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架空戦記系ネタの書き込み その122

601yukikaze:2021/03/14(日) 17:00:32 HOST:p454250-ipngn200309kamokounan.kagoshima.ocn.ne.jp
この時までは、陸軍の発想は健全であったと言える。
だが、いくつかの問題が、この健全な発想を歪めることになる。

まず1番目の問題は、誘導装置の開発の難航であった。
無線によって遠隔操作するという方策であったことから、親機からの誘導に対し、誘導弾が確実に司令電波を
受信する必要があるのだが、1930年代以降の政治的・社会的混乱から、先端技術に関してアメリカは英日の
後塵を拝する状況になっており、部品の小型化・安定化において躓きを見せていた。

2番目の問題としては、誘導方法である。
人間が誘導弾をリモコン操縦するという性質上、使いこなすにはかなりの訓練を積む必要があり、命中精度は
射手の技量によって大きく左右されていた。
また、相手の反撃で射手がひるんだ場合には誘導弾を見失って無駄弾になることも多くなることが予想された。
航空機からの投下時には着弾まで誘導弾の後部から操縦しなければならず、投下後すぐに有効な回避行動をと
る事ができないのも問題で、しかも、投下する航空機が高速化すると着弾まで誘導を継続する事も困難だった。

3番目の問題は、威力であった。
確かに同機材は、中型爆撃機用として14インチ砲弾を、大型爆撃機用として16インチ砲弾を利用することで、
機材の共通化を計るとともに、どの機体でも使えるように計画されていた。
しかしながら、これらの砲弾は、巡洋艦以下の艦艇には十分な威力を発揮できるものの、条約以降に建造され
た艦艇相手には威力が過少であった。
コスト低減を考えているとしながらも、通常の対艦用爆弾と比べれば高価であり、費用対効果的に割に合うの
か(それ以前に、未だ航空攻撃で戦艦が沈んでいないことから、戦艦相手に航空攻撃で沈むのかという懐疑
の声が強かった)という否定的な声も無視できなかった。

後世の視点で見ると、3番目については難癖に近い意見であるのだが(事実、陸軍航空隊は威力面への批判に
ついては「14インチ砲弾使用のb型は、小型艦艇を主としており、戦艦撃沈用ではないと明記しているのに
なんで戦艦に対する攻撃力だけで判定しているんだ」と、海軍側に対して猛烈に反論している。)、1と2に
ついては問題であり(陸軍側は、2については「B-17とB-25が母機であり、ちっとやそっとの被弾では問題な
い」としていたものの、欧州方面で急カーブで損害率が上がった結果の前には説得力がなく、1については、
解決の目途が立たなかった)、同案は構想のまま消えようとしていた。

だが、1945年春の連合艦隊主力による遣欧派遣艦隊の出撃、更には6月のパナマ運河失陥という2つの凶報が
葬り去られようとしたプランを復活させることになる。
「日本は必ずハワイを狙ってくる」と予想し、徹底的に時間稼ぎをするべく要塞化されたハワイは、日本側の
パナマ攻略によって完全に遊兵化されてしまっただけではなく、西海岸における迎撃プランそのものすら無意
味にされてしまったアメリカ軍上層部の混乱はすさまじいものであったが(事実、ロングと折り合いが悪かっ
たキング作戦部長は「病気療養」を理由に事実上更迭され、後任にはスタークとなっている)、それ以上に
混乱したのがロングとその取り巻きであり、彼らは聞くに堪えない罵詈雑言を浴びせたのち、押し寄せてくる
敵主力艦隊を撃滅する新兵器開発を厳命することになる。

この時、ロングから出された命令は非常に単純明快であり

・ 開発から実戦配備まで半年
・ 敵の新鋭戦艦も撃沈できるだけの威力
・ 確実に作動する兵器であること
・ これ以外の問題については一切考慮しない

と、「言いたいことは分かるが、もはや無茶を通り越して無謀」といって良いレベルの代物であった。

そして、この大統領の厳命と、戦局が悪化し続けるのと比例するように、権限と横暴が強くなっていく『合衆
国秩序維持隊』の圧力、そして近い将来必ず来襲する日英連合艦隊の恐怖に、陸軍の航空兵器開発局の担当者
達は、禁断の扉を開くことになる。
彼らが取りまとめた計画書の内容を列挙すると以下のようになる。

・ 無線誘導を廃し、有人による操縦とする。
・ 頭部の爆弾は全備重量の約80パーセントとする。
・ 爆弾は徹甲弾とし信管に100パーセントの信頼性を持たせる。
・ 極力高速とする。
・ 航続距離は最低限とし、敵艦隊の防空火力圏外から射出できれば可とする。
・ 目標を照準するに足る程度の安定性、操縦性を持たせる。
・ 極力小型として組み立て、分解が容易く狭隘な地下壕等にも多数格納しうるようにする。
・ 構成材料には比較的入手容易な木材や鋼材を用いる。




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