物が突っ込んでくる!?」
「終わらない地獄…妙獄界を味わいな。死ね!」

ドガガガガッ!!!と岩や鈍器が激しくぶつかり合う音がする。立ち上る土煙。数秒後、それが晴れた時リコルの姿は無かった。
「跡形も無しか。木っ端微塵だな」

リコルが死んだと思われた次の瞬間、空から声がする。
「沖田ぁぁぁあああ!!」
何とリコルは箒に跨り、空を飛んでいた。そのまま沖田に向かって急降下する。

「魔法使いにでもなったつもりかよ!?」
「これで最後だ、沖田!!!」

箒の先から、黒の粒子が噴き出す。リコルはそれを巧みに操り、沖田の右腕をぶった斬った。

108キャプテン:2022/08/21(日) 21:44:15
砂塵を箒が吸い上げ、刷毛の噴射口に収束する。
「掃き出せ、ヤノハハキ…加速し撃ち出せ、ブルームスター!!!」
黒い閃光が集中線となって砂塵を撃ち出す。沖田の体が散り散りになって消し飛んだ。
「…はぁ…はぁ…。」

撃ち出された砂塵が空中に漂う…そこから血や黒い塊が合わさり、沖田の体を作り上げる。
「無明剣…一度、切り傷を塞いでも、完全に塞ぐわけじゃない。今の俺の体には何万という自傷跡が残され、何回かは体を元に戻せる。」

リコルが力尽き、倒れ…横たわる。
「ここまでだな、リコル。」
「ああ、ここまでだな、沖田。」

109ノートン:2022/08/28(日) 19:46:03
薄れゆく意識の中、リコルはある出来事を思い出していた。
数日前、2人の男に会いに病院を訪れたリコル。男たちの全身は包帯に巻かれており、酷い傷だった。
「名古さん、花園さん。ありがとう、俺を助けに来てくれて」
「はぁ?勘違いすんなボケ!お前の為じゃねぇ、早川組の為だ!」
「そんな怒鳴らなくても…」
「リコルよ。もしオズマって男に会ったら伝えといてくれねぇか?『次こそはテメェをぶっ飛ばす。だから、さっさと早川組に戻って来い』ってな」
「分かった。大事なんだね、早川組が」
「当たり前よ!早川組は俺の居場所だ。あそこだけは、ぜってぇ裏切らねぇ」

そして現在。リコルはヨロヨロと立ち上がる。
「オズマは死んでしまった…。だが、この早川組は名古さんたちの大切な…だから死守する!お前なんかに好きにはさせない!」
「名古?あいつらもお前とグルかよ。安心しな、名古も花園も後で殺しておいてやるよ。皆殺しだ」

110キャプテン:2022/09/01(木) 21:01:25
…プチン。

沖田が刀を構え、リコルの首に当てる。
「言い残す事は…悪い、聞く気無いや。」
沖田が刀をリコルの首に振り下ろそうとする…

動きがピタリと止まった。

「(体が…動かない。)」
沖田の腕がバキバキッと音を立てて背中に回る。足もバキバキッと音を立てて背中に回る。沖田が悲痛に叫ぶ…叫ぶ…叫ぶ。
「沖田…俺の能力を効かせた塵をアンタの体の複数箇所に混ぜた。その体は俺の自由自在だ。」
「?!…さっき体をくっつけた時、まさかアンタが撃ち放った黒い塵が体に混ざって?!」
今度は沖田の首が無理矢理反り帰ろうとする。
「嫌だ…俺を切らせろ…切らせてくれ!!!」
「ねじり折る…流石にくっ付けれないかな?」
バキバキッ…首の折れる音。沖田の体が見るも無惨な姿となった。

「死なせてやったんだ…感謝しろ。」

111ノートン:2022/09/03(土) 11:27:00
沖田を倒し、気が抜けたリコル。その場にバタンと倒れ込んだ。
「勝ったぞ…うぉぉおおお!!!!」

身体中の傷が軋む中、勝利の咆哮を上げた、その時だった。殺気。後ろからだった。
「大したもんだ、あの沖田を倒すとは。だが本当は俺が殺したかった…フランの仇だ」
現れたのはスーだった。いつからそこに居たのか、見当も付かない。

「嘘だろ…このタイミングかよ」
この世界線での3度目の邂逅。リコルは箒を使い、ヨロヨロと立ち上がる。
「いい加減しつこいぜ…来いよスーさん。決着を付けてやる」

スーも剣を抜くが、突然ぶつぶつと独り言を呟いた。
「分かってる…分かってるよ干潟さん。これが俺のやり方だ」
スーの目的は、復讐か?それとも…?

