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避難用作品投下スレ3

629Like a dream:2008/05/10(土) 21:09:40 ID:2rboGYVg0
 隣の部屋に座らせ、往人は包帯なり絆創膏なり、とにかく治療できる道具を探すことにした。
 一応それなりの心得は旅を続けるうちに身につけていたし、霧島聖の診療所でバイトをしているときに教えてもらった経緯がある。
 そうでなくとも、これくらいのことは誰だってできる。

「絆創膏はあったか……だが消毒液が見当たらん」

 一箱ほどそれを入手したものの肝心の消毒剤がない。
 とはいえ、それで死ぬということもないだろう。……恐らく、ではあるが。
 うん、感染症にかかったりはしない……ことを願おう。
 なんとなく不安になりつつ、手の傷口を洗い流すために近くにあったデイパックから水を拝借する。

「悪いな、借りてくぞ」

 往人が拝借したのは、かつて会話したことのある観月マナのものだった。
 脳を打ち抜かれたマナは、ぽかんと口を開けて己の死さえ気づいていないようだった。恐らく、誤射か何かで運悪く頭に命中してしまったのだろう。

「……あいつは、俺が助けてやる」

 脳漿のこびりついているマナの顔をゆっくりと拭ってやり、永遠の安息を願い、目を閉じてやった。
 閉じた後、マナの顔はひどく安心しているように見えた。

「悪い、待たせた――」
 往人がそう言って、舞のいる部屋へ入ろうとしたとき。
 家の中にまで響くような大音量で、例の放送が入った。


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