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中・長編SS投稿スレ

1earth:2011/02/01(火) 18:51:32
中編、長編のSSを書くスレです。
オリジナル、二次創作どちらでもどうぞ。

2earth:2011/02/01(火) 18:56:23
ネタスレに書き込んだ『未来人の多元世界見聞録』をこちらに纏めたい
と思います。

3earth:2011/02/01(火) 18:57:06
 未来人の多元世界見聞録 第1話

 誰もが一度は経験したことのある歴史の授業。興味がない人間にとっては眠気との戦いとなるその時間で
一人の少年が先生の授業を興味深く聞いていた。
 少年の名は桜坂耕平。このたびめでたく志望した高校に入学した高校一年生だ。しかしその彼にはある
秘密があった。

(まさか、生まれ変わったら1000年以上も経っていたなんて、まるで浦島太郎だな)
 
 彼は前世の記憶があったのだ。彼が死んだのは西暦2010年の日本。死因は交通事故であった。

(この世界で覚醒したときには混乱したけど、いまじゃすっかり馴染んじまったな。まぁ馴染まないと
 生活できなかったからな)
 
 彼がこの世界で覚醒したのは3歳のときだ。当初はあまりの状況に混乱したが、今では何とか普通に
生活している。
 当初は昔の家族のことを思い出すこともあったが、今では完全に割り切って、今の家族を大切に思っていた。

(それにしても、まるでSFだよな。まぁ俺の存在が一番、SFみたいだけど。いやむしろオカルトか?)

 22世紀中盤に開発された超光速航行技術、21世紀のSF風に言えばワープ航法によって人類の生存圏は
拡大した。止まることのない人口の増加、そして資源の枯渇という問題に頭を悩ませていた人類はあらたな
フロンティアを求めて太陽系の外、銀河系のあちこちに進出していった。
 そして彼が今、生活しているのは地球から3000年光年離れた植民地惑星アルカディアだ。
 大航海時代の初期に日米主導の下で開発された殖民惑星であり、現在は周辺宙域の経済の中心地として機能している。
 1000年前だったら、妄想として切り捨てられるような状況が、現実として目の前に存在している。それを思うと
少年は苦笑せざるを得なかった。

4earth:2011/02/01(火) 18:57:46
(前世で長生きはできなかったけど、こういう人生というのも貴重だな。せいぜい、今を楽しむとしよう)

 そんなことを考えていると、授業が終る。
 その日の授業は歴史の授業で終わりであったので、生徒の誰もが帰り支度をする。そんな中、友人達が話しかけてきた。

「コーはこの連休、どっかいくのか?」
「特に予定はないな……お前らは?」
「家族と一緒に異世界旅行さ。この前、親父が新しく次元航行船を買って張り切っているんだ」
「へ〜、それって敷島重工の新型?」
「そうそう。親父の奴、奮発して買っちゃったんだ」

 ワープ航法が開発されてから800年余りがたち、人類の生存圏は銀河系から他銀河、さらには並行世界にまで
広がりつつあった。そして今では個人で異世界へ旅行することさえできるようになっていた。
 
「アグレッシブだな」
「まぁな。お前も少しは外に出たらどうだよ」
「俺の趣味はわかっているだろう?」
「はいはい、お前もすき物だよな。あんなやたら金の掛かる上に、マニア向けのゲームをするなんて。
 おまけにパソコンをあんなレトロな形にするなんて」
「うるせーよ」

 そういうと、耕平は教室を後にした。

5earth:2011/02/01(火) 18:58:46
 家に戻るや否や、耕平は自分の部屋に戻りPCを起動させる。だが何故か彼のPCは21世紀初期のPCそっくり
だった。

「やっぱりPCはこうじゃないと」

 昔の記憶のせいか、どうもこの時代のPCが好きになれない耕平はPCを自作して、昔つかっていたPCと同じ
形をしたものを作ったのだ。尤もその性能は段違いであったが。
 鼻歌をうたいながら、彼は最近嵌っているゲームを起動させる。同時にゴーグルのようなものを被り、さらに
水晶のような形をした機器に手をかざす。
 
「さてさて、急いで宇宙艦隊を編成しないと」

 ゲームの名は『航空宇宙軍の興亡』。10年ほど前にでたゲームでたもので、当時はそれなりに流行ったゲームなの
だが、今では廃れてしまい、プレイヤーの数も大幅に減少している。
 ゲーム内容はいたってシンプルだ。プレイヤーは与えられた物資と資金をもちいて惑星を開拓し、工場を建設する。
そして工場で宇宙戦艦を建造して宇宙艦隊を編成。そのあと対戦相手のプレイヤーの根拠地を攻め落とすというものだ。
 ただしこのゲームは仮想空間で戦うのではなく、ゲーム会社が構築した並行世界の人工の宇宙空間で実際に宇宙艦隊を
PCから操作して戦い合わせるのだ。実に豪勢なゲームと言える。
 無論、豪勢な分、ゲーム会社に支払う金も高い。さらに昨今、数え切れないほどの娯楽があるために、このゲーム
に熱狂的にはまるプレイヤーもそう多くはない。
 だが桜坂はその数少ないゲームプレイヤーの一人だった。そして彼はそのプレイヤーの中では懐古主義者として
有名であった。
 何しろ彼は自前の宇宙艦隊を20世紀から21世紀のアニメや漫画、小説に出てきた兵器で編成していたからだ。
他のプレイヤーはあまりのセンスの古さに、桜坂が本当に高1なのか疑っている。
 しかしそんな疑惑の視線や声にめげるほど、彼はへタレではなく、今日も今日とてお気に入りの兵器を量産して
宇宙に浮かべては悦に浸っていた。

(これぞ未来世界の醍醐味だよな〜。ふふふ、色々とアルバイトした甲斐もある)

 ゲーム代金が高いために、彼はアルバイトをして小遣いを稼いでいた。
 自分が遊ぶ金を親にせびるほど、彼の性根は腐っていないのだ。

6earth:2011/02/01(火) 18:59:23
 彼が今勤しんでいるのが、宇宙戦艦ヤマトに出てきた地球防衛艦隊の再現だった。
 現在、戦艦ヤマト、アンドロメダ級戦艦2隻、主力戦艦36隻、巡洋艦81隻が就航してプレイヤーの根拠地
惑星上空に遊弋している。
 宇宙艦隊総旗艦・アンドロメダの艦橋のメインモニターには、堂々たる宇宙艦隊が映し出されている。
 この光景をみた一人の老人がニヤリと笑いながら言う。

「ああ、やっぱりアンドロメダ級は良い。それに主力戦艦も。ヤマトもいいけど、やっぱり量産型戦艦って
 いうのは軍オタの浪漫だよな〜」

 この老人、いや老人に見えるアンドロイドは、この人工的に構築された世界における桜坂の代理人であった。
 このゲームではプレイヤーは総司令官として用意されたアンドロイドと五感をある程度リンクさせる
ことができる。このためこのゲームではまるで自分がその場にいるような臨場感を味わうことが出来るのだ。
 勿論、老人のモデルは土方艦長だ。アンドロメダに乗るのはこの人物以外にない。
 ちなみにヤマトならば沖田艦長、バーミンガムに乗るときは、ワイアット大将と、乗る船によって彼は
アンドロイドの外見を変えている。マニアなりのこだわりと言えよう。

「どうせ、連休前に対戦相手なんて現れないだろうし、今日も今日とて艦隊整備と工場建設、それに資源惑星
 の探索に勤しむとしようか。はやくヤマト完結編の戦艦を作りたいしな」

 そういうと、彼は指揮下の宇宙艦隊から偵察艦隊を編成して周辺宙域の探索に出撃させた。
 それは普段と何ら変わることのない作業。そう思っていた。偵察艦隊が『それ』を発見するまでは。

「何だ、これは?」

 偵察艦隊から寄せられた映像に、桜坂は眉を顰めた。

「ブラックホール? まさか。そんなものがでるって情報はルールブックにはなかったぞ。
 それにそんなものが出たなら、ゲーム会社から障害メールが来るはずだし」

 ブラックホールと思われた『穴』。しかし詳しく調査するとブラックホールとは異なるものが明らかになった。

「……何なんだ、これは?」

 ゲーム会社に異常ということで報告するべきかどうか悩んだものの、彼は自分でこの穴の向こうがどうなって
いるのかを調べてみることにした。

7earth:2011/02/01(火) 19:00:23
「まぁこの人工宇宙そのものが古くなっているからな。でも、人工宇宙が古くなったらどうなるかは興味深い」

 そういうと彼は早期警戒機仕様のコスモタイガー2を穴の中に突っ込ませた。
 
「さてさて、どうなることやら」

 うきうきしながら待つ桜坂。だが、10分後に寄せられた映像に彼は絶句することになる。
 映像には穴の先に、さらに多数の穴が存在している光景が広がっていたのだ。

「……ええい。一番右の穴に突っ込ませるか」

 彼はそう指示した。

「さて鬼が出るか蛇が出るか」

 ひさしぶりに味わう緊張感と気分の高揚。彼は偵察機から何が齎されるかを楽しみにして待つ。
 そしてさらに20分後、待望の映像がメインモニターに映し出される。

「赤い星……?」

 赤い星。だがそれはどこかで見たことのある星であった。それも前世の、1000年前の世界で。
 だがどこかは思い出せない。

「惑星にもっと近づかせてみるか」

 コスモタイガー2はさらにその赤い惑星に近づき、惑星地表の映像をアンドロメダに送る。
 その映像の中に、彼は信じられないものを目にすることになる。

「あ、あれは……まさか、そんな馬鹿な」

 思わずよろめく桜坂。目の錯覚かと頭をふり、目をこするがその光景は変わらない。

「何故だ、何故ハイヴがある?」

 かつて前世でプレイしたことのあるゲーム。あいとゆうきのおとぎばなし……マブラヴ。
 そのゲーム世界に存在した敵、BETAの巣窟ハイヴ。それがメインモニターに映し出されていた。

