したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

避難スレ

1ルシファー@掲示板管理人 ◆8hviTNCQt.:2007/06/08(金) 02:31:57 ID:6n09DZuE
とりあえず避難用のスレ。
使うことは少ないかもしれないですが、規制された時にでも使用して下さい。

81闇の王と炎の王、激突のこと ◆Mf/../UJt6:2009/01/12(月) 01:37:59 ID:bUVETw3U
「お、おいエルネスト、そういう言い方は……!」
「そうですよ、それじゃあまるで――」
「もちろん我のこの申し出が、お前達を嵌めるための罠だと疑うのならば、我も決して強要はせんがな」
ブラムスはその言葉を置き捨てるように言い、そっと踵を返す。
ブラムスが先ほど向かってきた方角となる、沖木島の北の空へと。
おりしも月の位置は、そろそろブラムスの背に移ろうかという時間帯。
「勘違いされると困るので予め言っておこう。
我がこうしてお前達と同盟を申し出たのは、あくまで我が我が居城に帰らんとするがため。
今のところ、仲間を募り共に方策を練るのが、それを成し遂げる最良の行動と判断しているからに過ぎぬ。
もし状況が変化し、この島に最後まで立ち続ける道を選ぶ方が、我が城への帰還に近いとならば――」
ブラムスは静かに、その足を踏み出す。
向かうは、沖木島の北部――鎌石村。
「――我はお前達を手にかけることすら、何のためらいも抱かぬつもりよ」
ブラムスの足元から、僅かに起こる土煙。
ミカエルが見境なく熱量を撒き散らしたその結果か、土はひどく乾ききっていた。
その土と同じくらいに乾いた、小さな笑い声。
テトラジェネスの、男のもの。
「なるほどな、その言葉を聞いて安心した」
静かに笑む、エルネスト。彼の肩にかかる金髪が、かすかに揺れる。
一方で彼の発言を聞いたフェイトとクラースは、更にその目をぎょっと見開くことになる。
「おいエルネスト――それじゃあまるで……!」
「逆に考えろ。ブラムスは俺達に、事前に自らの裏切るタイミングを告げてくれたんだ。
最初から俺達を利用するつもりで近寄ってくる人間は、ふつうそんなご丁寧な真似はしないだろう。
自身の意図を、相手に隠すことなく全て告げるというのは、馬鹿正直ではあるが最も誠実な取り引きの態度だ。
奴はああも『誠実な』態度で、俺達に取り引きを持ちかけてきた。
奴が信用のできる相手であることは、まず間違いあるまい。違うか?」
「……そうかも、知れないですけど」
それでも、フェイトの弁舌の切れは、悪い。
「ひとまず、この足で鎌石村まで向かうとするぞ。
我も先ほど鎌石村はざっと概観してきたが、あそこには身を潜めるにちょうどいい家屋はたくさんある。
今から向かえば、おそらくその道中で例の放送の時間に差し掛かるだろうが、
一旦村に着きさえすれば、体を休める時間も施設もあろう。
お前達人間は、夜間のうちは休息せねば体も保つまい……そうだろう?」
歩み出したブラムスを眺めながら、エルネストは熾した小さな焚き火に傍らの土をすくい、乗せる。
その上から軽く土を踏みしめ、完全な消火が行われたことを、手の平で温度を感じ取り再度確認。
その手つきは、すでに冒険というものに慣れ切ってしまった、アウトドア派の学者にふさわしい、鮮やかなもの。
クラースは一つ肩を竦め、「よっこらしょ」という妙に若さの感じられないかけ声と共にその場を立つ。
彼の手足に着けられた鳴子が、思い出したようにからころと鳴った。
「とりあえず現状の把握が出来なのなら、双方の情報の交換は移動しながら行えば問題はあるまい。
ところで、フェイトと言ったか」
「……何でしょうか?」
一応命の恩人とは言え、自身の態度が固いままであることを無意識のうちに感じながらも、
フェイトはブラムスの呼びかけに応えた。
ブラムスはいつの間にか、懐から一枚の白い紙を取り出し、背中越しにフェイトへと告げる。
「先ほどから出す時機を伺っていたのだが、我はお前宛てに一通の手紙を預かっていた。それを渡さねばなるまい」
「……一体、誰からのです?」
「ソフィア・エスティードなる少女からだ」
それを聴いた瞬間、フェイトの目の色が変わる。
傍らに置いておいた装備一式を無造作に引っつかみ、そのまま重たげだった腰を持ち上げ、
ブラムスの元へと駆け寄る。
「そうならそうと早く行って下さい! ソフィアはまだ生きてるんですよね!?」
「我が最後に確認できた時点では、の話だがな」
フェイトはブラムスの元にまで走ったなら、彼の手にあった手紙をほとんどひったくるような勢いで受け取る。
その様子を見る三眼の考古学者と、鳴子と刺青の召喚師は意味深な笑み。
「フェイトも、まだまだ子供ということか」
「どうやらソフィアなる子は、フェイトのステディのようだな」
いかがわしい記事の載ったタブロイド紙を開き、そこに掲載された有名人のゴシップを楽しむような、
少しばかり下賎な気持ちが2人の中に湧き、仲良く生暖かいニヤニヤ笑いを浮かべる。
一方のフェイトは、そんな大人2人の視線に気付くことなく、彼の仲間からの便りを手に取り、読み始めていた。

82闇の王と炎の王、激突のこと ◆Mf/../UJt6:2009/01/12(月) 01:38:30 ID:bUVETw3U
【D−2/夜中】
【クラース・F・レスター】[MP残量:70%]
[状態:正常]
[装備:ダイヤモンド@TOP]
[道具:薬草エキスDX@RS、自転車@現実世界、デッキブラシ@TOP、荷物一式]
[行動方針:生き残る(手段は選ばない)]
[思考1:ブラムスと暫定的な同盟を結び行動]
[思考2:ゲームから脱出する方法を探す]
[思考3:脱出が無理ならゲームに勝つ]
[現在位置:D-2北部、焼き払われた雑木林]


【ブラムス】[MP残量:70%]
[状態:変態仮面ヅラムスに進化。本人はこの上なく真剣に扮装を敢行中。
全身に軽度の火傷(ミカエルに吸血を行ったため、じわじわ回復中)]
[装備:波平のヅラ@現実世界(何故か損傷一つ無い)、トライエンプレム@SO、
袈裟@沖木島(あちこちが焼け焦げている)、仏像の仮面@沖木島]
[道具:バブルローション入りイチジク浣腸(ちょっと中身が漏れた)@現実世界+SO2
荷物一式×2、和式の棺桶@沖木島]
[行動方針:自らの居城に帰る(成功率が高ければ手段は問わない)]
[思考1:鎌石村に向かい、他の参加者と情報交換しながらレナス達の到着を待つ]
[思考2:敵対的な参加者は容赦なく殺す]
[思考3:直射日光下での戦闘は出来れば避ける]
[思考4:フレイを倒した者と戦ってみたい(夜間限定)]
[思考5:鎌石村に向かいながら、3人と情報交換]
[現在位置:D-2北部、焼き払われた雑木林]
[備考:ブラムスのヴァンパイアの能力については、
「原作のゲームシステムで再現可能な能力のみ使用可能」というガイドラインを提案します。
今回は肉体を霧に変化させる能力をスキル「ダーク」で、
吸血によるDMEの回復は>>242の武器特性で再現しました。
なお原作のゲームシステムで再現可能なスキルなどは存在しないので、
吸血による目標の下僕化は不可能とします]



【フェイト・ラインゴッド】[MP残量:75%]
[状態:左足火傷(戦闘にやや支障有り。ゆっくり歩く分には問題無し)]
[装備:鉄パイプ-R1@SO3]
[道具:ストライクアクスの欠片@TOP?、ソフィアのメモ、荷物一式]
[行動方針:仲間と合流を目指しつつ、脱出方法を考える]
[思考1:ルシファーのいる場所とこの島を繋ぐリンクを探す]
[思考2:確証が得られるまで推論は極力口に出さない]
[思考3:ソフィアのメモを読みたい!]
[現在位置:D-2北部、焼き払われた雑木林]
[備考:参加者のブレアは偽物ではないかと考えています(あくまで予測)]
[備考:ロキに武装解除された鉄パイプ-R1@SO3を取り戻しました]

【エルネスト・レヴィード】[MP残量:95%]
[状態:両腕に軽い火傷(戦闘に支障無し、治療済み)]
[装備:縄(間に合わせの鞭として使用)、シウススペシャル@SO1、ダークウィップ@SO2]
[道具:ウッドシールド@SO2、魔杖サターンアイズ、荷物一式]
[行動方針:打倒主催者]
[思考1:仲間と合流]
[思考2:炎のモンスターを警戒]
[思考3:ブラムスを取り引き相手として信用]
[現在位置:D-2北部、焼き払われた雑木林]
[備考1:ロキに武装解除されたシウススペシャル@SO1を取り戻しました]
[備考2:ミカエルの死体からダークウィップ@SO2、ウッドシールド@SO2、
魔杖サターンアイズを回収しました]

【ロキ】[MP残量:90%]
[状態:自転車マスターLv4(ドリフトをマスター)
顔面が作画崩壊 顎関節脱臼 再起不能(リタイア)寸前 神生終了のお知らせ 現在逃走中?]
[装備:グーングニル3@TOP]
[道具:10フォル@SO、ファルシオン@VP2、空き瓶@RS、スタンガン、ザイル@現実世界、
首輪、荷物一式×2]
[行動方針:ゲームの破壊]
[思考1:レナス、ブラムスの捜索]
[思考2:見つけ次第ルシオの殺害]
[思考3:首輪を外す方法を考える]
[思考4:一応ドラゴンオーブを探してみる(有るとは思っていない)]
[思考5:痛みに耐えて顎を嵌め直す]
[思考6:この状況に対応する]
[現在位置:D-2北部、道から少し外れた森の中→行方不明]
[備考1:現在顎が外れているため、これを整復するまで会話や呪文詠唱などはほぼ不可能です]
[備考2:なおロキは自分をフルボッコにした相手がブラムスだとは、今のところ気付いていません
(ただしブラムスの決め技「ブラッディカリス」を目撃して気付いた可能性もあります)]

【ミカエル死亡】
【残り22人+α?】

83 ◆Mf/../UJt6:2009/01/12(月) 01:44:27 ID:bUVETw3U
以上です。
今回はロキの消息を描写しなかったり、情報交換をあまり行わなかったりと
若干展開が荒削りですが、題名の通り今回のSSの主題は
ブラムスVSミカエルに持ってこようと考えたので、
荒っぽいつくりであることを承知で、あえてこのような形に書かせていただきました。

今回はブラムスのヴァンパイア能力をフルに活用させていただきましたが、
備考にもある通りゲーム中のスキルの派生形という形で納得いただければ、
と思います。

それから現在の残り人数の表記に関しては、私が提案した暫定的なものです。
正式決定は、放送やその後の作者に決めていただきたく思います。


それから最後に。
ヅラムスの活躍をお待ちの読者さん、ご容赦下さい。
私の筆力が足りなかったせいで、今回はヅラムスがブラムスに戻ったことを、
深くお詫びいたしたく思います。

それでは、意見質問等お待ちしております。

84名無しのスフィア社社員:2009/01/12(月) 02:30:26 ID:mT8F6Eog
アッー!
やっぱり無理だったか……

だれか、だいりとうか、たのむ

85代理投下2:2009/01/12(月) 03:00:37 ID:vYzQW1vU
【D−2/夜中】
【クラース・F・レスター】[MP残量:70%]
[状態:正常]
[装備:ダイヤモンド@TOP]
[道具:薬草エキスDX@RS、自転車@現実世界、デッキブラシ@TOP、荷物一式]
[行動方針:生き残る(手段は選ばない)]
[思考1:ブラムスと暫定的な同盟を結び行動]
[思考2:ゲームから脱出する方法を探す]
[思考3:脱出が無理ならゲームに勝つ]
[現在位置:D-2北部、焼き払われた雑木林]


【ブラムス】[MP残量:70%]
[状態:変態仮面ヅラムスに進化。本人はこの上なく真剣に扮装を敢行中。
全身に軽度の火傷(ミカエルに吸血を行ったため、じわじわ回復中)]
[装備:波平のヅラ@現実世界(何故か損傷一つ無い)、トライエンプレム@SO、
袈裟@沖木島(あちこちが焼け焦げている)、仏像の仮面@沖木島]
[道具:バブルローション入りイチジク浣腸(ちょっと中身が漏れた)@現実世界+SO2
荷物一式×2、和式の棺桶@沖木島]
[行動方針:自らの居城に帰る(成功率が高ければ手段は問わない)]
[思考1:鎌石村に向かい、他の参加者と情報交換しながらレナス達の到着を待つ]
[思考2:敵対的な参加者は容赦なく殺す]
[思考3:直射日光下での戦闘は出来れば避ける]
[思考4:フレイを倒した者と戦ってみたい(夜間限定)]
[思考5:鎌石村に向かいながら、3人と情報交換]
[現在位置:D-2北部、焼き払われた雑木林]
[備考:ブラムスのヴァンパイアの能力については、
「原作のゲームシステムで再現可能な能力のみ使用可能」というガイドラインを提案します。
今回は肉体を霧に変化させる能力をスキル「ダーク」で、
吸血によるDMEの回復は>>242の武器特性で再現しました。
なお原作のゲームシステムで再現可能なスキルなどは存在しないので、
吸血による目標の下僕化は不可能とします]



【フェイト・ラインゴッド】[MP残量:75%]
[状態:左足火傷(戦闘にやや支障有り。ゆっくり歩く分には問題無し)]
[装備:鉄パイプ-R1@SO3]
[道具:ストライクアクスの欠片@TOP?、ソフィアのメモ、荷物一式]
[行動方針:仲間と合流を目指しつつ、脱出方法を考える]
[思考1:ルシファーのいる場所とこの島を繋ぐリンクを探す]
[思考2:確証が得られるまで推論は極力口に出さない]
[思考3:ソフィアのメモを読みたい!]
[現在位置:D-2北部、焼き払われた雑木林]
[備考:参加者のブレアは偽物ではないかと考えています(あくまで予測)]
[備考:ロキに武装解除された鉄パイプ-R1@SO3を取り戻しました]

【エルネスト・レヴィード】[MP残量:95%]
[状態:両腕に軽い火傷(戦闘に支障無し、治療済み)]
[装備:縄(間に合わせの鞭として使用)、シウススペシャル@SO1、ダークウィップ@SO2]
[道具:ウッドシールド@SO2、魔杖サターンアイズ、荷物一式]
[行動方針:打倒主催者]
[思考1:仲間と合流]
[思考2:炎のモンスターを警戒]
[思考3:ブラムスを取り引き相手として信用]
[現在位置:D-2北部、焼き払われた雑木林]
[備考1:ロキに武装解除されたシウススペシャル@SO1を取り戻しました]
[備考2:ミカエルの死体からダークウィップ@SO2、ウッドシールド@SO2、
魔杖サターンアイズを回収しました]

【ロキ】[MP残量:90%]
[状態:自転車マスターLv4(ドリフトをマスター)
顔面が作画崩壊 顎関節脱臼 再起不能(リタイア)寸前 神生終了のお知らせ 現在逃走中?]
[装備:グーングニル3@TOP]
[道具:10フォル@SO、ファルシオン@VP2、空き瓶@RS、スタンガン、ザイル@現実世界、
首輪、荷物一式×2]
[行動方針:ゲームの破壊]
[思考1:レナス、ブラムスの捜索]
[思考2:見つけ次第ルシオの殺害]
[思考3:首輪を外す方法を考える]
[思考4:一応ドラゴンオーブを探してみる(有るとは思っていない)]
[思考5:痛みに耐えて顎を嵌め直す]
[思考6:この状況に対応する]
[現在位置:D-2北部、道から少し外れた森の中→行方不明]
[備考1:現在顎が外れているため、これを整復するまで会話や呪文詠唱などはほぼ不可能です]
[備考2:なおロキは自分をフルボッコにした相手がブラムスだとは、今のところ気付いていません
(ただしブラムスの決め技「ブラッディカリス」を目撃して気付いた可能性もあります)]

【ミカエル死亡】
【残り22人+α?】

86名無しのスフィア社社員:2009/01/12(月) 03:01:17 ID:vYzQW1vU
間違えたorz
吊ってくる

87進展:2009/02/09(月) 22:47:32 ID:5iKa7EVQ
4人の話し合いはすんなり決まったのだが、そこには何故かちょっと涙目なレオンがいた。
「ねぇ、ちょっとプリシス」
アルベルとレナに気付かれないようにそっとプリシスに耳打ちをするレオン。
「どうしてもこのチーム分けなの?」
レオンの抗議の内容はたった今パーティー内会議にて決定したチーム分けの件についてだ。
その話し合いの末レオンはアルベルと、プリシスはレナと組んで行動する事になっている。
「そうだけど何か?」
何を今更そんな事聞いてんの? と言いたげな表情をしながらレオンの問いに答るプリシス。
「だって、あのアルベルって人の僕を見る目が時々尋常じゃないんだよ?
 もしかしたら僕食べられちゃうかもしれないよ?(性的な意味で)」
「何言ってんの? あれだって普通の人間なんだからレオンを食べたりしないって(食欲を満たす的な意味で)」
「本当に大丈夫かな?」
(僕の言わんとしてること通じてるのかな?)
「大丈夫だって! それに二手に分かれる事を決めたのはレオンじゃん。
 戦力の分配を均等にするなら、接近戦が出来る私とアルベルは別チームにしなければならないし、
 腕っ節は悔しいけどアルベルの方が強い。
 そうなると私に組ませるなら多少でも格闘術の心得があるレナの方が適役じゃん」
「ううっ、それは判るんだけど…」
「うるさいうるさいうるさい。レオンも男なんだから一度決まった事にウダウダ言わない!」

88進展:2009/02/09(月) 22:48:58 ID:5iKa7EVQ
「あの二人なにを話しているんだろう?」
二人の様子に気付いたレナが呟く。
「おい」
そんな彼女に用があるのかアルベルがいつもどおりの不機嫌顔で話しかける。
「選別だ。持ってけ」
そうぶっきらぼうに言いながら護身刀“竜穿”を差し出す。
「これは…」
レナにも見覚えがあった。この島に来て直ぐディアスと出会った時に彼が持っていた短刀だ。
「これぐらいのサイズの刀なら剣術の素人でも十分護身用に使いこなせるはずだ。お前にはおあつらえ向きの武器だ」
ディアスがその強い思いと共にオペラを貫いた短刀。
レナはディアスの見せた意地とオペラから託された願いを思い出しながら、強くこの短刀の柄を握り締めた。
「ただし貸すだけだ。俺の仲m、ゲフンゲフン! 
知り合いというかむかつく奴というか、とにかくその剣の本来の持ち主は俺の世界の人間なんだ。
そいつの親父も使っていたっつう業物で、せめて墓代わりにその剣を持ち替えt、違う!
俺の世界では値打ちもんなんだよ! だから必ず返せよ! いいな!」
顔を赤くしながら言いたい事を言い終えたのか、
もう用はないと言わんばかりにそっぽを向くとレオンとプリシスの方に向かって声をかけた。
「おら! 準備はいいのかよガキ共!」
「ガキって言うな!」「ううっ、はい…」
プリシスとレオンは異なった返答をしながらも準備は出来ていたのか、直ぐにこちらに寄ってきた。

89進展:2009/02/09(月) 22:50:18 ID:5iKa7EVQ
「よしっ! それじゃあしゅっぱーつ! 行こっ、レナ」
「ええ、よろしくねプリシス」
拳を高々と突き上げ、いの一番に神社内から飛び出したプリシスとそれに続いて出ていったレナに
ガキの使いじゃねえんだぞ、わかってんのか?と思いながら見送った後レオンの方に振り返るアルベル。
「おら、俺らも行くぞ」
声をかけられたレオンの方は若干怯えた様子で、アルベルを見上げながら、
「うん…。よろしくね。アルベルお兄ちゃん…」
と力なく返した。
(お兄ちゃん…)
彼の中でその響きが数度反芻した後に、アルベルの中で電流が流れた(気がした)
むしろ彼の中で何かが芽生えたと表現した方が良いのだろうか。
それも無理からぬ事で、何せショタっ子猫耳メイドに若干涙目の表情で上目遣いに名前にお兄ちゃん付きで呼ばれてしまっては
その筋の人はおろか、普通の至って健全な筆者の様にノーマルな人間でも何かに目覚めてしまう事は請け合いである。

そんなレオンの一言にうろたえた様に一歩後ずさりをし、顔を赤くするアルベル。
(お兄ちゃんとはまた強烈な…。寝ている時も十分だったが起きている時もカワイイじゃnゲフンゲフン!
落ち着け俺! こんなガキがカワイイだと? 冗談じゃねえ! そうだ! こういう時は素数を数えるんだ! 4…6…8…9…10)
完全に動揺しきったアルベルは素数ではない方の数字を脳内でカウントしていた。
そんなアルベルの様子を見ながらレオンは
(本当に大丈夫かな…?)
と、この先に待ち受けるであろう困難と身の危険(いろんな意味で)を思い、大きくため息をついたのであった。
頑張れレオン君! 君達の戦いはこれからだ!!

