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避難用作品投下スレ3

88青い宝石3:2007/12/11(火) 01:49:14 ID:te0M13b60
三度、念押しのように声の主が言い放つ。
そこに嫌悪感が含まれているように思え、大きく泣き喚きたくなる衝動をこのみは必死に抑えていた。
このみにだって色々あった。
こうしなければ彼女を救えなかったから。
だから、このみには躊躇も何もなかった。
思い立ったらすぐに行動に出ていた。
そして、無事彼女を救うことができた。できたから。

このみはここにくるまで自身の行った人を手にかけるという行為に対し、懺悔する気持ちなど一切持っていなかった。
今もそれは変わらない。

「……分かんないよ」

ぽそっと呟かれたそれは、誰に対したものなのか。
このみは顔を伏せたまま口を開き、ぽつぽつと言葉を口にする。

「分かんないよ、このみだって誰も傷つけたくない。そんなの嫌だよ。
 自分がされて嫌なことは他の人にもしちゃ駄目って、当たり前のことだよ」
『じゃあお姉さんは、誰も殺してないの?』
「……あなたは、どこまで知ってるの?」
『何も知らないよ。ただ、お姉さんの格好が怪しかったから。聞いてみたの』

このみはそれで、少女の声色を持った人物がこのみ自身を責めるような意図で発言をしていた訳ではないということに、やっと気づいた。
疑心の含まれたこのみの問いに返ってきたものが物語っている。
幼いそれは、ただ「矛盾している」と見えるものに対し純粋に疑問をぶつけているだけだった。
姿が見えないという依然とした問題はあるが、このみの中で鳴らされていた警報音が微々たるものになっていく。
そして今度は恐怖心よりも少女の声を持つそれに対する好奇心の方が、このみの中で上回った。

「……ねえ、どこにいるの? ちゃんと向き合ってお話しようよ」


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