8earth:2011/02/01(火) 19:02:58
 未来人の多元世界見聞録 第2話『史上最短の作戦』

 コスモタイガー2からの報告によって、その星が火星であることが確認されると、桜坂はこの世界が
マブラヴ、いや正確に言えばマブラヴ世界に類似した世界であることを悟った。

「何と言うことだ……」

 メインモニターに映し出される映像から目を背けて、桜坂は思考をまとめる。

「落ち着け、俺。実はこれもゲーム会社のイベントかも知れないじゃないか。何しろ俺は数少ないお得意様
 だからな」

 そういうと、桜坂はメールボックスを確認する。だがそこには何の告知メールも無かった。
 見落としがないか何度もボックスを見渡すが、結果は同じだった。
 
「……ということはゲーム会社は、このことを関知していないということか。
 しかしこんな大きな異常があるのに、何も言ってこないなんて……ゲーム会社の怠慢のような気がするな」

 だがこれはある意味、好機でもあった。自分の手元には地球防衛艦隊だけでなく、マクロスやガンダムと
言った作品の艦隊もある。これらを送りつければBETAを撃破することは難しくないだろう。
 むこうの世界が何年かはわからないが、仮に月にBETAが進出していない時代なら、これから起こる
悲劇を食い止めることができるだろう。もし地球にまで攻め込まれていても、第5計画が発動されていなければ
人類を救うことは出来る。彼の手元にはそれを可能にするだけの軍事力が存在する。
 しかし問題もあった。

9earth:2011/02/01(火) 19:03:34
「連休明けには、学力テストがある。あんまり長々と遊んで、いや介入していたら勉強時間が削られて成績が下がる……」

 切実な問題だった。
 いくらマブラヴ世界の人間からすれば、神に等しい力を持っている桜坂とは言え、リアルでは一学生に過ぎない。
 そして学生の本分は勉強なのだ。
 異世界救いに行って赤点とりました、何て洒落にならないのだ。

「それに幾ら、軍事力や科学力で圧倒していても、俺に魔女と交渉ができるとは思えん」

 前世では幾ばくかの社会人経験もあった。しかしながらそんな経験だけであの悪名高い横浜の魔女とやりあえる
と楽観できるほど彼は愚かではなかった。交渉には才能以上に経験と度胸が必要なのだ。
 あの魔女と遣り合うには、少なくとも老練な外交官クラスの交渉術が要るだろう。しかし一介の学生に過ぎない
彼にそんなスキルはない。
 確かに原作知識と圧倒的軍事力があれば多少はやりあえるだろうが、最終的には出し抜かれる可能性があるし
色々と痛くもない腹を探られるかも知れない。美女との歓談は大歓迎だが、そんな精神が蝕まれる会話は御免だった。
 
「……まぁ地球の様子を確認してからでも遅くは無いか」 

 取り越し苦労かも知れないし、そう自分を説得するかのように呟くと、彼は偵察艦隊を地球に向けて送りつけた。
パトロール艦3隻、駆逐艦6隻の9隻から構成される小艦隊はただちに地球に向けてワープを行った。
 ただし地球人類に発見されたら攻撃されかねないので、彼は慎重に艦隊を地球に近づけて情報収集に当たった。
 光学観測から通信傍受と様々な方法で情報を収集する。そしてそれらはタキオン通信で人工宇宙のアンドロメダに
届けられる。アンドロメダではそれがコンピュータによって解析されていく。
 そして1時間後、すべての情報の収集と解析が終了し、その結果が艦長席にある端末に表示される。

「……西暦1997年。日本本土がBETAに侵攻される前で、状況はほぼ原作と同じか」

10earth:2011/02/01(火) 19:04:08
 さてさて、どうするかと彼は悩んだ。
 このままなにもしなければ、何も見なかったことにすれば彼は日常を続行できる。
 普段どおりに艦隊を浮かべて悦に入り、時折やってくる対戦相手を相手に大会戦を繰り広げ、華々しい宇宙戦争
を満喫できる。
 彼からすれば、たとえマブラヴに似た世界であったとしても、そこに多くの人間がいたとしても仮想上の存在と
変わらないのだ。そこで人類が滅亡しようと自分は痛くも痒くもない。映画を見る感覚で要られるだろう。
 頭の片隅で囁く声がする。見捨ててしまえ、恋愛原子核もちのリア充野郎に任せておけば良い、と。
 しかし前世でお気に入りの作品とそっくりの世界を、史実(?)準拠にするというのも面白くなかった。 

「……ふむ。あの魔女や、オルタネイティブ5推進派の度肝を抜いてやるというのも一興かも知れないな」

 まるで悪戯を思いついたような顔をした桜坂は、如何にして介入するかと考える。
 そして暫くの熟考の末、とんでもない方法を思いついた。

「金も掛からないし、手間も掛からない。時間も要らない。それにあちらの人死も少なくて済む。
 まぁ先生が涙目になりそうだが、良いだろう」

 そういうと彼は軍需工廠の管理AIに幾つかの兵器の改良とその生産を命じた。

「私は極力無駄なことをしない主義でね。一気に勝負を決めさせてもらうぞ」

11earth:2011/02/01(火) 19:04:44
 西暦1998年の元旦に桜坂は動いた。
 戦艦アンドロメダ、主力戦艦3隻、巡洋艦6隻、駆逐艦12隻、戦闘空母1隻を中心とした打撃部隊が
地球からやや離れた位置に展開していた。地球環境を考えなければ、これらの艦隊だけで地球にあるハイブを
すべて潰すことが出来る破壊力を持っていた。
 しかしながら今回の作戦では、これらの艦隊は脇役。真打の護衛にしか過ぎなかった。

「宇宙用BETAなんて出てきたら厄介だと思って、護衛艦隊を連れてきたが、杞憂だったか」

 桜坂は周辺に敵影なしとの報告をオペレータ(アンドロイド)から聞いて安堵の息をつく。

「さて、敵がいないのなら、さっさと始めるとするか」

 そういうと、彼は横を見た。そこには何とデスラー艦(二代目)があった。
 
「作戦開始」
 
 彼がそう命じるや否や、デスラー艦は艦首に装備している瞬間物質位相装置を作動させ、デスラー艦の
前方に布陣していた物体群を次々にワープさせる。

「『この一撃が世界を変える』とでも言えば良いか? いやそれには風情がないか」

 だが彼が行おうとする攻撃は、まさに世界を変えるものであった。
 位相装置によって地球の衛星軌道周辺にとばされた彼らは、事前に組まれたプログラムどおりに目標に向けて
突き進んだ。 
 これに慌てたのは、BETAではなく、地球人類であった。何しろ対宙監視システムには直前まで何も不審な
物体は映っていなかったのだ。
 国連軍、アメリカ合衆国軍首脳部は突然現れた物体に大混乱に陥った。あわてて迎撃しようとするもそれらの
物体はその巨体に似つかぬ高速で地球に落下していく。

「また新たなハイブが築かれるのか」

 誰もが悲惨な結末を思い浮かべて悲観にくれた。
 しかしその落下ポイントが、ユーラシア大陸各地にあるハイブであることが算出されると、それは戸惑いに
変わった。

「何が起こっている?」

12earth:2011/02/01(火) 19:05:16
 人類に続いてBETA側もハイブに落下してくる物体に気付いたのか、重光線級、光線級が迎撃に出る。
人類から空を奪った光線属種がハイブを未知なる災害から守るべく、大量のレーザーを物体に浴びせる。
だがそれらはレーザーをすべて弾いて尚も落下を続ける。
 あ号標的と呼ばれるソレは、未知なる災害としてさらに多くの光線属種を迎撃に向かわせた。
 しかしそれでも尚、彼らは落ちない。すでに弩級戦艦でさえ蒸発させることができるほどのレーザーを浴びせ
ているにも関わらず、それらは落下を止めない。
 その様子を見て桜坂はニヤリと笑う。
 
「それにレーザーは効かんよ」

 物体の正体、それはヤマト第1期で出てきたガミラスの超大型ミサイルだ。
 かつてヤマトを地上で撃破しようとして、ガミラスが冥王星から発射したそれは、ハイブに向かって落下を
続けていた。しかしさしもの超大型ミサイルでもレーザーの集中攻撃を受ければ撃破されるのは確実。
 このために桜坂は反則ともいうべき改造を行ったのだ。

「そのミサイル表面は空間磁力メッキをした装甲で覆った。波動砲でさえ弾けるものを、たかがレーザーで
 抜けると思うなよ」

 空間磁力メッキ。あまりの反則振りに原作では無きものにされた対レーザー防御兵器だ。
 ヤマトの決戦兵器である波動砲さえ無力化してしまうのだから、いかにチートな存在かがよく判る。
 
