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避難用作品投下スレ4

382ひだりてみぎて:2009/01/20(火) 19:48:33 ID:3tXxynAs0
「でも、一人ぼっちなんや。誰もいなくなってもうて、もうウチ、どないしてええか分からへん」
「……あるさ」

 熱に浮かされたように、浩之はゆっくりと動き瑠璃と同じ視線に移動する。
 座り込んだままの瑠璃の真正面に体を落とし、互いの息がかかりそうなところまで顔を近づける。

 そうだ。お互いに人形であるなら、こうすればいい。
 じっと見据えた先にある瑠璃の瞳は急接近した浩之に動揺し、困惑の色を浮かべていた。

 口を小さくぱくぱくと動かし、けれども何の言葉も持てないまま幼子のようにじっとしている。
 ずっと膝に顔をうずめていたからか、どことなく頬は上気したように赤い。
 永遠とも須臾とも言えぬ間浩之はじっと見つめ――ひとつ行動を起こした。

「ん……っ!?」

 瑠璃に身体を重ねるようにし唇を塞ぐ。
 桃缶がカシャンと音を立てて落ち、汁が足に付着する感触があったが、関係なかった。
 柔らかな瑠璃の唇をついばむようにして貪る。

 最初こそ身を硬くしていた瑠璃だったが、次第に力を抜き浩之に委ねてくるようにしてくる。
 肯定の意思と受け取った浩之は一度唇を離すと、両の手で瑠璃の頬を、髪を慈しむように撫でる。
 温かい。熱を帯びて頬を赤くしている瑠璃を可愛らしい、と思いつつ顔への愛撫を続ける。

「浩之……ええの?」
「……何がだよ」

 行為を受け入れながらも、まだ困惑を残している瑠璃に浩之は出来るだけ、内心の緊張を抑えつつ返す。
 実のところ頭が沸騰しきっていて、キスをしていたという実感がない。
 身体は今にも震えそうで、心臓は今にも破裂しそうな程鼓動を強めている。
 それに、潤んだ瑠璃の瞳を見れば……緊張しない方がおかしい。
 戸惑いを残したままの瑠璃が、視線を揺らしながら口を開く。


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