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避難用作品投下スレ3

363名無しさん:2008/03/12(水) 00:54:55 ID:JAd3em1s0
「智代、頭を下げて下さい!」
「…………ッ!?」

甲高い声。
智代は促されるまま上体を屈めて、彰も本能的に危険を察知し横方向へと飛び退いた。
次の瞬間、空気の弾ける音と共に、それまで彰や智代の居た空間が飛来物に切り裂かれてゆく。
前屈みの状態となっていた智代が視線を上げると、廊下の先に電動釘打ち機を構えた茜の姿があった。
一旦退避した茜だったが、智代を援護すべく舞い戻ってきたのだ。

「智代! こっちです、早く!」
「ああ、分かった!」

智代は上体を屈めた態勢のまま、廊下に向かって全速力で駆け出した。
その間にも茜が幾度と無く釘を撃ち放ち、彰の追撃を許さない。
廊下の奥で智代と茜は合流を果たし、そのまま傍にある階段を駆け上がっていった。

「っ……逃がして堪るか!」

遅れ馳せながら彰も地面を蹴って、智代達の後を追ってゆく。
複数の銃火器の重量に耐えつつも廊下を走り抜けて、勢い良く階段を駆け上がった。
二階に着いた途端見えたのは、一際大きな扉。
彰はマシンガンに新たな弾倉を装填した後、扉に向かって掃射を浴びせ掛けた。
扉は派手に木片を撒き散らしながら、穴だらけとなってゆく。

「ふ…………っ!」

彰はボロボロになった扉を押し破って、そのまま奥へと飛び込んだ。
開け放たれた視界の中に広がったのは、優に数十メートル四方はある大広間。
元は役場の職員達が使用してたのか、大量の作業用机が規則正しく並べられている。
そして彰の前方二十メートル程の所に、走り去ろうとする智代の後ろ姿。

(他の奴らは何処に――いや、それは後回しで良い。まずはアイツから仕留めるんだ!)

二兎を追う者は一兎も得ず、という諺もある。
欲を出し過ぎる余り、結果として一人も倒せなかったという事態は避けなければならない。
彰は机の間を縫うように疾走しながら、智代の背中をマシンガンで撃ち抜こうとして――

「…………ッ!?」

瞬間、大きくバランスを崩した。
慌てて態勢を立て直そうとしたが、既に両足は地面から離れてしまっている。
どん、という音。
イングラムM10を取り落としながら、彰は勢い良く床へと叩き付けられた。

「あ、がぁぁぁっ…………!?」

予期せぬ事態に見舞われた彰が、苦痛と驚愕に塗れた声を洩らす。
状況が理解出来ない。
自分は決して運動を得意としていないが、戦いの場で足を踏み外す程に不注意な訳でも無い。
なのに、何故――そんな疑問に答えたのは、近くの机の影から聞こえてきた声だった。

「まさか、こんな子供じみた罠が決まるなんてねえ……」
「灯台下暗し、ですよ。勝利を確信している時こそ、足元が疎かになるものです」

そう言いながら姿を現したのは、制服姿の少女と、成熟した体型の女性。
里村茜と相良美佐枝である。
二人が眺め見る先、細長い縄が机と机の間に張られていた。
人間の膝の位置くらいに仕掛けられたソレこそが、彰を転倒させた罠だった。
立ち上がった彰がイングラムM10を拾うよりも早く、茜の釘撃ち機が向けられる。


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