「さて、第二段階の用意だ」

 そういうと、彼は先の超大型ミサイルとは違って、スマートな形の物体をデスラー艦の前に並べる。
 それらこそがハイブ攻略の切り札とも言うべきものだった。

「地表部分や深度の浅い領域のBETAを、超大型ミサイルで潰す。そしてこれで反応炉や大深度の
 生き残りを潰す。うん、まるで無駄がない作戦だな」

 そう言って自画自賛すると、彼は艦橋のメインモニターに視線を向ける。

「さて、もうそろそろ着弾の時間だな」

13earth:2011/02/01(火) 19:05:46
 BETAの必死の抵抗も空しく、1998年現在の時点でユーラシア各地に点在するハイブに次々に
超大型ミサイルが命中していった。
 直撃さえすれば、あのヤマトでさえ沈めうる力を持ったミサイルの破壊力に無傷で耐えうる耐久力をもった
ハイブなど存在するはずがなかった。
 一瞬のうちに、地上のモニュメントは崩壊。さらに地表部分や浅い深度にいたBETAたちは纏めて根こそぎ
蒸発していった。かのオリジナルハイブには念のために3発もの超大型ミサイルが撃ちこまれ、巨大なクレーター
が空くことになった。
 それは第5計画を発動しない限り、この世界の人類ではなしえない大戦果であった。
 しかしそれで終わりではなかった。
 地上やその近くにいたレーザー種が消滅したために、BETAの鉄壁とも言えた対空防衛網に大穴が開いた
状況を桜坂が見逃すはずが無かった。
 彼はBETAが体制を立て直す前に、とどめの一撃を放ったのだ。

「7gfaga0u0gahugfthaogtiaht8953045930dfagaagaga」

 自身がいるハイブどころか、この星中に置いたすべてのハイブのユニットが甚大な被害を受けたことを理解した
あ号は、作業を再開するために何をしたらよいのかを検討した。 
 そこには動揺も恐怖もない。彼にそんな感情はなかったのだ。
 だがその演算の最中、さらなる異変が彼(?)を襲った。
 
「gaite;taei853969e0wurao?!」

 突然壁を突き破って現れたもの。人がみたら間違いなくいうだろう「ドリル」と。
 しかしそんな表現方法を知らないあ号は速やかにそれを排除しようとする。だがそれが適うことはなかった。
 あ号が動き出した直後、それは内部に溜め込まれていた波動エネルギーを解放した。 
 慌てて防御しようとするあ号であったが、波動砲の50分の1程度のエネルギーを前にそれは徒労であった。
 50分の1、たかが50分の1かも知れないが、戦艦級の波動砲はその一撃でオーストラリア大陸を消滅させ
る威力をもつのだ。それを間近で受けて耐えられるわけがなかった。
 かくしてあ号は消滅。さらに反応炉もまとめて吹き飛んだ。 
 この光景は地球上にある全てのハイブでも起こっていた。

14earth:2011/02/01(火) 19:06:16
「作戦は成功だな」

 すべてのハイブと反応炉が消滅したことを確認した、桜坂は満足げに頷いた。
 彼が最後のトドメとして放ったのは、ドリルミサイルだ。かつてヤマトの波動砲を潰し、ヤマトを撃沈寸前に
追いやった兵器を、彼はハイブを潰すためのバンカーバスターに使ったのだ。
 この兵器は惑星内部に打ち込むこともできるので、この用途はもってこいと言えた。
 さらに確実にハイブの奥深くにある反応炉を潰すために、ドリルミサイルには波動エネルギーを溜め込ませて
いた。このため各地のハイブは超小型の波動砲の直撃を受けたような状態となったのだ。
 いくら頑丈さがとりえのハイブとは言え、恒星間戦争で扱われるような大破壊兵器の直撃に耐える力がある
わけがなかった。
 
「すべてのハイブは潰えた以上、オルタ4もオルタ5も中止。
 それに横浜が落ちていないし、G弾もおちていないから、あの武が来ることもない。原作蹂躙ってレベルじゃないな。
 しかしわずか8分で介入終了って、ある意味爆笑ものだな。さて、さっさと戻るとするか」

 そういって笑いながら、彼は自分の世界に艦隊を引き上げさせた。
 こうして1998年1月1日をもって、地球上での対BETA戦争は終結することとなる。
 勿論、この世界の人類が何者が、どのようにハイブを全て消滅させたのか知る由も無かった。
 このため、不審物体が発見されて全てのハイブが消滅するまでの8分間のことを、人類史上最大の謎として扱う
ことになる。

15earth:2011/02/01(火) 19:06:56
 未来人の多元世界見聞録 第3話『The Day After』  
 
 マブラヴに似た並行世界で、地球上に建設されていたハイヴをわずか8分で片付けた後、耕平は再び宇宙艦隊の
整備に没頭した。彼にとっての重要性は『ぼくのかんがえたさいきょうの宇宙艦隊の整備』>『マブラヴ世界』で
あった。ゆえに問題が片付いたと感じたら、彼はその後の世界の情勢など目もくれなかった。

「『しゅんらん』の建造は順調。それに新型の戦闘空母も建造開始。
 何も問題ないな。あとは永遠編の無人艦と完結編の戦艦、巡洋艦の整備を進めないと……ふっふっふ。
 いや、ここは空母群の整備をもっと進めるべきか? 何しろ原作では空母の出番があまり無かったからな」

 原作のヤマト世界では地球防衛軍の空母というのは活躍の機会が少なかった。
 彗星帝国との戦いでは活躍の機会があったものの、他の作品では出番がなかった。これはかの世界で地球が
受けた人的被害が影響していると耕平は考えていた。 

「あれだけ短期間の間に侵略者にボコボコにされたら、いくら人的資源があってもすぐに枯渇するよ」
 
 ガミラス艦隊によって地球防衛艦隊は一度壊滅。さらに地表には雨霰と遊星爆弾が降り注ぎ、100億以上の
人口を誇ったはずの人類は瞬く間に激減した。そんな状況で防衛軍、とくに宇宙艦隊を再建するとなれば人的資源が
苦しくなる。
 さらに言えば短期間で何度も強大な侵略者を敵に回した結果、防衛艦隊は戦役のごとに壊滅的打撃を受けている。
これでは箱物である軍艦を建造しても、それを操る将兵(作中では宇宙戦士)が絶望的に足りないのは間違いない。
そんな状況ではマンパワーを必要とする空母の整備など難しいだろう。 

「だがこの世界は違う。そんな制約はない。ふっふっふ。最強の空母機動部隊を整備してやるぜ……工廠を建設
 するたびに金が取られるのは痛いけど」

 銀行口座の残高を思い浮かべて、少し遠い目をする耕平。

「小遣い、節約しないとな」

 世の中、金だった。

16earth:2011/02/01(火) 19:08:21
 そんな世知辛いことを思いつつも、彼は趣味に没頭。その後、連休明けにあるであろう学力テストの勉強に
取り掛かった。さらに勉強の合間を縫ってバイトにも励んだ。遊ぶ金くらいは自分で稼がなければならないのだ。
 そして学力テストである程度の手応えを感じたあと、彼は久しぶりに『航空宇宙軍の興亡』にログインした。
 それまでの疲れを癒すため、アルバイトで稼いだ金を費やして新たな工廠を購入することを考えていた。

「さぁ〜張り切って新しい工廠を買うぞ」

 このゲームでは保有できる艦隊の規模は工廠の数に影響される。
 何しろゲーム世界(人工宇宙)で作ったとはいえ、実物の宇宙戦艦なのだ。その整備には細心の注意が必要だ。 
 このためプレイヤーは工廠の整備能力を超える数の宇宙船を整備できないとされている。現状でさらに新たな宇宙戦艦を
多数建造したければ、既存の艦を廃棄するしかない。
 しかしそんなことをするつもりは耕平にはさらさらなかった。
 
「親に棄てられる心配がないコレクションを、自分で棄てるか!」

 1000年前の前世で、勝手にコレクションを棄てられたことを未だに根に持っているのか、まずゲームで使うことは
ないであろう艦隊(例:ガンダムのバーミンガム級戦艦、マゼラン級戦艦、サラミス級巡洋艦で構成される連邦艦隊)を
いまだに後生大事に保管している。
 
「さて、次はどんな工廠を買うか。連休中に頑張って稼いだからな……やっぱり、超大型の工廠を買うか。 
 すべて全自動の船もいいけど、やっぱり軍艦っていうのは人(ゲーム中のアンドロイド)が操作してなんぼだし」

 アンドロメダの艦橋の艦長席でニヤニヤしながら、画面に映し出される工廠の情報を眺める耕平。
 ただし外見は土方なので、違和感が凄いと言える。第三者がいたら『違和感、仕事しすぎ』と言うに違いない。
 そんな中、彼はふと『マブラヴ』世界のことを思い出した。

「そういや、結構時間が経っていたよな」

17earth:2011/02/01(火) 19:09:05
 ゲーム世界と現実世界では時間の流れが異なる。このルールをそのままマブラヴ世界に当てはめるなら
6年以上は経っているはずだった。

「ふむ。地球上からBETAは完全に駆逐されているだろうし、うまくやれば今は月奪還作戦の最中かも知れない。
 ひょっとしたらオルタ5の移民船団が宇宙空母に改造されて、戦術機をのせて月に向かっているかも……」
 
 暫く黙り込む耕平。

「戦術機なんて、俺達からすれば超旧式の骨董品だけど、あれが宇宙で戦う姿にはロマンはある。観戦するのも一興か?」

 そう考えると、彼はとりあえず現状を確認するためにパトロール艦と駆逐艦をマブラヴ世界の地球に向かわせた。 
 
「さてさてどうなっていることやら」

 耕平個人としては、あの世界はどんなに諸外国がアメリカを毛嫌いしても、アメリカを頼らざるを得ず、史実以上の
アメリカ一極支配体制が構築されるだろうと思っていた。
 まぁ原作とは違って本土が健在な日本ならある程度は張り合うことが出来るだろうが、それでも地力が違いすぎる。