112キャプテン:2022/09/11(日) 21:51:05
スーがリコルの足元の死体を険しい顔で見る。
「沖田を殺すのは仕方ない…だが、この殺し方は…人間性を疑うぞリコイル?!」
「その名で俺を呼ぶなスーさん!!!俺の名はリコルだ!!」
「昔の名を捨て、過去を…無かったことにする気か?青空隊を…ヒュペル達を!!」
「うるさい!!あんな過去、本当は思い出したく無かった?!今はココが俺の居場所だ!!」
スーが構える。
リコルも構える。
「わからせてやる、俺の世界の復讐を!!」
スーが叫んだ。
リコルが箒を振る。塵をジェット噴射させ加速する箒。それとスーの炎波刀がぶつかり合った。

113ノートン:2022/09/16(金) 20:47:56
炎波刀…五代秘宝の一つ。炎を操る事が出来る。さらに、炎の円を作り出し、中にいる能力を一時的に消す事が出来る。

炎波刀を自在に操り、容赦無く斬りかかってくる。斬撃を避けても、溢れる炎があり得ない角度から攻撃してくる。
「熱い!!」
避け切れない。炎はリコルの負傷した足を燃やした。

一方リコルは黒の粒子を高速で放つ。炎波刀の柄の近く、恐らく剣のデザインであろうくぼみの部分を執拗に、何度も攻撃した。
「どこ狙ってるリコル!まだ能力を使いこなせてないようだな!」

リコルは能力をコントロール出来ていないのか?否、リコルの脳裏には、ある1つの策が浮かんでいた。
(これしか無い…炎波刀を破壊する!炎波刀がなければスーさんは能力を使えない…!)

114キャプテン:2022/09/25(日) 21:16:36
「ブルームスター、加速振動…切断!!」
リコルが箒を振り放つ。先から砂塵が刃の形になり加速振動し、周囲の物体を切り刻んでスーに迫る。…ボッ…。スーの刀が放つ炎が砂塵を燃やし、ただの砂埃となる。

砂埃の中からリコルの姿が現れ、スーの刀に触れブルームスターを発動する。だが黒粒子は焼かれ、リコルの全身が炎に包まれる。
「熱い…アツい…!!」
地面に必死に転がり、炎を消す…体に火傷が残ってしまい、うまく体が動かない。
「その程度か。」
「(刀に触れられもしない…クソがッ)」

115ノートン:2022/10/05(水) 21:03:46
「最後の一撃だ」
スーが放つトドメの一撃。火がリコルを覆う。その時、リコルの周りを液体のようなものがグルグル回り始めた。
「また砂をまとったのか!?だが無駄だ、砂ごと焼いてやる」

しかし、ジューッと水分が蒸発する音がする。
「何だと!?」
「これは血さ。沖田の血、それに俺の血をかき集めて、ブーストをかけた。血のシールドだ」
なんとリコルは血でスーの炎を防いでいた。更にリコルは攻撃に転じる。

「見なよスーさん。あんたのその剣、俺が攻撃した所だ」
スーは炎波刀の柄近く、くぼみの部分を見る。ごく僅かな、小さなヒビ。そこから色が茶色に変色していた。

「俺の剣に何をした!?」
「知ってるか?血の成分は鉄分。血は剣の錆の原因になるんだ。そして俺の能力で錆にブーストをかけた」
剣に発生した錆が、とてつもない勢いで進行して行く。

「スーさんの炎波刀…錆を使って破壊する」
錆は止まらない。スーの炎波刀は次第にボロボロになって行き、柄の部分でボキッと折れた。

116キャプテン:2022/10/09(日) 21:18:33
「…く、この?!」
リコルが足払いをくらい、浮遊感に襲われる。胸ぐらを掴まれ、地面に叩きつけられる。スーがその辺にあった早川組員の刀を握り、リコルに突きつける。
「スーさん…わかってる。俺は酷い奴だ。アンタの世界を消しておいて、今の世界を守りたがってる。わがままでどうしようもないほどの大クズだ。」

