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避難用作品投下スレ3

894霧雨ニ響ク鳥ノ詩:2008/07/30(水) 20:17:41 ID:cXyYwh360
「――」

 ふっ、と。
 足腰から急激に力が抜け、自分の身体が崩れ落ちていく感触があった。
 同時に、雨の音が遠のき、意識が暗転していくのにも。
 何か口にしようとして、結局叶わぬまま、麻亜子は深い意識の底に沈んでいくことになった。

     *     *     *

「……大丈夫だ、気を失っているだけだろう」
「良かった……」

 ホッと胸を撫で下ろした舞を横目に、往人はどこか安心しきったように目を閉じて穏やかな吐息を立てている麻亜子を見る。
 恐らく、緊張の糸が切れたのだろう。
 言動から窺う限り、相当な無茶をしでかしてきたのだろう。
 服の間から除く細かい擦り傷、切り傷。
 精神的な苦痛だってあっただろう。
 ともかく、このままにしておいては風邪を引く可能性がある。

 当初は相談の結果、舞の仲間であったはずであり、惨劇も目撃していたはずの、今は忽然と姿を消した藤林椋という女の捜索にあたるつもりだった。
 舞が言うには大人しい印象の人物だったそうだが、ただ単に逃げただけとは思えない。
 何か考えあって戻ってこないのか、それとも……
 ともかく、事件に関しては第三者でしかない往人が結論を出すわけにもいかず、事の真相を究明すべく探し出して尋問するつもりだった。


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