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避難用作品投下スレ6

154丸出しロワイアル:2011/05/12(木) 15:12:56 ID:UgVaFbGA0
その時の不安を思い出し、香奈子は改めて安心の言葉を零す。
摩る背中から伝わる熱は、シュンが生きている証だった。

「太田さん……」
「氷上くん……」

同調するように、二人は静かに名前を呼び合う。

「太田さん……」
「氷上くん……」
「あわわわわ、私は何も見ていません何も見ていません……」

時が止まる。
固まった二人が視線だけを泳がせると、いつからいたのかすぐ隣では耳まで真っ赤に染めた少女が一人、慌てふためいていた。
手で顔を覆いながら突っ立っているものの、少女は指の隙間からチラチラと二人を覗き見ている。

「由依あなた、一体いつから……っ」
「そ、その言い方はあんまりです! 私、香奈子さんと一緒に来たんですよぉ」
「……」
「あう、睨まないでくださいよ〜」

羞恥に震えながらも鋭く睨みつけてくる香奈子に、少女がたじろぐ。
頭を抱え身を守るように縮こまった少女は、ただでさえ身長が低いからかハムスターか何かの小動物のようにも見えただろう。
いきなり現れたこの少女が誰なのか、シュンはすぐに気づくことができなかった。
しかしここにいる人物で、香奈子と行動を共にしていたとしたら一人しか当てはまらない。
この明るい少女が、負の残骸に塗れていたあの少女と本当に同一人物だというのか。
体を清め、着替えた少女の雰囲気から、あの暗さは感じられない。

「あ、氷上シュンさん……ですよね? 改めまして、えっと、名倉由依です。助けてくださって、ありがとうございました」


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