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避難用作品投下スレ3

651雅史アフター:2008/05/27(火) 23:44:19 ID:T.XnXA1I0
「……っ!」

海風に混ざる生臭さ、雅史の鼻をツンとさせるそれが彼の目に映るものの意味を物語っているだろう。
白い砂を汚す赤黒いもの、何が砂達に色を与えていたのか。
砂の上に横たわるものが、見れば分かるだろうと雅史に現実を突きつける。
早足で近づき、雅史は前のめりに倒れこんでいる少女と思われるものの様子を覗き込んだ。
触れた温度に熱は全く無い。既に少女は、絶命している。

「ひどいな……」

彼女を死に追いやった傷口はうなじの辺りで、何度も抉られているためかかなりグロテスクなものになっていた。
傍らには何故か布が落ちている。
拾い上げ確認する雅史、それはどこにでもある普通のタートルネックだった。
……飛び散る血飛沫模様が、異様さを物語ってはいるが。
何故衣服が落ちているのか、その意味を雅史が分かるはずもない。
痛ましげな少女を隠すよう、雅史は元は骨白だったと思われるタートルネックを少女の首元にかけてやる。
静かに手を合わせ、雅史は気が滅入りそうになるのを何とか堪え再び歩を進めた。

しかし、そこに追い討ちをかけてくるモノがあった。
そこからまた少しだけ雅史は南に下って行ったのだが、それが間違いだったかもしれない。
雅史は、特に場所を決めて歩を進めている訳ではない。
今雅史が取っている行動は、ただ椋に時間を与えるための暇つぶし以外の何物でもない愚行である。
雅史は、散歩を続けたことを後悔した。
正直この展開を、雅史が予想できるはずもない。
仕方ない。それで済むことかもしれないが、雅史にとってはたまったものではないだろう。


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