「TOPがアメリカ、それに日本、ソ連、EUが続くって感じかな?
 まぁユーラシア解放後に、人類同士で戦争をしているってことも考えられるけど……まぁ人型兵器同士の戦いを
 眺めるのも一興だろう」

 そういって報告を待ち侘びる耕平。しかし30分後、アンドロメダの艦橋に信じられない映像が寄せられる。

「何なんだ、これは……」

 アンドロメダの艦橋のメインモニターには、変わり果てた姿で本来の軌道を外れている月と、分厚い雲に覆われた
地球の姿があった。

「一体、何が起こったんだ?」

18earth:2011/02/01(火) 19:09:38
 慌てた耕平は、周辺の情報収集を急いだ。すると大まかながら原因が推測できるようになった。

「月周辺で常識では考えられない規模の重力異常。それに砕けた月。そして大量のBETAの死体。
 まさか、アメリカ軍の連中、月を攻略するのにG弾を大量に打ち込んだのか?」

 耕平の考えはあたっていた。この世界の人類は月奪還のためにG弾を大量運用したのだ。  
 だがそれは耕平がやったBETA駆逐作戦も大きく影響していた。 
 1998年1月1日に行われた大気圏外からの攻撃によって、すべてのハイヴは根こそぎ消滅した。
 何者かがどのような兵器を用いて行ったかは判らないが、大量破壊兵器を用いてハイヴを叩くという戦略が
妥当であるということが証明されたとアメリカ合衆国首脳部、特にオルタ5派は判断した。
 ゆえに彼らはG弾の整備とその運用を強力に推し進めていった。勿論、すでに地上にBETAはいない。
G弾を使うとなると同じ人類に向けてということになる。
 しかしBETA大戦が終って間もない状況で、アメリカがG弾を同じ人類に向けて使うのは些か問題が
多く、さらに汚染の問題もあり地球上での使用は難しかった。
 かと言ってG弾の運用を進めていた派閥、特にバビロン作戦を推進していた人間達がG弾の使用を諦める
ことはなかった。
 彼らはアメリカの力、いや正確に言えば自分達の力を見せ付けるための場を求めた。
 それが2004年に行われた月奪還作戦だった。
 彼らはユーラシアをG弾で焼き尽くす代わりに、月をG弾で焼き尽くすオルタネイティブ6を立ち上げた。
 そしてオルタ5で建造された移民船団を宇宙艦隊に仕立て上げたあと、月に攻め込んだ。多数のG弾を携えて。
 彼らの目論見は当初、的中したと思われた。月にいたBETAはアメリカ戦略宇宙軍艦隊が撃ちこんだG弾に
よって大打撃を受ける。
 これによって同行していた国連軍も勢いづいた。彼らは一気に月を奪い返そうとした。
 しかし悲劇はそこで起きた。原作のオルタ5発動後に起こった悲劇が、月で形を変えて起こったのだ。
  
「ユーラシアが水没する代わりに、月の一部が砕け、軌道から逸れた。そしてその破片が地表に降り注いだと
 いうわけか」

 月の破砕と軌道の変化だけでも地球環境に甚大な影響がでた。そこにさらに少なからざる数の隕石が降り
注いだのだ。人類は溜まったものではなかった。
 もはや地球は人間が生存可能な環境ではなくなりつつあった。
 人類はBETAではなく、激変した地球環境によって滅びようとしていた。

19earth:2011/02/01(火) 19:10:11
 未来人の多元世界見聞録 第4話『状況分析』
 

「何? つまり結局、この世界の連中って自滅したってこと?」

 自分が導き出した結論に、耕平は頭を抱えた。
 しかし同時にアメリカがG弾に頼りたがっている理由もよく判る。何しろ通常兵器や核兵器ではハイヴに大きな
損害を与えられないのだ。さらに言えばBETAの無限とも思える物量。
 これらに対抗するには尋常ならざる破壊力を持つ兵器が必要と考えるのは当たり前と言える。 
 しかしかといって多用したらどんな悪影響がでるかも判らないものを、わざわざ追い詰められた状況でもない
時に使うというのは馬鹿げている……少なくとも耕平はそう思った。

「ULアフターならイザ知らず、ここで使うか?」

 ため息をついて、この世界のアメリカの無謀振りを嘆くが、嘆いたところで目の前の現実が変わるわけでもない。
 彼は思考を切り替えてどうするかを考える。しかし答えなど簡単に出なかった。
 
「つまり、この世界の未来を切り開こうとするなら、最低でもオルタ4を成功させ、反オルタ5派と協力しつつ
 G弾を多用することなくユーラシアを奪還。そのあと人類を纏めて月の奪還をしなければならなかったと?
 ……無理ゲーにも限界があるぞ。いや無理ではないかも知れないが、きついぞ」

 確かに軍事力と技術力は自分が圧倒している。工廠だって設定を変えれば兵器以外の物資だって生産は出来る。
 これらの物資をこの世界につぎ込めば、そんなシナリオも不可能ではなかったかも知れない。

20earth:2011/02/01(火) 19:10:43
 しかしそれを行うということは、この世界にどっぷり浸かるということに他ならない。面倒な折衝をする必要も
あるだろうし、恨みやつらみを買うこともあるだろう。何しろ圧倒的な力で乗り込むのだ。既存の勢力とぶつかる
のは間違いない。
 人類を救いうる力があったとしても、実際にその力を適切な形で行使するというのは難しいのだ。そしてその
力をもって偉業を成し遂げたものこそが英雄となる。

「俺は英雄じゃない。単なるチート野郎だからな……」 
 
 ふっと自嘲する。尤も彼の場合、自身の能力をきちんと自覚しているだけマシだったと言えるが……。
 
「それに全力でこの世界を救っても、俺に現実的メリットって無いんだよな……小遣いの残高と勉強時間が
 減るだけだし」

 学生の本分は勉強。それは前世からの経験から自分に言い聞かせていることであった。
  
「まぁしかしここで何もせずに見て見ぬ振りをするというのは、目覚めが悪いからな」

 そういうと彼は、さらなる情報収集を行うべく、ステルス性能に優れた潜宙艦(ガトランティス帝国製を参考に建造)を
送り込むことにした。さすがにこれ以上地球に艦を近づけるとなると、ステルス性能に優れた艦が必要だった。

「さてさて、どうなるか」

 軽口を叩く耕平。だが潜宙艦が報告した内容に、彼は再び頭を抱えることになる。

21earth:2011/02/01(火) 19:11:16
「……月の破砕の影響で人類の航宙戦力は壊滅。地球は月の軌道の変化と隕石の落下で大打撃。どうしろと?」

 月の軌道が変化したことで、地球では異常気象や火山の噴火が起こっていた。加えて隕石の落下によって 
各国は大打撃を受けていた。
 世界経済を支えてきたアメリカは半ば灰燼と帰し、BETA大戦において後背地として機能していたアフリカや
オーストラリアも大都市の幾つかが吹き飛ばされた。 
 日本は直撃こそ免れたものの、朝鮮半島に落着した隕石の影響で日本海沿岸が津波に襲われ、甚大な被害を
受けていた。
 さらに大量の粉塵が空中に舞い上がり、世界を氷河期もかくやという状況に追いやっている。
 これだけでも十二分に拙い状況と言える。だが悪い報告はそれで終わりではなかった。
 これまで辛うじて降下ユニットを迎撃してきた米軍中心の防衛網が壊滅していた。おかげでBETAは再び地上に降下
してハイヴを建設していた。それも北米ロスアラモスに。
 これを押さえるための戦力はすでに北米に存在しなかった。 

「現地時間が西暦2005年1月27日。月周辺宙域に浮かぶ残骸から回収したデータから月が崩壊したのは
 2004年6月12日。あの惨劇から約7ヶ月。どれだけの人類が生き残っているのやら」

 ため息をつきながら、耕平はメインモニターの向こう側に映る地球に視線をやった。

22earth:2011/02/01(火) 19:11:52
未来人の多元世界見聞録 第5話『最後の希望』


 大日本帝国帝都京都。長い歴史と伝統を持つ帝国の首都であったが、その首都を行き交う人々の顔色は悪かった。
 あの忌々しいオルタ6の発動とその後の『大崩壊』によって、日本は大打撃を被った。幸い隕石の直撃こそなかった
ものの世界経済の破綻、気象変動と津波の被害は大日本帝国を蝕んでいた。
 さらに大混乱の中、北米に新たなハイヴが建設されたとの情報が、国民の士気をさらに下げていた。

