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避難スレ

80闇の王と炎の王、激突のこと ◆Mf/../UJt6:2009/01/12(月) 01:37:22 ID:bUVETw3U
ブラムスの発言を最後に、実に気まずい空気が沈留。
それをブラムス自身が感じ取ったのか、はたまた気付くことなく我が道を行った結果そうなったのか、
次なる発言者もまた、ブラムス。
「ところで次は我が問おう。果たしてロキはどうなったのだ?」
ブラムスが視線を滑らせた先にたまたまいた人物は、クラースその人。
クラースは慌てて視線を反らそうかとも一瞬考えたが、すでにブラムスにガン睨みされているこの状況では、
それも色々な意味で不可能と悟り、観念したように口を開く。
「……それは……その……どうやら逃げられたらしい……」
「……逃げられた、とな?」
「はい。僕が『ライトニングブラスト』で視界を確保した時点では、すでに向こうの雑木林から姿が消えていたんです」
奥歯に物が挟まったような物言いのクラースに代わり、質問を補完したのはフェイト。
フェイトはブラムスに、彼がミカエルと戦っている間に即席で組み立てた作戦の内容を、静かに説明。
ミカエルとの戦いと同時進行で何が起こっていたのか、それもまたブラムスの知るところとなる。
「……というわけなんです。
おそらく、ミカエルが『スピキュール』を空中から発射して、この辺り一帯を焼き払うと宣言したとき、
ロキは逃げ出すことを決定して即座に逃げ出したみたいですね」
「なるほど……そのタイミングなら、ちょうど俺の注意はミカエルの方に向いていたし、無理の無い推測だ。
俺が目を離したタイミングとロキの逃走のタイミングが上手いこと一致したから、
ロキは結果的に逃走の瞬間を目撃されずに済んだ、ということか」
フェイトの説明に納得するエルネスト。そこに、一度は口ごもったクラースの言葉が蘇る。
「フェイトが『ライトニングブラスト』でロキのいた雑木林を照らしてくれた時、
そこにはもう奴の姿はなかった。結局私の用意した『オリジン』は無駄になってしまった形というわけだ」
丸太のように太い両腕を、がっぷりと胸の前で組んだブラムスも、クラースに続く。
「ふむ……確かにあの状況では、ロキにとっての最善手は逃げ出すことだった、と考えられなくはあるまい。
奴は『スピキュール』を本気で撃てば、この辺り一帯を火山の火口のようにできると言っていたが、
あながちそれも虚言ではなかっただろう――奴の『スピキュール』を真正面から受けた我だからこそ、
それが身に染みて分かる。
もしミカエルの手により、我ら4人が消し炭になればもっけの幸いと思い、逃げを打ったのかも知れぬな」
ブラムスは赤い眼光に満ちた両目を、ふとあらぬ方へと向ける。
ついしばらく前、自身がロキを叩きのめし倒れ伏さしめた辺りの、雑木林の一角を。
「――追ってあいつにも止めを刺すのか、ブラムス?」
「もし奴の確たる消息を掴めるのなら、追撃をかけるにやぶさかではない。
だがあれほどに叩きのめしてやったのであれば、奴が治癒の魔術を使えることを感情に入れても、
どの道しばらくはまともに動けまい。
今はそれより、我はお前達3人を鎌石村まで護送することの方が、重要な事項だと判断する。
あわよくば、この殺し合いに乗っている他者により止めを刺されるか、そのまま野垂れ死ぬ事を期待しよう」
けしかけるように聞いたエルネストに、ブラムスはその意を持たぬことを告げる。
「それに、我にはお前達を相手に話さねばならぬことも聞かねばならぬことも、山積みとなっている。
我もおおよそこの島で何が起こっているのか、その全容はある程度は把握できた。
こんな下らぬ茶番にいつまでも付き合ってはいられぬ以上、この茶番を終わらせるためにも、
迅速かつ正確に動かねばならぬ。
その為にも我はお前達3人を相手に暫定的な同盟を結び、我の他の仲間が来る鎌石村に、お前達を招きたいのだ」
「――なるほど。ヴァンパイアの王様が、俺達に随分と優しいことだな」
ともすれば皮肉に聞こえかねないエルネストの発言。
それを聞いたフェイトとクラースは、思わずぎょっとなる。


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