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避難用作品投下スレ3
328
:
意志の相続
:2008/03/08(土) 03:22:11 ID:/js7YssY0
銃を構えるということ。
それは、脅しの意味でしかなかったということ。
発砲するということ。
それは人を傷つけるという行為である。
もしくは、人を死に至らしめるという行為にまでもなる。
……そんなことを行うことができる覚悟まで、マナは決まっていなかった。
「ひっ」
気づいたら、少年とマナの距離は目と鼻の先になっていた。
砂を踏む音はもう辺りに響いていない、当然である。
少年は足を止めていた。
もう進めなくなっていたからである。
何故か。
「あなた……死にたいの……?」
マナの構える銃口は、少年の胸に当たっていた。
少年とマナの距離は目と鼻の先の距離になってしまっている、それは文字通りそのままの状態を表している。
すっと、その時やっと俯き気味だった少年が顔を上げた。
甘やかな作りは中性的で、異性を感じさせない儚ささえをも含まれているように感じるマナだが、反面何の表情も見て取れない少年のそれに対する戸惑いというのも、彼女の中には同時に浮上していた。
「え?」
少年の右腕が、ゆっくりと持ち上げられる。
マナはじっと、その動きを目で追っていた。
瞬間響いた乾いた音。
痛み。
振動。
続いて感じた半身の痛みにマナが悶える、彼女の体が砂地に叩きつけられたことが原因だった。
自身が頬を張られたという事実に呆然とするマナは、まさか初対面の人間からこのような無礼を振舞われることを予想だにもしていなかっただろう。
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