「何でこんなことになったんだろうか……」

 世界の誰もが一度はそう呟く。
 1998年1月1日、天空より飛来した未確認物体群は、光線属種の執拗な迎撃をものともせずに全てがハイヴに
落着。そのあと、ハイヴは全て消滅した。
 この報告を聞き、そしてそれが真実であると知った人類の多くは歓喜した。何しろあの忌々しいBETAがこの星から
消え去ったのだ。これほど喜ばしいことはなかっただろう。
 だがBETAが消えたからと言って、平和が訪れることはなかった。
 BETAの脅威を理由に押さえ込まれていた様々な問題が噴出した。さらに一気にユーラシアが解放されたことで
ユーラシア諸国がその後の国境線や残された資源を巡り対立を開始した。
 そんな状況下で、アメリカは自国の圧倒的な宇宙戦力を持って各国を威圧し、事態の沈静化に動いた。
 米軍の圧倒的武力やBETAを駆逐した謎の存在への対応のために各国は一旦矛を収めたものの、いつ戦火が再びあがるか
判らない状況だった。
 そんな中、アメリカは各国をまとめて月の奪還を主張した。彼らからすれば宇宙、特に近場の月から来るであろう
BETAを迎え撃ちつつ、地上の各国の相手をするのは面倒だった。故に彼らはG弾によって一気にBETAを片付け
地球の問題にじっくり取り掛かることを考えたのだ。また同時に月から速やかにBETAを駆逐することで、BETAを
駆逐した謎の存在(恐らく異星人)にも備えようと考えいてた。
 しかしそれはさらなる悲劇の始まりであった。
 G弾を集中して使用した結果、月の一部が崩壊。これにより月が本来の軌道を外れた結果、地球は未曽有の異変に襲われた。
そして月から落ちてきた隕石がトドメを刺した。地球の総人口はすでに6億人を切っている。
 そんな混乱の中、再び現れたBETA。それは人類に滅亡を予感させるに十分なものであった。

23earth:2011/02/01(火) 19:12:26
 そんな中、帝国は状況を逆転させるべく、あらたなオルタネイティブ計画を計画していた。
 オルタネイティブ7。それはオルタネイティブ6によって荒廃し滅亡に向かっている地球人類を救う計画とされていた。
 だが計画の実態を知る人間達は、計画が成功するかについて疑問を抱かずには居られなかった。
 しかしそれでも尚、その計画に頼らざるを得ないというのが人類の窮状を示していた。

「BETAと敵対しているであろう『異星人』に救援を頼む……これしか手がないとはな」

 自宅の書斎でオルタ7に関する報告を部下から聞いていた前総理大臣榊是親は自嘲した。
 そんな是親を、同席していた帝国陸軍大将・彩峰萩閣が慰める。

「ですが、敵の敵は戦術的には味方という話もあります。計画が成功すれば、7年前と同じようにBETAを
 地球上から掃討することも不可能ではないでしょう」

 1998年1月1日。たった8分でハイヴと周辺のBETAは根こそぎ消滅した。
 一般人はこの結果に歓喜したが、各国政府や軍部はこの事態に衝撃を受けた。
 何しろ人類はこの攻撃を直前まで察知できなかったのだ。もしもBETAを駆逐した存在が気を変えて自分達に矛先を
変えれば、駆逐されるのは自分達となる。
 彼らは必死になって謎の存在を解明しようとしたが、どのように衛星軌道に物体(恐らくミサイルのようなもの)を
送り込んだかも判らなかった。
 ただしそれを成した存在は、自分達とは隔絶した技術力を持った存在であることは容易に推測できた。
 そして同時に各国は、この攻撃を実施した存在はBETAと敵対しているとも考えた。BETAが他の惑星で地球と
同じようなことをしているのなら、戦争になるのは間違いないからだ。
 そしてオルタネイティブ7とは、この存在に助けを求めるというものだった。 
 あまりに無謀。運任せ。否定的な言葉しか出てこないものであったが、現状ではそれしか手が無かった。
 軍事的にも、経済的にも人類はすでに末期だったのだ。

24earth:2011/02/01(火) 19:13:00
「だがそのあと、異星人たちが地球人類に対して友好的である理由もない……それに」
 
 そこまで言うと彼は口を閉ざした。それ以降の台詞は政治家である彼が口に出してよい言葉ではなかった。

(仮にBETAを駆逐できたとしても、帝国を再建できるのだろうか?)

 彼の考える通り、仮にBETAを駆逐できたとしても、地球環境の激変によって人類は生存できるかさえ判らなかった。
 氷河期のような気温の低下、相次ぐ火山の噴火、地震の多発。天変地異の数々に人類は痛めつけられていた。
 そして日本にとってさらに頭の痛いことに、隕石の落下によって、ユーラシア大陸の汚染された土壌が大量に大気中に
巻き上げられ、それが日本に降り注いでいたのだ。
 放射能や重金属によって汚染されたそれらは森や水源を汚染し、日本列島を生存不可能な土地へと変貌させつつある。
 日本政府は必死に浄化を行っているものの、森林や田畑は次々に汚染され荒廃している。食糧生産は絶望的だった。
 頼みの綱の合成食さえもはや作ることが難しくなっている。何しろ環境の激変によって海中のプランクトンが激減したからだ。
 残された道は外国からの輸入しかないのだが、それも今の状況では不可能だった。余裕のある国などどこにもない。
 合法的に食糧や水を手に入れることができないとなれば、あとは戦争しかない。
 帝国軍内部では、すでに戦争計画が策定中であった。このまま事態が打開できなければ本当に人類同士で戦争となる。
 たとえBETAを再び駆逐できても、このままでは人類は同士討ちをした挙句に滅亡するしかないと言えた。 
 
(帝国を再建するには、あの攻撃を行った存在と取引を行い、何らかの援助を得るしかない)

 それはあまりにも非現実的なことだったが、それくらいしか手は無かった。
 尤もあれだけの攻撃を実行できる存在に対価として差し出せるものなど、今の人類にはなく、現状ではただの
夢想に過ぎない。しかしそれを考えざるを得ないほど彼らは追い込まれていた。

25earth:2011/02/01(火) 19:13:33
 オルタネイティブ7の開始に伴い、日本政府は可能な限り優秀な技術者を集めた。
 大気圏や周辺宙域の環境の激変によって、電波状況は最悪といってよかった。そんな中、恐らく地球を監視して
いるであろう異星人に届くような、そして彼らが自分達の意図を理解できるようなメッセージを作成しなければ
ならないのだ。
 優秀な頭脳はいくらあっても足りなかった。
 最後の希望として日本中から集められた頭脳の中に、オルタ4の責任者であった香月夕呼の姿があった。
 研究者や技術者がせわしく行き来する研究所の様子を見ながら彼女は自嘲した。
 
「まさか、またオルタネイティブ計画に関わることになるとはね」

 地上のハイヴが全て消滅してから3ヵ月後の4月1日に、オルタネイティブ4の中止が決定された。
 当初、誰もが反発するであろうと思っていた彼女は、その決定を受容れ、1999年には国連軍を退役して
隠棲した。
 彼女がすべてを注ぎ込んだ第4計画の中止と、異星人の大量破壊兵器によるハイヴ掃討戦略が成功したことが
彼女からすべての気力を奪い去ったのだ。
 しかしこの逼迫した状況は、彼女の隠棲を許さなかった。
 日本政府は天才香月夕呼を復帰させ、オルタネイティブ7に加えたのだ。
 当初は誰もが彼女が役に立つのかどうか疑問視したが、彼女はその持ち前のバイタリティと能力をもって一気に
現場の人間の信用を勝ち取った。人類の危機に際して、彼女は再び立ち上がったのだ。
 
「まぁ良いわ。あのふざけた攻撃をやってくれた連中の顔を拝んでやろうじゃないの」

26earth:2011/02/01(火) 19:14:07
 未来人の多元世界見聞録 第6話『未来人の二者択一』
 
 マブラヴ世界の日本が藁にも縋る思いでオルタ7を推進している頃、耕平は滅びかけているこの世界に
どのように手を差し伸べるかで頭を抱えていた。
 BETAの駆逐自体は簡単だが、駆逐したとしても人類が今後もこの星で生存できるとは到底思えない。
まぁ極少数の人間は何とか生き残れるかも知れないが……。
 
「……少なくとも人類がこの星で生き残れるようにするには、月と地球の環境を回復しないといけないな。
 おまけに人類が力を回復するまで、BETAの侵攻を水際で阻止しなければならない。
 ……面倒だな」
 
 BETAのような害獣の駆逐は比較的簡単だが、自然環境の再生となると結構手間であった。
 このゲームは曲がりなりにも戦争ゲームであり、環境の再生や整備に関する装備は余り考えられていない。
尤も一部のマニア向けのためにテラフォーミングの技術は一応存在するが……。
 
「環境再生技術は、それ専用の工場が要るんだよ。それに結構値が張るんだ。あれを買うと今度買おうと
 思っている新型の大型工廠が買えなくなる」

 切実だった。地球環境の回復は出来なくはないが、買えば彼の連休中の苦労が水の泡となる。
 目の前の世界を取るか、それとも艦隊の整備(本来のゲームの目的)をとるか、彼は悩んだ。

「あとはマクロス艦みたいな移民船を供給して、別の星で幸せになってもらう方法もあるけど……
 果たしてうまくいくかどうか」

 移民船を供給するにしても、まさか無造作に地上に船を置くわけにはいかない。
 現地政府と接触し、信頼関係を築き、かつ最終的に移民に同意してもらわなければならない。
 しかしそこにいくまでが困難であった。

27earth:2011/02/01(火) 19:14:38
「まぁ普通は信用できないよな〜」

 追い詰められたとは言え、いきなり現れた存在(異世界人)に宇宙の彼方に移民するための船を与えましょう
と言われてホイホイ信用するだろうか……答えは否だろう。
 まぁあれだけ追い詰められていれば、多少は乗り気になってくれるだろうが、それでも彼らを説得するのは
一大事と彼は考えた

「それに生き残った国々で主導権争いが起こるのは間違いないからな……巻き込まれると面倒なことになる」

 BETA大戦の中でも、激しい主導権争いをやらかした国々が、簡単に大人しくなるとは思えない。
 何らかの形で、自国をより優位な立場にしようと画策するのは間違いない。
 そしてその場合、移民船を供給する立場である耕平が巻き込まれるのは確定だった。