90進展:2009/02/09(月) 22:51:50 ID:5iKa7EVQ
【G-06/深夜】
【アルベル・ノックス】[MP残量:90%]
[状態:左手首に深い切り傷(レナに治癒の紋章術をかけてもらいました。しばらく安静にすれば完全に回復します)、
左肩に咬み傷(レナに治癒の紋章術をかけてもらいました。しばらく安静にすれば完全に回復します)、
左の奥歯が一本欠けている。疲労小]
[装備:セイクリッドティア@SO2]
[道具:木材×2、咎人の剣“神を斬獲せし者”@VP、ゲームボーイ+ス○ースイ○ベーダー@現実世界、????×0〜1、
鉄パイプ@SO3、????(アリューゼの持ち物、確認済み)、荷物一式×7(一つのバックに纏めてます)]
[行動方針:ルシファーの野郎をぶちのめす! 方法…はこのガキ共が何とかするだろ!]
[思考1:レオンと共にひとまず行動。次の、ないしその次の放送までに鷹野神社に戻る]
[思考2:レオンの掲示した物(結晶体*4、死んで間もない人物の結晶体*1、結晶体の起動キー)を探す]
[思考3:エルネストを探す]
[思考4:レオンキュンハァハァ…はっ! 俺は一体なにを]
[思考5:龍を背負った男(アシュトン)を警戒]
[現在位置:鷹野神社内部]
※木材は本体1.5m程の細い物です。耐久力は低く、負荷がかかる技などを使うと折れます。

【プリシス・F・ノイマン】[MP残量:100%]
[状態:アシュトンがゲームに乗った事に対するショック]
[装備:マグナムパンチ@SO2、セブンスレイ〔単発・光+星属性〕〔25〕〔100/100〕@SO2]
[道具:ドレメラ工具セット@SO3、????←本人確認済み、
解体した首輪の部品(爆薬を消費。結晶体は鷹野神社の台座に嵌まっています)、
無人君制御用端末@SO2?、荷物一式]
[行動方針:惨劇を生まないために、情報を集め首輪を解除。ルシファーを打倒]
[思考1:レナと共にひとまず行動。次の、ないしその次の放送までに鷹野神社に戻る]
[思考2:レオンの掲示した物(結晶体*4、結晶体の起動キー)を探す]
[思考3:自分達の仲間(エルネスト優先)、ヴァルキリーを探す]
[思考4:アシュトンを説得したい]

[現在位置:鷹野神社敷地内]

91進展:2009/02/09(月) 22:52:44 ID:5iKa7EVQ
【レオン・D・S・ゲーステ】[MP残量:100%]
[状態:左腕にやや違和感(だいぶ慣れてきた)]
[装備:メイド服(スフレ4Pver)@SO3、幻衣ミラージュ・ローブ(ローブが血まみれの為上からメイド服を着用)]
[道具:どーじん、小型ドライバーセット、ボールペン、裏に考察の書かれた地図、????×2、荷物一式]
[行動方針:これ以上の犠牲者を防ぐ為、早急に首輪を解除。その後ルシファーを倒す]
[思考1:アルベルと共にひとまず行動。次の、ないしその次の放送までに鷹野神社に戻る]
[思考2:結晶体*4、死んで間もない人の結晶体*1、結晶体の起動キーを探す]
[思考3:死んで間もない人の結晶体を入手したら可能な限り調査する]
[思考4:信頼できる・できそうな仲間(エルネスト優先)
やルシファーのことを知っていそうな二人の男女(フェイト、マリア)を探し、協力を頼む]
[思考5:服着替えたい…]
[思考6:アルベルお兄ちゃん…、その、目が…怖いです]
[備考1:プリシスと首輪解析の作業をして確定した点
① 盗聴器が首輪に付随している事。
② 結晶体が首輪の機能のコントロールを行っている事
③ 首輪の持ち主が死ぬと結晶体の機能が停止する事
まだ確証がもてない考察
① 能力制限について(62話の考察)
② 死んで間もない人間の結晶体が首輪解析に使えるかどうか]
[現在位置:鷹野神社内部]


【レナ・ランフォード】[MP残量:40%]
[状態:仲間達の死に対する悲しみ(ただし、仲間達のためにも立ち止まったりはしないという意思はある)、
精神的疲労大]
[装備:護身刀“竜穿”@SO3]
[道具:荷物一式、魔眼のピアス(左耳用)]
[行動方針:多くの人と協力しこの島から脱出をする。打倒ルシファー]
[思考1:プリシスと共にひとまず行動。次の、ないしその次の放送までに鷹野神社に戻る]
[思考2:レオンの掲示した物(結晶体*4、結晶体の起動キー)を探す]
[思考3:自分達の仲間(エルネスト優先)を探す]
[思考4:アシュトンを説得したい]
[思考5:エルネストに会ったらピアス(魔眼のピアス)を渡し、何があったかを話す]

[現在位置:鷹野神社敷地内]

92進展:2009/02/09(月) 22:53:38 ID:5iKa7EVQ
投下終了です。寝ないで酒飲みながら草稿したら普段と違った作風になってしまった。
レナを目立たそうとしてたのに思いっきり空気だしorz
ただ、書きたかった大筋(チーム分割、謎の台座の存在)については書けてたので、誤字チェックをメインに推敲をしました。
台座についてですが一応自分が考えている脱出フラグ用のギミックなのですが、
こういう場合それについての内容って他の書き手や住民と共有した方がいいのでしょうか?
まぁ、このロワの参戦作品を一通りプレイしている方はお気づきでしょうが、共有する必要があるなら言って下さい。
一通りまとめてスレか、ネタバレみたいになるのが嫌でしたらしたらばに書き込もうと思います。
後、あえてチームアルベルとチームプリシスがどっちの村に行ったかは書きませんでした。
第3回放送後の山場は間違いなく鎌石村大乱戦でしょうが、
そこにプリシスたちが行くと更にアシュトンの説得というイベントまで追加になり密度が濃くなりすぎるんじゃないかな?と思ったからです。
説得の可否によっては残り僅かな戦闘力のあるマーダーが減ってしまいますしね。
各チームの行き先は次の書き手の方が決めてください。
あと最後に放送担当の書き手さんには悪いですが、こいつらには鷹野神社に行ってもらいました。
どうしても目印になる施設に台座を置きたかったんです。すみませんした。

93名無しのスフィア社社員:2009/02/10(火) 10:10:25 ID:OBO0nlP6
      / ̄ ̄\
    /ノ( _ノ  \        
    | ⌒(( ●)(●)       いい加減にするだろ常考!
    .|     (__人__) /⌒l
     |     ` ⌒´ノ |`'''| 
    / ⌒ヽ     }  |  |            ____    
   /  へ  \   }__/ /           /─  ?\   
 / / |      ノ   ノ           /●))  ((●\ . ’, ・  ぐぇあ
( _ ノ    |      \´       _   /    (__人__)’,∴\ ,  ’ 
       |       \_,, -‐ ''"   ̄ ゙̄''?---└'´ ̄`ヽ/  > て 
       .|                        __ ノ /  (
       ヽ           _,, -‐ ''" ̄ヽ、 ̄ `ー'´  /  r'" ̄
         \       , '´          /       .| 
          \     (           /       |
            \    \        /        



      / ̄ ̄\
    /      \        
    | /      
    .|  ● /;;;;;;;;;;ヽ  /⌒l
     |    i;;;;;;;;;;;;;;;;;;i  |`'''| 
    / ⌒ヽ     }  |  |            ____    
   /  へ  \   }__/ /           /─  ?\   
 / / |      ノ   ノ           /●))  ((●\ . ’, ・  ぐぇあ
( _ ノ    |      \´       _   /    (__人__)’,∴\ ,  ’ 
       |       \_,, -‐ ''"   ̄ ゙̄''?---└'´ ̄`ヽ/  > て 
       .|                        __ ノ /  (
       ヽ           _,, -‐ ''" ̄ヽ、 ̄ `ー'´  /  r'" ̄
         \       , '´          /       .| 
          \     (           /       |
            \    \        /        





        /     , ーーーーーーーー-- 、
        / /^^^^^)/        ___ __    |
       //    /        /   | ヽ   | , ー -- 、
       /|   | ヽ,.        ヽ___ |__ノ   //     ヽ
      / |   |ヽ ヽ_________________________ノ .l ///// |
      / |   |   /      ___    | ///// |
     /  |   |     ●  /;;;;;;;;;;ヽ, ●| ///// |
     /  |   |         i;;;;;;;;;;;;;;;;;;i   l ///// |
    /   |   |                 | //// /
    /   |    \       ヽ----/   /__,,,,, ノ
   /  / \     ヽ,____ `--'´ _/

94名無しのスフィア社社員:2009/02/10(火) 10:11:01 ID:OBO0nlP6
うは、ごめ操作ミスって変なの書いた
忘れてくれ

95名無しのスフィア社社員:2009/02/11(水) 17:54:33 ID:QefrJjLg
>>94 kwsk!!

96名無しのスフィア社社員:2009/02/11(水) 18:10:31 ID:YE9sIdfw
メモ帳やワードだとAAずれるから適当なスレで書き込みボックス開いてやってたんだよ
んで「書き込み押さなきゃ大丈夫だろ」とたかくくってたらキーボード操作ミスって何故か書き込まれたと
お前らも投下する気ないのに書き込みボックス使って作業するときは字数制限引っかかるよう先に開業しまくっといた方がいいぜ…

とりあえずもう忘れろ、なっ

97 ◆Zp1p5F0JNw:2009/02/22(日) 02:46:05 ID:z3j7D.9.
規制されているのでこちらに。
連絡が遅れて申し訳ございません
今日中には何とか投下できるようにします。すいません

本スレ>>604
遅れといて言うのもなんですが、俺は10日でも長すぎるくらいだと思います。
予約による独占という面もありますし

98Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:00:51 ID:zqSEfSHM
さるさんなのでここに続きを投下します

99Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:01:58 ID:zqSEfSHM

(絶対に挫けないと。絶対に最後まで戦い続けると僕は誓いました。
だから、あきらめずに何度でもあなたの名前を呼びます)

クレス君は私の言った言葉を投げかける。でも、立ち上がれない。
孤独はもう嫌だ。親しい人の死が、拒絶されることが恐ろしいのだから。

(マリアさんもあきらめないでください)

お母さんと同じことを言うのね。あの時は、私にみんなを守る力があった、必要とされていた。
けど、今の私に何の存在価値もないわ。

(貴女のおかげで僕は立ち直れた)

買い被りすぎよ。私はただ君に逃げていただけの卑怯者。
そんな私を知って、君は嫌悪するわ。

(ミントのことも、みんなのことも。だから、あきらめないでください)

無理よ。いくら君が言おうとも信用できない。だって私は化け物だから。
その気になれば、世界すら崩壊できる力持っている兵器だから。

(僕にはマリアさんが必要です)

「本当に…?」

感嘆の声を漏らしてしまう。感情が揺さぶられたような気がした。
私は何もできず足手纏いなのに、クレスは必死に呼び続けている。
クレス君が必死に戦っているのに、応えるように恐怖が薄れていく
私も戦いたい。でも、立ち上がらない、信用できない、恐怖を拭いきれない。

100Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:03:01 ID:zqSEfSHM
(僕は絶対に――――――)

クレスの心の叫びが響く。私の中で何かが弾けたような気がした。
燻っていた負の感情が一気に放出されたように落ち着いていく。
この漲っていく熱い感情は何か分からない。
でも、私は彼の元へ帰らないといけない。
彼が私を必要としているかは分からないが、私は前に進まなければならない。
マリアは弱っていた足を奮い立たせると、中央に座り込んでいる少女に声をかけられる。

『行くのね』
「ええ、私は彼に伝えなければならない。私の熱い感情が忘れ去る前に」
『現実は辛いわよ。辛い記憶は忘れたほうが楽なのに…貴女はそれを選ぶのね』
「ええ、そうね。私を必要としている人がいる。私は戻らないといけない」
『そう……決心は固いようね。あの時のように…』

マリアは現実に戻る方法は薄々感じていた。
手を胸に当てると気合入れ決心する。

『「さようなら、私」』

101Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:04:16 ID:zqSEfSHM

マリアは目の前にあり記憶の球体を深く覗き込む。自分の膨大な記憶が脳内に雪崩れ込んでいく。
出生から現在に至るまでの記憶が毒のようにくらい付いていく。
楽しい記憶も辛い記憶も脳内に一気に入りこめば、精神を破壊しかけないほど、苦痛が苛む。
マリアは必死に耐える、現実に戻るためにクレスに会うために。
記憶の渦とマリアが溶け込み一体化する。
現実の世界に輪廻する最中。
マリアは白い世界の観測者、もう一人の自分の顔を初めて見た。

その瞬間、色んな私がいろんな世界で存在していた映像が流れ込む。

ある世界は私がフェイトに告白する世界。
違うある世界はリーベルと一緒に結ばれる世界。
また違うある世界は平穏な惑星でゆったりと暮らす世界。
クリフとミラージュで新しいクォーク発足に追われる世界。

様々な世界が私の中に平行して渦巻いていく。
私たちの未来は様々な事象によって作られていく、そんな風に感じられる。
たぶん、ここの出来事はほとんど覚えていないだろう。けど、私は絶対に忘れないだろう。

最後に見たもう一人の自分が満足げに微笑んでいたことを。

――
――――
――――――

102Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:05:39 ID:zqSEfSHM

「マリアさん、大丈夫ですか!?心配しました」

初めてまともな反応を示したマリアにクレスは驚きと安堵の言葉をかける。

「ミラージュ…ミラージュ…」

マリアは気付いたのだ。
私が一番逃げていた。
大切な仲間の死を感じとることを。
一回目の放送の時から、私は背けていたのだ。
クレス君に過剰なまでに構うことでその存在に目を背けていた。
クレス君に臆病な感情を押し付けることで、自分の弱さを押し込んでいた。
身近にいる大切な存在の死を最も背けていたのは私だった。

「どうしてあなたが死ななくちゃならないの?
 戦争で両親を亡くした、私を引き取ってくれた。
 本当の娘のように接してくれて……」
「マリアさん、それ以上話さなくていい。
 僕はマリアさんが元気なだけで嬉しいですから」
「お願い最後まで聞いてほしいの。そして、君に謝りたいの」

そして、マリアは自分の罪を語り出す。
その一声は「ごめんなさい」から始まった。

+++

103Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:07:31 ID:zqSEfSHM

「―――――というわけなの」

マリアが全てを語り終えると、クレスは真剣な眼差しでマリアの言葉を噛み締めていた。
目の前にいる少女が人間ではなく、兵器だ。そんなことを突きつけられれば、誰しもその話を疑いたくなる。
だが、マリアの口調は真剣そのものであった。

「どう、理解できた。私は遺伝子操作された兵器なの。
 姿かたちは人間の姿をしているけど、君とは違う……人とは全くかけ離れた存在。
 ルシファーに対抗するために肉体改造された存在なの」

マリアは内に秘めていた出生秘密を語り終えた。
彼女にとって、自分が遺伝子操作生物兵器だということは最大のコンプレックスである。
自分の力を行使するたび、自分の存在が否定されているように感じる。
私はルシファーを倒すためだけに作られた存在。そう、思うたびに嫌な感情が蝕むのだ。
仲間でも、私たちの真実を知るものは少ない。
フェイトにその真実を語った時は、親近感があったからこそ難なく言えたが。
それを赤の他人であるクレスに話すことは、己の裸体を曝け出すのに等しい。いや、その以上の嫌悪感があった。
でも、クレス君なら、話して大丈夫だ。そんな予感をさせる。

「その気になれば私の力は世界の法則させも改変させることも可能よ。
 もちろん制御できればの話だけどね」

淡々と冷めたような口調でマリアは語りだす。

「どう、私の秘密を聞いて、怖くなった?」

104Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:09:26 ID:zqSEfSHM
マリアの横目が突き刺さる。
クレスはその視線を交差させ、真っ直ぐに彼女の青い瞳を見据える。
彼女の青い瞳は海のように深く澄んでいる。彼女の告白はそれほど覚悟が必要だったのだろう。
心なしか体が震えているように見える。
だからこそ、僕は彼女の決意に誠意を持って答えなければならない。

「いいえ」

クレスは素直な気持ちを伝える。
例えマリアが生物兵器であろうとモンスターであろうとクレスの心は一心も変わらない。

「マリアさんが何であろうと僕の気持ちは変わりません。
 ミントが死んだ時も、アーチェが死んだ時も、チェスターが去った時もマリアさんは助けてくれました。
 マリアさんは弱くなった僕を叱咤し励ましてくれた。いつでも僕のことを心配してくれました。
 僕はそんな厳しくも心優しいあなたがいてくれたからこそ、僕は前に進むことができた。
 そこにあった想いは確かにマリアさんそのものでした。
 だから、いつでもマリアさんはマリアさんのままです。
 マリアさんがマリアさんである限り、僕はあなたが必要です」

クレスの真摯な言葉にマリアはそっと胸を撫で下ろし俯く。

「ありがとう。そう言ってくれると、嬉しいわ」
「ええ、マリアさんの言葉で僕も気張らないといけなくなりました」

問題は後回しにしてはいけない。マリアにそう教えられたような気がした。
クレスはぐっと力を込めて、握り締めた拳を見つめる。

105Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:10:38 ID:zqSEfSHM

「やっぱり、僕はチェスターのことを止めなくてはいけない。
 アイツが復讐に染まるのだけは絶対に見たくないんだ。
 ダオスのときのように、心をすり減らすアイツは見たくない」

マリアはクレスの決意を聞くと、勘違いしていたなと穏やかに視線を寄せた。

「強いのね、クレス君は…」

クレス君は強い。私の何倍もずっと強い。私も君のように強くなりたい。
そう、気付かれないように小さく決意するのであった。

「そ、そうですか。僕、全然役に立っていないですけど」
「うふふ、そんなことないわよ。君には色々と助けられているわ」

マリアはクレスに柔らかい笑みを浮かべる。
この舞台に着てから初めて穏やかな空気が二人の間に流れる。
硬さがなくなった笑みにクレスは胸を高鳴らした。
初めて見る彼女の穏やかな笑みにミントの優しい笑みが重なる。

106Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:12:13 ID:zqSEfSHM

「綺麗だ……」

クレスはポツリと言葉を漏らす。
脈絡のない言葉にマリアは「ふぇ」と間の抜けた声を発する。
ほんの一秒間の動揺を立て直し、すかさず顔を背け紅色に染め上がった頬を隠す。
マリアは顔を隠したまま馬鹿みたいに動揺させた諸悪の根源を睨み付ける。

「いきなり、変なこと言わないでくれない。びっくりするじゃない」
「…うえっと!? 無意識っていいますか…考えていたことが軽はずみといいますか。
 マリアさんの笑顔がとても綺麗だから……。
 って、決して普段のマリアさんが綺麗じゃないとかではありませんよ!
 普段のマリアさんも綺麗ですし…さっきの笑顔も本当に綺麗で……」
「あーーもう、分かったから口を開かないでちょうだい」

あたふたと弁明の名をした褒め言葉にマリアは殺気を帯びた視線を効かせる。
クレスは「はい!?」と素っ頓狂な返事するとその場にへたり込んだ。
あまりにも歯が浮くような台詞に心臓に悪いなあと一息を付いて、心を落ち着けさせる。
が、胸の高まりはおさまることをしらない。
自分をこんな風にしたクレスに対し、理不尽な怒りが込み上がる。
マリアはその怒りをもう一度視線でぶつけると「ひぃ」とクレスはよりいっそうへたり込むのだった。

107Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:13:27 ID:zqSEfSHM

そんな微妙な空気の中、外に飛び出していたミランダがどたどたと部屋に上がりこんでくる。

「マリアさんは大丈夫ですか、クレスさん!?
 仲間のところに行ってきたのですが、すでに出かけていたようで。
 あれ……?」

ぎこちなく隣同士で並んでいる二人になんともよそよそしい空気を感じ取る。
ミランダはそんな空気を汲み取り、そそくさと後退さる。

「もしかして、お邪魔でしたか?」
「いやいや、とんでもないよ。ねえ、マリアさん」

「ええ」と頷くマリア。
いいタイミングでミランダが現れてくれたおかげ、クレスは一息飲む。
マリアさんを怒らしたなあ、と自己嫌悪に陥りそうだった。

「ごめんなさい、ミランダ。貴女には迷惑をかけたようね」
「どういたしまして、それに困った時はお互い様です」

マリアはミランダに対し一礼すると、ミランダは両手を左右振りながら微笑む。
ほんの一瞬の笑みを零すとミランダはすぐに真顔になり、現状を逐一報告する。
マリアの非常事態に仲間を呼びにいったことを。そして、洵とルシオがいなかったことを。

+++

108Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:15:30 ID:zqSEfSHM

ミランダは困惑していた。マリアとクレスに洵とルシオの元へ連れて行くことに。
マリアとクレスの情報から二人は顔見知りで、更に因縁の中というではないか。
そんな間柄に洵とルシオを紹介できるはずもなく、必死にミランダは案を練っていた。
どうすれば、争いを回避できるのか。
色んな方法をイメージし、実行するが、一向にビジョンが見えてこない。
そんな最中、頭を悩ますミランダに三回目の放送が鳴り響く。

ミランダは思考を一時中断し、内容に聞き入る。
放送内容を最後まで聞くと、ミランダはよりいっそう頭が痛くなった。
増えていく死亡者たちに。更にその中には、龍殺しの英雄ジャックがいるではないか。
妖精たちの戦争に終戦をもたらした彼が死ぬなんて。

ミランダは理解しなければならなかった。この殺し合いの舞台は私の範疇を越えている。
ミカエルのような人間の力を超える輩が跋扈として存在している。
だからこそ、私は協力者を集い、最後の最後まで勝ち残らなければならない。
こんなところで、信頼できる協力者を無闇に散らすわけにはいかない。
――――最後に私が笑うためにも。

決意を再認識したミランダの耳に慌てふためくクレスの声が聞こえる。
青色の髪の少女が情緒不安定に蹲っている様子が見て取れた。
その刹那、天命の閃きがミランダに舞い降りる。
そうだ、この混乱に乗じてごまかせ、と天使が囁くのだ。
ミランダはすぐに行動を開始した。

109Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:17:23 ID:zqSEfSHM

「私、仲間を呼んできます!!」

咄嗟に、そう、言うと、ドアを勢いよく開いて、慌てて外に飛び出す。
マリアのために仲間を呼びにいくのか?
私の帰りを待つルシオと洵の元へと?
いや、違う。これは、演技だ。
私は仲間を呼びに行くつもりなど毛頭なかった。
今ここで、マリアとクレスに彼らを会わせるのはもったいない。
まだ、参加者は二十人以上いるのだ。ここで殺し合わせるのはまだ早い。
ミランダはそんな算段を企てて、飛び出した。
適当に時間を潰して、算段通りにことを進める。


半時間後、何食わぬ顔でクレスたちの元へ戻ると、マリアは落ち着きを取り戻していた。
私は予定通りに「会えなかった」と報告する。
適当に偽造した書置きを見せると彼らは私の言葉を信用したようで「残念ね」と、青髪の少女が呟いた。

ミランダは上手くいったとため息を付く。
これで私の信頼にひびが入ることなく、いけそうだ。
むしろ、仲間を救おうとする姿勢に、信頼も鰻上りに違いない。
ミランダが心中でほくそ笑んでいると、マリアが突然彼女に近づきそっと耳打ちする。

110Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:18:19 ID:zqSEfSHM

「ごめんなさい、ミランダ。ちょっと、席を外してもらえないかしら?」
「えっ!?」

ミランダは耳を疑った。もしかして、ばれてしまったのか。
額に大粒の汗が流れる。

「どうして、ですか?」
「えっと、それは、その……実は二人きりで話がしたいの」

マリアはもじもじと身体を震わせ、後ろに呆けているクレスに視線を向ける。
マリアの顔は恥ずかしいのか、頬赤らめている。
私を退散させる演技なのだろうか。一瞬、疑いの目がよぎる。
が、マリアの恥じらいは真に迫っているものがある。あの疑い深い少女が心を開くのだ。
ここで下手にごねて、信頼を失うよりも、ここは一歩引いたほうがいい。
でも、何となく、嬉しそうに赤らめるマリアにムカムカしたので。

「えっと……分かりました。私みたいなお邪魔虫はいないほうがいいですよね。
 クレスさんと二人きりで、楽しんでください」

嫌味の一つや二つ言わないと腹の虫がおさまらない。
ミランダはわざと、後ろのクレスに聞こえるように言ってやった。
クレスは何のことやらさっぱりのようで、ハテナマークを掲げていた。が、マリアには効果は絶大だった。
動揺するマリアを尻目にミランダは居間に向かうとソファに座り込んで、今後について考えるのであった。

+++

111Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:21:04 ID:zqSEfSHM

後ろでのほほんとしているクレスが憎たらしい。
ミランダを納得させるための演技だとはいえ、私が必死に恥ずかしい真似をしているのに、
当の本人は他人事のように不思議な顔をしている。

「変なミランダだな。いきなり何を…」
「君は黙っていてくれる」
「ひえっ!! もしかして…マリアさん怒っています?」
「別に」

ドンと大きくベッド上に腰掛けるとマリアはクレスを睨み付ける。
クレスは蛇に睨まれた蛙のようにカチンコチンに固まってしまった。
思いのほか固まってしまったクレスのことを見ると、マリアは「こんなことがしたいわけじゃないのに」と嘆息を漏らす。

でも、そうは言ってられない。
マリアはパックから筆記用具と紙を取り出すと、落ち込んでいるクレスに放り渡す。
慌ててクレスはそれをキャッチすると声を噤みそうになるが。
口元に人差し指を立て、『静かにして』と合図を送る。

