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避難用作品投下スレ2

826明けない夜:2007/07/12(木) 04:07:39 ID:o2TMW8fM0

「ようやったで、観鈴!」

手を叩いて喝采を叫んだのは神尾晴子である。
遥か眼下、神塚山の中腹には巨大なクレーターの中心に埋もれた黒い機体の姿が見える。
初撃を遮断してみせた強固な防護には手を焼いたが、殻に篭っているだけならば、ゆっくりと
殻ごと破壊すれば済む話だった。

「所詮は悪足掻きっちゅうヤツやんなあ……よし観鈴、トドメにもう一発や!
 何ちゅうたか、アレや……さっきのビームで、今度こそ粉々にしたり!」
『にはは……ラヤナ・ソムクル』
「何でもええわ、ぶちかましたれ! 腕一本では済まさんで!」

晴子の言葉に答えるように、アヴ・ウルトリィの両手に再び光が宿る。
徐々に輝きを強めていく光が、やがて太陽を思わせる眩い光球となっていく。
ふるふると震える光球を頭上に掲げるように、アヴ・ウルトリィがその手を翳す。

『ラヤナ・ソムクル―――!』
「終いや、アホンダラがっ……!」

憎悪と歓喜の入り混じった声に押し出されるように、光球がアヴ・ウルトリィの手を離れた。
煌く軌跡を描きながら、一直線に黒い機体を目指して降下していく光球。
と、中空で光が爆ぜた。巨大な光球が割れ、無数の流星となり、そのすべてが黒い機体へと向かって加速する。
天から降る幾多の流星が、極大の破壊力を伴ってアヴ・カミュを粉砕すべく、落ちゆくのだった。
圧倒的な光景に、晴子は勝利を確信し、口の端を上げる。
だが、

「……な」

次の瞬間、その表情は凍りついていた。
眼前に展開された光景が信じられないといった、呆然とした顔。

「何や、と……?」

ようやくのことで声を絞り出す。
見開かれたその視線の先。
そこにあったのは、流星の落下に陥没した山麓でもなく、濛々と舞う土煙でもなく、まして、
木っ端微塵に粉砕された黒い機体の残骸でも、なかった。


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