「こっちは善意でやっているのに、痛くもない腹を探られ、恨まれ、色々と物品を要求されるかも知れない
 と思うと乗り気がしないな」

 そうぼやくものの、耕平はこのままでは何も決まらないことに気付く。

「まぁ今のところ、こっちが取り得る方法は2つ。
 『地球環境の回復並びに防衛線構築』または『人類の地球圏脱出』。
 力技で推し進められて面倒なことがなくて済むのは前者だけど、新型工廠が買えなくなるのがネック。
 後者はすでに存在するマクロス船団を流用できるからコストが少なくて済むけど、各国との折衝がネック。
 さてさてどうするか?」
 
 さてさてどうするか、と悩んでいると、パトロール艦隊から自軍の勢力圏に向かっている敵艦隊を発見した
との報告が寄せられる。

28earth:2011/02/01(火) 19:16:00
「久しぶりの対戦相手か」

 そう呟いたとき、艦隊旗艦アンドロメダに接近しつつある敵艦隊から通信が入る。

『久しぶりだな。《トリッパー》』

 メインモニターに26世紀の宇宙戦争のときに活躍した某提督が映し出される。
 勿論、それは対戦相手のプレイヤーが、このゲーム世界においている代理人だ。このゲームでは自身の分身を
好きな姿にできるので、誰もが好き勝手に容姿を設定している。
 ちなみにトリッパーとは、耕平のゲーム世界でのネームだ。さすがに本名でゲームをするわけにも
いかない。

「《JP》か。お前も暇だな」
『お前に言われる筋合いはないと思うぞ。で、どうだ。久しぶりに一戦しないか?』
「今からか?」
『どうした? 何か立て込んでいるのか?』
「……ああ、ちょっとな」

 少し言葉を濁す耕平。しかしここであることを思いついた。

「ちょっと聞きたいんだが、お前って環境技術に必要な工廠って持ってる?」
『いや、俺は持っていない』
「そうか……」
『だけど、俺の友人なら持っている。どうした、あんなマニアックな工廠が要るのか?』
「そ、そうなんだ。でもあれって高いだろ? だからどうするか悩んでたんだ」
『そうか。なら譲ってもらえるように俺が話してやろうか?』
「ありがとう、頼むよ」
『だけど引き換えに、この会戦に』
「判っているって。あと、そっちの艦隊と戦えるタイプの艦隊を用意するから」

 かくして、耕平は環境技術工廠を手に入れた。
 尤も引き換えに保有している艦隊のいくつかが甚大な損害を被ることになったが。

29earth:2011/02/01(火) 19:16:35
 未来人の多元世界見聞録 閑話『絶望の大地』
 
 耕平が別次元の宇宙で大規模な艦隊決戦(ただしゲーム)を繰り広げている頃、マブラヴ世界の
地球では各地で絶望的な光景が広がっていた。

「純夏、純夏!!」
  
 病院の一室で白銀武は、ベットに横たわる幼馴染の鑑純夏に必死に呼びかけた。
 しかしながら彼女は苦しむばかりで、武の問いかけに答える余裕は無かった。
   
「先生、純夏は治るんですか?!」

 彼は傍に居る医師に尋ねるが、医師は無情にも首を横に振る。

「今の状態では満足な医療はできない。精々、今の症状が悪化しないように手を打つだけで手一杯だ」
「そんな……」

 ユーラシア大陸から流れてくる汚染された粉塵は、日本列島の自然環境だけでなく、そこに生きる 
人々をも苦しめていた。
 環境の著しい悪化によって、どこの病院も病人で満席、いやベットすら足りず、廊下に寝かされる
患者さえ居る。
 それを考えればベットの上で治療を受けられる純夏はまだ幸運と言えただろう。
 何しろ医薬品すら不足し、何の手当ても受けることが出来ず、苦しんで死ぬ人間さえ居るのだから。

「何で、何でこんなことに。折角、BETAがいなくなったって言うのに……畜生」

 1998年1月1日に、全世界のハイヴがほぼ同時に消滅したとのニュースが世界を駆け巡ると 
世界中の人々は狂喜した。これでBETAの恐怖に怯えなくて済む、そう考えれば無理も無かった。
 勿論、喜んだ人間の中に武や純夏もいた。何しろ当時は次の戦場は日本列島と思われていたのだ。
日本帝国も学徒動員を推し進めており、世相は決して明るいものではなかった。
 『本土決戦』が現実味を帯びてきたのだ。
 故にその暗い将来図が取り除かれたときに彼らは歓喜した。一部の人間は神風が吹いたとまで言った。

30earth:2011/02/01(火) 19:17:08
 1999年以降、ユーラシア大陸各国の思惑の隔たりが明らかになり、国際情勢が緊迫していく
に連れて、さすがに浮ついた気分はなくなった。それでも、これから明るい未来が待っていると誰もが思った。
いや、思っていた。あの忌々しい『大崩壊』の日までは。
 2004年6月12日。オルタネイティブ6の発動による月面総攻撃により、月は引き裂かれ、引き裂かれた
月の一部は崩壊しつつ、地球各地に降り注いだ。この日以降、人類はBETA大戦よりも遥かに厳しい戦いを
強要されている。

「米軍が余計なことさえしなければ……」

 武の呟きは、日本人、いやアメリカ人以外の地球人類なら誰もが一度は呟いたものだった。
 そして偶然にも武と同じ時間に、似たような言葉を吐いた人間がいた。それも帝都京都の中枢で。

「米軍が余計なことをしたおかげでこの様か!」

 彼女の名は月詠真耶。
 彼女は仕える主である煌武院悠陽の執務室に向かう中、窓の外の光景を見て歯を食いしばる。
 現将軍・煌武院悠陽の忠臣である彼女は、国民が苦しむ姿を見て、心を痛める主君にかける言葉がなかった。
 何しろどこをどうみても明るい要素などないのだから。
 故にこの事態を引き起こした張本人たちに憎悪の念を抱いていた。故に彼女は忌々しく呟く。

「あのような者達を守らなければならないとは」

 生き残った人々はこの危機を引き起こしたアメリカとアメリカ軍を憎悪した。帝都の大使館では投石騒ぎは
日常茶飯事となっている。帝国軍が警備をしていなければ、焼き討ちにあってもおかしくなかった。
 尤も警備している軍人達さえ、本当はアメリカ人に対して憎悪を抱いているのだから、アメリカ人は生きた
心地がしなかった。  

(オルタネイティブ7。あの計画が最後の頼みの綱か)

 彼女は誰もが眉唾ものと思いながら、最後の希望をかける計画のことを思い出す。
 
(殿下も、オルタネイティブ7が成果を見せれば、多少は……)

 淡い希望を抱きつつ、彼女は主君の待つ部屋に向かった。

31earth:2011/02/01(火) 19:17:44
 帝国本土が荒廃しつつある頃、北海道とその周辺地域では人類同士の戦いが起こっていた。
 ソ連軍製戦術機の集団と帝国軍戦術機甲部隊があちこちで火花を散らしていた。 
  
「カール3、フォックス3!!」
「カール4、フォックス2!!」

 帝国軍戦術機甲部隊は統制された動きでソ連製戦術機を迎え撃つ。

「くそったれ、ロスケの盗人供が!!」

 撃震のパイロットは突撃銃を撃ちながら、毒づく。

「陸続きになったからって、やりたい放題やりやがって!!」

 大崩壊とそれに伴う気象変動で、地球は氷河期同然の状態となった。これによって北海道は樺太経由で
ユーラシア大陸と陸続きとなった。このため大陸の住人は船を使うことなく日本列島に来れるようになった。
 そして目の前にいるソ連製戦術機は、大陸からの来訪者であった。ただし招かざる、歓迎できない客だが。
 
「毒づくのはその辺りにしろ!」
「判っている!」

 2機の撃震は互いをフォローしつつ、ソ連製戦術機の群れに立ち向かう。彼らは搭乗機が旧式機でありながら
 2機のMiG−21に加え、第二世代機であるMiG−29を1機撃墜する。
 その傍らで、部隊を指揮しつつ、不知火を操って3機のSu−27を撃墜した女性が何かを確信したかのよう
に呟く。

「連中、最初に来ていた奴らと違って、まともに統制が取れていない。やはり……」

 そんな中、彼女の部下によって1機のMiG−27が撃墜される。
 この光景を見て、彼女、神宮寺まりもは断言するように言った。

「奴ら、満足に補給や訓練を受けていない」

 大崩壊によって世界各国は大打撃を受けた。
 世界の盟主であったアメリカは国土に多数の隕石が降り注ぎ半ば灰燼と帰し、現在はBETAによる侵攻と
異常気象によって混乱の真っ只中だった。市民の暴動、そして市民と難民の衝突も相次いでおり、国家体制は
崩壊寸前と言えた。
 一方、かつてはアメリカのライバルであり、共産主義の総本山でもあったソ連は国家ごと崩壊した。

32earth:2011/02/01(火) 19:18:21
 ユーラシア大陸に落下した隕石は復興途上の都市を壊滅させ、さらにこの異常気象によってソ連首脳部が
いたアラスカは文字通り氷に閉ざされた。アメリカからの支援があれば何とかなっただろうが、そのアメリカも
他国の支援どころではなかった。
 そして国民を養えなくなった国家の行き着く先はひとつ。崩壊だった。
 ソビエト連邦は見るも無残に崩壊した。これまで支配されてきた民族は、次々に叛旗を翻した。
 彼らはこれまで受けた屈辱を晴らすかのごとく、ソ連支配層やそれに従って甘い汁を吸っていた人間達に
攻撃を加えた。
 勿論、支配層も反撃を行うが、すべてを押さえることはできなかった。何より産業、政府中枢であった
アラスカ自体が異常気象によって完全に氷に閉ざされてしまったのが痛かった。 
 食糧、資源の両方を絶たれた彼らは最終的に反乱軍によって蹂躙された。一部の人間は逃亡に成功したものの
大半のエリートは処刑されることになった。
 しかし反乱軍の団結もそこまでであった。彼らは数少ない資源と食糧を巡って対立し、内ゲバに勤しんだ。
 そしてその余波で、一部の旧ソ連軍が頻繁に北海道に押し寄せることになったのだ。
 食糧や資源を求めて南下してくる彼らを迎え撃つのは帝国軍の仕事と化していた。

「落ち着いて対処すれば問題ない。連中はひよっこ同然だ」

 半ば盗賊と貸した旧ソ連軍部隊を迎え撃つ仕事。相手は練度が低下している上、補給も途絶えがちなので
大した脅威ではないが、それでも気分が高揚するような仕事ではない。
 かつて人類の未来のために、絶望的なBETAとの戦いに臨んでいた時のほうがまだ士気も高かっただろう。 

(いつまでこんなことが続く?)