『これから重要な話をするわ、たぶん盗聴されている可能性があるから筆談でお願い』

一瞬の動揺の後、乾いた笑みを浮かべるクレス。
そんなクレスにじとと痛い視線を浴びせるとすぐに枯れた笑いを引っ込め、
ペンを手に取り字を走らせ、『本当ですか?』と紙を向ける。
クレスの疑問にマリアはええと頷く。

『私が書き出すことに絶対に驚かないで欲しい』

112Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:22:28 ID:zqSEfSHM

前書きを書き出すと、マリアは盗聴されている根拠を書き出す。
ルシファーが大人しく高みの見物しているとは思えない、何らかの形で私たちの監視をしている、
とマリアは順を追って説明する。まず、一番の根拠は死亡者の順番だ。
放送のたびに死亡者の名前が読み上げられるが、
その順番に名簿順ではなく、バラバラに読み上げられている。
先のミラージュの件にしろ、その違和感は拭いきれない。
たぶんルシファーは死亡した順番どおりに読み上げていると考察する。
なら、どうやって死亡した順番を確認できるのであろうか?
カメラはないと踏む。大規模な戦闘が起きれば何らかの拍子で破壊されてしまう可能性がある。
私たちの安否確認するなら、首輪が適任だろう。

そこに何らかの機能を施しているに間違いないとマリアは睨んだ。
この首輪にはカメラのレンズのようなものは付いていない。
カメラに代わる物、盗聴器なら、しっくり来る答えだ。
はクレスに伝え終えると、クレスはマリアの的確な考察に感動した。

『凄いですね。マリアさん、感動しました』

でも、クレスには一つ疑問が残る。こんな重要な話なのに、どうしてミランダがいないんだ。
クレスは疑問を伝えようとするが、マリアは答えをあらかじめ用意していたようにそれを遮った。

『驚くのはまだ早いわ。これはまだ前菜にすぎない。
 本当に重要な話はこれから。これだけは君にしか伝えられない。
 なんせ、これには私たちの未来がかかっているから』

最後に『覚悟はいい?』と書き出すと、クレスは小さく頷いた。

『まず、世界を消去するルシファーを倒して、エターナルスフィア(ES)は救われたところまで話したわね?』

クレスはコクリと首を縦に振って肯定の意を示す。

113Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:23:45 ID:zqSEfSHM

『確かにルシファーは倒され、ESは救われた“かもしれない”』
『かもしれない?』
『結果だけを見れば、私たちはFD人の支配から逃れ、独立したように見えるわ。
 だけど、それは違う。君には話していないけど、ESはルシファーによって滅ぼされた』

いきなり突きつけられたマリアの言葉に目を丸くさせる。

『どういうことです? 僕には意味が分かりません』
『言葉通りの意味よ。世界は跡形もなく消滅したってこと。
 それ以上説明は要るかしら』

クレスはマリアの妄言とも言える言葉に息を飲む。

『世界がなくなったのにどうして僕たちがここにいるんですか?
 マリアさんの話が本当なら、僕たちはとっくに』
『確かに世界が無くなったら、私たちの存在はそこには無くなるはずよね?
 私たち自身もESが消去されたと時、覚悟したわ』

マリアは記憶をたどりながら、あの出来事を思い出していく。
ルシファーの最後の抵抗により、ES崩壊とともに消えていく、自分と仲間たち。
足元から何もなかったように自分たちは消去されていった。
あの感覚は忘れない。自分が消えていく感覚は今でもありありと覚えている。
私たちは完全にルシファーによって消されたのだ。
でも……。

114Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:26:01 ID:zqSEfSHM

『でも、私たちは生きていた。変な話よね。
 世界がなくなったのに、私たちが存在しているなんて』
『そうです。だから、マリアさんの勘違いといえなくありませんか?』
『そこで私たちはなぜ存在しているかをデカルト的な解釈で結論づけたわ』
『デカルト?』
『地球の有名な哲学者、彼の説明は長くなるから省くけど。
 彼の言葉に“我思う、ゆえに我あり”という言葉があるわ。
 簡単に説明すると、たとえ世界が虚構であっても、
 その存在を疑っている意識の自分という存在は否定できないという考え方よ』
『ええっと、つまり、世界が“偽物”でも、自分が認識している限りその世界は“本物”だと言うことですか』
『ちょっと、違うような気がするけど。私が言いたいのはそんなところ。
 私は哲学者じゃないから深くは分からないけど、大体そんな感じに踏まえて置いて』

マリアはペットボトルに口をつけ一息付くと、話を続ける。

『あの時は、混乱気味だったし、助かった安堵から深くは考えなかった。
 けど…改めてこの考えは直さないといけない』
『どうしてです?』
『この説だと、ルシファーの存在が不可解になってしまう。
 FD人であるルシファーは――――なぜ私たちに干渉できるという疑問が出てくるわ。
 ESは消滅したはずなのに。
 FD人にとって“無”となったモノになぜ干渉できるか?』
『実のところ…ESは崩壊していなかった?』
『その説も否定できないけど……私は覚えている…自分が消えてなくなる感覚を。
 だから、私は“ESが崩壊している”という前提の基で新しい説を唱えるわ。
 私たちはルシファーに“滅ぼされたES”ではなく、
 ルシファーに“滅ぼされなかったES”に存在している。
 
 ―――――ESの平行世界(パラレルワールド)に存在しているという説よ』

115Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:28:03 ID:zqSEfSHM
平行世界。マリア自信も懐疑的だが、何故だがそう考えてしまう。
どこかで、様々な世界で暮らす私を見たような気がしたから。
白い記憶が、そんな閃きを与えるのだ。

『ブレアは以前言っていたわ。
 “ESはすでにFD空間からの制御を放れ、別の空間になっている”と。
 それに加え、
 “私たちの世界からエターナルスフィアへの一方的な干渉は行うことができなくなっている”
 とも、彼女は言っていた。
 上記の言葉はあの創造主であるルシファーすら、反論できずにあぐねていたからたぶんは真実だと思う。
 すでにESは独立していた。だから、私たちはFD世界から干渉できるESが崩壊した瞬間、
 その意識は別の平行世界のESへと移行したと考えられる』

クレスはマリアの話に度肝を抜かれる。
あまりにも突拍子もない話に思考が追いつかなくなる。が必死に思考をフル回転させる。

『ブレアの言葉はさらにある説を教えてくれる。
 FD空間からES世界に“一方的な干渉はできない”という説が新たに浮上するわ』
『確かに、マリアさんの平行世界説はもっともらしいですよ。
 でも、もう一つの方はありえません。現に僕たちは一方的に干渉されています。
 僕たちは何気ない日常から突然こんなところに集められました。
 この状況こそ、その説を真っ向から否定できます』
『君の言う通り、私たちは一方的な干渉を受けている。
 だけど“ある条件”を満たせば“一方的に干渉できない”ルールは破られる。
 その条件とは――――ルシファーがESの深層まで潜り込んだときのみ解除されると考えられる』

116Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:30:03 ID:zqSEfSHM

マリアは細かく説明する。
かつて、エクスキューショナーが送り込まれた時、私たちはFD空間に潜り込んで、それを阻止しようとした。
エクスキューショナーは所詮バグを取り除くためのプログラムでしかない。
FD人自身が直接、私たちに危害を加えるわけではない。
あくまで、本来あったプログラムを発動させただけの『間接的な行為』だ。
だから、私たちは直接ES内でアンインストーラーを起動させ、そのプログラムを削除させたのだが。
思わぬところで、邪魔が入った。それはルシファーがES内の深層から新しいプログラムを起動し、それを妨害したのだ。
それはもう間接の域を超え、『直接的な行為』となっている。
他にも、ルシファーはブレアの偽者を作ることに成功している。
ESの深層に潜り込めば、何もかもが可能になるのだろう。
創造という神の領域すらも。

『つまり、マリアさんが言うには、ルシファーは深層に潜り込んで僕たちに干渉している。
 でも、矛盾しませんか。マリアさんの話だとルシファーはES崩壊とともに死んだはずでは…』
『私たちはルシファーを倒すことには成功した。だけど、殺してはいないわ。
 あくまで私たちはES崩壊に巻き込まれ、死んだと思っていただけ』

一度マリアたちはルシファーの横暴を阻止することに成功しているのだ。
だが、自棄になったルシファーは直接マリアたちというバグを消去するのではなく、ESごと消去させる
暴挙に出る。

『では、ルシファーは僕たちと同じように、平行世界のESに移行した?』
『それは違うはず、私たちはESの住人だけど、ルシファーはFD人。
 崩壊に巻き込まれれば死を意味するはず』
『ならどうして、ルシファーは僕たちに干渉できるのですか?』

117Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:31:05 ID:zqSEfSHM

崩壊の直前まで付き添ってくれたブレアも死を恐れたのか最後にはいなくなっていた。
FD空間に帰っていたのだろう。そのときの最後の言葉が頭の中で反芻する。

『崩壊の直前、ブレアはルシファーに向かってこう言っていたわ。
 “エターナルスフィアに精神を投影したまま、こんなことをすれば兄さんもただではすまない”と。
 そして、その瞬間、私たちの最終決戦がはじまるわけだけど』

そのときのルシファーの力は異常であった。
以前には無かった得体の知れない力を奮い、私たちに立ち向かってきたのだ。
今思い出すと、ルシファーは何故、最後の最後にあれだけの力を手に入れたのか。
疑問に思っていたのだが、ここに来てようやく分かった。

『ルシファーが生きている理由。それは――――』

ブレアの言葉が本当なら、この答えにしかたどり着けない。
マリアは自分で考察したとはいえ汗が滲み出る。それほど、この考察は突飛もない

118Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:32:40 ID:zqSEfSHM

『――――ルシファーはエターナルスフィアと融合した』

クレスはマリアの話に息を飲んだ。
あまりにも凄まじい話の連続に驚愕の色は隠せない。

『だから、ルシファーは崩壊の時に死ぬ事は無かった。
 それもそのはずルシファーはES住人ではなく、ESそのものになったのだから』

いくつもの偶然が重なった結果なのだろう。
ルシファーは精神を投影し過ぎてしまった。
その上、そこはESの深層だ。そして、崩壊による莫大なエネルギーがルシファーに流れ込む。
ルシファーの精神は変質を起こし、ESそのものになった。
マリアはそう分析する。

呆然とするクレスにマリアは紙を渡す。
そこには『まだ、驚くのは早い。本番はこれから』と書かれていた。
クレスは気を引き締めると目で「お願いします」と合図を送った。

『ルシファーはESと融合した結果、ある能力を得た。
 その能力こそが、私たちを苦しめる要因となっている。
 ディストラクション(破壊)、アルティネイション(改変)、コネクション(接続)。
 それらに対抗すべく、得た力。
 私たちの言葉で言えば“マテリアライゼイション”と言えばいいのかしら』

マリアは自分で考察したとはいえ、驚愕に満ちていた。
とんでもない話だが、ほとんどの事象が簡単に説明できるのだ。
ダオスのように死んだ存在がいることやES内にブレアがいることを考えれば、
この考えが一番しっくり来るのだ。
この干渉しすぎている現状を説明するには、最も納得のいくものである。

119Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:33:39 ID:zqSEfSHM

『奴の能力は――――実現。
 強く願ったことを、望んだことを、実現させる能力よ』

そんな馬鹿な、とクレスは突拍子もない話に返事をあぐねている。

『もし、マリアさんの説が真実だとしたら』

クレスは考えたくはないが、今後を左右する状況にマリアの答えを託す。
信じたくない気持ちは分かるが、マリアははっきりと書き示す。

クレスは紙を受け取ると、ゆっくりと字を眺める。やはり、想像通りの答えが書かれていた。
そこには『ルシファーに勝つことは不可能』だと、強く書かれていた。
クレスはマリアの方を振り向く、マリアはクレスの視線に気付くと、小さく顔を振った。

『言葉通りよ、私たちには勝ち目はない』

ルシファーが“マテリアライゼイション(実現)”という能力を所持していたなら、勝ち目は一切ない。
例えば、ルシファーがどんな攻撃も一切受け付けないと強く考えていれば、
それだけで対抗できる術はなくなるのだ。
フェイトのディストラクションでも、突破できるか分からない。
いや、そんな遠回りをする必要すらない。
死ねと念じるだけで私たちは終わってしまう。

120Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:36:35 ID:zqSEfSHM
『でも、まだ悲観することはないわ』

だが、まだあきらめる必要はない。
マリアはルシファーの一連の行動からあることを考えていた。

『ここはあくまで予則の域だから、絶対とは言い切れない。
まず一つ目に入る前に私たちが集められた時を思い出してみて。
ルシファー以外にも他に人物はいなかった?』
『確かルシファーの仲間と思わし、黒装束の集団がいました』

クレスは今一度あの惨劇の舞台を思い出す。
和服を着た少女が烈火の如く、閃光の嵐を浴びせられ、崩れ落ちる瞬間を。
あの時は咄嗟の出来事に何もできなかった。
あの記憶を振り返るたび、ルシファーに対する憎悪と自分に対する無力さが苛む。

『ルシファーの能力なら一人で事足りるのに、意味もなく集団となって現れた。
集団で脅さなくても、自分の能力を見せ付けるだけで十分なのに。
ルシファーは、そう、しなかった。いや、できなかったのだ。
君には分かる?』

ぶんぶんと頭を振って否定の意を示す。

121Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:38:23 ID:zqSEfSHM

『まず説明する前に質問するわね。
 クレス君が自分の家のベッドで寝たと想像してみてほしい』

クレスは内容通りに就寝をイメージさせる。
そこに何の意味があるか分からないがマリアに従うまま想像する。

『感想は?』。そう一文字書かれた紙を見る。
これといった感想もないので、いつも通りに目覚めたことを書き出す。
その感想を見通すと、マリアはうんと頷いてペンを走らせる。

『質問。
 寝ていた人が朝起きたら全く別のところにいた。
 そんなことはありえると思う?』
『ありえませんよ。運び出さない限り、最後に目を閉じたところから、目を覚まします。
 それが、突然、未知の場所にいたなんて考えられません』
『そう、そこなのよ。ルシファーにもそれが起こったのよ』

マリアは説明していく。
ルシファーは私たちに倒され、意識を失った。
その間にESと融合がはじまるのだが、ルシファーは自分の状態に気付かなかった。
ルシファーは世界を崩壊させると、投影していた精神は強制的に弾かれるものだと思いこんでいた。
そのため、いつもの作業部屋にいるはずと脳が勘違いしたのだ。
目覚めた瞬間、ルシファーは能力を発動させる。
いつもの風景を創造していく、いつもの日常を創造していく。
ルシファーはES内に仮想のFD空間を作り上げていったのだ。
あくまで推測だと付け加えていく。

『たぶん、ルシファーは自分の能力に気付いていないはず。
 それに、仮想FD空間にいる限り、私たちに勝てる見込みはある。
 ルシファーの能力は願うだけで結果に変えるというとんでもない能力かもしれない。
 でも、ルシファーはわざわざ入れる必要のない過程を間において、意識にブレーキをかけている』

122Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:39:53 ID:zqSEfSHM

執筆で例えるなら、思うだけで文字が浮かび上がっていくのに、わざわざ手を動かして字を書いていく。
手という媒体を省くことができるのに、当たり前だと思っていることが染み付いているため、気付かないのだ。

『FD空間にいる限り、ルシファーは自分が一般人だと思いこんでいる。
 ES内に入れば強気になって、とんでもない強さを発揮するかもしれないけど。
 それでも、ルシファーが能力に気付かないうちは対処できる』

まだ可能性はあるんですねと、クレスは安堵のため息を付く。
マリアはここで初めてミランダをこの場に外した理由を説明する。

『反応よ。彼女は神に対しての反応が普通と思えなかった。
 それに、彼女は神を妄信的に信奉しているように見えるのよ。
 宗教狂いとは行かないけど暗鬱な感情が見え隠れしていた。
 ある種神のような存在のルシファーの話は彼女に話せないと判断したまで。
 だから、ミランダには席を外させてもらったわ』
『ミランダは僕たちを治癒してくれました』
『ボーマンの件があるから、治癒してくれたから善人とは限らないわ』
『でも、根拠はありません。彼女は本当に僕たちのことを思って』

埒があかない、とマリアは言葉を借りる。兄のような存在であるクリフを思い出す。
ぶっきらぼうに話す彼が、心に描かれる。

『女の勘よ』

その言葉を最後にマリアは口を開く。

「もう、そろそろ、疲れたわね」

トンと跳ね飛ぶと、マリアは困惑するクレスを見つめるのであった。

+++

123Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:42:22 ID:zqSEfSHM

半時間以上続いた筆談を終えると、眠気が襲ってきたのか。
マリアは猫のように身体を大きく伸ばす。

「マリアさんは僕を付きっ切りで看ていてくれましたから、朝まで寝ていてください。
 僕は扉の前で見張っておきますから」
「そうね、ここは体力を温存させるためにも、睡眠が必要ね。
 朝まで君に任せるわ」
「もちろんですとも。ミランダにも寝るように伝えます」

『その前に知って欲しいの』

いきなり紙を差し出すとマリアは寂しげに佇む。
目の前の少年は自分のこと以上に仲間のことを大切にする。
だから、伝えなればならない。傷つく彼をこれ以上見たくない
クレスはキョトンとしながらも、受け渡された紙を黙読する。

『私の説が正しいのなら、私の能力アルティネイションは重要ではなくなる。
 だから、君は私のために無理をする必要はない』

そう、マリアたちの能力はFD空間に行くための能力なのだ。
マリアの説ならルシファーはES内にいるはずである。
そのため、マリアたちの能力はさほど重要ではない。

『もし、私が足手纏いになるようにことが起これば、切捨て――――』

クレスは書かれている字を最後まで読み終える前にマリアの瞳を見据える。
そして、マリアに対する答えを文字ではなく、言葉として想いを伝える。
それが、彼女に対する精一杯の誓いだから。

124Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:43:54 ID:zqSEfSHM

「―――マリアさんは僕が命に代えても守ります。
 僕は最後まで絶対にあなたを守り通します」

臆面もない言葉にマリアは赤らめた顔を逸らした。
目の前のいるクレスの瞳に濁りというものはない。ここまで純粋で真っ直ぐな人は見たことがない。
この男はよくもまあ、こんな恥ずかしい言葉をいとも簡単に吐けるのだろうか。
彼の性格上、その言葉に嘘偽りは一切ないだろう。
だからこそ、愛の告白のような誓いは胸を高鳴らしてしまうし、
そういう言葉に慣れていないせいか歯痒い気持ちで満たされる。

「マリア……」

でも、この仲間同士の殺し合いと疑心暗鬼が謳歌するこの舞台で最も信頼できる嬉しい言葉。
だから、私も何らかの形で示さなければならない。私からの友好の証をこの胸に託したい。

「えっ」
「私のことはマリアと呼んで、私も君のことクレスって呼ぶから」
「あの……いきなり何を…マリアさん」

摩訶不思議な返答にクレスは怒らせてしまったのではないかと動揺する。
が、マリアはクレスのたじろぎぶりに目もくれず、小悪魔のような笑みを浮かべる。

「うふふ、おやすみなさい、クレス」
「うえっと、おやすみ、マリアさ……マ、マリア」

『さん』付けしようとすると、マリアは軽く視線を尖らせる。
クレスは慌てて言葉を言い直すと機嫌を直したようで、マリアは軽快に扉を閉める。

「ありがとう……クレス」

ドアを締め切るとマリアは聞こえないようなか細い声でお礼の言葉を伝える。
その言葉はドアの音に掻き消され、霞のように消えていった。

+++

125Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:46:26 ID:zqSEfSHM

青髪を揺らした少女は最後にボソッと何かを言っていたようだが、ドアに阻まれ何も聞き取れなかった。
クレスは女の子の気持ちは分からないな、とため息を付く。
でも、はじめて見せる彼女の笑みは綺麗だったな、と思いながらミランダの元へと足を進めた。

居間でくつろいでいたミランダを発見するとクレスは睡眠をとるように提案する。

「そうですか。それではお言葉に甘えて。えっと……クレスさん、何か良い事ありましたか?」
「ん、どうしてだい?」
「さっきから嬉しそう笑っていらっしゃるものですから」

ミランダはにたにたと頬を緩めているクレスに何気なく尋ねてみた。

「ああ、まあね」

マリアと初めて出会った時よりも、遥かに親しくなったことにクレスは感慨深くなる。
何だろうか。彼女に溜まっていた、負の感情が吐き出されたのだろう。
彼女は確実に強くなったし、穏やかになったはずだ。まあ、厳しいところは変わらなそうだけど。

「マリア自身、僕自身、溜まっていたものを全部出したから、
 お互いに心身ともにすっきりできたんだ。
 だから、僕は嬉しいんですよ」

クレスは照れながら頭を掻いた。

「……あれ? ミランダ…顔が真っ赤だけど…どうしたんだい?」

ミランダの褐色の肌が真っ赤に染まっている。
クレスはわけも分からず、熱があるのかいと尋ねるが。

「だから、二人きりになりたかったのですね」
「半時間以上も部屋から出ないから変だと思ったんですよ」
「私が近くにいるのに、恥ずかしくないと思わないのかしら」
「思い出してみればギシギシと全体が揺れていた気も……」

ミランダは惚けたままぶつぶつと呟きながら、マリアとは別の寝室に向かっていったのだ。

「変なミランダだな…」

クレスはハテナマークを掲げ、ミランダが寝室に入るのを見届けると見張り番の任に付いたのであった。

126Your truth is my false ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:50:07 ID:zqSEfSHM
【F−1/深夜】

【クレス・アルベイン】[MP残量:40%]
[状態:右胸に刺し傷・腹部に刺し傷・背中に袈裟懸けの切り傷(いずれも塞がっています)、HPおよそ30%程度]
[装備:ポイズンチェック]
[道具:なし]
[行動方針:皆を救うためにルシファーを倒してゲームを終了させる]
[思考1:仲間を守る(特にマリアを)]
[思考2:6時まで見張り番をする]
[思考3:チェスターを説得する]
[思考4:平瀬村を捜索し、武器(出来れば剣がいい)や仲間を集める]
[思考5:チェスターが仲間を連れて帰ってきてくれるのを待つ]
[現在位置:平瀬村の民家B(表札に『中島』と書かれている民家)内]

【マリア・トレイター】[MP残量:70%]
[状態:睡眠中、右肩口裂傷・右上腕部打撲・左脇腹打撲・右腿打撲:戦闘にやや難有]
[装備:サイキックガン:エネルギー残量[100/100]@SO2]
[道具:荷物一式]
[行動方針:ルシファーを倒してゲームを終了させる]
[思考1:睡眠が終わりしだい平瀬村を捜索し、武器(出来れば剣がいい)や仲間を集める]
[思考2:ミランダは信用できない]
[思考3:チェスターが仲間を連れて帰ってきてくれるのを待つが、正直期待はしていない]
[思考4:移動しても問題なさそうな装備もしくは仲間が得られた場合は平瀬村から出て仲間を探しに行くつもり]
[現在位置:平瀬村の民家B内]
※クレスに対し、絶大な信頼をおいています。
※高い確率でブレアは偽者だと考えています
※マリアの考察
・自分たちはFD世界から観測できるエターナルスフィアではなく、
 別の平行世界の(ED空間から独立した)エターナルスフィアに存在している。
・ルシファーはエターナルスフィアそのものになった(ブレアの言葉から)。
 そのため、万物を実現する力を手に入れた
・ルシファーは本来のFD空間におらず、ES内に自分が創造した仮想のFD空間に存在している。
・ルシファーはエターナルスフィアと融合したことに気付いていない。
・ルシファーの居場所さえ特定すれば、フェイト、マリア、ソフィアの能力は重要ではないと考えています。

