① 各プロジェクトの純現在価値を計算せよ。
② 内部収益率ルールを用いて、2つのプロジェクトのどちらを採用すればよいかを示せ。
③ いま、この社長が、内部収益率がより高いことを根拠にプロジェクトBを採用しようとした。この社長の決断の根拠は正しいか。その正否を、理由とともに説明せよ。
2
今、マーケット・ポートフォリオの収益率の標準偏差が0.2であるとする。このとき、下記の問いに答えよ(途中の計算過程も示せ)。
① ベータが1.3となるような、十分に分散化されたポートフォリオの収益率の標準偏差はいくつか。
② ベータが0となるような、十分に分散化されたポートフォリオの収益率の標準偏差はいくつか。
③ 十分に分散化されたポートフォリオの収益率の標準偏差が0.15であるとき、そのベータはいくつか。
※ 十分分散化されたポートフォリオの収益率は、マーケット・ポートフォリオの収益率と
は無相関である。
3
次の①〜⑤の記述について、正しい場合は○、間違っている場合には×をつけて答えよ。また、誤っている×の記述について、その理由を簡単に答えよ。
① 資本資産価格モデル(CAPM)によると、ベータが0の証券の期待収益率は常にゼロとなる。
② 100万円を安全資産(財務省証券)に、200万円をマーケット・ポートフォリオに投資した人のベータは、2である。
③ 投資家は、それ自身の収益がマクロ経済の変化に大いに影響を受ける株式に対してはより高い期待収益率を要求する。
④ 投資家は、それ自身の収益率がより変化する株式に対してはより高い期待収益率を要求する。
⑤ 投資家は、それ自身の収益が株式市場における変動に非常に敏感である株式に対してはより高い期待収益率を要求する。
4
1998年7月における各企業の株式のベータが資本資産価格モデルに基づいて下記のように計算されている。そして、安全資産の収益率が5.5%で、マーケット・ポートフォリオの期待収益率が13.5%であるとき、次の問いに答えよ(途中の計算過程も示せ)。
① コカ・コーラの株式の期待収益率はいくらか。
② 上であげた企業の株式の中で、期待収益率が最も高い企業はどれか。また、その期待収益率はいくらか。
③ 上であげた企業の株式の中で、期待収益率が最も低い企業はどれか。また、その期待収益率はいくらか。
④ マーケット・ポートフォリオの期待収益率には変化がないとして、安全資産の収益率が5.5%から7%となったとき、ゼロックスの株式の期待収益率は上がるか、下がるか。
⑤ マーケット・ポートフォリオの期待収益率には変化がないとして、安全資産の収益率が5.5%から8%となったとき、エクソンの株式の期待収益率は上がるか、下がるか。
5
Modigliani-Millerの命題について、下記の問いに答えよ。
① Modigliani-Millerの第1命題とは何か、説明せよ。
② Modigliani-Millerの第2命題によると、完全な資本市場の下では、借り入れを行っている企業の普通株式の期待収益率は、市場価値で示された負債/株主資本比率に比例して増加するという。この関係が成り立つことを証明せよ。
③ 「Modigliani-Millerの命題では、より多く借りた企業はより高い金利を払わなければならないという事実を無視している」という反論がある。この反論は正しいか。その正否を、理由とともに説明せよ。
企業金融論(寄附講座)(池尾・土居) 60分 持込:電卓のみ
H17秋
1
次の専門用語について、それぞれの内容(定義)を答案用紙2行以内で説明せよ(各5点×6)
① レバレッジド・バイアウト(LBO)
② クレジット・デフォルト・スワップ(Credit Default Swap)
③ ディフィーザンス(Defeasance)
④ デューディリジェンス(Due Diligence)
⑤ インタレスト・カバレッジ・レシオ(Interest Coverage Ratio)
⑥ ノンリコース・ローン(Non-recourse Loan)
2
行使価格が2310円のある会社の株式に対する1年物のヨーロピアン・コールオプションを、1230円で売ったとする。その会社の現在の株価は2730円である。安全資産の利子率は年率5%であるとする。このとき、下記の問いに答えよ。(各10点×2)
① ここで、行使価格をK、安全資産の利子率をr、株価をS、ヨーロピアン・コールオプションの価値をC、ヨーロピアン・プットオプションの価値をPと表すとする。このとき、これらの間で成り立つ関係式を示せ。
② いま、同じ会社の株式に対する同じ行使価格の1年物のヨーロピアン・プットオプションを買うとすれば、その価格はいくらとなるか答えよ(途中の計算過程も示せ)。
3
ある会社が、今後5年間にわたって使用する機械を、いま100億円を現金で払って購入するか、リースするかを検討している。現金で購入すると、機械の減価償却費を、5年後の残存価値なしの定額法で計上できる。他方、リースの場合は、減価償却費はなく、5年間にわたり年間のリース支払料を22億円必要とする。ここでは、金利(割引率)は5%で、法人税率は50%であるとする。このとき、下記の問いに答えよ。(各10点×3)
① 機械を現金で購入した場合、税制の効果を考慮したコストの現在価値はいくらかとなるか答えよ(途中の計算過程も示せ)。
② 機械をリースした場合、税制の効果を考慮した総コストの現在価値はいくらかとなるか答えよ(途中の計算過程も示せ)。
③ この会社にとって、この機械を現金で購入した方がよいか、それともリースした方がよいか、その理由も簡単に示して答えよ。
4
ワラントと転換社債の相違点は何か、主だったものとして4つ挙げ、それぞれについて答案用紙2行以内で説明せよ。(各5点×4)