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避難用作品投下スレ3

883霧雨ニ響ク鳥ノ詩:2008/07/30(水) 20:13:49 ID:cXyYwh360
 もうそれしか……それしか、麻亜子には考えられなかった。
 それ以外に、どうしていいか分からなかった。
 心すら、今は煩わしい。
 こんなにも苦しいのならば、悲しいのならば、感情などいらない。そう思うくらいに。
 それでもやらなければならない。麻亜子がやらなければ……一体誰がかつての日々を取り戻してくれるというのか。
 当たり前のようにあったあの日常は、最早麻亜子にしか取り戻せなかった。

 何も考えるな。機械になれ。もう、物思いに耽るのはここまでだ。
 決意しても尚、麻亜子の中にある何かが悲鳴を上げ、軋みを立てて痛みを訴えようとする。
 後悔しているのだろうか。こんなことになってしまったことを、今更、今更、今更……
 そう、今更だ。だから、こうやって方法を模索し、皆殺しにして願いを叶えて貰うという選択に行き着いた。

「……よし」

 それ以上黙っていれば、また何か考えてしまいそうな気がしてそれで締めくくることにした。
 今までだってそうだった。言葉は道化だ。
 何かを考えないようにするには、全てを遮り、喋り続けているのがいい。
 そうすれば、何も聞こえない。

「さぁて、行きましょうかね、無限の彼方へー! ……っとと、その前に持ち物の確認か。冒険する前の準備はRPGの常識だよねー」

 戦闘続きでデイパックの中身は久しく確認していない。
 それにしては戦利品が少ないのを懸念しつつ、麻亜子は鼻歌交じりに荷物を確認する。

「ふんふん、黒くて太くて硬いものと、先端が尖ってて硬いものと、勢い良く発射するやつか」

 誰かが盗み聞きしていれば間違いなくある種の誤解を招きそうな事を(本人は確信犯的に言っていたが)喋りながら、ボウガンの矢数はまだそれなりに残っていることに安堵する。
 元々大量に支給されていたのと、モッタイナイ精神の元拾えるものがあれば拾い集めていたので、矢の残りは36本。
 デザート・イーグルは強力無比ではあるものの残り弾数があまりにも少なすぎる。
 柏木耕一のような化け物相手でもない限り使わない方が無難だろう。
 となると、ボウガンで狙い撃ちしつつ近距離に入り込まれたらナイフで応戦するのが基本戦術となる。
 結局、新しい武器を手に入れるまではいつも通りか。


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