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避難用作品投下スレ3

368名無しさん:2008/03/12(水) 01:01:47 ID:JAd3em1s0

岸田の言葉を聞いた瞬間、茜は即頭部を強打されかのような衝撃に見舞われた。
クラスメイトである長森瑞佳の事もあったが、それ以上に茜に衝撃を与えたのはもう一人の名前。

「詩子、を――――」

幼馴染で、それと同時に掛け替えの無い親友でもある詩子が殺された。
それも、女性の尊厳を奪われた後で。
実際に岸田が犯したのは瑞佳一人のみだが、その事実を茜が知り得る方法は無い。
茜の動揺を見て取った岸田が、心底愉しげに笑い声を張り上げた。

「ハハハッ、ハハハハハハハハハハ! どうやら大当たりだったみたいだな? 苦痛と恥辱に歪んだ女達の顔、お前にも見せてやりたかったぜ」
「貴方は……貴方という人は…………!」
「ほら、掛かって来いよ。俺の事が憎いだろ? 殺してやりたいだろ?」
「くっ…………」

怒りで肩を震わせる茜に向けて、嘲笑混じりの挑発が投げ掛けられる。
それでも茜は、決壊寸前の理性を危うい所で何とか保っていた。
今すぐにでも眼前の怨敵を殺してやりたいが、此処で激情に身を任せる訳にはいかない。
血が滲み出る程に拳を握り締めながらも、沸騰した感情を少しずつ冷ましてゆくよう試みる。
しかし茜が怒りを抑えられたとしても、他の者達もそうだとは限らない。

「――そう。そんなに殺して欲しいのなら、望み通りにしてあげる」
「美佐枝さんっ!?」

怒りの炎を瞳に宿し、包丁片手に岸田の方へと歩いてゆく女性が一人。
相良美佐枝である。
岸田が行ってきた数々の卑劣な行為、人を見下した言動に、美佐枝の我慢は最早限界を突破していた。
驚愕する智代にも構わずに、眼前の殺人鬼目掛けて疾走を開始する。

「来須川さんが受けた痛み、その身で味わいなさい!」
「ヒャハハハッ、良いぞ! その調子だよ!!!」

岸田は鞄から大きな鉈を取り出すと、美佐枝を大広間の奥に誘い込むべく後ろ足で後退してゆく。
頭に血が昇っている美佐枝は、派手な足音を立てながら追い縋ろうとする。
その行動は、過度に場の注意を引き付ける愚行である。
案の定、新たな敵の接近に気付いた彰が、美佐枝目掛けて銃弾を撃ち放った。
所詮素人の銃撃であり、しかも遮蔽物が極めて多い屋内。
銃弾が命中する事は無かったが、美佐枝の鋭い視線が彰へと向けられた。

「……邪魔をするつもり? だったら、アンタも殺すよ!!」
「やれるものなら、やってみるが良いさ。尤も――負けて上げるつもりは無いけどね」

加速する憎悪、伝染してゆく殺意。
美佐枝が叫んでいる間にも、彰や留美の短機関銃は幾度と無く火花を放っている。
岸田も得物をニューナンブM60に持ち替えて、安全圏から必殺の機会を淡々と見計らっている。
鎌石役場の大広間は、最早完全なる死地と化していた。

「……っ、美佐枝さんを見捨てる訳には行かない。皆、行こう!」

強力な武器を持つ襲撃者二人に、殺人鬼・岸田洋一。
その三人に比べて、美佐枝の戦力は圧倒的に劣っている。
このまま一人で戦い続ければ、確実に命を落としてしまうだろう。
故に智代は仲間達の決起を促して、美佐枝を援護すべ戦火の真っ只中へ飛び込んでいった。

一度戦いが始まってしまえば、最早行く所まで行くしか無い。
坂上智代、里村茜、相良美佐枝、小牧愛佳、七瀬彰、七瀬留美、岸田洋一。
総勢七名による激闘の火蓋が、切って落とされた。


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