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避難用作品投下スレ3

652雅史アフター:2008/05/27(火) 23:44:56 ID:T.XnXA1I0
雅史は、また見つけてしまったのだ。
しかも今度は二つ。
倒れこむ二人は服装や体格から少女であると窺えるものは、少し前に雅史が発見した悲惨な姿になってしまった少女と変わりないものである。
一人は椋と同じ制服を身に着けていた。
もしかしたらこの子が椋の姉である少女なのだろうかと、雅史は慌てて近づきその容貌を確認する。
だが椋から聞いていたものとは大分かけ離れていたため、その可能性は低いとすぐの答えを出す。
少女の遺体は散々だった。
先ほど発見した少女と同じように前のめりに倒れているのだが、彼女の場合は背中に何度も鋭利なものを当てられた痕があった。
おかげでオフホワイトのブレザーは、いまや見る影もなくなってしまっている。
それは、もう一人の少女も同じだった。
血に塗れた少女達の惨状に、雅史は込み上げる嘔吐感を必死に堪えながらもう一人の少女を見やり、そして……愕然とする。
もう一人の少女は、雅史にとっても身近な制服を着用していた。
その上よく見ると、その少女自身も雅史にとっては身近な人間であることがすぐに分かった。

「琴音、ちゃん……」

浩之を介し知り合うことになる、一学年下の少し内気な少女の名前が雅史の口からポツリと漏れる。
海風に晒された彼女の特徴でもあるゆるやかなウエーブは、いまや見る影も無いほどぱさついたものになっている。
勿論、彼女も既に絶命している。
彼女の死自体は放送にて知らされていたが、このような形で見せ付けられるなんてと雅史は悔しそうに顔を歪めた。
鼻につく異臭がせつない。しかし、雅史が彼女にしてやれることは何もない。
埋葬に使える道具も所持していない雅史は、せめてもと少女達の瞳を閉じさせる。
先ほどの少女の時のように何か二人を隠すことができる布でもないか、雅史は周囲に目をやった。

(上着があればそれをかけてあげられたんだけど……昨晩眠っている椋さんにかけて、そのままにしちゃったんだよね……)


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