 自問自答するまりもだったが、答えはでなかった。
 激変した地球環境、そして再度現れたBETAを前に、今日も人類は絶望的な戦いを続けていた。

33earth:2011/02/01(火) 19:21:57
まとめて見ると、結構長いですね。
試験的に書いてみた主人公最強(笑)SSなのに……。
それにしても改めて見ると原作ブレイクにもほどがあるような(汗)。

34名無しさん:2011/02/01(火) 20:16:50
イインダヨー、グリーンダヨー。
スレ立て乙です。

35ヒーヌ:2011/02/01(火) 21:07:39
全く問題なし、ドンドンキテ━ヽ(゜∀゜)/━♪

36名無しさん:2011/02/01(火) 21:38:19
乙でした。

面白いから問題ありませんw

37earth:2011/02/02(水) 22:27:16
『提督たちの憂鬱』が進まないのに、何故かこちらの筆が進んでしまう(笑)。
まぁ駄文ですが、どうぞお付き合いください。短めですが妄想と勢いで突っ走る第7話です。


 未来人の多元世界見聞録 第7話『未来人の対BETA戦略』


 絶望的な戦いがマブラヴ世界で繰り広げられている頃……耕平は宿題に勤しんでいた。

「くそ……難しいな。やっぱり高校となると習う内容が」

 といいつつ、PCを使って参考になる文献をネットで探す。
 遥か昔から本は完全に電子化されており、ネットワーク上で閲覧することが可能だった。
 お目当ての本を探し当てると、彼はすぐに画面上に開いて読み始めるが、すぐにため息をついた。

「31世紀ともなると習う内容が半端ないな。1000年前だったら、こんなの学生が習う内容じゃないぞ」 

 文明の著しい進化によって、子供が学校で習う内容は著しく高度なものとなっていた。 
 今の知識量でも、彼がマブラヴ世界に行けばすぐに天才科学者としてもてはやされること間違いなしだ。
 そのことに気付いた耕平は、一瞬黙り込んだ後、気まずそうに呟く。
  
「……というか、この世界の技術情報を一部でも夕呼先生にでも渡しておけば、あの世界ってあんなことに
 ならなかったんじゃね?」

 耕平の額に少し冷や汗が流れた。

「……いやいや結局、あの2週目の武が来ない限りは理論完成しないから意味がないだろう」

 そう言って彼は自分を納得させる。

「まぁアホなことを言ってないで、さっさと宿題済ませないとゲームの時間が減る。
 折角、環境技術の工廠を入手したんだから、有効に使わないと」
 
 相変わらず『リアル』優先思考の耕平だった。

38earth:2011/02/02(水) 22:27:54
 宿題を終えた耕平は、すぐにゲーム世界に直行すると環境技術工廠(ただしお古)を起動させて
地球環境再生に必要な物資の生産を開始させた。

「地球環境を再生するには、まず月を元に戻さないと……」

 耕平は月を元の形状に修復するのと並行して、人工天体技術を使った引力、重力制御を行う予定であった。
 G弾による重力異常も段階的に解消していくつもりだ。これにより月は元の状態に戻るはずだ。   
 この作業に必要な各種ユニットを生産するのが今のところ第一の目標だ。

「次は地球の海、大気と土壌をある程度もとに戻す」

 次にテラフォーミング用のナノマシンをばら撒き、海や大気、そして土壌の浄化を行う。
 これによって汚染された物質が地球を循環するという状況を改善できる。
 さらに大気中に漂う塵などを取り除き、氷河期同然となっている地上表面に太陽の光が届くようにする。

「そして最後に破壊された自然環境の修復だな。まぁユーラシアはどうしようもないけど、他の地域の
 ならまだ何とかなる」

 ユーラシアはBETAによって綺麗さっぱり平地にされてしまい、環境が激変している。
 これを元に戻すのはさすがに難しい。時間と金をかければ出来ないことはないかも知れないが、そこまで
やる必要性を耕平は感じなかった。

「あとはこの世界の人類で何とかしてもらおう」

 これだけ至れり尽くせりでやるんだから、あとのことは知ったことじゃない……耕平はそう思った。

「俺は神様じゃないんだから」

39earth:2011/02/02(水) 22:28:50
 勿論、地球環境の再生に力を注ぐ一方で、耕平は人類を新たなBETAの脅威から守るための
準備も進めていた。

「最初の標的は火星だな」

 地球人類が力を取り戻すにはかなりの時間が必要となる。その間に新たなハイヴを築かれたら
彼の苦労が水の泡となる。
 そんな事態を避けるためには、火星の奪還は必要不可欠だった。

「火星を奪い返したら、順次、太陽系のほかの惑星をこちらの支配下に置く。
 最終的には太陽系を中心とした3000光年の領域をBETAから奪い返しておけば問題ないだろう。
 あとは太陽系外周部には防衛艦隊でも配備しておけば安全は確保できるだろうし」

 さすがに銀河系全域のBETAを駆逐するのは耕平単独では難しい。 
 ゆえにある程度の領域の奪還にとどめることにしたのだ。しかしBETAには原作に出てこない未知の
種類がいる可能性が存在する。これに対応するために耕平はとんでもない手を打った。

「ジオイド弾の大量配備を急がないとな」

 それは20世紀から21世紀にまたいで長く続いた超人を主人公にした漫画に出てきた兵器だ。
 その兵器の特徴を一言で言えば『地球破壊爆弾』といったところだろう。
 実際、数発で地球サイズの惑星を文字通り木っ端微塵にする破壊力がある。
 耕平は超大型ミサイルとドリルミサイルでは対応できないようなBETAが住んでいる惑星が確認された
場合は、この兵器を容赦なく撃ち込むつもりだった。
 波動砲の一斉発射をするというのも手だったが、BETA、又は珪素生命体が波動砲に対応したら面倒
なので、最後の最後まで切り札として温存するつもりだ。

「あとは派遣艦隊の編成だな。補給艦隊もつれていかないと。
 ……戦闘で戦術機の『せ』の字も出てこないが、あの膨大な数のBETAとわざわざ地上でガチ勝負を
 してやる理由はないからな。というかあんな連中に細かく対応していたら幾ら時間があっても足りない」
 
 こうして彼は物騒な準備を推し進めた。

40earth:2011/02/02(水) 22:30:45
 あとがき
 介入が本格化する前の主人公の戦略立案のお話でした。
 それにしてもマブラヴSSなのに、この主人公は地上戦をしようとしない……。
 というかこの人、面倒な敵がでてきたら本当に恒星系ごと破壊しかねません。
 原作が影も形もない(笑)。浪漫と金と余暇があったら主人公も地上戦に付き合ったのでしょうけど。

41New ◆QTlJyklQpI:2011/02/02(水) 22:45:18
片手間での介入故にざっくばらんな対応にw。
てめえ俺らの星なんだと思ってやがる!と抗議が来ないことを祈る。

42名無しさん:2011/02/02(水) 23:11:12

確かに地上でうじゃついてるやつらより対処が簡単そう

43名無しさん:2011/02/03(木) 00:37:48
なんか、主人公がある意味、Rtypeの地球軍な思考になっちゃっている

ところでジオイド弾の元ネタって何ですか?

44PHS:2011/02/03(木) 00:40:56
超人ロックじゃないですかね

45名無しさん:2011/02/03(木) 01:01:35
この主人公、そのうちカルネアデス計画始めそうだ。

46名無しさん:2011/02/03(木) 01:16:34
また、アメリカがアホな事することがないように日本に贈り物(VFやMSなどの艦載機)して強化させた方がいいのかな?

47New ◆QTlJyklQpI:2011/02/03(木) 01:19:29
まだクーデターが起こってないから軍部が暴走しそうだし「兵器より食糧を!」
という政府筋との意見衝突が起こるでしょう。

48名無しさん:2011/02/03(木) 01:35:10
>>43
超人ロックの惑星破壊兵器
しかも量産が効く、運用が簡単と言う悪夢。

とある科学者がその思想の初手として作成した

49名無しさん:2011/02/03(木) 03:32:26
>それは20世紀から21世紀にまたいで長く続いた超人を主人公にした漫画に出てきた兵器だ。
それゲームの運営会社が倒産するフラグだ。

テスト後、準備が終えて戻ったら又何年経っているんだろうか?