【ミランダ】[MP残量:10%]
[状態:睡眠中]
[装備:無し]
[道具:時限爆弾@現実、パニックパウダー@RS、荷物一式]
[行動方針:神の御心のままに]
[思考1:……不潔]
[思考2:参加者を一箇所に集め一網打尽にする]
[思考3:クレスとマリアを利用して参加者を集めたい]
[思考4:直接的な行動はなるべく控える]
[現在位置:平瀬村の民家B内]
※ミランダはクレス達を目撃してからしばらく二人をつけていました。
 途中で気付かれたものの、しばらくは移動していたので、ルシオ達の潜伏する民家Aと現在ミランダ達のいる民家Bはそれなりの距離があります。
※クレスとマリアが恋人同士だと半ば思っています。

127 ◆O4VWua9pzs:2009/02/22(日) 13:52:23 ID:zqSEfSHM
投下完了しました
色々と問題がありそうなので、指摘がありましたら教えてください

128名無しのスフィア社社員:2009/02/22(日) 14:34:42 ID:Myl6IHEQ
スレの容量が埋まりますた
過疎ってるからか誰も次スレの時期って気が付かなかったのな・・・w
スレ立て誰がいく?
あとテンプレの禁止エリアの部分は今の放送に合わせて書き換えたほうがいいかなと思うんだけど

129名無しのスフィア社社員:2009/02/22(日) 14:37:30 ID:.yfGO1Rw
代理投下のものですが、えーと、スレッドが終わってしまいました\(^o^)/
ちと所用で今から15〜20分程度席外しますので、それまでに動きがなかったら行動起こします

130名無しのスフィア社社員:2009/02/22(日) 14:39:41 ID:Myl6IHEQ
じゃあ俺立ててくる
たださるさん食らってるからテンプレは多分貼れないんで頼みます

131名無しのスフィア社社員:2009/02/22(日) 14:46:31 ID:Myl6IHEQ
立てれたしテンプレ貼れるみたいだ
ttp://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1235281316/

んでちょっと提案なんだけど、テンプレ長いと優しくないって聞くし、書き手・読み手の心得なんかは
「wikiの『テンプレ』の項目に心得が乗っていますので、よければ一読下さい」
くらいで省略しちゃっていいんじゃないかしら
あと死んだキャラの制限云々はスレのテンプレからはもう消してもいいんじゃないかなあと
wikには「今までの議論で決めたことの目安」として残せばいいと思うけど

132名無しのスフィア社社員:2009/02/22(日) 14:52:58 ID:.yfGO1Rw
今戻りました、重ね重ね申し訳ないです

その件については他の人の意見も聞いてみたいところではあるかな
今の段階だと勝手にテンプレ云々という人がいるかもしれないし
とりあえず今回はそのまま掲載させていただきます

133名無しのスフィア社社員:2009/02/22(日) 15:16:46 ID:Myl6IHEQ
了解です
またさるさんいきそうなんでテンプレおよび代理投下は任せます
そしてこっちで言っておきます、テンプレ投下ありがとうございました

134名無しのスフィア社社員:2009/02/22(日) 15:27:58 ID:.yfGO1Rw
こっちでも一応報告

テンプレ及び代理投下、何とかさるさんに邪魔されずに完了しました
こちらこそ混乱させてしまって申し訳ないです
一応前スレと現行スレでしくじったら避難スレに云々とか書いておいたので、
多分テンプレの件も気付いてくれる……と思いたいです

135名無しのスフィア社社員:2009/03/11(水) 03:43:22 ID:gzi8KfOg
うげえ、さるさんくらった・・・
ほぼ投下終わってたのにっ・・・!
っというわけでどなたかよろしければ代理投下お願いします

136To Destroy Nightmare ◆wKs3a28q6Q:2009/03/11(水) 03:43:53 ID:gzi8KfOg

「チッ……とにかくだ、無駄な時間を過ごしちまったからな」
レオンに背を向けしゃがみこむアルベル。
「乗れ。かっ飛ばすぞ」
レオンの目には、その背中がとても大きく見えた。
一方的に助けられていることへの負い目はあるが、これ以上心配をかけたくないこともあり、アルベルの要請に笑顔で答える。
「うんっ! 行こう、アルベルお兄ちゃん!」
アルベルの首に両手を回し、体重をアルベルへと預ける。
つい先程までなら体を密着させることに抵抗を覚えただろうが、今のレオンに躊躇いはない。
むしろ己の足を積極的にアルベルの腰へと絡めている。
勿論これは両者共に腕を負傷していることため振り落とされる可能性が高そうという理由からやっているのだが……
(くっ……よく考えたらコイツが女だったら女だったでこの体勢は色々とヤバイんじゃねえか?)
危険と無縁な状態のアルベルにはそんなこと関係ないわけで。
俗に言う『あててんのよ状態』にアルベルは顔を赤くし動揺してしまう。
いやまあ、当然レオンの胸は当てられるほど膨らんでいないし、股間の炎刃王もフリルまみれのスカートのおかげで感触は伝わっていないのだが。
それでも心はドッキンばくばくアルベル。
捲くれたスカートから覗く下着とめくれ上がった上着越しに見えたないしょのつぼみ――先程見てしまったその姿がなかなか頭から離れないようだ。
しかし『相手が少女であることを望んでたし、ロリコンねノックス』と彼を責めないでやってほしい。
地の文でノーマルな人間ですら何かに目覚めると明記されるほどレオンが可愛いのがいけないのだ。
とはいえ可愛いは正義なのでレオンに非があるというわけでないし、アルベルが人として『よっしゃあああッッ THE ENDォオ!!』なことには変わりないのだけど。
レオンは大変なものを盗んでいきました。アルベルの威厳です。

(くそっ、しっかりしろ俺! こっからが正念場だぞ)
くそみそ、もといクソムシと己を罵り、アルベルは正気を取り戻すべく頭を振る。
歪みのアルベルと呼ばれた頃の自分を、昔の冷酷だった自分を思い出せ。
クソガキ如きに心乱される男じゃなかっただろ、と心の中で何度も呟く。
「手、痛かった? ごめんお兄ちゃん」とレオンが耳元で囁いてきた。いやまあ、実際は身長差の関係でたまたま耳元にレオンの唇が来ていただけだけど。
赤く染まった頬が背負われたレオンから見えなかったのは幸いだろう。
仮に見てしまったとしたら、アルベルのうほエイトオーワン疑惑が復活し全体重を預けることができなくなっていたはずだ。
しっかりと抱きついていないと振り落とされる恐れがあるので、レオンのアルベルに対する(性的な面での)恐怖心がなくなったことはかなり大きい。
赤くなっているアルベルにはこのフォーメーションが悪影響に思えるが、今までも肝心な場面ではいつものアルベルに戻れていたので恐らくは問題ないだろう。

137To Destroy Nightmare ◆wKs3a28q6Q:2009/03/11(水) 03:45:56 ID:gzi8KfOg

「一回降りた方がいい?」
自分を支える腕が痛んだのではと心配するレオン。
少しでも負担を減らそうと力をこめて密着するほど逆効果だとは気付いていないようである。
「だ、大丈夫だッ! それより……」
スカート越しながら股間が密着しているので感触で性別が分かるんじゃないのか、などという品のない発想を頭から叩き出してアルベルが言う。
「今からもう掛けられるか? 一気に行くぞ」
何故かは知らないが、ここでは技を繰り出したり紋章術を使ったりするといつも以上に疲弊するらしい。
まだ一度も試していないため、レオンがどれくらいでバテるかは分からない。
故にここまでは紋章術を温存して地道に歩いてきたが、そろそろ実験を兼ねて使ってもいい頃だとアルベルは考えている。
奇襲の心配が少ないここなら安心して実験ができるし、スタミナ切れの心配がないようならこのまま突撃したっていい。
「うん、いけるよ!」
――チーム分けの後、アルベルが鎌石村へと続くこのルートを希望した一番の理由。
それが、D-04とC-05の禁止エリアの存在である。
奇襲の心配がないから全力疾走できるとは言え、この組み合わせでなければ禁止エリアを突っ切って村まで行くという作戦は取らなかっただろう。
楽に背負って移動できるレオンが、移動速度を上げる紋章術『ヘイスト』を習得していたのは僥倖だった。
レオンがヘイストを掛け、レオンを背負ったアルベルが禁止エリアを駆け抜ける。
単純な作戦だが、少しでも早く村に着くには最善の方法である。
大雑把にとはいえD-04とC-05の境界の方角に向かっているので、走り抜けなければならない距離は1エリア分にも満たないだろう。
「ヘイスト!」
レオンに初めて襲い掛かる疲労。
視線の先には、アルベルの首に回した左腕から覗く支給された腕時計。
現在の時刻さえ見ておけば、ヘイストのだいたいの持続時間が分かる。
あまりに早く効果が切れるようなら、時間のロスになるが進路の変更を検討しなくてはならない。
(いつでもまた唱えられるようにしなきゃ……万が一禁止エリアで切れても、動じずに唱えれば大丈夫だ……っ)
言い聞かせるように心の中で呟くレオン。
より一層力強くアルベルを抱きしめ、深呼吸で臨戦態勢に入る。
おそらくヘイストも唱えられてあと4回だろう。
4回目のヘイストの後、自分を回復してくれた後のレナのように自分も倒れる可能性がある。
できることなら3回以内で走り抜けたい。
「しっかり掴まってろ、振り落とされても知らねえぞクソガキ」
アルベルの頭にも、もう煩悩はない。
あるのは、生き残るために全力を尽くそうという意思のみである。
二人の命は、レオンのヘイストとアルベルの脚力に委ねられた。






やみを縫うように、アルベルは暗い森を駆け抜ける。
らんらんと輝く星空のように強い光を瞳に宿して。
なみだを拭い、もう泣かないと誓ったレオンは、必死にアルベルにしがみつく。
いろいろな人から貰った想いを胸に、自分にしか出来ないことを成す為に。
かすかな希望の光を信じて、二人の戦士が鎌石村へと駆けて行く――






【F-05/深夜】

【アルベル・ノックス】[MP残量:90%]
[状態:左手首に深い切り傷(レナに治癒の紋章術をかけてもらいました。しばらく安静にすれば完全に回復します)、
    左肩に咬み傷(レナに治癒の紋章術をかけてもらいました。しばらく安静にすれば完全に回復します)、
    左の奥歯が一本欠けている。疲労小。ヘイスト]
[装備:セイクリッドティア@SO2]
[道具:木材×2、咎人の剣“神を斬獲せし者”@VP、ゲームボーイ+ス○ースイ○ベーダー@現実世界、????×0〜1、
鉄パイプ@SO3、????(アリューゼの持ち物、確認済み)、荷物一式×7(一つのバックに纏めてます)]
[行動方針:ルシファーの野郎をぶちのめす! 方法…はこのガキ共が何とかするだろ!]
[思考1:レオンと共に鎌石村へ。次の、ないしその次の放送までに鷹野神社に戻る]
[思考2:レオンの掲示した物(結晶体*4、死んで間もない人物の結晶体*1、結晶体の起動キー)を探す]
[思考3:エルネストを探す]
[思考4:レオンキュンハァハァ…こんなに可愛いんだし女の可能性も…はっ! 俺は一体なにを]
[思考5:龍を背負った男(アシュトン)を警戒]
[現在位置:鷹野神社内部]
※木材は本体1.5m程の細い物です。耐久力は低く、負荷がかかる技などを使うと折れます。

138To Destroy Nightmare ◆wKs3a28q6Q:2009/03/11(水) 03:46:44 ID:gzi8KfOg

【レオン・D・S・ゲーステ】[MP残量:80%]
[状態:左腕にやや違和感(だいぶ慣れてきた)]
[装備:メイド服(スフレ4Pver)@SO3、幻衣ミラージュ・ローブ(ローブが血まみれの為上からメイド服を着用)]
[道具:どーじん、小型ドライバーセット、ボールペン、裏に考察の書かれた地図、????×2、荷物一式]
[行動方針:これ以上の犠牲者を防ぐ為、早急に首輪を解除。その後ルシファーを倒す]
[思考1:アルベルと共に鎌石村へ。次の、ないしその次の放送までに鷹野神社に戻る]
[思考2:結晶体*4、死んで間もない人の結晶体*1、結晶体の起動キーを探す]
[思考3:死んで間もない人の結晶体を入手したら可能な限り調査する]
[思考4:信頼できる・できそうな仲間(エルネスト優先)やルシファーのことを知っていそうな二人の男女(フェイト、マリア)を探し、協力を頼む]
[思考5:狩野であればアシュトンを説得したい]
[備考1:プリシスと首輪解析の作業をして確定した点
① 盗聴器が首輪に付随している事。
② 結晶体が首輪の機能のコントロールを行っている事
③ 首輪の持ち主が死ぬと結晶体の機能が停止する事
まだ確証がもてない考察
① 能力制限について(62話の考察)
② 死んで間もない人間の結晶体が首輪解析に使えるかどうか]
[現在位置:鷹野神社内部]

139 ◆wKs3a28q6Q:2009/03/11(水) 03:50:17 ID:gzi8KfOg
いじょうで投下を終わります
いささかネタに走りすぎたかなとも思いましたが、アルベルのアッーフラグ(?)をとりあえず戦闘に影響を及ぼさない形にしてみました
男同士の恋愛という色々デンジャラスな要素を含んでますが、個人的にギャグの範疇かなと思っています。

まずいようなら遠慮なさらず言ってください
また、修正箇所等ございましたらご指摘の方お願いいたします

140 ◆wKs3a28q6Q:2009/03/15(日) 08:55:52 ID:WjFqTkFU
また規制喰らったのでこちらに書かせて頂きます

感想およびアドバイスありがとうございました
アドバイスをもとに精進したいと思います

修正及び破棄の必要性はなさそうなので、wikiに収録させて頂きました
またその際指摘された現在地を神社内部から山頂に変更し、
さすがに時間経過が遅すぎるかなということで時間帯も深夜から黎明へと変更しました

141名無しのスフィア社社員:2009/04/01(水) 20:57:45 ID:yzYKH8YU
よし、木端書き手の俺からアドバイスだ
書いてる時は全力で自惚れとけ
投下中も「まあ合格点だな」と思って投下しとけ
そして投下後に布団の中でバタバタするんだ!
何か洒落にならない問題があったら指摘されるから、なっ!



しかしAAA,地味な新作特設ページを今日更新してるけど、あれってエイプリルフールネタなのかしら・・・





と、ここまで書いてまた規制されてることを知った
いい加減規制(いい加減にせい)って感じだわ畜生・・・

142大空の翼(続き):2009/04/19(日) 15:04:52 ID:HWDwQLAU
               エルネスト
        フェイト↓    ↓  クラース↓
          ___  ___    ___
         /⌒  ⌒/⌒(○)⌒\/⌒  ⌒\
       /( ○) /( ○)  (○ /( ○)   (○)\
      /::::⌒(_/::::⌒(__人__) /:::::::⌒(__人__)⌒:::: \
     |    ゝ'゚|    ゝ'゚    |    ゝ'゚      ≦ 三 ゚。 ゚
     \   。≧ \   。≧   \   。≧       三 ==-

                 ━━┓┃┃
       ジェットストリーム   ┃   ━━━━━━━━
                   ┃               ┃┃┃
                                     ┛


※このAAはイメージ映像ですが、概ね今の彼らの状態と一致しています。

143大空の翼(続き):2009/04/19(日) 15:06:44 ID:HWDwQLAU
説明しよう。何故彼らが3人同時にブーッをしてしまったのかを。
想像して欲しい。彼らの目の前で浮かび上がったデッキブラシから回転し、
地面に対して激しいランデブーを試みたこのドジっ子魔法少女(中身はヅラムス)が軸となるデッキブラシと接していた部分は当然尻。
その部分が上に来てしまえば、万物全てが重力の束縛から逃れられる事は適わず。
スカートが捲れ上がり、まぁ、そのなんだ? 
描写するのもおぞましいので端的に書くと魔法少女の岩石の様にゴツイヒップを覆う白地の布がフェイト達3名とファーストコンタクトを果たしたのだ。
それは正にこの世の地獄絵図。
見たくも無いのにその光景を網膜に焼き付けてしまった一行は、某ラピュタ王が『バルス!』と言われた時と同じ心境なのである。

「ぬぬぬぅ、失敗してしまった」
頭をカツラ越しに摩りながらブラムスが立ち上がった。
事前に被っていた波平のカツラのおかげで怪我をする事はなかった様である。
まさか、彼がこのカツラを初めて被る時に懸念していた『鬘が無ければ即死だった』という事態が現実の物になろうとは誰も予想してなかったのではないだろうか。
「(ドジっ子魔法少女がホウキでの飛翔に失敗。「いたたっ、失敗しちゃった」って光景は王道的な萌えシチュだと言うのに、
 中身がブラムスなだけでここまで酷いものになろうとは…)」
「(そんな事はどうでもいい。
 それよりも、お前の下らん魔法少女談義が原因でこの様な事になっているのだからどうにかしろ!)」
「(無茶を言うなっ! 実はコスプレなんてものは必要ないと告げて激昂でもさせてみろ。
 きっと奴は俺の直腸にあの手に握るイチジク浣腸の中身をぶちまけるに違いない)」
と、中年二人は囁くように口論を開始。
そんな二人を横目に見ながらフェイトがブラムスに歩み寄る。
「ちょっとブラムスさん。それを貸してくれませんか?」
ブラムスの手よりデッキブラシを譲り受けたフェイトはおもむろにそれに跨った。
「待つのだフェイト。その様な平服ではそれを使う事は…」
しかし、ブラムスの懸念とは裏腹にスムーズな浮上を遂げるフェイト。
元々バスケットの優秀選手に選ばれる程運動神経も良く、
ファイトシュミレーターでも似た様なモーションのキャラがいた事が幸いしたのか、フェイトは難なくこのデッキブラシを扱う事が出来た。
「なんと! 何故フェイトは着替えもせずに空を飛ぶことが出来るのだ?」
エルネストの魔法少女理論を鵜呑みにしているブラムスは困惑するばかり。
このままでは自分の直腸に決して入れてはならない劇物が浸入する怖れありと見たエルネストがすかさずフォローを入れる。
「そ、その、ブラムス。言い忘れていたのだが、中には衣装を変える事も無くホウキを扱える天才型魔法少女と呼ばれる存在がいるのだ。
 フェイトがまさかそれとは思わなかったなぁー」
どう考えても後付の嘘八百なのだが、その身に纏う衣装同様純真ピュアな心を持つブラムスは彼の言葉を事を信じた。
これにてエルネストは未知のレッドゾーンへチャレンジ(バブルローション直腸注入)をなんとか回避できたのであった。
「何はともあれ、これで僕が鎌石村に行く必要はなくなりましたね。
 少しでも早くソフィアにあって安心させてやりたいんです。お願いします。
 我侭を言っているのは十分承知です。
 でも、僕を観音堂の方のルートに行かせて下さい!」
飛行テストを終えたフェイトが一同に嘆願する。
「わかった。但しそっちのルートはブラムスの知り合いのレナスですら殺してしまった敵がいる可能性が高いんだ。
 だから、ブラムスと一緒に行ってくれ。戦力は高い方がいいだろう?」
(こいつ…一緒に歩きたくないからと不審者王をフェイトに押し付けたな?)
クラースが提案する中オリジンが冷やかな目でクラースを見つめた。

144大空の翼(続き):2009/04/19(日) 15:08:08 ID:HWDwQLAU
こうしてチーム分けは終了した。
クラース・エルネスト組は自転車を使いこのまま鎌石村に直行。
対してフェイト・ブラムス組は禁止エリアになる前にE−4を通過しE−5、D−5へ。
それぞれの組が目的地にてソフィア達を捜索する事となった。

出発の準備を終えた中年コンビが、まだ準備を続けているフェイト達へと振り返った。
「いいか? 無茶だけはするなよ? それと再合流ポイントは次の放送までにホテル跡近くのF−4の街道だからな。忘れるなよ」
「後ブラムス、戦闘となった場合相手は強敵だと予想される。ここはフェイトにデッキブラシを相乗りさせてもらい体力を温存しておくんだ」
サドルに跨るエルネストと、荷台に腰を掛けたクラースがチーム『魔法少女(♂)』の面々に語りかける。
「はい」「うむ」
それに対し了解を返す二人を確認すると、エルネストは力強くペダルを漕ぎ始めた。
「それでは僕達も行きましょう」
「わかった」
フェイトはデッキブラシに跨ると徐々に浮上を開始させた。
その後ろではブラムスも同様にデッキブラシに跨っている。
「ブラムスさん。柄を持っているとまたさっきみたいに頭が下になっちゃいますよ?」
「そうか…。では、我はどうしたらよいのだ?」
「僕の体に腕を回してください。そうそんな感じです。後のバランスは僕が取りますから」
「うむ」
ブラムスの頷きを得てフェイトはデッキブラシを離陸させた。
かなりの快速で夜空を駆けるフェイト達。
しかしフェイトは気付いてしまった。
読者諸氏もお気付きであろう。フェイトの体をガッチリホールドしているブラムスの体勢はそう、所謂『あててんのよ状態』なのだ。
そんな状況にフェイトは顔を真っ青にさせてげんなりしてしまう。
いやまあ、ブラムスの胸は当てられる程に膨らんではいるのだが、鋼のように硬い筋肉に覆われていて、
股間のユグドラシルもミニスカートのおかげで感触は直に伝わってきてしまう。
そんな状況だからこそ彼の心は正に萎え萎え。
捲くれたスカートから覗く下着とめくれ上がった上着越しに見えたないしょのつぼみ――先程見てしまったその姿がなかなか頭から離れないようだ。
どうやらフェイトはこの歳にして新たなトラウマを抱える事となってしまったらしい。
だから『そんなに嫌なら、降ろしちゃえばいいじゃねぇか』と彼を責めないでやってほしい。
彼の心は最早罅だらけのクリスタルハート。そんな事をブラムスに頼む気力すらないのである。
因みにこれから1、2時間後アルベルはレオン相手にフェイトと同じ様なシチュエーション(男に女装させ密着)で
ドッキリドキドキ体験をする事になるのだが、中身が違うだけでここまでリアクションが変わるものなのかと痛感する事しきりである。
当然神ならぬフェイトやアルベルがこの事実を知る由も無い。


頑張れ! フェイト!!
負けるな! フェイト!!
そっちの方角にはソフィアがいるんだから元気を出せ!

