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日本大陸を考察・ネタスレ その151

376名無しさん:2019/05/15(水) 18:42:20 HOST:softbank126077075064.bbtec.net
日蘭世界妄想 ジョルジュ=ビドーの憂鬱 5
1979年 FFRエストシナ植民地 エスト=デ=パリ(旧上海)
ジョルジュ=ビドーの乗る公用車がメインストリートをパレードしていた。
周囲はこちらに歓声を送る白人たちがいた。FFRはエストシナ地域での白人移民政策を積極的に進めていた。このまま移民が進むと、エスト=デ=パリは旧杭州にまで市街が広がることになるのだという。
黄色人種もちらほらといた。この地区まで現地人が入り込むことはないはずだから名誉白人か他国人だろうか
ふと、空を見上げるとモニターが側面についた飛行船が地上の光景を映していた。車列はそのままエスト=デ=パリ中央駅に入っていった。
駅の中には護衛用だという装甲列車が止まっていた。ビドーはそれを見てしばし感傷に浸っていたが、すぐに専用列車に乗り込んだ。

1948年5月25日パリ某所
ちょうど日付けが変わった直後だったが、キム=フィルビーは喜びを抑えきれなかった。
かつて、キム=フィルビーは理想と現実の差異に苦しみ鬱屈した日々を送っていた。
自らが主とすべきソヴィエトはロシア内戦の傷跡からの復興を名目にスターリニズムという唾棄すべき思想のもと資本主義国に尻尾を振り続けている。スターリンの後を継いだマレンコフやフルシチョフと言った者たちも資本主義者の走狗に過ぎなかったのだ。
だが、そんな日々に一筋の光が射した。モスクワからの指令が届いたのだ。『ペタン没後のフランスにおいて混乱を引き起こし、将来の社会主義革命の礎とすべし』、と。フィルビーは狂喜した。クレムリンの中にもあのフルシチョフとは違って真の理想に燃える革命戦士がいたのだと。
当時の英国政府内ではペタン没後のフランスへの対応策を決めかねていた。フィルビーはそこを突き、目立たないように、『指令』の線に沿ってフランスを混乱に陥れる策を講じ、それとなく提案をした。
予想外の味方もいた戦時経済相のラウンデル=パルマーだ。彼は自らの組織であるSOE(特殊作戦執行部)の解体を避けるため実績を必要としていたからだ。
最終的にアメリカからのレッドセルによる改竄と捏造を受けた情報を元に作戦の実行が決定された。
だが、フランスに来てからフィルビーの気は変わった。共産党書記長のトレーズと彼が紹介したジャン=ムーランに会うに連れ彼の気持ちは変化していった。
これだけの動員力があり、実戦経験を持つ組織がありながら、混乱を引き起こすだけだと?冗談じゃない。やるならば革命だ。かのレーニンの如く。
『指令』は完全に暴走を始めていたのだが、それに気づく者も、気にする者もいなかった。

1948年5月25日 午前2時 ヴェルサイユ
議論が続いていた。といってもその内容は鎮圧の支援を英国に要請するか、かつての中国兵狩りに恩のあるOCUにするか、それとも共産党にするかというなんとも情けないものだった。
「いい加減にしたまえ。この地は英国でもなければ、OCUでもなく、ソヴィエトでもないんだぞ。ここはフランスでフランスにはフランス軍がいる。」ビドーがイライラしながら言った。
「しかし、首相いま叛乱を起こしているのはその軍なのですよ。」
「その通りです。先の大戦ではOCU相手に尻尾をまいて逃げたばかりか、中国兵の跳梁跋扈を許す始末で…」
次々と反対意見が出る。だが、ビドーは屈しなかった。「ではペタン元帥はどうかね?」部屋が静まり返った。エストシナの英雄を出されては黙らざる得なかった。
「私は元帥がフランス軍を信頼したように、私もフランス軍を信頼している。すでにパリは包囲下にあると聞く、各司令官に敵を撃滅するように命じたまえ。」
「敵…ですか、」困惑したように誰かが聞いてくる。
「そうだ。現在パリを占拠している自称救国委員会を名乗る者達はフランスの敵だ。」
フィルビーの『指令』いや『計画』が破綻し始めた瞬間だった。

1948年5月25日15時 パリ東駅
そこはフランス共和国第一スパッヒ連隊改め救国フランス委員会スパッヒ部隊が占拠時にいた利用客や駅員を人質に立てこもっていた。
「なあ、なにか聞こえないか?」同郷の兵士が聞いてくる「そうかな」と兵士が答えようとした瞬間ホームに鋼鉄の塊が突っ込んできた。それは銃眼から銃を突き出すとこちらに向かって発砲してきた。やつは装甲列車だ。
グラース銃しかない自分たちでは歯が立たないと思い外にいるはずのルノーシャールDを呼びに行くように命じた。その頃、パリ各地の駅でも同様の事態が起きていた。政府軍の武力鎮圧が始まったのだ。
この瞬間フィルビーの『計画』は破綻したのだが彼自身はそれに気づいてはいなかった。




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