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避難用作品投下スレ6

174ホワイトキャンバス:2011/07/15(金) 14:46:57 ID:LPsrDc/c0
「ねえ、お母さん。私、北川君を探しに行きたいよ」
「名雪……」
「だって香里が!」

椅子から立ち上がり掴みかかってきそうな勢いの名雪の目を、秋子は諭すようにじっと見つめる。
錯乱しかけた名雪の心も、それでやっと落ち着きを取り戻した。
泣き崩れそうになる自分を、名雪はぐっと堪える。
悲しいのは自分だけじゃないということ。

視線を秋子の奥に移した名雪の目に、秋子の隣に座っていた澪の姿が映りこむ。
先に秋子と共に放送を聞いていたらしい澪の目は、よく見ると真っ赤に充血していた。
きっとたくさん泣いたのだろう。
それでも彼女は、拳をぎゅっと握り締め、今は自分の感情を堪えている。

最年少の彼女が我慢をしているのだ。
他のメンバーが、弱音を吐く訳もない。

「ねえ、名雪ちゃん。香里っていう子、もしかして北川の彼女だった?」
「彼女とは、違いますけど……でも特別だったと思います」

いつも一緒にいたが、潤の好意の欠片がどうなっていたかを名雪は知らない。
美坂香里の態度からして、名雪は二人の仲が恋仲に進んでいるようには見えなかった。
その上で、何だかんだで親しい二人を見ているのが名雪も好きだった。

「北川君……絶対、つらいよ」
「そうだよな。あん時電話が繋がったってことは、香里って子もまだ生きてたってことだもんな……北川も、悔やみきれないだろうな……」
「え……?」


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