但し、こんな変態を連れているフェイトと、かっこいい王子様に守られていたソフィアが再開を果たした時に
二人の関係がどうなるかまではこのSSの作者は責任を持ちませんのであしからず。

145大空の翼(続き):2009/04/19(日) 15:09:05 ID:HWDwQLAU
【D−2/真夜中】

チーム【中年】
【エルネスト・レヴィード】[MP残量:100%]
[状態:両腕に軽い火傷(戦闘に支障無し、治療済み)]
[装備:縄(間に合わせの鞭として使用)、シウススペシャル@SO1、ダークウィップ@SO2、自転車@現実世界]
[道具:ウッドシールド@SO2、魔杖サターンアイズ、荷物一式]
[行動方針:打倒主催者]
[思考1:仲間と合流]
[思考2:炎のモンスターを警戒]
[思考3:ブラムスを取り引き相手として信用]
[思考4:鎌石村でブラムスの仲間を捜索]
[思考5:次の放送までにF−4にてチーム魔法少女(♂)と合流]

【クラース・F・レスター】[MP残量:80%]
[状態:正常]
[装備:ダイヤモンド@TOP]
[道具:薬草エキスDX@RS、荷物一式]
[行動方針:生き残る(手段は選ばない)]
[思考1:ブラムスと暫定的な同盟を結び行動]
[思考2:ゲームから脱出する方法を探す]
[思考3:脱出が無理ならゲームに勝つ]
[思考4:鎌石村でブラムスの仲間を捜索]
[思考5:次の放送までにF−4にてチーム魔法少女(♂)と合流]
[現在位置:D-2北部、街道を鎌石村に向けて北上中]

146大空の翼(続き):2009/04/19(日) 15:09:45 ID:HWDwQLAU
チーム【魔法少女(♂)】

【ブラムス】[MP残量:80%]
[状態:キュアブラムスに華麗に変身。本人はこの上なく真剣にコスプレを敢行中]
[装備:波平のヅラ@現実世界(何故か損傷一つ無い)、トライエンプレム@SO、
魔法少女コスチューム@沖木島]
[道具:バブルローション入りイチジク浣腸(ちょっと中身が漏れた)@現実世界+SO2
荷物一式×2、和式の棺桶@沖木島、袈裟@沖木島(あちこちが焼け焦げている)、仏像の仮面@沖木島]
[行動方針:自らの居城に帰る(成功率が高ければ手段は問わない)]
[思考1:敵対的な参加者は容赦なく殺す]
[思考2:直射日光下での戦闘は出来れば避ける]
[思考3:フレイ、レナスを倒した者と戦ってみたい(夜間限定)]
[思考4:フェイトと共にD−5、E−5に行きソフィア達を捜索]
[思考5:次の放送までにF−4にてチーム中年と合流]

【フェイト・ラインゴッド】[MP残量:85%]
[状態:左足火傷(戦闘にやや支障有り。ゆっくり歩く分には問題無し)、魂が抜けかかっている]
[装備:鉄パイプ-R1@SO3]
[道具:ストライクアクスの欠片@TOP?、デッキブラシ@TOP、ソフィアのメモ、首輪、荷物一式]
[行動方針:仲間と合流を目指しつつ、脱出方法を考える]
[思考1:ルシファーのいる場所とこの島を繋ぐリンクを探す]
[思考2:確証が得られるまで推論は極力口に出さない]
[思考3:ソフィアと合流したい!]
[思考4:次の放送までにF−4にてチーム中年と合流]
[現在位置:D-2東部、東西に流れる川付近]
[備考:参加者のブレアは偽物ではないかと考えています(あくまで予測)]

147 ◆yHjSlOJmms:2009/04/19(日) 15:14:18 ID:HWDwQLAU
以上で投下終了です。

寝る前に降りて来た電波「youキュアブラムス出しちゃいなyo」の言葉を再現したらこんな事に…。

それと◆Mf/../UJt6氏と◆wKs3a28q6Q氏におきましては勝手ながら両名の作品から一部文章にアレンジを加えて使わせていただきました。
気分を害されたのであれば速攻修正するんでおっしゃって下さい。

後時間表記間違えました【深夜】です。

148 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:01:49 ID:fWuyGAv6
そして初さるさん喰らいましたので、続きはこちらに投下します。


ボーマンは苛立っていた。現在彼は、とある作業中である。
(まだ腕が痺れてやがる!あんのゴリラ野郎が!)
クリフの攻撃をガードした腕が痺れているせいで作業がしにくい。その事が彼を苛立たせていた。
いや、これは些細な事に過ぎない。苛立つ最大の原因は他にある。
バーストタックルをドロップキックで防いだ後からボーマンの動きは鈍くなっていた。
クリフは「タックルで足を痛めた為」だと考えたがそれは違う。
鈍さの原因、そして現在ボーマンが苛立っている最大の原因は「バーニィシューズが壊れてしまった事」にあった。
元々バーニィシューズは戦闘用に作られたものではない。
走る時の衝撃程度は吸収出来ても、攻撃の衝撃に強い造りにはなってないのだ。
クリフのバーストタックルとボーマンのドロップキックの衝撃を受け止めて耐えられる訳がない。
しかし、ガソリンまみれのボーマンがバーストタックルの炎を防ぐ事が出来たのは、
ガソリンが全くかかっていなかったバーニィシューズを履いていたからである事も事実。
バーニィシューズを犠牲にしなければ今頃は焼け死んでいただろう。
そして意図した事ではないが「足を痛めた」とクリフに誤解させ、大きなダメージも負う事無く戦闘を乗り切れた事も考慮すれば、
使い捨てのアイテムと割り切るなら相当な効力を発揮したと言える。
だが、バーニィシューズが無くなった今「支給品を手に入れる為に役場に向かう」という作戦は変更せざるを得ない。
到底一番乗りは不可能だろうし、他の参加者と出会ったら逃げ切れる保証も無い。
ならばどうするか。答えは既に決まっていた。
(バーニィシューズを壊した責任は取ってもらわねぇとな)

先程、バーニィシューズが壊れている事に気付いたボーマンは愕然とした。
(なっ!?壊れて…これじゃ…役場に…いや…アシュトンはまだかよ!?)
そして軽くパニックを起こす。クリフが何かしゃべっているが言葉が頭に入ってこない。
(アシュトン?…来るわけねぇ。役場…じゃねぇ、こいつが先だ)
クリフの顔付きが変わり、近づいてきた。
先程は不安感からだったが、今度は焦燥感から再び後退りする。
(だがどうする?バーニィシューズが…)
パニックは治まってきたものの、バーニィシューズが壊れたショック、そして、影響は大きい。
今までクリフと互角に立ち回れていたのはバーニィシューズが有った為だと言っても過言ではないのだ。
戦うにしろ、逃げるにしろ、バーニィシューズが無ければ不利は明白。
ではどうすればいいのか?しかし、対策を考えているを考えている暇など与えてくれるはずもなく、クリフが距離を詰めて来た。
反射的にバックステップで距離を取ろうとする。が、すぐに食らいつかれる。
(くッ、足が重てぇ)
実際には足が動かない訳ではない。
バーニィシューズのスピードに慣れすぎていたボーマンには自分本来のフットワークが遅く感じられているだけの事。
つまりただの錯覚なのだ。しかし、錯覚とはいえ動きにくい事に変わりは無い。
「遅えよ!」
そう言ってクリフが攻撃を仕掛けてきた。
何とかバックステップで避けるが、やはり足が重く動きにくい。そして、全くクリフとの距離を離せない。
クリフが追いながらパンチの連打を繰り出してきた。
何とか下がりながら避けるが、ボーマンが下がるよりもクリフの踏み込みの方が速く、徐々に近づかれている。
顔面への攻撃に目が慣れてきたボーマンに、クリフの足払いが引っかかる。バランスを崩したところに追い討ちを掛けられた。
(くそっ避けきれねぇか!)
ついには、やむを得ずガードする事となった。
先程の接近戦で分かっていた事だがクリフのパワーはガードした腕を痺れさせるのだ。
それを計算ずくなのか、ガードの上からでもお構い無しに攻撃は続いた。
エンプレシアとミスリルガーターがぶつかり合い、重い衝撃がボーマンの腕に伝わる。
動きが重い今ではフットワークを使って衝撃を流す事も難しく、
クリフの常人離れしたパワーと、サイズの合わないエンプレシアがますます腕を痺れさせる。

149 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:02:39 ID:fWuyGAv6
(やべぇ…腕が…)
もう何発かガードしていたら腕が持たなかっただろう、という時、クリフのローキックが繰り出された。
反射的にジャンプして避ける。その瞬間、クリフがバランスを崩し、一瞬の隙が生まれていた。
クリフの隙に反応して、ローキックを避けたジャンプから跳び蹴りを放つ。
蹴りはクリフの顔面にクリーンヒットし、クリフが仰け反った。
(チャンス!)
「おぉぉぉっ!!」
両拳のラッシュを仕掛ける。だが腕の痺れが影響し、拳に100%の力を乗せる事が出来ていない。
(くそっ、この馬鹿力が…)
拳では駄目だと判断し、ドロップキックを決めてクリフを吹っ飛ばした。
追撃するチャンスではあったが、先程『桜花連撃』を決めたシーンがフラッシュバックし、それを思い留まらせる。
クリフは桜花連撃をまともに食らっておきながらも、あれだけ高い跳躍から恐ろしい破壊力の急降下で反撃してきたタフネスだ。
腕に力が入らない今、それだけのタフネスを仕留めきれるとは思えない。
そう判断したボーマンは「距離を取る事」を選択した。距離を取ってまずは腕を回復させたい。そしてもう一つ…
ボーマンはクリフが蹴り倒した樹の場所まで走るとボーマン、倒れた樹、そしてクリフが一直線上になるよう位置取りをし
『旋風掌!』
倒れた樹に向かい旋風掌を撃ち込んだ。
旋風掌は樹に生えている木の葉を大量に巻き込み、軌道上にいるクリフに襲い掛かる。
「……!」
クリフが何か叫んでいたようだが、その声は竜巻に阻まれボーマンには届かなかった。
旋風掌がクリフを飲み込んだ事を確認すると、ボーマンはクリフとは反対方向に全力で逃走した。

100メートル程は走っただろうか。
ようやくクリフから離れる事が出来たボーマンだが、それだけでは事態は何一つ好転しない。
(バーニィシューズが壊れるってのは…ちっ最悪だぜ。これじゃ役場には行けねぇ)
役場での支給品入手はもう望めない。
(…アシュトンの方はもう終わったか?)
アシュトンのところに戻れば戦利品を分けてもらえるだろうか?
合流した時はアイテムの交換を拒否されたが、新たに入手したアイテムならばアシュトンも分けないとは言えないだろう。
(…いや、そういや金髪が「仲間を待たせてる」だとかヌカしてやがったな)
だが、きっとボーマンを見失ったクリフは仲間の所へ戻ろうとする。
同じ目的地に向かうとなると、バーニィシューズが壊れた今ではクリフに追いつかれる可能性も充分に有る。
逆に、クリフが戻るところを尾行する事も考えたが、その場合でも気付かれればやはり戦闘になる。
決定打もバーニィシューズも無い状態では、再び戦闘になった場合はこちらの圧倒的不利は明白。
(ここはやっぱ手持ちのカードで何とかするしかねぇな)
ボーマンは足を止めるとデイバッグからフェイトアーマーのカツラ部分と調合セットを取り出す。
(カツラも着けると徐々に体力が回復する、ねぇ。あまり時間は無いが…腕の痺れぐらい取れんだろ)
そう期待をしてカツラを装着する。
アシュトン達にフェイトアーマーの存在を知られたくなかったから装備していなかったが、今なら問題ない。
(アルテミスリーフが約2/3か…殆ど気休めにしかならんが無いよりマシだな)
これで調合用の薬草は底をついてしまうが仕方ない。
普段だったらニーネが、非常時に備えてボーマンの白衣に薬草をいくつか入れておいてくれるのだが
その薬草はこの島には持ち込めなかったようだ。
「ニーネ…エリス…」
つい妻と娘の事を考えたが、いや、とボーマンは頭を振る。
感傷に浸るのは全てが終わってからで良い。今は作業に集中しなくては。

150 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:03:13 ID:fWuyGAv6
残り2/3しかないアルテミスリーフを更に半分にちぎり、調合作業を開始する。
元々量が少ないので普段よりも時間は掛からない。すぐにフェアリィグラスが完成した。
(次はと…今なら邪魔なチェスターはいねえ。ようやく破砕弾を作れるぜ)
そう、ボーマンが今まで破砕弾を作れなかった理由はチェスターにあった。
アシュトン、チェスターと合流してからここまで、破砕弾を作る時間的余裕ならいくらでも有ったのだが、
チェスターに破砕弾を作るところ、または使うところを見られては、
チェスターに「仲間が爆死したのはボーマンの丸薬のせいだ」と気付かれてしまうかもしれない。そんな危険は冒せなかった。
だが今ならば何も障害はない。ボーマンは早速破砕弾の製作に取り掛かる。
そして、この破砕弾を使用する予定の相手を思い浮かべた。
(今度は俺が奴を追いかける番ってか)
これで決定打が手に入る。そう、距離を取ったもう1つの理由は「決定打」を手に入れる事にあった。
後は仲間の元に戻るクリフを尾行し、アシュトン達と供に奴を殺すか、その前に直接破砕弾で殺すか…どちらでも良い。
どちらにせよクリフを殺し、奴のアイテムを奪い取ってやるのだ。
(バーニィシューズを壊した責任は取ってもらわねぇとな)


ボーマンを見失ったクリフは焦燥感に駆られていた。
(やべえ逃がした…ミラージュ…急がねぇと)
木の葉での目隠し、などという手を使われたとはいえ、むざむざボーマンを逃がしてしまった。
このまま役場に向かわれたならばミラージュが危ない。
焦ったクリフは痛むあばらを押さえ、とにかくボーマンを追おうと走り出した。が、すぐに首輪から警告音が鳴り始めた。

『禁止エリアに抵触しています。首輪爆破まで後30秒』

「っと」(30秒?)
再び禁止エリアに入ってしまった。
竜巻の中にしばらく居たせいで方向感覚が麻痺していたようだ。
後退して禁止エリアを出ると、デイバッグから地図とコンパスを取り出して方向を確かめる。
どうやら完全に方向を間違えてたらしい。今このC―5が禁止エリアでは無かったならば、クリフは真っ直ぐC―6に向かっていた。
(さっきは確か20秒だったが…めんどくせえもん作りやがって、ルシファーの野郎!
…まあいい、何秒だか知らねえが要は警告なったらエリア出りゃ良いんだろ。むしろ現在地の確認になるじゃねえか)
地図を見て、辺りに目印になる様なものは無さそうだ、と判断したクリフは
禁止エリアに入った時の警告をナビ代わりに利用すれば良いと考えた。
いちいちコンパスを見ながら走るよりはよっぽど速く移動出来るだろう。
地図とコンパスをしまうと忌々しそうに目の前の禁止エリアを一瞥し、移動しようとした。その時、
(…何だ?ありゃあ?)
禁止エリア内に落ちている何かがクリフの視界に入った。
何かの塊の様な物が落ちている。あの辺りはさっきクリフとボーマンが戦っていた場所だ。
自身は何か落とした覚えはない。とすればボーマンのだろうか?あるいは別の誰かの物か。
急ぎたい気持ちは有ったが、それが気になったクリフは首輪の警告は無視して塊を拾いに行った。
(…こいつは…どこかで…)
確かにどこかで見た覚えがある。
D−5に戻ってそれを確認すると、ピンク色の毛皮のような物だった。
(これは…そうだ、バーニィに似て…バーニィ!?)
ふと、ボーマンのボロボロの足を連想して、
「バーニィシューズか!?…そういうことかよ!」
1つの答えに辿り着く。

151 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:04:48 ID:fWuyGAv6
クリフの知っている物とは形状が異なるが、確かにソレはバーニィシューズの破片だった。
(野郎の動きが鈍ったのはバーニィシューズが壊れただけだったってか。…くそったれが!)
つまりボーマンの足にはダメージなんて無いのだ。
冷静に観察していればボーマンにダメージを負ったような素振が無い事に気付いただろう。
だが、目先の「勝機」に目が眩み、判断力が鈍っていたのかもしれない。
その判断ミスのせいでクリフは無駄なダメージを負い、ボーマンを取り逃がす事になってしまった。
「情け…ねえ……だが」
自らの判断ミスを悔やむと、バーニィシューズの欠片を握りつぶし禁止エリア内に放り投げた。
(バーニィシューズはぶっ壊したんだ。それなら奴が役場に着く前に追い…いや、まてよ…野郎はそもそも何が狙いだ?)
そして、謎が1つ解けた事に刺激され、ようやくクリフは現状を冷静に考え始める。
デイバッグからペットボトルを取り出した。うがいをし、水を吐き出す。
吐き出した水には大量の砂と血が混じっていた。
(あの状況で役場に行く?なわけねえだろ。行ってどうする?)
ほぼ互角の戦闘状態からの突然の逃亡。
慌てたクリフはミラージュの身を案じて追いかけた訳だが、そもそものボーマンの目的は何なのか?
少なくとも、役場方面に逃走したからと言って役場に行くとは限らない。むしろ、行く理由など無いはずだ。
(なら…ミラージュがあの野郎に襲われる心配なんかまず無い…か?)
確かに普通に考えればミラージュがボーマンに襲われる可能性は少ない、いや、皆無に等しいだろう。
実際にはボーマンは役場に向かっていたのだが、第3回放送を聞いていないクリフに、ボーマンが役場を目指す理由は考え付かない。
(考えられるとしたら…奴の有利な場所に俺を誘い込む…これか?
いや、あれは誘ってるような走り方じゃねぇ。明らかに振り切る走り方だった…ちっ、分からねえ)
考えてもボーマンの狙いなど分かりそうもない。クリフは頭を掻きむしると一つ舌打ちをし、余計な事を考えるのを止めた。
(…まあ、野郎の目的なんざどうでもいい。今はミラージュを護りに行く。野郎を見つけたらぶちのめす。それだけだ)
ボーマンが役場に行く可能性などは無いはずだが、他の参加者ならば、いつ、どんな理由で役場に行くか分からない。
ならば、自分のやる事はやはりミラージュを護りに行く事。そう結論付けた。
そして「最悪ボーマンを逃がしてもミラージュに危険は無い」という結論はクリフの心を幾分か楽にさせ、余裕を持たせた。
クリフはもう1度うがいをする。口の中の砂は気にならない程度には落とせた。ペットボトルをしまい、辺りを見渡す。
(野郎が戻ってこないとは限らねぇ。一応不意打ちは警戒しとかないとな)
クリフは辺りを警戒しながら、役場を目指して慎重に移動を始めた。


近づいてくる足音を聞き、まだ破砕弾を作り終えていないボーマンは少し焦った。
(あいつ、こっち来んのか!?仲間待たせてんじゃねぇのかよ?
…どうあっても俺を倒すってのか。チッ、まだ途中だってのに…しょうがねぇな)
足音はボーマンより東南側を、ほぼ西に向かって移動しているようだ。
つまり真っ直ぐボーマンに向かってきている訳では無いのだが、のんびりと作業している訳にもいかなくなった。
ボーマンは急ピッチで締めの作業に入る。
通常よりもサイズが小さくなってしまい殺傷能力に不安が残るが、この際贅沢は言ってられない。
(後は丸めてっと…何とか出来たな。…服も脱いどきたかったが…)
ガソリンまみれの服を着ていると破砕弾の飛び火に対してやや不安が残るし、
同じ理由から、自分の技の1つで炎の闘気を使用する「朱雀双爪撃」が撃てない。
それ故、出来れば脱いでおきたかったが、足音の持ち主、つまりクリフの姿が見え始めた。どうやらそんな暇は無いようだ。
ボーマンは広げた荷物を音を立ててデイバッグに突っ込んだ。足音が止まる。ボーマンの気配に気付いたようだ。

「てめえ、居やがんのか?出てきやがれ!」

クリフの怒号が聞こえる。ボーマンの姿まではまだ確認出来てないようだ。
(ああ、出て行ってやろうじゃねぇか!)
ボーマンはフェアリィグラスを飲み干した。

152 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:05:24 ID:fWuyGAv6
ボーマンからの不意打ちを警戒して、念の為に禁止エリアからやや離れて移動していたクリフだったが
ガサガサと何かの音がしたのを聞き取り、立ち止まって警戒心を音のした方向に向けた。何か居る。
(…まさか猫や犬とかいうオチじゃねえだろうな?)
そう言えばクリフはこの島で野生生物の姿を一度も見ていない。哺乳類や爬虫類ならまだしも、鳥や昆虫すら見ていない。
おそらくは、この島がエターナルスフィア内に「この殺し合いの為だけに作られたフィールド」だから
余計な物は存在しないという事なのだろうか。(クリフが見てない、または気付いてないだけかもしれないが)
だとしたら、やはりこの気配は人のものだ。
「てめえ、居やがるのか?出てきやがれ!」
声をかけるが返事は無い。
だが、返事の代わりだろうか、再び同じ方向から何かの音が聞こえた。いや、音だけではない。暗闇に動く影が2つ程見えた。
(……誰だ?)
クリフに若干の迷いが生じる。ボーマンなら1人のはずだが、今見えたのは2つの影だ。
見間違いか、ボーマンに龍の男とは別の仲間が居たのか、それとも全く別の参加者か、
考えを巡らせていると、影の1つが飛び出してきた。それはやはりボーマン。ただ、何故か髪が青くなっている。
「なんだぁ?急いでたと思ったらイメチェンしてたのかよ。青髪の野郎は腹黒いって相場は決まってるんだぜ?」
クリフは悪態をつくが、ボーマンは何も答えないで真っ直ぐクリフに向かってくる。
(シカトしやがって。…いや、こいつ…?)
クリフは違和感を覚えた。ついさっきまでは逃げ回っていたボーマンがただ向かってくる、と言うのはどう考えても不自然だ。
何か狙いが有る、それは分かる。だがその狙いは何なのか?今見えた影、または青くなった髪に関係あるのだろうか?
クリフは影が見えた場所に視線を移したが、そこにはもう何も見えない。
(何だか分からんが…)
ボーマンは全く速度を落とすこと無く突っ込んでくる。もう考えている余裕は無い。
ボーマンが走り込むそのままの勢いで右腕を振り下ろしてきた。
(…チッ、しゃあねぇな)
狙いが分からないが、仕方なくボーマンの攻撃を左手で受け流し、右拳でガラ空きの顔面を殴り抜ける。
完璧に入った、と思った瞬間、パン、と軽い手応えをクリフの拳に残してボーマンは消滅した。
「あん!?」
その時クリフの背後から1つの影が迫る。分身に気を取られていたクリフは気配に気付くのが一瞬遅れた。
(後ろか!)
ボーマンがクリフの脇腹目掛けてスピードの乗ったサイドキックを放っていた。
クリフは振り向かずに身体を捻って回避しようとするが、ワンテンポ遅い。
キックがクリフの脇腹を掠め、折れたあばらから更に激痛が走った。
クリフは痛みを堪え、身体を捻った勢いで回し蹴りを放ったが、空を切る。ボーマンは暗闇に走り去っていた。

153 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:05:57 ID:fWuyGAv6
(…そういう作戦かよ…)
仕組みは分からないがボーマンは分身を作り出す事が出来るようだ。
暗闇に乗じて本体と分身で攻撃を仕掛けてくる。しかも、気配を感じてもそれが本物か分身かは分からない。
(暗闇と分身、2つの隠れ蓑に紛れてのヒットアンドアウェイか。なかなか厄介…っと、また来やがった!)
再びボーマン、いやボーマン達が姿を現し向かってくる。今度は1人が前、少し遅れて2人が続いている。
(今度は3人かよ!…1つ確かめてみるか)
クリフはデイバッグからまだ水の残っているペットボトルを取り出すと、先頭のボーマン目掛けて思い切り投げつけた。
ペットボトルは回転しながらボーマンの顔面目掛けて飛んでいくが、そのボーマンは全く避けようとせず、そのまま命中した。
ペットボトルは弾かれて地面に落ち、ボーマンは何のリアクションも無く突進してくる。
(…つまりこの分身は幻や残像って訳じゃねえ…闘気が形作ってるってとこか?)
先頭のボーマンがパンチを放つ。クリフはそれを全力を込めてガードした。腕に衝撃が走る。だが、
(…本物の攻撃よりは軽いな)
拍子抜け、とまでは行かないが分身の攻撃力は高くないようだ。
今の分身は走り去りながら消滅していく。分身発生から消滅までは7〜10秒といったところか。
しかし落ち着いて分析している暇は無い。入れ替わるように後ろの2体が迫り来る。
(だったらこう言うのはどうだ?)
クリフは地面を蹴り、ボーマン達に向かって振り抜いた。抉り取られた土が細かく拡散してボーマン達に降り掛かる。
至極単純な目潰しだ。しかし、どちらもノーリアクション。突進は止まらなかった。
「全部偽者かよ!」
(なら奴は……そういう事か!)
2体のボーマンが浴びせ蹴りを放ってきたが分身と分かっていれば問題は無い。攻撃力が高くないのは確認済みだ。
クリフはそれぞれを片手1本ずつで受け流した。やはり軽い。
(…てめぇが姑息な野郎だってのは…)
クリフはすかさず自分の上空を確認、そして蹴りを突き上げる。そこにはもう1人のボーマンが飛びかかってきていた。
「分かってんだよぉ!」
2人の視線と殺気がぶつかり合った。
ボーマンの拳とクリフの蹴りが衝撃音を作り出す。どちらの攻撃も完全に相殺された。


ボーマンは落下の勢いを利用して地面を転がり、そのまま前方に跳躍して距離を離し、闇に溶け込んだ。
クリフを視認するが、今の反撃の体勢の悪さが影響して追いかけてこれなかったようだ。
(っつぅ!野郎…もう死方陣に対応して来やがるか…やってくれるぜ)
死方陣は、最大3体の分身を闘気により作り出し攻撃する技だ。
攻撃力も持続力も高くはないのだが、分身は作り出した時のボーマンと寸分違わず同じ姿をしていて幻惑効果が極めて高い。
その死方陣がこうも早く対応された事は今までの経験上、記憶に無かった。
いずれ対応されるとしても、もっと先だと考えていたのだがまさか2回目とは。
(…ま、それはそれで構わねぇけどな!『死方陣!』)
だがボーマンは、三度死方陣を繰り出した。この技は1度対応されただけで死ぬ技ではない。
むしろその対応を糧にして新たな駆け引きを生み出せる。
ボーマンは、クリフとの戦いはもうまともに接近戦はしない事に決めていた。
認めたくは無いが接近戦はクリフの方が有利だ。バーニィシューズが無くてもスピードならボーマンに分があるが、
クリフ程の実力者ならばすぐに対応してくるだろう。接近戦ではいずれ敗北するのは明白だ。
だったらわざわざ相手の土俵に立つ事は無い。ボーマンには接近戦以外でも戦う手段があるのだから。
クリフを倒すには撹乱してのヒットアンドアウェイで弱点を突くのがベストだろう。その為には死方陣は最適な技だった。

ボーマンは今度は4体になり、正面から前列に2体、後列に2体でクリフに突進する。
(対応出来るもんならしてみやがれ!)

