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没作品投下スレ
82
:
毒吐き2862
:2007/03/17(土) 02:44:15 ID:obbHa4eY
良かった……。本当に良かった……!
しんのすけの名前は呼ばれなかった。なのはちゃんと光ちゃんの探し人もまだ生きている。
確かに、それは喜んでも良いことかもしれない。
ただ、これだけは忘れてはいけない。またも十に近い尊い命が奪われてしまったということ。
そしてその中に知ってた名前がいくつもあったこと。
「よぉ、良かったじゃないか。あんたのガキ、まだ生きてるらしいな」
「ええ。でも……」
「……あの沙都子ってクソガキと、そこの人形のお仲間の心配をしてるんだったら、そいつはいらんせっかいだ」
ガッツの無粋な言い方に、あたしは憤慨を堪えきれず抗議の声を上げる。
「ちょっと! そんな言い方無いじゃない!」
「あいつらは二人とも俺たちを襲ってきた。ならそいつらの仲間ってのも信用できん」
「それは……そうかもしれないけど……」
「わかってるだろ。ここはそういう―― !?」
突然会話を切り上げ、振り返ったガッツ。もしかして誰か帰ってきたの?
「? ねぇ、どうしたのガッツ?」
巨体の脇から部屋の入り口の方をのぞき見ると、そこには知らない少女が立っていた。
見るからに全身ボロボロ。年端もいかない少女の小さな身体は傷だらけで、こちらをぼおっと見る瞳にも生気は感じられない。
いったい誰? もしかしてあれがフェイトちゃんか風ちゃん?
突然の来客にあたしの頭の中が疑問符で埋め尽くされたとき、あたしの目がバカでかい剣を構えるガッツの姿を捉えた……って何してんの!
「いきなり何しとるんじゃあんたー! ほら、こんなボロボロじゃない! ……あーよしよし、もう大丈夫だからねー」
ガッツの巨体の脇をすり抜けて少女の元へ駆け寄る。
あーもー、こんな子にいきなり剣を構えるなんて、いったい何考えてんのかしらまったく。
心の中で不器用な相棒の文句を垂れながら少女に近づいたあたしは気づいた。この子、なにか呟いてる?
「…………て…………サイ……」
「え? どうしたの?」
「サイトみてやっぱりひとがいたよこいつらころすよそしたらサイトはいきかえれるんだよ
ねぇサイトはうれしいよねいまころすからころすからころすころすころす……」
――!? こ、この子……どうしちゃったの!?
少女が手に持っていた鎚を上げるのがやけにゆっくり見える――
「みさえええええっ!」
あたしは覆い被さってくるガッツの巨体に包まれながら、気を失っていった。
最後に聞こえたのは、なにかが爆発する音。
ああ、なんだか花火の音みたいだなぁ――また、家族四人で花火大会行きたいなぁ――
この場に似つかわしくない随分のんきなことを考えながら、あたしの意識は完全に落ちた。
◆ ◆ ◆
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