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避難用作品投下スレ2

452運命の選択:2007/05/30(水) 20:49:27 ID:KFETsNV20
瑞佳の的確な指摘を受け、拓也は思わず言葉を失った。
そうだ――そもそもこの広大な島に於いては、他者と出会う事すら容易で無いのだ。
にも拘らず僅か十二時間程度で、生き残っていた者の四分の三以上が死ぬという事態は明らかに異常だ。
そう考えると先の放送は信憑性が皆無であると言わざるを得ないが、そこで新たな疑問が拓也の脳裏を過ぎる。

「……どういう事だ? 主催者は何の為にそんな嘘を吐いたんだ?」
「それは私も分からないよ。けどとにかく今は、坂上さん達の所へ行くのが先決なんじゃないかな」

――その通りだった。
大人数で考察した方が良い考えも浮かぶだろうし、こんな所で立ち止まっていては何時襲撃されるか分からない。
瑞佳の身体では逃げ切るのは殆ど不可能だし、自分の武装程度では敵を迎え撃つのも難しい。
今の自分達はこの島の中で、恐らく最も不利な状態にあるという事を決して忘れてはならないのだ。
拓也は気を引き締め直し、坂上智代達が滞在しているであろう鎌石村消防署に向かって再び進み始めた。

    *     *     *

「そ、そんな莫迦な……」

過去最多の名前が読み上げられてた第四回放送を受け、消防署の一室で坂上智代は掠れた声を絞り出す。
――全ては上手く行っていた筈だった。
鹿沼葉子という強力な仲間も得て、更に二人同志を加え、万全の状態で対主催の人間が集まっている教会に行けると思っていた。
しかし現実は厳しく、首輪解除の任務に就いていた珊瑚や春原陽平も、そして岡崎朋也までもが死んでしまった。

「なあ、私達はこれからどうすれば良いんだ……?」

酷く重苦しいその呟きに、里村茜も柚木詩子も、鹿沼葉子も答えられなかった。
生き残りは自分達といずれ此処に来るであろう瑞佳達を除けば、僅か三人。
その三人の中に、首輪解除し得るだけの技術を持った者がいる可能性は極めて低い。
幾ら仲間を集めた所で、首に着けられた悪魔の枷を外せなければどうしようもない。
そして――この中で唯一『鬼の力』を目の当たりにしている詩子が、途切れ途切れに言葉を紡いだ。


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