したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

架空戦記系ネタの書き込み その127

962名無しさん:2021/12/08(水) 02:10:22 HOST:167017014222.ppp-oct.au-hikari.ne.jp
その日、大英帝国の輝かしい世界最大の巡洋戦艦がついに海の底の住民となった。
尤も士気が下がるような現実が一つ。
大英帝国の上層部にとって、インコンパラブルの撃沈は惜しいけどすでに計算道理だったと言って良い。

大連合の同盟勢力として振る舞う協商だが、あくまでも同盟勢力であって従属勢力では無い。
『米ソの結婚』とまで称される『大連合』、そしてそれに対抗するべく主に日独伊が中心となって結成された『枢軸』。
その狭間に揺れるかつての超大国の残骸、大英帝国と欧州の軍事帝国フランスが手を組んで作り出した第三局。
それが、『協商』だ。とはいえ、大連合と枢軸の二正面作戦をするつもりは無い。

故に、大英帝国は陣営のオークションを開き、大連合の同盟勢力と落ち着いた。
だが、逆に言えば、名目上は対等なのだ。対等な協商がサボタージュを図る……わずかでもそう見える行為を働いたら
この大戦争の時代の大連合はどう反応するだろうか?
また、今や完全に枢軸と大連合の絶滅戦争となりはてたこの全球大戦の時代において、そんな大連合に全面的に迎合して
活動して、枢軸側が協商陣営をどう見るだろうか?
故に、協商は全力を尽くして枢軸と戦っていると言うアピールを。同時に協商は枢軸を滅ぼすほどの大戦争は望んでいないという
メッセージを。その両方を常に発し続けると言う綱渡りを強いられている。前時代の遺物にして、世界最大の巡洋戦艦は都合がいい。


「閣下、ドイツから、追加で燃料とフリッツXを供与するので、イタリア艦隊の元に合流せよと。
負傷者、並びに救助活動はスペイン軍が引き受けるので即刻行動願いたいと」
「……つまり、追加の敵がいるんだな? 何処だ?」
「大西洋方面、ジブラルタル沖70キロの地点に協商、フランス艦隊が集結中。目的はジブラルタル英国航空要塞の救援」
ため息。そして一呼吸。先ほどまでの喧噪は消え果て、沈黙が支配する司令部。その静寂を破るのはやはり指揮官の声。

「よろしい。せっかくのジブラルタル攻略が無意味になるよりは、ここですべてを出し切ってスペイン軍に救助された方が
よさそうだ……」
「司令、そのような発言は……」  「スペイン軍に救助されれば、本国への帰還はもう決まったような物だよ。時期は不明だがね」
「……スペインの参戦を期待されないのですか?」  「それこそまさかという物だ」
『防共と世界平和のための枢軸同盟条約連絡会議(枢軸陣営)』に参加していながら、この大戦に全く
関わろうとしない国、それがスペインだ。当初、ワイマールドイツ連邦のナチス総統兼連邦主席大臣のヒトラーもそんなスペインに
条約違反を理由に武力懲罰を考えていたようだが、そのスペインが今やヨーロッパ枢軸陣営における巨大な穀倉地帯として機能すると
もはや何も言わなくなっている。

「スペインの米も慣れればおいしいものだ。だが、いい加減日本の米が食いたくなってきた。それだけだよ」
スペインが工業製品でも無く純粋に食料を格安で枢軸に提供しているだけ。カネを払うのなら大連合や協商にも売るよ!
と言う態度をとり続け、工業製品が一つも含まれていないことをアメリカ大使やソ連大使に開けっぴろげに公開しているが故に
人道的な見地から『食料輸出をする野蛮な戦争国家!』などと言って仕掛ける事も出来ない大連合はフラストレーションが溜まっている。
だが、それはそれとして、今やスペインは枢軸、大連合、協商という世界の三大陣営それぞれの苛烈な諜報合戦、外交交渉の場として
機能し、その国家的立場を世界に確立しつつある。
そんなスペイン軍に救出されれば遠からずスペイン政府の手によって、本国へ送還されるとして、最前線の兵士たちには人気が高い。
イタリアのパシリももう疲れた。艦隊は消耗しすぎている。この上激戦が続くとなれば、もうその道を選ぶ方がいいかもしれない。

「だが、その前にやるべき事はやっておく。フランス艦隊を海の底に沈めてやろう。これが我々の最後の仕事と思うべきだ」
イタリア海軍のヴィットリオ・ヴェネト級(リトリオ)戦艦が見える。

「ジブラルタル航空要塞の主要な滑走路はドイツ軍によって破壊されました。まもなく航空優勢は完全に我々の手に落ちます」
「では、行こうか。リトリオの頭を我々が守ろう」




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板