…スーが溜息混じりに刀を手放す。
「ここでお前を殺せば…お前と同じになる。俺の世界のためにこの世界を消せば…それでも、お前と同じになる。」

スーがリコルに険しい顔を見せ、屋敷の外へ歩いて行く。
「そんなのは、『アイツら』が許してくれる訳がない。」

117ノートン:2022/10/13(木) 21:29:27
スーはある人物に電話をかける。
「バッカス!お前から連絡してくるとは珍しいな」
「ドン、早川組まで車を手配してくれ。クソガキが倒れてる」
「…リコルの事か?殺したのか?」
「殺してねーよ。だが虫の息だ。このままほっとけば死ぬ」
リコルは戦闘での疲労と出血多量で指一本動かせない状況だった。

「バッカス!このままリコルが死ねば、復讐が果たされるんじゃねーか?」
「決めたんだ。俺は…リコルと共に仲間を救う道を選ぶ」

電話を切るスー。復讐に取り憑かれていた頃の、暗い表情とは対照的に、今のスーはキリッと前を向いていた。
「待っててくれ。幽、キャップ、皆んな…。必ず助けるからよ!」

118キャプテン:2022/10/23(日) 22:23:30
バッカスが電話を切り、腕時計を見る。
「クソバッカスッ…スーの野郎、俺にリコルを押し付けやがって、いい性格してやがる!!」…

…ホリデー、都会のど真ん中。
ドン↑ドンドン↓ドン↑ドンドン↓ドン↑(太鼓の音)
「ヘ↑ア〜ア〜アへーへーへー↓へー↑ヤ↓ヘー↑ヤ↓へーへーへー↓…」
リズムに合わせた甲高い歌声。
ネイティブアメリカンの民族衣装に身を包み、褐色の顔に赤や白の色料で模様を描く。頭に鳥羽の被り物をすると高らかに叫んだ。
「『泣くことを恐れるな。
  心が解き放たれ、
  悲しみから自由になれる。』」
ホリデーの気持ちの整理はついた。…何故か観光客や通りすがりの人々が、パシャパシャ写真を撮り、時には握手を求めた。

119ノートン:2022/10/30(日) 23:50:17
オットセイ跡地ー。瓦礫の下にターグの研究室はあった。入り口は無い。ターグは自身を黒の液体に変化させ出入りしていた。

「ヘ↑ア〜ア〜アへーへーへー↓へー↑ヤ↓ヘー↑ヤ↓へーへーへー↓…」
昼間の眩しい太陽に照らされながら、オットセイで歌を歌うホリデー。バッグからある物を取り出す。その名も”C4-パンデミック”。乾電池程の小型サイズだが、ダイナマイトと同等の威力を誇る小型爆弾である。

「この爆弾は村に伝わる禁忌。祭事でインディアナの魔除けとして使われる危険な代物…。ターグ、あんたは村にとっての魔物よ。この爆弾がピッタリだわ」

オットセイの瓦礫に爆弾を無数にセットし、ホリデーはボタンを押した。ドゴドォン!ドゴドォン!と凄まじい爆破音が次々と鳴り響く。
瓦礫の部分がベコっ!!と凹んだ。地下研究所の天井が崩れ落ち、上にあった瓦礫が次々と雪崩れ込む。

爆音が鳴り止むと、土煙が辺り一面を覆った。その時ホリデーは、強烈な殺気に当てられ戦闘態勢を取る。

目の前に黒いドロドロとした液体が姿を現す。次第に人間の姿を形成し、ターグとなった。
「貴様…ホリデーか。よくも私の研究所を…研究所を…貴様ぁぁぁあああ!!!!!」
「爆弾で死ねばよかったのに…やっぱり人間じゃ無くなったのね、あんた」

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121キャプテン:2022/11/13(日) 16:42:15
ホリデーの足が伸び、蹴りをかます。足はターグの液状化した体にのめり込む。
「オクト…吸引しろ!!」
足に無数の吸盤が現れ、キュウッキュウッうなる。…しかし、びちゃびちゃ液が飛び散るだけで、なにも起こらない。

「(液体相手じゃ吸盤で密閉できずに吸引できず、圧殺が効かない。)…なら。」
「(コイツ、皮膚が軟化するのか。打撃は効かんな。)…なら。」

覆い尽くして圧死させる!!!