154 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:06:43 ID:fWuyGAv6
(4体…どうやら分身は3体までか?もっと出せるならさっきやってんだろうしな)
3度目の分身が迫り来る。辺りの気配を探るが、他に気配は感じられない。おそらく今回は本体もこの中に居る。
ならば、とクリフは再び地面を抉り、土を飛ばした。本体が居るならこれで特定出来るはずだ。
だが、それに反応するかのように前列の分身2体が高く跳躍し、後列の分身2体は顔をガードして突っ込んできた。
(そんな事も出来んのかよ!…全く良い技だ。神宮流にも取り入れたいぜ!)
これにはクリフも意表を突かれたが、すぐに体勢を整え、構え直した。
(だが…今のに対応したって事はやはりこの中に本体が居るって事だな)
そう判断すると、クリフはボーマン達を迎え撃つ事を選択した。
この分身技は避けるだけならば比較的容易かもしれない。だが、本体がこの中に居ると言う推測が正しいのなら、
そしてもし空中に跳んだ2体のどちらかが本体ならば、これはボーマンに反撃するチャンスでもあるのだ。
先にクリフまで到達したのは地上に居る2体。跳躍した2体が降りて来るまでにはまだ余裕がある。まずは地上の2体を対処する。
(とりあえず殴り飛ばす訳にはいかねえか)
本体が跳躍した側に居た場合、突進してきた分身に攻撃してしまっては、わざわざ自身の隙を晒けだす事になる。
逆に地上に居る場合、完全な二択となる訳だが、正解を引き当てたところで間違いなく回避なりガードなりしてくるだろう。
つまり本体がどちらに居るとしても、クリーンヒットは望めない。
そう考え、クリフは地上の2体の攻撃はまずガードを固めて凌ぐ事にする。
クリフは少し身体をずらし、2体の攻撃を大体同じ角度から来るように位置を調節した。
ボーマン達が同時に襲い掛かってくる。
片方が左ストレート、もう片方はステップインからのサイドキックを放ってきたが、
クリフは両手を少し動かす事で、両方の攻撃を完璧にガードしきった。
ガードしたミスリルガーターから衝撃音が2度発生した。先程と同じく、軽い衝撃音だ。
(軽い…上か!)
跳躍していた2体は既に攻撃態勢に入っている。
(上から来るなら何体居ようと問題ねえ!)
だがクリフには反撃に転じれる対空技がある。クリフは自分の顔の前で両手を交差させ、ボーマン達の真ん中に狙いを定めた。

「痺れちまいな!『マイト・ディスチャージ!』」

クリフの頭上に巨大な球体の闘気の塊が発現し、爆発した。


地上の分身がガードされた後、ボーマンはクリフが両手を交差させたのを見て、そのまま防御に徹するのかと考えた。
(だったら遠慮無く…って、何かやべぇ!)
だがクリフから伝わってくる闘気はとても防御の為とは思えない。確実に何かしてくる。ボーマンは咄嗟に身体を小さくした。
「痺れちまいな!『マイト・ディスチャージ!』」
クリフの頭上に巨大な球体の闘気の塊が発現し、爆発する。跳躍していた2体のボーマンはとても避ける事が出来ない。
成す術無く爆発に飲み込まれた。そして―――2体共消滅した。

155 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:07:22 ID:fWuyGAv6
(対空技か!脅かしやがって!)
その瞬間、クリフの胸部から骨の粉砕される鈍い音が数回鳴り響いた。
「うぐぁっ!?……て…め…」
クリフの身体が「く」の字に折れ曲がる。更に骨の折れた激痛は流石に堪えきれなかったようだ。
「へっ、蹴りが軽いからって分身とは限らねぇだろ?痺れるのはてめぇの方だったな!」
(顔面が良い位置に来てるじゃねえか!)
言い終わると同時にボーマンは更に強打を叩き込み、クリフを殴り飛ばした。
ボーマンは「後列の2体の内の一方」に居た。わざと分身程度に力を落とした攻撃をガードさせる事で
自信を分身だとクリフに誤解させ、クリフが「跳躍している2体」に気を取られている隙を攻撃したのだ。
マイト・ディスチャージを撃たれた時はどのような技を撃ち出されるか分からなかったので、
地上に居る自分も巻き込まれる事を警戒して回避行動を取ったが、結果的にはそれは無用な心配であった。
(確実に肋骨の数本を粉砕したが…)
吹っ飛んだクリフの様子を伺う。立ち上がろうとしているが、口からは血を吐き出し、身体は痙攣を起こしているようだ。
見るからにダメージは大きい。
「頃合だな」
後はガソリンまみれの白衣をクリフに被せ、破砕弾をぶち当てれば終わりだ。
おそらくは破砕弾だけでも充分殺せるとは思っているが、念には念を入れておくに越した事はない。
ボーマンはデイバッグから白衣を取り出し、洗濯物を干す時のようにパンッ、と広げ、
「最後だ!『死方陣!』」
そして死方陣を発動した。ボーマン達がクリフを中心とした正方形を作る。相手を逃がさない為の陣形ならばこれがベストだ。
クリフはどうにか立ち上がっていたが、ボーマン達を睨みつけると、体力の限界のせいかフラついて屈みこんだ。
口元が動いていたが声は聞こえなかった。いや、そもそも声も出せていないのかもしれない。
(恨むんじゃねぇぞ…ってのは無理な相談か。まあいい、止めだ!)
ボーマンは一気に正方形の陣形を縮小させる。
最初の分身が襲いかかるのと同時に、ボーマンは白衣をクリフの頭上から被せた。

「イチ」

クリフが何かを呟いたのが聞こえた。
言葉の意味を考える間もなく、まだ手から離してない白衣が風圧に持ち上げられ、屈み込んでいたクリフの姿が消えた。
(何!?)
被せようとしていた白衣のせいではっきりとは見えなかったが、クリフは跳躍したようだった。分身の攻撃も当たっていない。
ボーマンは反射的に上空を見上げた。やはりクリフが高く跳躍している。
(さっきの急降下か?悪あが――)
ボーマンの目が、クリフの方向から落下してくる黒い何かを捉えた。
その瞬間、ボーマンは爆音と閃光に包まれ、全ての感覚が吹っ飛んだ。

156 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:09:24 ID:fWuyGAv6
(全くよ…気付いてみりゃあこんな簡単な事だったとはな)
ボーマンが分身したのを確認して、クリフはピンを抜いて屈みこんだ。
「4」
ボーマンの分身は確かに見ただけでは判別不能だ。
クリフも最初は見分ける事しか考えていなかったが、そもそもそれが誤りだった。
重要な事は「どのボーマンが本物か」ではなく「ボーマンは何処に向かうか」だったのだ。
「3」
分身は発現してから10秒程度で消える事は先程確認してある。そして、当然ボーマン達が向かう場所はクリフの所だ。
つまり、ボーマンは分身したら「10秒以内に」「クリフのところへ」必ず向かってくる。
その事に気付けば対処は全く難しくはない。
「2」
ボーマン達が4体同時にクリフに向かって突進してきた。何故か白衣を広げているが、どうでも良い。
(走って逃げる奴には使えねえがな、走って来る奴には立派に使っていけるんだぜ)
「1」
タイミングはこれ以上無いくらいに良い。
クリフは全力を込めて跳躍し、持っていた缶を手から放した。クリフの居た場所に4人のボーマンが集まってきている。
1人、白衣を広げていたボーマンがクリフを見上げたが、星空を見上げて跳躍していたクリフの視界には入らない。
(なかなか良い月だ。クラウストロのには劣るが悪くねえ。俺の審美眼に認められるってのは自信持っていいぜ、お月さんよ)
だが、ボーマンが上を見上げるのはクリフの予想通り。見なくても分かっていた。
クリフの下方で閃光が発し、爆音が辺りを包んだ。クリフの投げた閃光手榴弾が作動したのだ。
(やれやれ、やかましい合図だぜ。…だが、ジャンプに釣られて俺を見上げたてめえは、まともに喰らっちまっただろ?)
閃光手榴弾の爆発に巻き込まれた者は視覚、聴覚を奪われ、爆音によるショックで身体が数秒間硬直する。
基本的に殺傷能力は無いが、遥か昔の閃光手榴弾であれば、爆心地の側に居る者が軽度の火傷を負う程度には攻撃力が有った。
そして、クリフの使った閃光手榴弾はどう考えても20世紀の骨董品とも言える代物だった。
無論、投げたクリフ本人は両手で耳を塞いでいたが、それでも爆音は手を突き抜けて、聴覚を軽く麻痺させた。
だがそれでも大した問題は無い。後は一撃を叩き込んでケリをつけるだけなのだから。
光が治まった事を確認するとクリフは地上を見下ろした。
直視していないとは言え、閃光に包まれたクリフの目は明順応を起こしている。
月明かり程度の光源では、数メートル下の暗闇の中は全く見えないはずだが、見下ろす先には4人のボーマンの姿が朧気に見えた。
その内の1人が立ち尽くしたまま何故か燃えている。その炎により姿が浮かび上がっているようだ。

『エリアル・レイド!!』

クリフはエリアル・レイドを放った。狙いは燃えているボーマンより若干離れた位置。
まるで獲物を狙う猛禽類のような勢いで急降下し、一瞬で地面に到達する。
地面に到達した瞬間、衝撃音と共にクリフの足元から破壊エネルギーの衝撃波が発生し、ボーマン達に襲い掛かった。
ボーマン達が一体ずつ掻き消されていく。最後に残ったのは立ち尽くしたまま燃えているボーマンだ。
ショック状態が覚めていないボーマンは身を護る事も避ける事も出来ない。
そもそも攻撃されている事にも自分が燃えている事にも気付いていないだろう。
衝撃波に巻き込まれ、ボーマンは炎に焼かれながら数メートル上空に吹っ飛ばされた。
物理法則に従って頭から落下を始め、受け身を取る事すらも許されず
『ゴシャアッ!』と奇妙な音を立てて地面に激突し、そして崩れ落ちた。

157 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:09:56 ID:fWuyGAv6
(…どうだ?)
しばらく様子を伺うが、ボーマンが立ち上がる気配は無い。クリフは荒い呼吸をしながら、地面に片膝をついて座り込んだ。
(…はぁ…はぁ…やっぱ動けねえ……野郎、くたばったんだろうな?)
肉体的にも精神的にも限界だったクリフは、エリアル・レイドを撃てばしばらく動けなくなるとは予想していた。
ボーマンに直にエリアル・レイドを当てなかったのも、動けなくなった自分に貰い火するのを警戒しての事だ。
だがクリーンヒットしたとはいえ、衝撃波だけでは蹴り部分よりも攻撃力は落ちる。
おまけに、もし石畳やコンクリートの地面に落下したのならボーマンは即死だったであろうが、ここの地面は土である。
仕留め切れたかどうか今一自信が無かった。
もう1度ボーマンの様子を伺うが、動く気配は無い。死んでいるのか気を失っているだけなのかは分からないが、
「まだショック状態なだけ」と言う事は無いだろう。
何にせよ炎を消さない限りはボーマンは助かりようもない。そして、クリフに炎を消す気は全く無い。
クリフは勝利を確信し、とりあえず安堵する。

「へっ、手こずらせやがって…しかし俺も良い様だぜ。こんなんじゃミラージュのとこ行っても、足手まといにしかならねえ…」
とにかくボーマンは倒した。
後は役場に向かいミラージュを助けに行くだけなのだが、今の戦闘でクェーサー戦の傷がことごとく開いてしまっている。
クェーサー戦の時の疲労よりはマシではあるが、精神力も使い果たし、歩くのがやっとの状態だ。
どうしたものかと考えた時、ボーマンが持っているデイバッグがクリフの目に留まった。
(…こいつ回復アイテムは持ってねえのか?デイバッグは…まだ燃えてねえな)
クリフはボーマンの持ち物に対して淡い期待を抱き、デイバッグを回収しようと彼に近づいた。
炎に焼かれていて死んだ振りも無いだろうが、念の為にボーマンへの警戒は怠らない。
だが、やはりボーマンはピクリとも動かない。燃えている為に呼吸を確かめる事も出来ないので、
生きているかどうかまでは確認出来ないが、動く事は不可能だろう。
それならば、これ以上火力が強くなる前にデイバッグを回収しようと、クリフはボーマンのデイバッグに手を伸ばした。


凄まじい閃光と爆音、そして続けて鳴り響いた衝撃音に導かれて、レザードはその場所に到着した。
2人の人間が居る。1人は倒れていて燃えている。誰かは分からない。
もう1人は顔はよく見えないが、体格や格好からクリフだと判別出来た。
クリフはまだレザードの存在に気付いていない。
(クリフ?生きていたか。…ヴァルキュリアが戻るまでの間とはいえ、あの金龍から生き残るとはなかなかやる。
…と、言いたいところだが、彼が生きているという事はおそらくソフィアも生きているか…)
レザードは倒されている男を見る。
(どうやらクリフは金龍とは別の参加者に襲われたようだが…
クリフがヴァルキュリア達と別行動を取る理由は無いはず。にも拘らず今クリフが1人で戦っていたという事は、
敵は複数でやってきてヴァルキュリアとクリフが分散して戦う事となった、といったところか。
すると、ヴァルキュリアは現在も戦闘中である可能性が有るな…)
ソフィアが生きているであろう事。レナスが今も戦闘中であろう事。
この2つの推測から、レザードの胸中にある不安が広がる。
その不安は1つの目的を発生させ、レザードは瞬時に推測に基づいた計画を立てた。
(まずは確認の為、クリフに話を聞いておく必要がある。
最悪の展開を考えれば、倒されている男はとりあえず生きている方が好ましいが…)
クリフが男に近づいていく。止めを刺す気だろうか?今はそれを止めさせなくてはならない。
レザードは呪文を発動する準備を行う。かつてミッドガルドでメルティーナを殺害した呪文だ。
レザードはクリフが燃えている男に手を伸ばしかけたところで声を掛けた。

158 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:10:37 ID:fWuyGAv6
「クリフ、ご無事でしたか」

後ろから声を掛けられた。まだ耳鳴りが残っている為に少し声が遠いが、聞き取る事は出来る。聞き覚えのある声だ。
クリフが振り向くとレザードが微笑みながら、左手をクリフの方向に向けて立っていた。
「レザード!?てめえ、さっきはよくも…って、おい!?」
レザードの左手に紋章力のようなエネルギーが集まっている。
クリフがまさか、と思った瞬間、レザードの左手から光線が撃ち出された。
クリフは反射的に防御体勢を取るが、光線はクリフの身体の横を通りぬけていった。
目で光線の軌道を追うと、光線はボーマンに命中して炎を消していく。どうやら冷気の紋章術のようだ。
(こいつを助ける気か?何でまた?)
数秒後、ボーマンを燃やしていた炎は完全に消火された。
レザードが呪紋を止めたのを見てクリフは口を開こうとしたが、それより先にレザードが話し始めた。
「先程は私の力が及ばずにあなた方を置き去りにしてしまう事となり、申し訳ありませんでした」
「あん?」
クェーサー戦の話のようだ。
「本来の私の移送方陣ならば、あの場に居た全員を移動させる事が可能だったのですが、
 能力制限のせいか、ここでは移送方陣の効果範囲がごく狭い範囲に狭められているようです。
 私もその事には、先程移送方陣を発動させた時に初めて気付きました」
「…要するに、自分だけ逃げ出す事になったのは能力制限のせいだと言いたいのか?」
「言い訳にしかなりませんがその通りです。そして、移送方陣には回数制限も掛けられていたようで、
 再び移送方陣でお2人を助けに行こうとしても、発動する事すら不可能でした。
 ですが、これは完全に私の落ち度です。私がもっと早い段階で移送方陣を試して能力制限に気付いていれば、
 金龍には別の手段を用いて対抗する事が出来たのですから。
 …ともあれ、ご無事で何よりです」
その言葉を聞き、クリフは考える。
確かにこのようなサバイバルゲームでは瞬間移動の能力は強力すぎる。
ルシファー側からしてみれば是非とも制限を掛けたい能力なのは間違いないと思われ、レザードの言ってる事は筋が通っている。
筋は通っているのだが、クリフは先程レザードに置き去りにされたという印象が強く、
彼の言い分を鵜呑みには出来ない気持ちが大きかった。しかし、否定する材料も無い。
釈然としないが、クリフはとりあえず置き去りにされた事は置いておく事にした。聞きたい事はもう1つある。
「チッ、それはまあ良い。それでお前、何でこいつを助ける?」
「いえ、彼には少々聞きたい事が有りましてね…最も話す事が可能なら、ですが。まあ、その事については後程説明致します。
 それよりもクリフ、あの後金龍はどうなったのです?貴方とソフィアとで倒したのですか?」
その質問を受け、クリフはソフィアの事を思い出した。ソフィアにも危険が迫っているのだった。
「そうだ!っつぅ!」
レザードにソフィアの事を話そうとして思わず力んでしまい、身体が痛み、よろめいた。
「大丈夫ですか!?…無理をしてはいけません。少し横になると良いでしょう」
レザードは倒れかけるクリフを両手で支え、地面に寝かせた。
「レザード、お前ソフィアを助けに行ってやってくれ!ソフィアが危ねえんだ!」
「落ち着いて下さいクリフ。ソフィアが危険と言うのはどういう事です?」
「こいつの仲間とソフィアが戦ってんだ」
クリフはボーマンを指差す。

159 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:11:09 ID:fWuyGAv6
「クェーサーの事は俺にも良く分からねえ。奴との戦いの途中で気を失っちまって、目が覚めた時は奴はもう居なかった」
レザードは1つ頷き、先を促した。
「だがクェーサーの代わりに…て言うのも変だが、俺が起きた時はソフィアがこいつらと戦ってた。
 このオッサンと、龍を背負った男と、後もう1人、ただ突っ立って見てただけの野郎だが、その3人組だ」
「…ソフィアが戦っていた?彼女1人で、ですか?」
レザードは怪訝な顔をした。ソフィアが戦っているという事が信じられない様子だ。
「他に誰が居るっつーんだ!…あ、いや、そういや何でか知らねえがルーファスの奴が生きてたみたいだ。
 俺が起きた時、側に寝ていやがった。…もしかしたらクェーサーはあいつが何とかしたのかもしれねえ。
 今もルーファスが起きてりゃ良いんだが…」
「…なるほど、大体の状況は理解しました。ソフィアの居場所は金龍と戦っていた場所ですね?」
レザードがそう言い、立ち上がったところを
「そうだ、頼むぜ。…あ、ちょっと待て。もう1つある」
クリフが引き止めた。
「…どうしました?」
「お前、回復の呪紋って使えねえか?使えるなら1つ頼みたいんだがな。
 俺はミラージュを助けに行ってやらなきゃならねえんだ」
ミラージュの事はクェーサーに襲われる前の情報交換で話していた。
「…ミラージュ?確か鎌石村役場に待たせているという、貴方とソフィアの仲間でしたね?
 ですが、今、ここから向かわれるおつもりですか?」
レザードは眉をひそめる。おそらく禁止エリアの事が引っかかっているのだろう。
クリフはレザードに、禁止エリアの30秒の時間制限について話した。
「そう言う事でしたか…」
レザードは何やら考え込みそうな雰囲気だ。
「考えんのは後回しにしてくれ。で、回復呪紋は出来るのか?」
レザードは我に返ったような表情を見せたが、クリフと目が合うと微笑みを見せた。
「勿論です。では横になり目を閉じていて下さい」
「…悪いな」
クリフは言われた通り、目を瞑る。レザードが再びクリフの側に屈み込む気配が感じられた。
「少し冷えますが、心配なさらず、そのまま横になっていて下さい」
(冷える?何で冷えるんだ?)
クリフがそう聞こうとしたその時、クリフの身体を冷気が包んだ。
冷気の正体が何なのか、考える間も与えられず、クリフの意識は急速に暗闇に落ちていった。


クリフの話を聞き終えたレザードは、男の消火に使ったのと同じ呪文でクリフを凍結させ、彼のデイバッグの中身を確認した。
だが、目当てのドラゴンオーブは入ってない。やはりレナスが持っているようだ。
(まあ、期待はしていなかったがな。
それにしても、この男正気か?ソフィア1人にヴァルキュリアを任せるとは愚作、愚行にも程がある。
考えたくはないが、これではヴァルキュリアが既に殺されている可能性も高いか…?)
レザードが想定していた状況の中でも、今の状況は限りなく最悪に近い。
最悪なのは当然、レナスが既に殺されている事である。だが、今レナスが(クリフが確認した時点では)生きているとはいえ、
ソフィアが1人でレナスを守っているという状況は、最悪の状況と大して変わらないとレザードには思えた。
そして、レナスをそんな状況に陥らせたクリフに激しい怒りを感じていた。

