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避難用作品投下スレ3

828それぞれ:2008/07/14(月) 22:23:02 ID:34hZeGm60
 そんなに……今の俺は不甲斐ないのか。

 そうかもしれない。事実、ここに来てからというもの窘められたり諌められたりすることの方がよほど多い。

 ……情けない。
 ……役に立ちたい。
 ……あの時、確かに望んだような、ヒーローでありたい。
 ……夕菜姉さんを守りたいと思ったときのように。

 一度目を閉じて、宗一は深く息を吸う。
 なら、好き嫌いなんてしてられないよな。
 何事もまず行動で示してこそだ。

「もうこのくらいで十分だろ。そろそろ埋めてやろうか」
 一つ息を吐き出して、宗一は穴を掘っていたスコップを地面に突き刺し静かに横たわっている二つの遺体を見やる。
 その視線にはもう怒りや憎しみの感情は残ってはいない。
 ただ、生き残ることだけを思っていた。他人の屍の上に立っている、そのことを認識しながら。

「そうだな、後はそっちに任せる。渚、行ってやれ」
「……あ、はい」

 二人に先は任せるというようにルーシーが渚の背中を押し、宗一の下へと歩かせる。
 徐々に近づいてくる渚が、それに比例するように表情を強張らせているのが宗一には分かった。
 半ば自然に、呼吸をするかのようにその真意を探ろうとしてしまう自分に気付き、宗一は辟易する。
 きっと、緊張しているだけだ。
 そう思うことにする。
 畏れられているのではないか……浮かび上がった考えを打ち消すように。


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