122ノートン:2022/11/20(日) 13:36:56
数日前、戦闘前の会議にてー。
誰が誰と戦うのか?その配役で揉めていた。

「ふざけんな!!」
リコルはアップルソルジャーの胸ぐらを掴む。
「俺とホリデーは化け物と1対1で戦う。なのに祖と寿限無に対してペプシマン、キャプティ、ノートンの3人をぶつけるだと?明らかにバランスが悪いだろ!!」

アップルソルジャーはため息を吐く。
「離せリコル。俺は敵味方全員の能力を冷静に分析した結果、この配役を選んでいる」
「バランスが悪いって言ってんだ!せめてホリデーにもう1人付けろ!!」

ペプシマンがそっと、リコルの肩に手を置く。
「私たちに圧倒的に足りない物、それは情報だ。むやみに突っ込んでも巨大企業は倒せない。少数精鋭で敵の頭を叩く。それにはアップルソルジャーの知恵と情報力が必要なんだ」
「だからって…いきなりこんな奴信じるのかよ!?」

ドーヂがタバコをフーっと吹かす。
「ギャーギャー喚くな餓鬼。テメェはただ指示に従ってりゃいいんだよ」
「何だと!?このクソ野郎!!」

リコルが殴りかかろうとするが、ドーヂが一喝する。
「やかましい!!!!」
リコルの手が止まる。
「これがテメェの首突っ込んだ世界なんだよ。仲間の命保証出来るほど甘くはねぇ。嫌ならこんな作戦辞めちまえ!」

やり場の無い感情を押さえつけるのに必死なリコル。そんな彼に、ペプシマンはボソッと耳打ちする。
「安心しろリコル。ホリデーには、とっておきの奥の手を準備してある。あの子を死なせやしないさ」

123キャプテン:2022/11/27(日) 15:17:14
「(奥の手?)」
…現在。
ターグのドス黒い粘り気のベタベタな生物が、ホリデーの全身吸盤の体がグニャグニャな生物…お互い覆い合い、飲み込もうとする。

化物 対 化物

まるでモンスターパニック映画の様な、非現実的な、そんなイメージを連想させる光景だった。
「クラーケ!!ディーププール!!」
ホリデーが身体中の吸盤同士を合わせ、黒い真空空間を発生させ、ターグの体が真空に飲み込まれる。
だが形を変える程の真空の圧力も、ターグの液体の体にはさほど意味が無かった。

ビチャビチャ飛び散った液体が一つの人型になる。
「あまり、意味は無かったな。」
「ハァッハァ…(キツい戦いだ。)」

124ノートン:2022/11/30(水) 12:25:51
クラーケ…全身をタコ化させ、滑り・伸縮性・吸盤を兼ね備えた姿へと変態する、ホリデーの進化能力である。髪の毛すらもタコ化している彼女を見て、ターグが取った行動は…。

「お前、美味そうだな。喰わせろ…喰わせろぉぉおお!!!」
ターグは黒い巨体を液状化させる。まるでホースから勢いよく水を出すかのごとく勢いでホリデーの頭部目掛けて突っ込む。牙を剥き出しにして噛みつくが、間一髪の所で避ける。しかし…。

「ウゥ…」
ターグはムシャムシャと何かを食べていた。

「あいつ何してんのよ…痛っ。何この痛み!?」
ホリデーは頭を触る。手に血がドバッと付いた。
「まさか…私のタコ化した髪の毛を食っているの!?」

対峙したホリデーが感じた違和感。昔会ったターグは正気とは思えぬ言動を長々と、自慢話のように話すサイコパスな考えを持っていた。

しかし、黒い怪物と化したターグ。全身はまるでペプシマンのような巨体と筋肉に覆われながらも、身体はドロドロと自在に液状化する。剛と柔を併せ持つ食人鬼となり果てていた。

「食ってやる…クッテヤル!!」
「ターグの性格がまるで違う…。黒い化け物になって、自分を制御出来なくなってるの!?」

125キャプテン:2022/12/06(火) 20:48:20
「グチャッグチャッ…グギギャ。」
ターグが不敵に笑う。右上半身を黒く液化し、瓦礫の中に突っ込んだ。そして取り出される。
『大量の鋭い瓦礫の破片』
それがターグのドス黒い液体にへばり付く。

「まさか…ヤバい!!」
ターグがドス黒い腕を鞭のように伸ばして打つ。ホリデーの軟らかい体がターグの液体の腕についた『瓦礫の破片』に当たり、切り傷を負う。
「痛ッタイ!!!(私の体は…軟体とはいえ所詮、固体…奴の液体の体と違って、斬撃への耐性は がない!!!)」

…そして何度も何度も破片に切られ、痛みに叫ぶ…ホリデーの体は切り傷で満身創痍になった。

「グフゥハァッ…弱ったな…こりゃ。」

126ノートン:2022/12/15(木) 12:29:36
体をタコ化させ、相手の自由を奪い攻撃するホリデーにとって、液体となるターグは相性は最悪だった。
戦方も見出せないまま、一方的に攻撃を喰らい続けるホリデー。
「無理だわ…勝ち目なんて無い!ここは一旦引いて…」

