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避難用作品投下スレ4

545十一時四十七分/全てを:2009/02/18(水) 00:04:39 ID:C6SXGSXs0
 
―――東


坂神蝉丸は堪えている。
抱えた砧夕霧の、声ならぬ声は続いていた。
孤独を憂い同胞を求めて彷徨う、それは迷い子の慟哭である。
岩をも切り裂く大剣の斬撃と、耳朶でなく心の中の薄い膜を乱暴に叩くような慟哭と、
その二つとに堪えながら、蝉丸は時の熟すのをじっと待っている。

光岡悟は白翼の神像の牽制に回っている。
山頂の西側で、或いは北で、南で打ち続く激戦の中、刻限という鎧が寸秒を経るごとに
削られていくのを感じながら、蝉丸はただ一瞬の好機だけを待ち続けていた。

―――正午まで、あと十二分を切っていた。


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