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避難用作品投下スレ2

465夢の終わり:2007/05/31(木) 23:21:23 ID:veeaHzOE0
天高く昇った太陽の下で寄り添うように肩を並べながら、三つの影が突き進む。
北川潤とその仲間達の行き先は決まっていた。
北川達は目的地――平瀬村の何処かにある筈の、親友の『心』を追い求めていた。
遠野美凪の『心』がそこにあるという根拠はたった一つ。
思い当たる他の場所は全て探し尽くしてしまい、残るは平瀬村だけなのだ。

「…………」
黙々と足を進める北川の表情は優れなかった。
この地には辛い――余りにも辛過ぎる想い出がある。
自分は守れなかった。
何を差し置いてでも仲間を守るつもりだったのに、柏木一族という脅威から美凪を守り切れなかったのだ。
仕方無いと言えば仕方の無い事ではあったかも知れない。
敵は『鬼の力』などといった常識外れの能力を持った怪物達なのだから、たった一人の犠牲で済んだのは寧ろ幸運とすら言える。
……そんな事は分かっているのだが、だからと言って割り切れる筈も無い。
美凪は自分にとっても真希にとっても、掛け替えの無い仲間であり親友でもあったのだ。

「潤……ねえ、潤ってば!」
「ん、ああ……何だ?」
広瀬真希に呼び掛けられた為、陰鬱な想いに支配されていた思考を一旦中断させて、生返事を返す。
真希はこちらをじっと見つめながら、遠慮がちに言葉を紡いだ。
「今あんたの考えてる事が、手に取るように分かるわ……。美凪が……死んじゃった時の事を考えてたのよね?」
「――――っ!」
内心を一部の狂いも無く言い当てられてしまい、北川は大きく息を呑んだ。
真希は北川の手を握り締めてから、続ける。
「お願いだから一人で全部抱え込もうとしないで……。美凪はあたしにとっても――そして、みちるにとっても大切な親友なんだから」
「そうだぞーっ、みちるの方が美凪と付き合い長いんだからなーっ!」


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