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避難用作品投下スレ3

724永遠の旅人:2008/06/11(水) 20:51:45 ID:e2cva8jo0
「最初はぎこちなかった。すごくみっともなく動いてるように見えて、それでも必死に動いて、繰り返して、最後に大きく跳んで成功したように見えたけど……結局失敗して、転んで、また立ち上がって……ずっと繰り返し。みっともないと思ったけど、でも私はそれ以下だった……みっともないことさえ出来なかった」
「……まさか、面白くなかったのか?」

 慌てたように聞く往人に、そうじゃない、と僅かに笑いながら舞は否定する。

「本当に往人の芸は面白かった。みっともなかったけど、頑張れば誰かを楽しませることができる。笑わせることができる。
 ……それを教えてくれた。それに、佐祐理や祐一がやろうとしていたことも思い出させてくれた。
 少しずつ努力すれば、きっと私だって認めてくれる。私も普通の女の子なんだって、そのために色々奔走してくれていたことを。
 あれと同じ。上手くはいかなかったけど、でも、少し大きくなれたような気がした。
 ……どうして、私は忘れていたんだろう。分かっていたのに」

 往人はああ、やはり同じだ、と思った。
 分かっていたはずなのに、本当に大切なことを忘れてしまった。
 気付いたときには、応えることもできず。
 出会って数時間も経っていないのに、まるで自らの半身のような親近感を往人は覚えていた。

「私は頑張れるのかな、往人……私のような、どうしようもないダメな子でも何か出来る……? まだ、どうすればいいのか分からないけど」
「……ああ。俺が保障する」

 そう言って往人はぽん、と舞の頭に手を乗せる。
 舞は特に嫌がることもなく、往人の行為に身を任せていた。

 どうしたら、いなくなってしまった人たちに応えられる生き方ができるか。そんなことを考えて。

 今はただ、お互いの暖かさを感じながら――


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