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「のと」本編

312shin ◆QzrHPBAK6k:2007/04/04(水) 23:40:07
「どれだけ時間があるかが、問題か・・・」
井上が呟く。
ここまでは、計画通りであるとも言えよう。
しかしながら、既に計画には大きな齟齬が発生している。
そこには、二つの要因があった。

一つは、対独戦が余りにも早期に終了した事による問題だった。
それは、鮮やかな勝利であり、欧州全域を覆っていた、新たな戦争への恐怖を払拭したと言う効果は大きい。
しかしながら、実際に戦闘は、ハンブルグ周辺及び、チェコスロバキアのズデーテン地方における小競り合い程度しか発生していない。
勿論、その正面に立たされた、グーデリアンやモーデルは、彼我の戦力差を痛感しているが、それは独逸国防軍全体と言う訳ではない。
せめて、もう少し大きな戦闘が発生し、その結果、独逸国防軍の1個師団程度が、壊滅してくれていれば、その教育効果は大きかったであろう。
勿論、第一兵団は、今年一杯は、ポツダムに滞在し、独逸国防軍にその装備を見せつける予定であるが、それでも戦闘による教育効果とは、比べ物にならない。
その為、独逸国防軍の新兵装への転換は、ゆっくりとしたものとなる。

そして、もう一つの要因は、ソ連の動向だった。
「のと」世界でのソ連が、本格的に動き出すのは、ナチス独逸と連動し、39年、それもポーランド分割からである。
アジアにおける軍事的な小競り合いは、それ以前から起きているが、「のと」世界での帝国陸軍とのノモンハン事変、バルト三国、エストニア、ラトビア、リトアニアの保護国化も1939年に発生している。
ソビエトの動向は、様々なルートを通じて、かなり正確に把握していたが、実際に赤軍上級将校の粛清も発生しており、この世界でもほぼ同様の道筋を辿っているものと思われていた。
もっとも、総研にしても、独ソ間の緊張関係の推移次第では、ソ連が今回の対独戦開戦により、動き出す事はある程度予想はしていた。
その為、フィンランドに対しては、かなり早い時点から、帝国が対ソ同盟的な動きを開始している。
実際、虎の子の97式中戦車を百両程度ではあるが、直接フィンランドに販売している。
航空機にしても、試作増加型ではあるが、英国はスピットファイヤ、帝国は疾風を供給している。
しかしながら、対独戦開戦後の二週間の間での、赤軍の急激な北欧シフトは、日英の予想を上回るものであった。
その為、両国は、対独戦の終了と共に、急遽第二兵団を直接フィンランドに送り込む事すら実施したのである。


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