160 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:11:40 ID:fWuyGAv6
(…いや、2人がかりでもソフィア1人を殺しきれなかったような屑共が相手ならば、まだ結論を出すのは早い。
…どちらにしても、まずはこの男だ)
レザードは燃えていた男の様子を伺う。レザードはその男に利用価値を見出していた。
(この男も凍結させるつもりだったのだがな…フリーズチェックの類の道具でも持っているようだな。
…ま、それはどうでも良いが)
燃えていたにも関わらず全く動く様子も見られなかったので既に死んでいる可能性が高いと考えていたが、
腹部が僅かに上下に動いていた。つまり呼吸は止まっていないようだ。
レザードは触診する。彼はホムンクルス研究の一環として、人体の構造には精通している。
先程起きた爆発音からすれば身体の一部が吹き飛んでいても不思議では無かったのだが、そのような致命的な怪我は見当たらない。
(察するに、頭部を強打され脳震盪を起こし、気を失ったところに火を点けられた、といったところか。
頭蓋や首に骨折は見られない。内臓の破裂も無さそうだ。ならば最も重傷なのは火傷部分か)
レザードは自分の荷物からアップルグミとペットボトルを取り出した。
アップルグミを全てすり潰し、ペットボトルに入れて軽く振る。そして男の口へ少量ずつ、ゆっくり流し込んだ。
(グミ単品ではあまり期待は出来ないが、全て使えばあるいは…)
グミ入りの水を全て飲ませ、少し待つと効果が表れ始めた。
焼けただれていた皮膚が多少回復したが、期待していた程の効果は無い。
「ふむ…この程度か。まあ試しておくには良い機会だ」
レザードはそう言い、呪文の詠唱を始めた。
『キュア・プラムス』
癒しの光が男を包む。だが、アップルグミ同様、予想以上に効果が見られない。
普段ならば8割方のダメージを回復出来る回復呪文だが、ここでは回復効果は1割有るかどうかといったところだった。
それでもグミの効力と合わせて、どうにか火傷は重度から軽度くらいまでには回復していた。
(私の「キュア・プラムス」でもこの程度か…攻撃呪文よりも回復呪文の方が制限が厳しいようだな。…仕方あるまい)
レザードがもう1度キュア・プラムスを唱えると、男は微かな呻き声を上げ始める。
(この程度回復すれば動けるだろう。…時間が惜しい。さっさと意識を取り戻して頂くとしよう)
レザードは、もう一本ペットボトルを取り出すと、少し乱暴に男の口に水を流し込んだ。


溺れているような感覚と共にボーマンは意識を取り戻した。そして、
「――ブハッ――ッゲホッゲハッゴヘッ」
口から水を吐き出し、噎(む)せた。噎せながら身体を捻りうつ伏せになる。咳が止まらず、肺が苦しい。
(何だ!?この水は?)
ボーマンは胸を押さえて地面に手をつくと、しばらくの間何も考える事が出来ずに、ただ噎せていた。

「気付かれましたか。良かった」

声を掛けられて初めてボーマンは誰かが側に居る事に気付き、振り返った。
(誰だこいつは?)
全く面識の無い男をボーマンは警戒し、咳き込みながら睨み付ける。

161 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:12:14 ID:fWuyGAv6
「誤解しないで頂きたい。私に戦う気など有りません。私の名はレザード・ヴァレス。
 貴方に協力して頂きたい事がありましてね、不躾ですが戦いに割り込ませて頂きました」
ボーマンは自分が戦闘中だった事を思い出した。死方陣でクリフに止めをさそうとした後、記憶が無い。
(そうだ!俺は何で倒れてるんだ?金髪の野郎は?)
ボーマンは辺りを見回し、そしてクリフの氷像に気付いた。
「何だ?…どうなってんだ、これは?」
驚いてレザードを見る。やったとしたらこの男しかいない。
「…これはアンタがやったのか!?」
「そうです」
「さっき『戦う気がない』とか言ってたよな…こんなことしでかしといて、『戦う気がない』だ?」
「ああ、彼は凍結しているだけで、命に別状は有りません。十〜数十分もすれば自然と元に戻りますよ。
 貴方と話をするには、こうした方が都合が良かったものですから。
 それに、私が助けなければ貴方は命を落としていたのですよ?疑われては心外です」
言われてボーマンは身体中、特に頭と首、そして上半身が妙に痛む事に気が付いた。
身体を見ると、服は所々焼け焦げ、上半身には火傷が出来ている。さっきまではこのような焦げ跡、火傷は無かった。
いつの間にか気絶していたようだが、何故気絶するような事になったのか全く覚えていない。
ボーマンは立ち上がろうとし、身体がダルく、重い事を自覚する。このダメージにもやはり覚えが無い。
おそらく死方陣を放った時、クリフに手痛い反撃、それも気絶するような一撃を喰らわされたのだろう。
この男が助けてくれていなければ自分が死んでいたと言うのもどうやら確かのようだ。
「…一応、礼は言っといた方が良さそうだな。えっと、レザードっつったか?俺はボーマン・ジーンだ。
 助けてくれてありがとよ。アンタの目的もこのゲームを止める事かい?」
ボーマンは自分が殺し合いに乗っていない事を仄めかした。
彼は、殺し合いに乗っていない人物ならば利用する、というスタンスを変える気は全く無かった。
例え、それが自分の命を救ってくれた人物だとしてもだ。むしろそのような人物の方が利用しやすい。
見たところ紋章術師の様だし、仲間にしておいて損は無い。そう思った。
「目的を偽らなくて結構ですよ?あなた方から彼らに襲い掛かったのでしょう?」
「――!?」
言い当てられ、ボーマンは言葉に詰まってしまった。
(チッ、こいつ、金髪と情報交換でもしてやがったのか?
「割り込んだ」とか言うからてっきり不意打ちで凍らせたものかと思ったが…いや、まだ誤魔化せる)
そう簡単に殺し合い乗ってる事を認める訳にはいかない。ボーマンはどうにか誤魔化す事を考えた。
「…確かにそうなんだが、元はと言えばそいつ等が、まだ14,5歳くらいの少女を殺してね。
 その子の敵を取ってやろうとしたのさ。俺はそんな弱い者を殺すような奴が1番嫌いでね」
ボーマンはクリフ達に襲い掛かった大義名分を話す。
先程、役場で別の参加者に出会った場合にクリフを貶める為に考えた大義名分だった。これは半分は事実なのだ。
「ほう…14,5歳の少女?…もしや、その少女とは金髪で髪を左右に分け、赤い服を着ていた少女、ですか?」
「――!?…ああ、そうだが…知ってる子か?」
再び言い当てられ、ボーマンは少しレザードに不気味な気持ちを抱く。
「いえ、知り合いという程ではありません。それより確認しますが、その少女が殺されるところを見たのですか?」
「…いや、殺されるところってか、その少女の死に目にあったのさ。誰かに襲われて必死で逃げてきたようでな。
 酷え有様だったぜ。全身を何かで貫かれたような傷跡があって、血塗れだった。
 彼女の血の跡を辿っていったらその男達が居たって訳さ」
これも事実だ。最も事実を話しているからと言って、相手が信じてくれるかは別問題だが。
「『逃げてきたようだ』という事は、その少女とは会話はしていないのですね?」
「…ああ、話す事も出来ない状態だった」
「そういうことですか。これで確信出来ました」

162 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:12:46 ID:fWuyGAv6
どうやら誤魔化せたようだ。ボーマンはホッとする。
「分かってくれたかい?」
レザードは微笑んで言う。
「ええ、貴方が確実に殺し合いに乗っている事が確信出来ました」
「ちょっ!?…おいおい兄ちゃん、アンタ話聞いてたのかよ?」
「勿論聞いていましたよ。貴方はその少女が殺される現場は見ていないのでしょう?」
「いや、だからな――」
ボーマンは再び説明しようとしたが、その言葉はレザードに遮られた。

「そして、少女の血の跡を辿っていった先で、クリフ達と出会った。その時、話が出来た人物はソフィアのみ。
 …ああ、ソフィアというのはこの男の仲間の娘の名前ですけどね。
 殺し合いに乗っていない人物が、あの小娘に問答無用で攻撃を仕掛ける訳が無いのですよ。
 彼女と会話をしていたとすれば、なおさら詳しく事情を聞き出そうとするでしょう。
 あれほど無害そうな娘ですし、ソフィアから先に攻撃を仕掛けるような事はまずありませんからね。
 もしも少女が直接殺される場面を見ていた、もしくは死に際に敵討ちでも頼まれた、と言うならば、
 殺し合いに乗っていない者でも敵を討つ為に襲い掛かる、と言う事は充分有り得ますが、
 貴方はどちらもそうではないと仰った。
 おそらく貴方の目的は、主催者に対抗しているかのような意思表示してこの殺し合いで利用できる仲間を増やす事、でしょう?
 そう、今私にやったようにね。
 貴方の仲間の『龍を背負った男』というのも貴方と同じ考えでしょうね。
 唯一殺し合いに乗っていないのは、ソフィアに襲い掛からず、ただ立ち尽くして見ていたという男のみ。違いますか?」

レザードはボーマンに口を挟む余地も与えず、一方的に捲くし立てた。
ボーマンも途中から口を挟もうとは思わなくなり、レザードを睨みつけていた。それほど完璧に見透かされた。
この男が知り合いだったのは金髪少女ではなく、クリフとその仲間の方だったという事か。
ここから誤魔化す事は出来ないだろう。
「…てめえ、この金髪の仲間か?」
だったら何故氷付けにしているのかが疑問ではあったが、そうとしか考えられない。
「そんな事はどうでも良いでしょう?それより、先程申し上げたはずです。『目的を偽らなくて結構です』と。
 貴方がこの殺し合いに乗っている事は私にとっても都合が良いのです。その事を想定した上で、貴方に治療を施したのですから」
「…どういうことだ?」
「私と協定関係を結びませんか?取引と言い直しても差し支え有りませんが。
 私は貴方の命を助けました。その代価として、して頂きたい事があるのです」
手を組もうという事だろうか。
ボーマンは正直、このレザードという男とは関わりたくなかった。自分が何を企もうと、全て見抜かれる様な気がしていた。
出来ればここは逃げ出したいのだが、自分をマーダーだと気付いている人物を野放しにしておくのも不安がある。
殺すにしても、今のコンディションで勝てる自信はあまり無い。
とりあえず、話を聞くだけでも聞いてみるか、とボーマンは考えた。

163 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:13:23 ID:fWuyGAv6
「…何がしたいんだ?」
「今、貴方の仲間はソフィアと戦闘中ですね?その戦闘を止めて頂きたいのです」
「戦闘を止める?あの嬢ちゃんを助けてくれって事か?」
(やっぱり仲間なんじゃねえかよ)
ボーマンはそう思った。が、すぐに否定される。
「そうではありません。ソフィアの側に緑髪の長髪の男が眠っていましたね?
 彼に用が有りましてね、今死なれるのは困るのですよ」
(そういやもう1人眠ってたな。そっちを助けたいってのか。…だけど、手遅れなんじゃねーか?)
ボーマンの考えを見抜くかのようにレザードが続ける。
「もしも手遅れでしたら、せめて彼に預けた私の道具だけでも回収したいのです。
 貴方の仲間が彼を殺した場合は、彼の道具は貴方の仲間が手に入れる事になるでしょう?
 その場合、私がそれを回収するには貴方に協力して頂くのが最も効率が良い」
(要するにその道具が目的という事か?…それなら、緑髪の男が死んでても逆上して向かって来る事はなさそうだな。
それに、もし向かってきてもその時にはアシュトン達と一緒だ。3人がかりなら負けねえだろ。
…断ったら今1人でこいつと戦うハメになりかねねえし、だったらここは、とりあえず引受けておくのが無難か。
アシュトン達と合流したら…ま、成り行き次第だな)
ボーマンはとりあえずレザードとの取引に乗る事に決めた。

「…そんな事で良けりゃ協力しても良いけどよ、俺の仲間を止めるにしても何か理由が必要だろ?
 俺達も『少女の敵討ち』を理由に攻撃を仕掛けたんだから、『何でもいいからやめろ』ってんじゃあいつらも納得しないぜ?」
ボーマン達は一応「正義の為に」という大義名分をかざして襲い掛かったのだ。
それを止めさせる理由がボーマンには思い浮かばなかったのだが、レザードは考える様子も見せずに言った。
「簡単です。『少女の敵討ち』という誤解が解けて、貴方とクリフは和解した事にすれば良い」
「誤解?誤解ったって、実際あいつらが殺したんだろ?ソフィアって嬢ちゃんはそう言ってたぜ?」
「それは事実ですが、その『金髪の少女』が曲者でしてね。ソフィア達が居た場所はご覧になられたでしょう?」
言われてボーマンはソフィアの居た場所を思い返す。地面にはいくつものクレーターが有り、木々は薙ぎ倒されていた。
「ああ。酷え有様だったが…おいおい、まさかアレをやったのがあの『金髪の少女』だとか言わねえだろうな?」
「月並みな言い方ですが、そのまさか、です。あの少女は外見とは裏腹に、強大で凶暴な魔力を持つ怪物でした。
 いえ、正確に言えば、その怪物があの少女の身体に乗り移っていたようです。
 それは、自らの事を『神』と称していましたが、確かにそれだけの能力を持っていました」
「『神』だ?」
ボーマンは十賢者達を思い出す。
(…自称『神』ってのにはろくな奴がいねえな)
「ええ、その力で我々に襲い掛かってきたのですよ。
 私はその戦いで逸れてしまいましたが、どうにかクリフ達は勝利を収めてくれたようです」
にわかには信じがたい話ではあるが、先程少女の死体を調べ、
少女の腕に素手で人を貫いたような痕跡を確認しているボーマンは割とすんなり受け入れる事が出来た。

164 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:14:06 ID:fWuyGAv6
「なるほどな…実は悪者は『金髪少女』の方、か」
「そういうことです。貴方とクリフは誤解が解ければ、表面上は主催者に対抗する者達同士。
 協力し合う事になっても不思議は有りません」
理屈は通る。チェスターなんかはソフィアを殺さずに済んで喜ぶかもしれない。
「…それなら何とかなりそうだな。じゃあ協力するぜ」
「感謝致します。そうと決まれば急ぎましょう」
レザードは自分の荷物をまとめ始める。だが、ボーマンには1つ気になる事があった。
「おいおい、ちょっと待て。まだ何か有るんだろ?」
「はい?」
「俺が殺し合いに乗っていた方が都合が良いって言っただろ?だったら、他に何か俺にやらせたい事が有るって事だよな?」
「ええ。仰る通りですが、今は時間が惜しい。その話は移動しながらにしませんか?」
「…まあ別に良いけどな、それも『命を助けてもらった分の要求』に入るのか?」
マーダーにやらせたい事など汚れ仕事以外の何物でも無いだろう。確かに命は助けてくれたようだが、
正直、今一その実感は無いのだ。にも拘らず、そう幾つも要求されたのでは割に合わない気がした。
「…何か要求が有るのならば伺いますよ。私に出来る事であれば」
「別にそう面倒な事じゃないさ。何かアイテムを分けてくれりゃそれで良いぜ」
ボーマンは別にレザードにやらせたい事など無い。
いや、利用できるならそれに越した事は無いが、この男は今一信用出来ない。
それなら道具を分けてもらうくらいが無難で確実だろう。
「ならば…ふむ、そうですね、ついでですし、少々お待ちを」
レザードはそう言って、自分のデイバッグから剣を取り出した。
(剣かよ…)
ボーマンは正直落胆した。自分は剣を扱えない。
アシュトンとアイテムを交換する時になら使えそうだが、出来れば直接自分が使えるものが良い。
「…他の物は無いか?悪いが剣は苦手でな」
「いえ、この剣は、こう使うのです」
レザードはクリフの氷像の前に立つと、刃を下に向けた剣を構え、振りかぶった。
「え?(おい、ちょっと待て――)」
ボーマンがそう声を掛けようとしたが、レザードは既に剣を振り下ろしていた。

165 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:14:46 ID:fWuyGAv6
『バリィン!』と氷の砕ける音が響く。レザードの剣はクリフの胸から背中に突き抜け、完全に心臓を貫いた。
剣を引き抜く時、クリフの砕けた胸部がパラパラと地面に落ち、クリフの胸部には太い槍で貫かれたような風穴が開いた。
これには流石にボーマンも驚いた。
クリフが死ぬ事自体は別にどうでも良いが、レザードとクリフは仲間だったはずだ。まさか何の躊躇いも見せずに殺すとは。
レザードは続けて、凍っているクリフのデイバッグを切り落とし、唖然としているボーマンに話しかけてきた。
「彼のデイバッグを差し上げましょう。…ああ、失礼、貴方にはこのガントレットも必要ですね」
ボーマンが装備しているエンプレシアを見たレザードは再び剣を振りかぶり、クリフの両腕を砕き落とす。
もうボーマンも声を掛けようとは思わなかった。
「凍結している人間は返り血の心配がありませんからね、後始末が楽で良い。…さて、これで如何です?」
レザードはクリフの腕からミスリルガーターを外し、クリフのデイバッグに入れてボーマンの足元に放り投げた。
いつの間にかデイバッグの凍結は解除されていた。
「…こいつ、お前の仲間じゃ無かったのか?」
「その様な事は1度も申し上げておりませんが?」
「…さっき一緒に『金髪少女』と戦ったとか言ってただろうが」
「共闘したからといって仲間とは限らないでしょう?それに、彼は重大なミスを犯していますのでね、罰のようなものです」
レザードはなんでもない事のように言う。
「罰…ねえ…」
(罰って…刑罰かよ。しかも死刑じゃねえか。こいつ、上手くすりゃ利用出来るか?
とか考えてる場合じゃねえな。適当なところで逃げねえと…)
ボーマンはレザードの妙な威圧感に気圧されていた。クリフから感じた威圧感とは全く異なる威圧感だ。
そう、強いて言えば、レザードの威圧感は十賢者達から感じたそれに近い。人を人とも思わない、あの冷酷な威圧感に。

「それではお気に召しませんか?」
レザードが問いかけてきた。
ボーマンはとりあえず、今の出来事は気にしないことにして、デイバッグの中身をチラリと確認する。
ミスリルガーター以外にもいくつかのアイテムが見えた。
「…いや、上等だぜ」
そして自分の荷物とまとめた。
今装備しているエンプレシアを外し、早速ミスリルガーターを装着する。
試しに素振りをしてみるが、やはりエンプレシアに比べると格段に使い勝手が良かった。
「だけどよ、クリフがこれ装備してたのはソフィアも知ってるだろ。
 俺が持ってたらやべえんじゃねえか?そもそも『俺と戦ってたクリフはどうした?』なんて聞かれたらどうするんだよ?」
「…まあ、同じ型の武器が支給されていても不思議は有りませんが、
 その点には気付かずに疑問を持たれる可能性も有りますね…
 しばらくそのガントレットはデイバッグに仕舞っておいて頂けますか?」
「…ま、しょうがねえな」
結局ミスリルガーターはデイバッグに仕舞い、再びエンプレシアを装着した。

166 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:15:28 ID:fWuyGAv6
「クリフの行方ですが、彼は鎌石村役場に仲間を待たせていました。
 その方を迎えに行った事にすれば良いでしょう。その後で何が起きようとも我々の知るところでは有りません。
 例え氷付けにされて砕かれようとね」
「役場に仲間が居る?なるほどな、道理で…」
ボーマンはクリフが自分を追いかけてきた理由を理解した。
実際のところは彼も役場に向かっていただけの事だったのだ。
「他にはありませんね?それでは急ぎましょう。繰り返しますが、時間が惜しい。
 もう1つの取引と情報交換等は道すがら行います。宜しいですね?」
「ああ」
2人はD−5東部に向かって走り始めた。
ボーマンは最後にクリフの氷像をチラリと見て、そしてレザードの背中を睨んだ。
(こうはならねえように、気ィ引き締めてくか)
ボーマンは、レザードの後からついて行く。とてもレザードに背中を見せる気にはなれなかった。


走り始めてすぐ、ボーマンが質問をしてきた。
「それで、もう1つの要求ってのは何なんだ?」
ボーマンがレザードのやや後ろを走っているが、レザードは振り向かずに話す。
「これはソフィア達2人が生きている事が前提ですが」
「ああ。んで何だよ?」
「緑髪の男にはばれないように、ソフィアを殺害して頂きたい」
「…はあ?」
レザードの2つ目の要求。
それは、先程クリフが生きている事を知った時に生まれた目的、ソフィアの殺害だった。
ソフィアは今では戦う気構えを見せているようだが、所詮はソフィア、実力の程度は知れている。
ソフィアが生きている限り、レナスはソフィアを守り続けようとするだろう。
それはつまり、先の金龍戦の様な事を繰り返す恐れが有り、レナスを死の縁に立たせ続ける事に他ならない。
レザードは、ソフィアの為にレナスを失う、などという事は断じて許せなかった。
ならばその危険性の元凶であるソフィアには居なくなってもらう。これがレザードの出した結論。
ソフィアを殺さずとも、例えばブラムスのようにレナスが信用出来る強者にソフィアを任せ、
レナスとソフィアに別行動を取らせる事が出来るのならばそれでも良いのだが、
ブラムスが錬石村に先行している現在、そのような都合の良い強者が他に居るはずも無く、やはり殺すのが最も手っ取り早い。
いつ再び金龍のような敵が現れるかは分からないのだから。

「そんなもん自分でやれば良いじゃねえか。まさか、女は殺したくない、とか言わねえだろうな?」
「その様なつまらぬ信条は持ち合わせていませんが、少々訳が有りましてね」
レザード自らがソフィアを殺すのは容易い事だが、万が一それがレナスにばれてしまってはレナスと敵対する事になってしまう。
それはレザードの望むところではないのだ。
「引き受けて頂けますね?」
「…まあ俺は構わないけどよ。報酬は前払いでもらってる事だしな」
ボーマンはデイバッグをポンッと叩いた。
「では取引成立ですね。ただし、殺害のタイミングは状況を見て私が指示致しますので、決して先走らぬようにお願いします」
「ああ」

167 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:16:12 ID:fWuyGAv6
ソフィア殺害の前に、ドラゴンオーブだけは何としても確保しなくてはならない。
脱出する際、ドラゴンオーブが有ればソフィアの能力『コネクション』が不必要だという事は
先程ソフィア達を見捨てた時に結論付けたが、逆に言えばドラゴンオーブが無ければソフィアが必要となってしまうのだ。
もしもドラゴンオーブが破壊されているなりなんなりでこの殺し合いの舞台から消失してしまえば、
レナスと共に脱出するには、不本意ながらソフィアに頼るしか無く、殺す訳にはいかなくなる。
「で、2人が死んじまってる場合は、さっき言ってたみたいに、緑髪の男に預けた道具の回収だけで良いのか?」
「…ええ。とりあえずは」
もしレナス、ソフィアが既に殺されている場合は、先程ボーマンに説明した通り
レナスの道具(ドラゴンオーブ)を回収する事を第一に考え、ボーマンはそれに協力させる。
つまり、レナスが生死、どちらの場合でも、ボーマンには利用価値が有るのだ。
むしろ、ボーマンと手を組んだ最大の理由は、この最悪の状況を想定しての事だった。
ドラゴンオーブさえあれば、輪魂の呪が使用出来たのだ。換魂の法も使用出来る可能性は高いはず。
ならば再びレナスを蘇らせる事が出来るはずなのだ。そうレザードは考えていた。

