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避難用作品投下スレ3

602Trust:2008/05/05(月) 17:22:20 ID:rjytJX2E0
     *     *     *

「もう、ここまで来れば……!」
 祐一と柳川のいる場所から少し離れた、民家の影。大きく息をついている三人を見ながら、浩之はそう言った。
 背後には、柳川の気配はない。ということは、祐一の足止めは成功しているということだ。それは彼が未だに戦い続けているということでもあったが。
「……」

 それも理解している以上、このまま突っ立っているわけにはいかない。デイパックから武器になりそうなものを取り出し、元いた方向へ一歩を踏み出そうとした浩之の裾を、みさきの手が掴む。
「浩之君……」
 不安に震える、みさきの腕。あまりに切実な感情。だが、それでも、浩之は優しくみさきの手を解かねばならなかった。
「みさき。俺は、祐一の助けに行かなきゃいけない。あいつを助けてやれるのは、俺だけなんだ」
「……悔しいよ」
 違う。みさきの手は、不安で震えてなどいなかった。

「目が、見えてれば、良かったのに」
「……」
「みさきさん……」

 観鈴と椋が、複雑な表情を浮かべる。その心中は、察するにあまりあるものだった。
「我侭だよね。……ごめんなさい、浩之君」
「……みさきにだって、守れるものはあるさ。安心だ。みさきがいるだけで、俺は安心できる。だから、待っててくれよ、笑顔で戻ってこれるようにさ」
 肩を叩きながら、浩之は笑う。その雰囲気を感じ取ったのか、みさきも笑った。

「行って来る。観鈴、二人を頼むぜ」
「う、うんっ。観鈴ちん、ふぁいとっ」
「頑張ってね、浩之君」
「……おう!」


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