ホリデーが逃げようとする。しかし後ろには、戦いを覗く野次馬が溢れかえっていた。各々が携帯で録画していた。
「何でこんなに人が!?ここに居たら危険よ、皆逃げて!!」

ここは夜の街中。オットセイの建物自体、街の中心街に位置していた。激しい爆音や戦闘音が響けば人が集まるのは至極当然である。
「駄目だ。私が逃げたら、ターグがこの人達を食い殺す。でもどうすれば…」

退路を絶たれ、行き場を失うホリデー。そんな彼女の迷いを晴らすかのように、突如車のクラクションが鳴る。
「プー!プー!」
人混みをかき分け、1台の車が猛スピードで突っ込み、ターグを跳ね飛ばした。
「な…何!?」
「ホリデーちゃん。助けに来たわよ。弟に頼まれたの」

扉が開く。車から出てきたのはペプシウーマンだった!

127キャプテン:2022/12/25(日) 20:30:09
数日前、会議にて。
「奥の手?…何なんだそれは?」
リコルがペプシマンに詰め寄る。
「助っ人だよ。その人物が、とある『場所』と『時間』に罠を準備した。それでターグは木っ端微塵さ。」
「場所は分かるが…時間ってどういう意味だ?」
「そのままの意味さ。」

…現在
「ペプシウーマン!!」

ペプシウーマンの背後で車の亀裂からガソリンが滴り、エンジンから発火、ターグごと爆発した。
「フェ○ーリは、よく燃えるわね。」
それを聞いてホリデーが唖然とするのであった。

128ノートン:2023/01/14(土) 21:18:59
激しく燃える車。そんな炎の中から、ブシューーーッと音を立て、ドロドロの液体が噴水のように噴き出す。次第にターグを形作った。
「不死身かしら?あの怪物」
「ウーマン!あなた戦えるの!?」
「無理ね」
ウーマンはキッパリと断った。

「でも私が出てきたのは、作戦が遂行出来ると判断したからよ」
「作戦!?そんなの聞いてない!」
「貴女が気負わないように、あえて言わなかったの。ワープゾーンに送れるように、奴にダメージを与える。貴女のお陰で奴の精神は闇に飲まれた。まさに今が理想の展開よ」
「ぐおぉぉぉぁああ!!!!」

2人の会話を遮る咆哮。更にターグは、ペプシウーマン目掛けて突っ込んで来た。

ペプシウーマンは両の手を広げ、瞬時にワープゾーンを作り出した。猛スピードで突っ込んだターグは止まる事も出来ず、そのままワープゾーンに入って行った。
「100年前には頼りになる男たちがいるのよ。コテンパンにされるがいいわ」

そして100年前ー。

ヴィヴィ、ハレン、セオドアの3人が現れたターグを取り囲む異様な光景があった。
「手は出すなであーる、2人とも。吾輩にやらせてくれ」
セオドアは自身の体に電気を纏う。バチバチッと音を立てながら、ターグに近づく。
「ターグよ、お前には聞きたい事がある。だが、今のままでは話が通じないようだな。まずはお前の正気を取り戻そう。どんな手を使ってもな」
「セオドア!」

ヴィヴィがセオドアを静止する。
「やり方は任せる。だが、もう道を踏み外すんじゃねーぞ?」
「…分かってる、であーる」

129キャプテン:2023/01/29(日) 19:48:10
「これは?」
ターグの口から漏れる。
「セオドアに頼まれてな。この時代の早川組の財力さ。」
ハレンが自慢げに言う。突如、地面からつき出た2枚の大型電極板、その間に挟まれたターグ…
「合わせるであーるヴィヴィ!!」「…はっ?」

「「ショックウェーブパルサー!!!」」
二人が外側から電極板に蹴りをかます。稲光が閃光し、電極板同士から電気が間に走り、ターグの黒い細胞が瞬時に焼け焦げていき…灰となった。
「…前もって説明してくれよセオドア。」…

…現在、説明を受けるホリデー。
「…てな訳さ、ご苦労様ホリデー。」
「まぁ、助かりましたよペプシウーマン(えっと、私の戦った…意味って?)」

…ホリデーの背中、二人の気付かないところで“小さく黒く動く液体”が肌へと浸透し、そして消えた。


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