したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

架空戦記系ネタの書き込み その122

472yukikaze:2021/03/07(日) 17:04:09 HOST:p278014-ipngn200405kamokounan.kagoshima.ocn.ne.jp
もっとも、イギリスの政治家の中には、キング・ジョージ五世級戦艦に満足していないものもいた。
その筆頭が、後に敵対者から「戦争屋」と罵られることになるウィンストン・チャーチルであったのだ
が、彼は、フランスの対独宣戦布告によって海軍大臣に復帰するや否や、キング・ジョージ五世級戦艦
の後継艦を策定するように海軍に厳命することになる。
チャーチルにしてみれば、キング・ジョージ五世級戦艦は、ルイジアナ級戦艦相手には十分に抑止にな
るものの、同級の後継艦であるアメリカ級戦艦相手に勝てるかは微妙であり(チャーチルは、アメリカ
級戦艦が20インチ砲を積むものと推測していた)、更に言えば、質的に互角であっても量で負けてしま
えば押しつぶされるだけと判断していたのである。

このチャーチルの判断は、イギリス海軍の大艦巨砲主義者からも一定の理解を得ることはできたが、と
はいえ装甲板や主砲の製造についてのハードルをどう超えるかが問題であった。
装甲板については、一枚板と比べると耐久性に難があるとはいえ、二枚の装甲を結合させることによっ
て対応するという方策も考えられたが、イギリスの装甲板の供給能力は飽和状態であり、どれだけ頑張
っても1943年以降にならないと供給は無理であった。
主砲に至ってはさらに問題で、18インチ砲以上の供給ができるのは1社のみであり、そして彼らはキン
グ・ジョージ五世級の主砲で手いっぱいであった。

この現状を受けたチャーチルは非常手段を取ることになる。
彼は、同盟国である日本に対し、主砲及び戦艦用装甲板の共同開発という実績を盾に、2隻分の戦艦用
装甲板と主砲の売却を求めたのである。
1943年以降になれば自国でもなんとかなる以上、チャーチルとしては取り急ぎ2隻分の戦艦の資材を確
保することで、アメリカの冒険主義に対する抑止力を形成しようとしたのである。

このチャーチルの働きかけに対し、日本海軍では大和型戦艦の就役が遅くなるとして難色を示したもの
の、イギリス海軍の強化は、結果的に日本の利益になるとして、予定していた大和型戦艦7番艦と8番
艦の装甲と主砲を売却することを決定している。
もっとも、装甲板についてはともかく、主砲については予備砲身の問題等もあって、1942年後半以降順
次引き渡しという契約になってしまい、これが後に大きな問題になってしまう。

そんな未来はつゆ知らず、装甲板と主砲の獲得に目途がついたイギリス海軍は、キング・ジョージ五世
級の後継艦として、同級を拡大し、20インチ砲3連装4基備え付けた超大型戦艦の建造にゴーサインを
出すことになる。これこそが、1941年度戦艦として建造されることになるクイーン・ヴィクトリア級戦
艦であるのだが、同艦が就役するまでには、これ以降も様々な苦難を乗り越える羽目になる。

まず最初の苦難は、1942年11月から始まった第二次世界大戦である。
ニューファンドランド沖海戦において、ロイヤルネイビーが空前の大敗を喫してしまったことで、イギ
リス海軍の戦艦部隊の戦力は激減。
地中海において、フッド級4隻を有するカニンガム提督率いる地中海艦隊が奮戦し、イタリア艦隊が後
詰に出たことで、地中海の制海権こそ何とか維持できたものの、イギリスにある手札が、キング・ジョ
ージ五世級戦艦5隻を除けば、防御に弱点のある聖人級1隻とI級2隻だけであり、圧倒的に不利であ
った。

しかも、悪いニュースは続き、日本から主砲等を輸送する特殊輸送船『エハングウェン』が、4度目の
航海中、アメリカ海軍潜水艦の手によって爆沈してしまい、日本からの主砲供給の再開がどれだけ頑張
っても、1945年以降になりかねないという問題が発生したのである。
無論、日本の同種輸送船を使えば時期は早まるだろうが、日本海軍にしても優先されるべきは自国の戦
艦用であり、更に言えばイギリスにしてみても、特殊輸送船1隻よりも、大型タンカーや高速輸送船の
方が優先度が高い事を考えれば、わざわざ特殊輸送船を最優先で建造するだけの説得力に欠けていた。

そして止めとなったのが、アメリカ海軍が建造をしているアメリカ級戦艦が、20インチ砲戦艦ではなく
22インチ砲戦艦であることが諜報によって判明したことであった。
流石に搭載門数こそ極秘にされていたものの、想定よりもさらに上の主砲を搭載した戦艦である事実に、
イギリス海軍が頭を抱えたのも無理はなかった。

主力となる戦艦群の壊滅。次期主力戦艦に使用する主砲等は3基9門のみ。しかも仮想的であるアメリ
カ海軍の次期主力戦艦は22インチ主砲搭載。
この状況に、チャーチルは決断を下すことになる。




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板