50earth:2011/02/03(木) 22:00:28
皆様、感想ありがとうございます。
ジオイド弾、というか超人ロックを知っている方が結構多くて驚きました。
まぁアワーズやフラッパーでも今掲載していますからね……。
あの2つの雑誌がつぶれないか心配です(笑)。
それでは、相変わらず妄想と勢いで進む第8話です。
拙作ですが、お付き合いしていただけたら幸いです。

51earth:2011/02/03(木) 22:01:20
 未来人の多元世界見聞録 第8話『状況開始』

「派遣艦隊出撃せよ!!」

 耕平の命令と共に総数で400隻に迫る数の派遣艦隊が根拠地から出撃していく。
 総旗艦アンドロメダ以外にエリス、アルテミス、しゅんらん、ネメシスのアンドロメダ級戦艦5隻に加え
主力戦艦40隻、巡洋艦90隻、駆逐艦150隻、戦闘空母16隻、潜宙艦40隻を中心とした打撃部隊に
加え、これらの打撃部隊を支えるための支援艦隊やデスラー戦法に使うためのデスラー艦も付き添っている。
 打撃部隊だけでも太陽系を完全に破壊して余りある力を持っているのに、さらにこの艦隊は300発もの
ジオイド弾を搭載していた。
 1惑星につき3発を撃ち込んだとしても、実に100個もの地球サイズの惑星を粉砕できるのだ。
 マブラヴ世界の人間達からすれば、BETAよりも遥かに凶悪な存在であった。彼らの実力を知ったら
卒倒する人間がでるのは間違いない。
 しかしそんな大艦隊を率いる人間は、焦っていた。

「拙いな。急がなければ……」

 何しろムダに費やせる時間はなかった……そう、彼のリアルの事情から。

「今週のバイトのシフトが急に変わるって……そりゃないだろうよ」 

 アンドロメダの艦橋にある艦長席でそうぼやく耕平。
 
「バイト代を弾んでくれるのは良いが……もう少しゆっくり介入したかったな。
 まぁ良い。ジオイド弾の定数は揃っている。それに北米もBETAの増殖が酷い。さっさと潰して回ろう。
 環境修復用の機材は十分とは言えないけど、そうも言ってられない。生産と修復を同時並行するしかないか。
 それに戦闘も地上のBETAの掃討程度ならAIに委任していても問題ないだろう」

52earth:2011/02/03(木) 22:02:02
 耕平は地球派遣艦隊旗艦『長門』との通信回線を開かせた。するとメインモニターに小柄のショートヘアの
女性型アンドロイドが司令官席に座っていた。彼女こそ地球派遣艦隊司令官に抜擢されたアンドロイドであった。
 わざわざメインモニターに映像を回さなくても指令なら出せるのだが、こういったやり取りを重視する癖が耕平
にはあった。

「というわけで頼むぞ、長門中将」
『了解』
 
 そう返事をしたのは21世紀の少しオタが入った人間なら誰もが知っている、どこぞのインターフェースの
宇宙人の少女(眼鏡非装備)であった。
 プレイヤーの分身であるアンドロイドをデザインできるのだから、艦隊に配属できるアンドロイドを自分好みに
作れるのは当然だった。 
 ちなみに地球派遣艦隊は《長門》艦隊と耕平は呼んでいる。

「参謀長も、どうか頼む」
『了解しました』

 そう返事をしたのは長い髪の少女だ。彼女のことを見れば誰もがこういうだろう。《朝倉》と。 
 2人の美少女が敬礼をした直後、通信回線は切られた。

「あの2人はやっぱり絵になる。戦場にも華がいるから作ったんだが、うん、正解だったな」

 その気になれば2人を自分の傍にはべらせることもできるのだが、耕平はそんなことをするつもりはない。 

「戦争ゲームで設計した美少女アンドロイドをはべらせるって……どんな痛い人間だよ」

 前世は多少オタが入った人間であった耕平だが、さすがにハーレム願望はない。
 というかむしろハーレムって世界征服と同じで、メリットあまり無いだろうと思っている現実的な人間だった。 

「英雄、色を好むっていうけど、女性関係で破滅した男が如何に多かったことか」

53earth:2011/02/03(木) 22:02:46
 そう嘆息した後、彼はすぐに艦隊の指揮に戻る。
 彼の直卒する第1艦隊は火星のBETA掃討後、順次他の太陽系の各惑星を制圧する予定だ。その後は
太陽系外に出撃する第2艦隊、第3艦隊、第7艦隊の後詰めとして太陽系内に待機することになっている。
長門艦隊は第1艦隊の分艦隊として地球に張り付いて、地上のBETAの掃討と月の修復に取り掛かる。

「まぁあの死に掛けの人類が何かできるとは思わないけど、アホな連中がG弾で特攻をかけてきたら
 堪らないからな」

 長門艦隊は新たなBETAの襲来に対する備えであるのと同時に、人類がこちらを敵性宇宙人と見做して
攻撃してきた場合に備えての護衛だった。
 尤もあの世界の再突入駆逐艦くらいの船なら、戦艦どころか駆逐艦でも対応できるが……。

「排水量が5万トンを超える大型戦艦が宇宙に浮いていれば、アホなことを考える人間も減るだろう」

 耕平は砲艦外交をこの世界の人類に仕掛けるつもりだった。

「さて、さっさと掃討に取り掛かるか。時間もないし」

 そう言うと、彼は指揮する第1艦隊をさっさとマブラヴ世界の火星宙域に進出させた。
 そして艦隊陣形を整え終わると、耕平は即座に前回どおりデスラー艦の前に超大型ミサイルを並べる。
 こちらの動きに対して、BETAは何の反応も見せない。

「ルーチン作業、というか信長の野望とかHOI2のラストみたいな色塗り作業のような気がするが
 始めるとしようか」

 かくして火星のBETAは滅亡を宣告される。

「作戦開始」

 その言葉と同時に、デスラー艦の瞬間物質位相装置によって多数の超大型ミサイルが次々と火星上空に
送り込まれた。
 火星にいたBETAには光線属種がいなかったためか、超大型ミサイルは何の妨害も受けることなく
火星各地のハイヴに降り注いだ。

54earth:2011/02/03(木) 22:03:17
「まぁ火星には地球以上の数のBETAがいるけど……前(2話)の3倍の数の超大型ミサイルを
 撃ち込めば掃討は可能だろう」

 耕平は実に情け容赦なかった。
 火星にいたBETAは、何が起きたかを知るまでも無く、いきなり現れ落下してきた大量破壊兵器に
よってまずモニュメントを吹き飛ばされた。
 マーズゼロの重頭脳級が何が起きたのかを理解する間もないうちに、第二射の超大型ミサイルが瓦礫の山
とかした各地のハイヴに降り注ぐ。
 続く爆発によって超高熱がハイヴの中を駆け巡り、中に居た無数のBETAを燃やし尽くしていく。
 そして最深部に残された反応炉も、波動カートリッジ弾を内臓したドリルミサイルによって次々に
木っ端微塵にされていった。
 マーズゼロを筆頭にして、大規模なハイヴが乱立していたはずの火星表面は瞬く間にBETAの死骸
と瓦礫の山によって埋め尽くされた。
 
「連中は何が起きたのかも判らないだろう。まぁそれこそ、こちらの狙いなんだけどね」

 BETAがこちらの正体や戦術を知ったら、どんな手を打つか判らない。
 まぁ所詮は資源採掘ユニットに過ぎないので、そこまで進化するとは思えないが、それでも手札は
隠したほうがよい。何事も用心に越したことはない

「さて火星の奪還は終了。あとは基地でも作っておくか」

 こうして僅か12分で火星奪還作戦は終了した。

「そういえば、地球はどうなっているんだ? まぁたかが数個のハイヴだから大して手間は取らない
 と思うけど」

 耕平がそんなことを呟いている頃、地球周辺宙域にたどり着いた長門艦隊は、地球から宇宙に
向けて放たれた電波を受信していた。

55earth:2011/02/03(木) 22:03:56
あとがき
 というわけで長門&朝倉ペア登場です。
 宇宙人でロボットといったら彼女達は外せません(笑)。
 まぁオリジナルと違って、あんな怪物じみた能力はさすがに持っていませんが、常人よりかは
 はるかに強いです。性格は原作準拠を考えています。
 気が向いたら他のキャラも出してみるか……。
 さて火星のBETAはわずか12分で全滅です……地球のBETAとあわせて20分しか掛かってない(爆)。
 この主人公に対抗するには珪素生命体が登場するしかないか?
 それではこの辺りで失礼します。

56名無しさん:2011/02/03(木) 22:10:27
乙でした。

ああ、いい所で!
長門さんの交渉術は次回か…
どこと交渉するのかな?

57名無しさん:2011/02/03(木) 22:34:50
乙〜

長門に朝倉w 何というか、交渉失敗の予感w

58New ◆QTlJyklQpI:2011/02/03(木) 23:06:10
>眼鏡非装備
なん・・だと!

59New ◆QTlJyklQpI:2011/02/03(木) 23:11:10
>アホな連中がG弾で特攻をかけてきたら
もう地上のハイブに仕掛けていそうだが・・・。

60名無しさん:2011/02/03(木) 23:53:30
この主人公、全く地球と交渉する気がないなあ。
交渉相手をロボットに丸投げで本人は地球の近所に近づく予定さえないとか。

だが、それがいい。
本人にとってなんの利益にもならないのに無駄に精神的な負担を味わいに行く必要はないよね。




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