「とりあえず…ねえ。後からアレコレ追加するのは止めて頂きたいもんだがな」
「ご心配無く。せいぜいクリフの道具分の要求を1つする程度ですよ。
 ところで、取引の話はさておき、情報交換を行いたいのですが宜しいですか?伺いたい事が有るのです」
レザードは今の内にボーマンから第3回放送の内容を聞いておきたかった。
話をしやすいよう、少し走るペースを落としてボーマンと並ぼうとする。
だが、何故かボーマンもペースを落とし、前に出てこようとしない。
レザードは振り返り、ボーマンの顔をチラリと伺う。そして前を向き直し、
(ふん…それで警戒しているつもりか?…まあいい。せいぜい役に立って頂きますよ?)
そう考え、ボーマンを蔑むように微笑んだ。


レザードとボーマンが走り去って数分後、クリフの氷像が解凍し始めた。
完全に凍り付いていた身体が元に戻り始め、徐々にクリフの目が開きだす。
クリフは胸を貫かれていたが、体中が凍結して、いわば仮死状態のようになっていた為、その時点では絶命しなかったのだ。
そして今、その凍結は自然と解除された。
(…終わったのか?)
今、クリフの胸には風穴が開き、両腕は砕け散っている。
だが凍結していた事が彼の痛覚を完全に麻痺させていた為、本来襲いかかるはずの激痛は、彼には感じられていなかった。
クリフは起き上がろうとした。が、身体が全く動かない。
胸の風穴、そして両腕から出血が始まっていた。瞬く間におびただしい程の量の血液が流れ出てくる。
クリフは再び冷気を感じ、急激に目の前が暗くなり始め、意識が薄れていった。
(何だよ、まだ終わってねえのか)
それは先程意識を失った時と同じ様な感覚だったので、クリフはまだ治療中であるものだと思い込む。
だが違った。今クリフが冷気だと感じたもの、それは単に出血多量による体温の低下だった。
出血した血液は地面に染み込むが、すぐに飽和状態となり、土の上に血溜まりを作り始めた。
(とっとと頼むぜ、レザード。ミラージュを待たせてんだからよ…)
心の中でレザードに話しかける。
だが、その場所に居るのはクリフのみだ。他には誰もいない。クリフはその事にも、もう気付けない。

クリフの意識は再び暗黒に落ちていく。

先程との決定的な違いは1つだけ。

彼が目覚める事は、もう二度と、無かったという事だ。

168 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:16:58 ID:fWuyGAv6
【D−5/深夜】
【レザード・ヴァレス】[MP残量:25%]
[状態:疲労小]
[装備:サーペントトゥース、天使の唇、大いなる経典]
[道具:神槍パラダイム、エルブンボウ、矢×40本、レナス人形フルカラー、ブラッディーアーマー、アントラー・ソード、転換の杖@VP(ノエルの支給品)、ダブった魔剣グラム、合成素材×2(ダーククリスタル、スプラッシュスター)、荷物一式×5]
[行動方針:愛しのヴァルキュリアと共に生き残る]
[思考1:愛しのヴァルキュリアと、二人で一緒に生還できる方法を考える]
[思考2:その他の奴はどうなろうが知ったこっちゃない]
[思考3:ドラゴンオーブを確保する]
[思考4:ボーマンを利用し、足手まといのソフィアを殺害したい]
[思考5:四回目の放送までには鎌石村に向かい、ブラムスと合流]
[思考6:ブレアを警戒。ブレアとまた会ったら主催や殺し合いについての情報を聞き出す]
[思考7:首輪をどうにかしたい]
[備考1:ブレアがマーダーだとは気付いていますが、ジョーカーだとまでは気付いていません]
[備考2:第3回放送の内容はボーマンから聞き出しています]
[備考3:アップルグミは使い切りました]

【ボーマン・ジーン】[MP残量:5%]
[状態:全身に打身や打撲 上半身に軽度の火傷]
[装備:エンプレシア、フェイトアーマー]
[道具:調合セット一式、七色の飴玉×2、ミスリルガーター、サイレンスカード×2、エターナルソード、メルーファ、バニッシュボム×5、フレイの首輪、荷物一式×5]
[行動方針:最後まで生き残り家族の下へ帰還]
[思考1:完全に殺しを行う事を決意。もう躊躇はしない]
[思考2:アシュトン・チェスターを利用し確実に人数を減らしていく]
[思考3:とりあえずレザードと一緒に行動。取引を行うか破棄するかは成り行き次第]
[思考4:菅原神社に向かいながら安全な寝床および調合に使える薬草を探してみる]
[備考1:調合用薬草は使いきりました]
[備考2:アシュトンには自分がマーダーであるとバレていないと思っています]
[備考3:ガソリン塗れの衣類は焼けています。再び引火する可能性の有無は後の書き手さん次第で]
[備考4:クリフのデイバッグはまだ詳しくは中身を確認していません]
[備考5:ミニサイズの破砕弾が1つあります]
[備考6:バーニィシューズは壊れました]


【クリフ・フィッター死亡】
【残り21人+α?】

169 ◆cAkzNuGcZQ:2009/04/22(水) 20:39:07 ID:sIFsGIFM
以上で投下終了です。

アップルグミに期待してたらエライ目に合いました…
動かすキャラとアイテムが登場する話は隅から隅まで読まないといけませんね。

170名無しのスフィア社社員:2009/05/05(火) 21:40:42 ID:aXxcsjN2
ですね

171ヴァンパイアハンターK:2009/06/21(日) 19:41:32 ID:ezdgDn3A
「ただしその時が来ても、ブラムスの知識では判断出来得ない脱出方法を伝え、
 その脱出方法が有効だと考えている間ならば再び協力してくれるはずだ」
「判断出来得ない脱出方法?」
「ああ。純粋故…と言って良いのかは分からんが、
 ブラムスは未知の事についてはあまり疑いも持たずに受け入れる、
 という事がさっきのやり取りで分かったからな」

(さっきのやり取り?…ああ…エルネスト教授の魔法少女論の事か…)
それをブラムスが素直に信じた事について話しているのだ。

「つまり…騙すと言うのか?」
「そう言う事になるな。無論、本当に別の脱出手段が有るなら歓迎するが。
 …騙すにしても、それなりに説得力の有る脱出方法を提示出来なければ、逆に危険が増すだけかもしれん。
 見抜かれたらあのバブルローションが炸裂する事になりそうだ」
あえて『何処に』炸裂するのかは省略したが、2人は同じ場所を想像する。
何気なく「チーム中年」の呼吸は合ってきているようだ。

「だがエルネスト。ブラムス達が向かった先でソフィアの死体を見つける事も考えられる。
 そうすると最悪の場合、合流する時点で既に裏切っている可能性も有るんじゃないか?」
「その可能性も有る。合流前に何か考える必要が有るかもしれないな。
 クラース、お前は何かそれらしい脱出手段は思いつかないか?」

(…脱出方法…)
一瞬クラースが思い浮かべたのは、『時の剣・エターナルソード』の事だった。
時間と空間を操るエターナルソードならば、おそらくこの島からの脱出も不可能ではない。
だが、エターナルソードはクラース自身が彼の世界で封印したのだ。この島に存在しない以上、考えるだけ無駄だ。

「急に言われてもな…まあ、考えてみよう。お前の方は何か――」
クラースが言いかけたところで、エルネストが自転車をゆっくりと停めた。
「――…どうした?何故停めるんだ?」
「到着したぞ。後100m程で鎌石村に入る」
「何?」
クラースは辺りを見回す。
だが、彼にはこれまで同様の代わり映えしない一本道にしか見えなかった。
「見えるのか?」
「朧気にだが、建物の陰が見える。言っただろう?視力には自信があるんだ」
正面に向かい目を凝らすが、やはりクラースには朧気にも見えない。

172ヴァンパイアハンターK:2009/06/21(日) 19:42:20 ID:ezdgDn3A
「クラース。今の内に確認しておくぞ。まずは支給品が置かれた鎌石村役場からだな」
「ああ。次にブラムスが仲間達との合流場所に決めているというC−4の最も東南にある民家だ。
 奴の仲間達がそこに居ないのなら、村の他の場所に居るような事もまず無いだろう」
つまり鎌石村全体を詳しく調べる必要は無いのだ。
C−4の最も東南の民家を合流地点にしたのは、D−4から村に入った場合に1番近くにある民家だから、と言う事らしい。

「まあそれも戦闘の形跡が無ければの話だがな。
 もしもブラムスの仲間達に会えたら直ちにF−4に向かう。会えなかった場合だが…」
エルネストは横目でクラースを見る。
「念の為にブラムスとの合流は放送後にするか?」
これはクラースがブラムスを警戒している事を考慮しての発言だった。

(そうだな…放送後に合流する事にするなら、急いで戻る必要も無い。
 この村で一休みする時間が出来、私の精神力も回復するが…まあそれを考えるのは後回しで良いか)

「それは後で考えても良いだろう。今は役場に向かうとしよう」
「…ああ。じゃあ行くぞ!」
エルネストは再び自転車を漕ぎ始めた。


役場に着くまでの間は何事も起きなかった。到着した2人は自転車から降りる。
辺りに音を立てている物は何一つ無く、誰かがいる気配なども全く無いが、油断は出来ない。
「クラース、少し離れていてくれ」
「あ、ああ。分かった」
役場のドアから少し離れた所で立ち止まると、エルネストはドアを観察した。
とりあえず、危険な物が仕掛けられている様子は無い。
「それじゃあ行くぞ」
エルネストは縄を構えた。
「ハッ!」
掛け声と共に振るわれた縄がドアの取っ手に巻きつく。エルネストは器用に縄を操り、ドアを開けた。

(大したものだな。…正直出会った時、剣も魔術も使えないと知った時はどうしたものかと思ったが)
初めて間近でエルネストの縄捌きを見る事になったクラースは素直に感心した。

「ドアには罠の類の物は無いようだ。…俺達が一番乗りかもな」
もしも他の誰かが先にこの役場に来ていたとしたら、支給品目当てに集まる参加者を狙って
罠くらい張っていてもおかしくはないとエルネストは考えていたが、とりあえずはそれは無いようだ。
「じゃあ、クラース」
「了解!『シルフ!』」
辺りに一陣の風が吹き、クラースの召喚した『シルフ』が吸い込まれるように役場内に入っていく。
もしも誰かが居るなら必ず何らかの音が発生する。シルフ達の力で役場内の音を探知するのだ。

「…誰かが居る気配は無い。
 だが、シルフでは閉じている扉の奥の気配までは探知出来ないからな。注意は怠るなよ」
「分かった。周辺の探知を頼むぞ」
「任せてくれ」
「さて、鬼が出るか蛇が出るか…」

エルネストはもう1度縄を振るって手繰り寄せると、慎重に役場内に入っていった。

173ヴァンパイアハンターK:2009/06/21(日) 19:43:04 ID:ezdgDn3A
【C-03/深夜】

チーム【中年】
【エルネスト・レヴィード】[MP残量:100%]
[状態:両腕に軽い火傷(戦闘に支障無し、治療済み)]
[装備:縄(間に合わせの鞭として使用)、シウススペシャル@SO1、ダークウィップ@SO2、自転車@現実世界]
[道具:ウッドシールド@SO2、魔杖サターンアイズ、荷物一式]
[行動方針:打倒主催者]
[思考1:仲間と合流]
[思考2:炎のモンスターを警戒]
[思考3:ブラムスを取り引き相手として信用]
[思考4:鎌石村でブラムスの仲間を捜索]
[思考5:次の放送前後にF−4にてチーム魔法少女(♂)と合流]

【クラース・F・レスター】[MP残量:50%]
[状態:正常]
[装備:ダイヤモンド@TOP]
[道具:薬草エキスDX@RS、荷物一式]
[行動方針:生き残る(手段は選ばない)]
[思考1:ブラムスと暫定的な同盟を結び行動(ブラムスの同盟破棄は警戒)]
[思考2:ゲームから脱出する方法を探す]
[思考3:脱出が無理ならゲームに勝つ]
[思考4:鎌石村でブラムスの仲間を捜索]
[思考5:次の放送前後にF−4にてチーム魔法少女(♂)と合流]
[思考6:ブラムスにはアスカが有効(?)]

[現在位置:C-03 鎌石村役場]

【残り21人+α?】

174名無しのスフィア社社員:2009/07/05(日) 12:32:18 ID:rW5XtX.Y
内容:
ここはトライエース(以下AAA)キャラでバトルロワイヤルを行う企画です。
参加資格は全員にあります。
参加型リレー小説というテーマを元に、皆さんで物語を作り上げていきましょう。

・企画発祥スレ
バトルロワイアル企画を考える inゲームサロン
ttp://game10.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/1160050565/l50
・過去スレ
ttp://game12.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1162909976/
ttp://game12.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1172767328/
ttp://game14.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1186147301/
ttp://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1204348476/
ttp://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1222700688/
ttp://jfk.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1235281316/
・まとめWiki
ttp://www23.atwiki.jp/aaarowa/
・したらば掲示板
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/9356/

詳しい説明・ルールは>>2以降。

175名無しのスフィア社社員:2009/07/05(日) 12:33:18 ID:rW5XtX.Y
【基本ルール】
・全員で殺し合いを行い、生き残った最後の一人が勝者。
・勝者には元の世界への帰還と、それとは別の褒美が主催者より与えられる?(未決定)
・参加者間でのやり取りに反則はない。
・参加者全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者無し)となる。

【スタート時の持ち物】
・参加者があらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
(義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない)
・また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される
・ゲーム開始直前に参加者は開催側から以下の物を支給される

「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。鞄などの類であればなんでも可
「地図」→ 大まかな地形の記された地図。禁止エリアがあるならば、それを判別するための境界線と座標がひかれている。
「コンパス」→ 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる
「照明器具」→ 着火器具+携帯ランタン(油は2〜3日分or切れない)、または懐中電灯。
「筆記用具」→ 普通の鉛筆と紙、もしくはノートの類。
「水と食料」→ 通常の飲料と食料。目安としては通常の成人男性で二〜三日分。
「名簿」→全ての参加者の名前のみ明記。
「時計」→ 普通の時計。時刻がわかる。主催者側が指定する時刻はこの時計で確認する
「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが入っている。作中の道具や武器、銃火器など

【放送関連】
一日四回、六時間毎に放送が入る。(0時、6時、12時、18時)
放送内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」「過去6時間に死んだキャラ名」
「残りの人数」「主催者の気まぐれなお話」等。

【首輪・禁止エリア関連】
ゲーム開始前からプレイヤーは全員、「首輪」を填められている。
首輪が爆発すると、そのプレイヤーは死ぬ。(例外はない)
主催者側はいつでも自由に首輪を爆発させることができる。
この首輪はプレイヤーの生死を常に判断し、開催者側へプレイヤーの生死と現在位置のデータを送っている。
24時間死者が出ない場合は全員の首輪が発動し、全員が死ぬ。 
「首輪」を外すことは専門的な知識がないと難しい。
下手に無理やり取り去ろうとすると首輪が自動的に爆発し死ぬことになる。
プレイヤーには説明はされないが、実は盗聴機能があり音声は開催者側に筒抜けである。
開催者側が一定時間毎に指定する禁止エリア内にいると首輪が自動的に爆発する。
なお、どんな魔法や爆発に巻き込まれようと、誘爆は絶対にしない。
例え首輪を外しても会場からは脱出できないし、禁止能力が使えるようにもならない。
首輪の材質は「何が起きても首に超フィットする不思議なご都合主義パワーが篭った首輪」。
よって体を巨大化させるなどしても首輪を外すことは出来ない。
主催者側が一定時間毎に指定する禁止エリア内にいると首輪が自動的に爆発する。
禁止エリアは1時間ごとに1エリアづつ増えていく(以前は2時間に1つだったが、ペースが速まった)

176名無しのスフィア社社員:2009/07/05(日) 12:34:16 ID:rW5XtX.Y
【能力・能力制限関連】
身体能力、攻撃能力については基本的に無し。
(ただし敵ボスクラスについては例外的措置がある場合あり)
治癒魔法については通常の1/10以下の効果になっています。蘇生魔法は「気絶状態を治す」程度。
キャラが再生能力を持っている場合でもその能力は1/10程度に制限される。
しかしステータス異常回復は普通に行える。
その他、時空間移動能力なども使用不可。
MPを消費するということは精神的に消耗すること。MPを消費する=疲れる。
全体魔法の攻撃範囲は、術者の視野内にいると判断された人物。
MPは自然に徐々に回復(通常時なら二時間で10%、睡眠時はその2倍ぐらい)?

【キャラの特殊能力制限で決まっている設定】
・レナス 原子配列変換及びMP変換、世界再生能力の無効、精神集中※後述
・フェイト ディストラクションの弱体化(本編で使える技は特に制限なし)
・マリア アルティネイションの弱体化(本編で使える技は特にry)
・ロキ ドラゴンオーブによるパワー解放の無効(支給品のドラゴンオーブを入手すれば可)
・レザード 移送方陣の無効 屍霊術(一人ぐらい)


※レナスの精神集中について
1.放送毎に1回使用可能
2.使用中は完全に無防備
3.使用するには集中できる環境が必要
4.聞ける声は任意で選べない
5.声は聞こえるが人物を特定できる程鮮明ではない
6.ブラムス探知能力は無し
7.一応レナス一行が介入する事でその人間の死を回避する事は可能(放っておいたり、間に合わない場合は当然死亡)

【アイテム・クリエイション・料理関連】
アイテムによる回復は制限を受けない。
料理は「材料があればつくれるが、回復効果はない」いわゆる空腹を満たす程度。
ボーマンの調合スキルは薬草があればOK

【フェイズガン関連】
フェイズガンは弾丸がなく、エネルギー弾を発射する銃である。
だから弾込めする必要はないが、エネルギーが切れると撃てなくなる。

最大エネルギー量は100%で、銃の残量を(***/100)と示す。
[例] (70/100)とすると,残量が70%残っていることになる。

銃の威力または性能によって、弾を撃ったときの消費量が異なる。
またエネルギーが足りないときは一切撃てない。
[例] 残量が(41/100)の時、パルスショットガン(散弾式のフェイズガン)消費エネ33%は撃てるが、残量が(32/100)の時は撃てない

フェイズガンのエネルギーは放送ごとに50%補充される。
注意)徐々に補充されるわけではなく、一気に補充される。

フェイズガンを所持品と持っているとき〔名前〕〔性能〕〔消費エネルギー〕〔残量〕の順番に書く。

177名無しのスフィア社社員:2009/07/05(日) 12:35:31 ID:rW5XtX.Y
【会場関連】
舞台になるのは原作ロワと同じ沖木島。街並みは現代風の田舎町。
現地調達できるアイテムは『普通に使ったら武器にならない』かつ『類似品が支給されてない』
・悪い例
「押入漁ってたらこんなの出ちゃいました」
「ちょwニュートロンボムwww」
・良い例
「押入漁ってたらこんなの出ちゃいました」
「広辞苑か……まあ役に立つかもなしれないし、貰っておくか」
食料は一軒につき一食分程度?
診療所には医療器具は無い?

178名無しのスフィア社社員:2009/07/05(日) 12:36:01 ID:rW5XtX.Y
【作品を書いた時の必要事項】
・作中での時間表記
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 真昼:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24

・キャラ表記について
 【座標/場所/時間】
 【キャラクター名】[MP残量]
 [装備]:キャラクターが装備している武器など、すぐに使える(使っている)ものを記入。
 [道具]:キャラクターがザックなどにしまっている武器・アイテムなどを記入。
 [状態]:キャラクターの肉体的、精神的状態を記入。
 [思考]:現在具体的に考えている事・行っている事を記入。
 [行動方針]:キャラクターの目的
 [備考]:その他何か特記事項。無くても良い。

【名前 死亡】※死亡したキャラが出た場合のみいれる。
【残り○○人】※死亡したキャラが出た場合のみいれる。
以下、人数分。

−例−
【クロード・C・ケニー】[MP残量:50%]
[装備:木刀]
[道具:アップルグミ・フェイスガン・デイバック(支給品一式)]
[状態:頭部裂傷]
[思考:混乱]
[行動方針:主催者を打倒]

【ノートン 死亡】
【残り40人】

【修正に関して】
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述してください。
・NGや修正を申し立てられるのは、
 「明らかな矛盾がある」「設定が違う」「時間の進み方が異常」「明らかに荒らす意図の元に書かれている」
 「雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)」
 以上の要件のうち、一つ以上を満たしている場合のみです。
・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
 ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
 修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。
・書き手が批判意見を元に、自主的に修正する事は自由です。

179名無しのスフィア社社員:2009/07/05(日) 12:40:53 ID:rW5XtX.Y
【書き手/読み手心得】
ttp://www23.atwiki.jp/aaarowa/pages/204.htmlの該当する項目を見てください。

【予約制度】

トリップを付けてキャラクター名を書き込むと一定期間の間そのキャラクターの話を他作者が投下することができなくなるシステム。
目的はキャラ被りで書き進めた作品が没になることを防ぐため。
大抵のロワだと予約期限があるのだが、よく考えたらAAAロワには予約期限がない。
「近日投下が無理っぽいなら連絡ください」くらいアバウトでもやっていけちゃってるところがAAAロワの凄いところであり魅力的なところでもある。

トリップ作成テストツール
ttp://www.dawgsdk.org/tripmona/tools

ちなみに予約無しのゲリラ投下ならばトリップの必要は無い。

180名無しのスフィア社社員:2009/07/05(日) 12:42:08 ID:rW5XtX.Y
【参加者&生存状況】

スターオーシャン2(SO2) 7/15
○クロード/○レナ/●セリーヌ/○アシュトン/○プリシス/○ボーマン/●ディアス
○レオン/●オペラ/○エルネスト/●ノエル/●チサト/●シン/●ミカエル/●ガブリエル

スターオーシャン3(SO3) 5/15
○フェイト/○ソフィア/●スフレ/●クリフ/●ネル/●ロジャー/○マリア/○アルベル
●アドレー/●ミラージュ/●クレア/●ノートン/●ビウィグ/●ヴォックス/○IMITATIVEブレア

ヴァルキリープロファイル(VP)  5/13
●レナス/●アリューゼ/○レザード/○ルシオ/●メルティーナ/●ジェラード
●夢瑠/●ロウファ/●エイミ/○ジュン/○ブラムス/○ロキ/●フレイ

ヴァルキリープロファイル2(VP2)  0/2
●アリーシャ/●ルーファス

ラジアータストーリーズ(RS) 1/8
●ジャック/●リドリー/●ガンツ/●エルウェン/●ガウェイン/○ミランダ
●ガルヴァドス/●ルシオン

テイルズオブファンタジア(TOP)  3/9
○クレス/●ミント/○チェスター/○クラース/●アーチェ/●すず
●ダオス/●デミテル/●ジェストーナ

合計 21/62
○=生存 ●=死亡(一日目深夜〜、開始から18時間前後経過)

禁止エリア
C-04、G-03、E-06
19時にH-07、21時にI-07、23時にD-04
1時にD-06、2時にE-02、3時にI-06、4時にE-04、5時にF-06、6時(4回目の放送と同時)にG-07

主催者:ルシファー(スフィア社)@SO3


【キャラの参加時期】
基本的に本編終了後(原作で死亡しているキャラは死亡した後)
SO2:本編終了後、BS前
VP:レナスとルシオはAエンド後 ロキとフレイはChapter7〜8辺り?
VP2:アリーシャ、ルーファス共にユグドラシルのオーディン戦後
RS:人間編END後?
TOP:チェスターは未来編突入直後


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板