したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

避難用作品投下スレ5

806エルサレムⅤ [少女の檻]:2010/05/23(日) 18:27:27 ID:NGfemGc.0
「来いよ」

 挑発するように投げかけた言葉。それに応じるようにアハトノインが突進してくる。
 グルカ刀を真っ直ぐに構えた、突きの体勢だ。
 いける。そう判断した往人はギリギリまで引き付けるべく腰を落とす。
 距離は瞬く間に詰められる。残り三歩、二歩、一歩。
 刀の射程距離に入ったと判断した往人は、全身の力を総動員して真横に飛んだ。
 振ったにしろ、このまま突いたにしろ、運が良ければコンテナに刀が当たってバランスが崩れるはず……
 しかし思惑通りにはいかない。真横に振られたグルカ刀はコンテナにも当たらない。

「やっぱ思い通りにはいかないな」

 着地したと同時、既にアハトノインはこちらへと接近している。

 まだ諦めてたまるか。

 今度は回避できないと判断して、振り下ろされる刀をナイフで受け止めようとする。
 だが、所詮強度では雲泥の差がある。今までがそうだったように、当たり前のようにナイフは折られた。
 けれども刀自体は逸らすことができた。この僅かな隙を往人は見逃さない。

「まだだっ!」

 往人の視界の隅で、ふわりとナイフが浮き上がる。
 それは蹴飛ばされたときに落とした三本目のナイフだった。
 浮き上がったナイフの刃がアハトノインを向き、頭部目掛けて射出されるように動いた。
 法術の力。手を触れずとも動き出す、往人にだけ備わった力。
 人形に複雑な動きをさせることの出来る往人に、真っ直ぐ飛ばすことなど造作もないことだった。
 完全に不意をついた一撃。半ばアドリブのような戦術だったが、避けられるはずがないと確信していた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板