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避難用作品投下スレ3

845(先行不安)/Chaotic Island:2008/07/20(日) 13:14:40 ID:4wBxa5pU0
 訪れた放送の内容は、篠塚弥生にとって意外なものとなった。
 最終生存人数の増加。
 口上は大切な人を守るため、大切な家族を守るため、などと謳われていたがどうにも今更のように思えてならなかった。

 タイミングが遅すぎる。
 現段階での生存者はこれまでの放送から確認する限り既に40人を切っている。
 それはつまり、全体の3分の2が死体となってこの島に転がっているということだ。
 ならば、家族や恋人関係にある人間の片割れが既に死亡していないことなど、ないに等しい状況なのだ。

 参加者名簿に、弥生は目を走らせる。
 やはり、大半のそういう関係にある者は死んでいる。名簿の名字から推測するだけでもそうなのに、恋人などの関係まで含めると更に数は増える。
 大体、放送を待ってこんなルール変更をする理由がないのだ。
 単にルールを変えるだけならいつでも……例えば、昼ごろや、極論を言えば主催者が思いついた段階で言っても構わないはず。

 二人まで生き残れるというのは実は相当に重要なことだ。
 神尾晴子がそうであるように「生き返り」など信じていない現実主義者は大勢いる。……弥生自身が殺害した、藤井冬弥もそうだった。
 クローンという推測は立てたもののそれですら眉唾ものだ。確率的には「生き返り」が本当に出来るかというのは無に等しい。
 ――それでも弥生は森川由綺のためにそれを信じるしか道はなかったが、今はそれは置いておくとしよう――
 とどのつまり、「好きな人と一緒に生き残れないから主催に反逆する」人間は少なからずいたと考えられる。
 そのための対応策が、生存者数の増加……二人生き残れるから、殺し合いに乗る。そのカードを、何故今更切ってきたのか。
 不可解に過ぎる、と弥生は考えた。それとも、それ以外に何か理由があるのかとも考える。

 考えられるのは……妥当に考えれば、集団の崩壊を狙うことだろうか。
 先程も考えたように、二人で生き残ることができないから反抗している人間はそれなりに多くいるだろう。
 そして殺し合いゲームも終盤に近づいた今、集団を形成している可能性もそれなりに高い。
 だがルールが変更され、生き残りも少なくなった今、果たして主催を倒すのと、ゲームに勝ち残ることと、どちらが勝算が高いか。
 天秤にかけられた結果、共謀して集団を内部から攻撃し、凄惨な争いが繰り広げられる……といったところだろう。
 それを眺めて楽しむ悪趣味さを考えれば、ありえないことではない。
 だがやはり、「遅すぎる」という事からは離れられない。
 それとも、ゲームを運営している連中に何かあったのか……?


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