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避難用作品投下スレ3

804走れ獣よ、お前は美しい:2008/06/29(日) 04:17:09 ID:3HLWBWUQ0
 ……そして考えられるのは、強くなった連中を「何か」と戦わせることだ。
 殺し合いという異常な環境を通して強くさせる。恐らく、ではあるがどんなに精神的に強固になったとして、その根底にあるのは「生き残りたい」という思いであろう。そこに服従といった主催者に従わせる意思は多かれ少なかれ失われていくはずだ。
 最初から主催者の手駒にする気など毛頭ない。その代わりに何かと戦ってもらう。もしくはその力を何かに試す。実験台として。
 弄ばれ、モルモットにされている……そうであるかもしれないと思うと、ボタンのはらわたが燃えるように煮えくり返っていた。

「ちっ、杏の姉御をそんな実験台にさせてたまるか」

 己の主人であり、絶対的な忠誠心を捧げている杏のことを思えば尚更であった。
 路頭に迷っていた自分を優しく抱き上げ、暖かさで接してくれて、今日まで大事にしてもらった恩義を忘れたことなどありはしない。
 ボタンは情の猪であった。ボタンは仁義の世界に生きる猪である。ぶふー、と獰猛な鼻息を吐き出しながら更に考えを進める。
 そう、仮にこの説が正しかったとして何の実験にするのか。

 鬼ヶ島の鬼退治か?
 世界に誇る最強軍隊の実戦練習?
 それとも未知の超兵器との対決?

 どれもありえそうだから困る。何せ相手は篁財閥なのだ。
 ……しかし、これだけははっきりしている。
 この殺し合いに優勝はない。参加者に待ち受けているのはお互いに殺しあっての死か。
 或いは今後待ち受ける主催者の実験台にされての死か。

 まともに戦っているなら、運命はこの二択しかない。
 無論伊達や酔狂で、上層部の人間たちの悪趣味でこんなことをした、という可能性もある。
 ボタンの考えはあくまでも推測でしかなく、真実など分かりようもない。
 ならば運命に逆らうしかない。真実を知るためには、反逆の道を選ぶしかない。


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