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避難用作品投下スレ3

597Trust:2008/05/05(月) 17:20:14 ID:rjytJX2E0
「迂闊だ!」
「そうかよ!」

 ロック・オンされたと同時。絶妙のタイミングで、祐一は柳川の真正面に向かって、着ていた制服を、視界を遮るように投げ入れる。
 これが祐一の作戦だった。
 視界を遮られ、何も見えなくては照準を定めることなど出来はしない。頭は狙いを変えようと、体の動きを変えろと命令を下すはず。
 しかし人間の体はそう都合よく出来てはいない。続けざまに命令を与えられ、混乱した体は僅かな間であろうとも、動きを止めるだろう。
 そこを、俺の銃弾が仕留める――!
 ……そのはずだった。

 真横に飛んで、硬直した『はず』の柳川がいる場所。そこでは、
「だから、迂闊だと言った」
 まるで何事も無かったかのように、柳川の銃口が、祐一に向けられていたのだ。

 何故だ、と呆気に取られると同時に、どん、どん、どん、と、音と同時に、祐一の体が小刻みに揺れた。
 手から、するりとワルサーが抜け落ちる。
 ああ、駄目だ。手放しては駄目だ。
 あれが無ければ、俺は、皆を、守れない――
 完全にワルサーが祐一の手から離れ、それに連動するかのように、彼の意識は、途絶えた。

「……所詮、お前では『鬼』は殺せない。いや、殺すつもりもなかったかもしれんがな」
 目を見開いたまま赤い水溜りを広げていく祐一を見下しながら、柳川はそう言った。
 所詮は素人の考えだ。
 何度か運に助けられたからといって、それで勝てると思い込む。
 殺し合いで運を信用してはならないのに。
 結局は、場数を踏み、より実戦慣れしている俺が勝った。
 ――つまらないな。

 ふぅ、と一つ息をつき、戦利品のワルサーP5を拾い上げたとき、一つ、声が登場した。


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